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2006年07月16日

ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術

■ 書籍情報

ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術   【ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術】

  立花 隆
  価格: ¥1800 (税込)
  文藝春秋(2001/4/16)

 本書は、著者が『週刊文春』に連載していた「私の読書日記」の1995年11月30日号~2001年2月8日号までの約5年分をまとめたもので、それ以前の分をまとめた『ぼくはこんな本を読んできた』の続編に位置づけられるものです。
 著者は、この連載で紹介する本の選び方として、個人的な読書生活をあるがままに記録したものではなく、ベースを新刊本とし、「本屋の店頭にいって、そのとき店頭にならんでいる本の中から、読んでみたい本、面白そうな本、ちょっと気になる本をワーッと買い集め(通常、一回二、三十冊くらい)家に帰ってから、それにサーッと目を通して、紹介すべき本を選んでいくこと」を通常コースにしていると述べています。その理由は、「書店というのは、一国の文化の最前線の兵站基地みたいなものだから」であり、「書店の店頭というのは、一国の文化、社会の現状を伝える最高のメディア」であるからです。
 著者は、「その本に対して同じフィールドの専門家がもっともらしい評価をえらそうに書きつらねている」タイプの「いかにも書評らしい書評」が好きではなく、「その本が読む価値があるなら、そのことだけを手っ取り早く伝えてくれ。評価は自分で下すから、余計な先入観を与えないようにしてくれ」と考えるため、書評子にできる最大のことは、「店頭で本を手にとってみるきっかけ」作りをすることだと述べています。そのため、著者が書評に詰め込むのは、「その本に読む価値があるか否か。読む価値があるとして、どの点においてあるのか」という有効情報を圧縮したものであり、要約と引用によって本自体に語らせるスタイルをとるため、「書く労力の何倍もの労力が、セレクションの過程と、要約・引用抜き出しの過程にかけられている」と述べています。
 この、要約の技術は、著者が文藝春秋社時代に、恐い上司から、「よし、お前、その本がどういう本か、三分間でいってみろ」と要約させられ、できないと言うと、「バカヤロー! お前、どんな本だって、それがどういう本か三分(あるいは五分)あればいえるもんだ。フルに要約しなくても、どういう本かそのエッセンスのポイントくらいはいえるもんだ。それがいえないんなら、お前がバカか、その本の著者がバカかのどちらかだ」(結局、バカが書いた本を選んだお前がバカだ、と言われそうですが)と罵倒され、しごかれた体験を語っています。
 本書のポイントは、「驚異の速読術」の部分です。
 あるパーティで「愛読者」という人から、「あれ、本当にちゃんと全部読んでるんですか?」と聞かれたことに触れ、セレクションにかける前に取り上げる本の三倍以上買ってくること、ダメだと思う本は3分の1も読まないうちに振り落とすこと、等を述べ、「本の中には、もともと、著者の方でも、全文通読を期待していないし、必要性からいっても全文通読が必要でない(必要なところを拾い読みするだけで充分な)本というのは、沢山ある」と述べています。
 速読の対象となる本は限られます。「速読が可能でかつ速読した方が得なのは、読むこと自体を楽しむ本ではなく、情報が沢山つまった、多少専門的な内容の本で、書かれている情報の読み取りそのものを目的とする参考資料のたぐい」です。一方で、趣味性が高い内容をもった本、読むこと自体を楽しもうという本は、本質的にタイムコンシューミングにできているので、速読には適さないとしています。
 そして、「書物の内容はキーワードプラス記号でチャート化することによって視覚化することが可能」であり、実際にチャートを作らなくても、頭の中に本の全体構造をチャート化しながら読むことが大事であることが述べられています。
 また、網膜の周辺視野を担当している桿体細胞を使って一度にサーッと目を走らせておくことで本の流れをつかむことができるとしています。
 著者はこのような読み方を、「音楽的な読みから、絵画的な読みへの転換」と表し、両者を
・音楽的:文字というシグナルを時系列的に追うことで初めて意味把握が可能。
・絵画的:全体像を常に見すえながら、読みの深さ、読みのテンポを自在に変えていく。
のように比較しています。そのための具体的な手順としては、
・はしがきとあとがきをしっかり読む。
・目次を構造的にしっかり把握する。
・パラパラと小見出しの柱をある程度つかむ。
という手順を踏むことで、その本に読む価値があるかどうかを判断していることが述べられています。
 著者は、この世界に、「初めから逐次読みをしていたら一生かかっても絶対に読みきれないどころか、数百年かかっても読みきれないことが明らかなほどの量がある」書物の中から、「本当にじっくり読むべき価値ある本に出会」うために、速読を重ねていくべきであり、「『じっくり読み』の価値がない本までじっくり読むことは、時間と脳のキャパシティを無益に浪費すること以外の何物でもない」と断言しています。
 そして速読のコツとして、パラグラフ単位で飛ばし読みをして強引に目を通してしまうことを挙げ、本は必ずしも、はじめから終わりまで全部読む必要はない、ことを主張しています。
 本書は、フォトリーディングのようなテクニックではなく、本を選び、本当にじっくり読むべき本に出会うために、セレクションを中心にした「大量読書術」として、本を読む時間がない、という人にもお奨めの一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書の冒頭の序章は、著者の読書術というか「本をセレクションする技術」についてのものですが、本文は連載記事の収録です。5年~10年ほど前の本ですが、いまからでも読んでみたい本が沢山紹介されています。早速図書館の検索エンジンで在庫状況を確認して、「借りる本リスト」に追加しました。
・エリザベス・クレア・プロフェット『イエスの失われた十七年』
・山本 弘『トンデモノストラダムス本の世界』
・ポーラ・アンダーウッド『一万年の旅路』
・高山 文彦『霞が関影の権力者たち』
・田中 聡『健康法と癒しの社会史』
・王 永寛『酷刑』
・カール・シファキス『詐欺とペテンの大百科』
・松原 岩五郎『最暗黒の東京』
・プーラン・デヴィ『女盗賊プーラン』
・マルタン・モネスティエ『図説死刑全書』
・マルタン・モネスティエ『図説自殺全書』
・紀田 順一郎『東京の下層社会』
・西原 克成『内臓が生みだす心』
・V.S.ラマチャンドラン『脳のなかの幽霊』
・春名 幹男『秘密のファイル』
・中村 禎里『胞衣の生命』
・大泉 実成『麻原彰晃を信じる人びと』
 そのうち、「百夜百冊」に追加されると思います。


■ どんな人にオススメ?

・いい本にめぐり会いたいと思っている人。


■ 関連しそうな本

 モーティマー・J. アドラー, C.V. ドーレン (著), 外山 滋比古, 槇 未知子 (翻訳) 『本を読む本』 2006年07月02日
 ポール・R・シーリィ (著), 神田 昌典 (翻訳) 『あなたもいままでの10倍速く本が読める』 2006年01月15日
 松山 真之助 『マインドマップ読書術―自分ブランドを高め、人生の可能性を広げるノウハウ』 2005年05月01日
 ウィン・ウェンガー , リチャード・ポー (著), 田中 孝顕 『頭脳の果て』
 立花 隆 『ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論』
 立花 隆 『「知」のソフトウェア』


■ 百夜百音

ボ&ガンボ【ボ&ガンボ】 BO GUMBOS オリジナル盤発売: 1989

 暑い日が続きますが、こんな時にはねばねばしたオクラです。胡瓜、茄子、生姜、茗荷、紫蘇を刻んだ山形名物「だし」に刻んだオクラを入れて暑い夏を乗り切りましょう。
 で、このオクラは「オクラホマ」に由来していますが、アメリカでは「ガンボ」と呼ぶそうです。


『ゴー』ゴー

投稿者 tozaki : 2006年07月16日 23:00

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