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2006年07月29日
ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論
■ 書籍情報
【ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論】
立花 隆
価格: ¥1529 (税込)
文藝春秋(1995/12)
本書は、『週刊文春』に「私の読書日記」の書き手として書評を連載している著者が、自らの本の読み方、特に仕事で必要となる本を、どのように集め、どのように読んでいるか、そしてどのように収蔵しているか(ビル建てちゃうんですが)について語っているものです。
著者は、最先端の研究者にインタビューすることの難しさとして、質問の内容がお粗末だと、その問題についての基礎知識を持っていないことが見抜かれてしまい、時間の無駄だからといい加減な答えしかもらえないことを挙げ、インタビューに行くときにはその人の書いたものをほぼ全部(科学者の場合は英語の論文も)読んでからインタビューをしていることを語っています。そのため、著者は自分の生活を、「取材、あるいは執筆のために、朝から晩まで資料を読み、勉強をしているというのが僕の生活」であると述べています。
著者は、本を書くという仕事におけるインプットとアウトプットの比率に関して、一冊の本を書くのに大型の書棚1個半、約500冊の本を読んでいる例を挙げ、少なくとも100:1くらいの割合であるとして、その源を、自分が本来的に持っている「知りたい」という欲求にあると述べています。著者は人間の行動を、「オートマトン」(ある入力に対して特定の出力を返す構造)の部分と、自動化されていない意識化された行動の部分とに分け、前者に満足せず、後者の部分にいかに振り向けるかによって、永遠に内面的に成長を遂げていくことができる人間になれる、「人間としてより良く生きるということ」なのだろうと述べています。
本書のメインテーマである読書論に関しては、読書を、
・読書それ自体が目的である読書
・読書が何らかの手段である読書
の2つに分け、これまでの読書論は前者、すなわち文学や教養書の読み方を論じるものが一般的であったとした上で、著者は前者の読書の対象である文学書が売れなくなった理由として、ノンフィクションや専門書などで扱われる現実の方が面白い社会になったこと、前者の読書が映像メディアと一番競合する部分であること等を挙げています。
著者の本の選び方は、まず関係書の中から入門書的なものを抜き出し、前書き、あとがき、目次、奥付を必ずチェックし、教科書的入門書と一般向け入門書、そしてその分野の古典的入門書の他、助教授クラスまでの若い学者による入門書をおさえておくべきことが述べられています。そして、「一冊の入門書を精読するより、五冊の入門書を飛ばし読みした方がよい」という読み方で片っ端から片付けていくことで、たいていの学問は1ヶ月でその概要を頭に入れることができると語っています。
また、著者の書斎論に関しては、若い頃の一間暮らしのスペースを独占していたリンゴ箱を積み上げた本棚を、著者の好みの書斎の条件である、「(1)外界から隔絶された、(2)狭い、(3)機能的に構成された、空間」を充たすものとして紹介しています。しかし、木造アパートの壁に本の重さで亀裂が入るとマンションに引っ越し、そこでも本の重みで床を抜いてしまいます。コンクリート打ちっぱなしのマンションを見つけ出した著者は、床をH鋼で補強し、専門業者に移動式書架をすえつけます(書架本体と合わせて10トンを超えるという本を持ち込んじゃうのはどうかと思います。)。ついには、書庫兼仕事場として、十坪ほどの土地に、地上3階、地下1階のビルを建ててしまいます。著者は自分の人生を、「資料の購入とその置き場の確保に稼ぎのほとんどをつぎ込んできたのではないか」とふり返っています。
本書の後半は、92年夏からの「私の読書日記」を収録したものです。10年以上前であり、かつ新刊本が中心なので、今から読むのはどうかという本も多くありましたが、面白そうだったのは、
『公安警察スパイ養成所』
『超官僚』
『寄生虫館物語』
『フーヴァー長官のファイル』
『おなら考』
『エミシとは何か』
『言葉のない世界に生きた男』
『稀書自慢紙の極楽』
『ブックライフ自由自在』
などです。そのうち読んでみたいと思います。
立花流読書論としては、本書の続編にあたる『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』の方が体系的な内容になっていますが、ついにはビル(「猫ビル」と呼ばれてます)まで建ててしまった増え続ける本との格闘を綴った本書は、本のスペース不足に悩む日本全国の本読みにとって他人事ではない内容なのではないかと思います。
■ 個人的な視点から
本書の中に、木造アパートの床が本の重みで抜けそうになった話が出ていましたが、昨年1月には尼崎市でアパートの2階に溜め込んだ数千本のビデオと書籍の重み(家具含めて8トン超)によって床が抜け、階下の住人が圧死するという惨事が起きています。また、同年2月には、56歳の地方公務員(埼玉県S市役所勤務、当時の報道では被害者として氏名や丁目までの住所も公表されています)が20年間溜め込んだ雑誌の重みで床が抜け、生き埋めになって救助されるという事件がおきています。この際、所蔵していた大量の雑誌が付近の道路まで流出し、その中にはエロビデオや盗撮写真もあったことがこの事件の悲惨さを物語っています。
本を溜め込む際には床の強度に気を配りましょう。
■ どんな人にオススメ?
・本の置き場所に困っている人。
■ 関連しそうな本
立花 隆 『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』 2006年07月16日
加藤 周一 『読書術』 2006年07月23日
モーティマー・J. アドラー, C.V. ドーレン (著), 外山 滋比古, 槇 未知子 (翻訳) 『本を読む本』 2006年07月02日
ポール・R・シーリィ (著), 神田 昌典 (翻訳) 『あなたもいままでの10倍速く本が読める』 2006年01月15日
松山 真之助 『マインドマップ読書術―自分ブランドを高め、人生の可能性を広げるノウハウ』 2005年05月01日
立花 隆 『「知」のソフトウェア』
■ 百夜百音
【Don't Look Back】 Boston オリジナル盤発売: 1978
トム・ショルツ博士の伝説のサウンドに惹かれた多くのギター小僧が自分でエフェクターを作ろうと試みました。
凝ってくると、何とか内蔵してやろうとやってみるのですが、結局足元に普通のエフェクターが置いてあるほうが便利だということに気付きました。
投稿者 tozaki : 2006年07月29日 14:00
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コメント
はじめまして!こんにちは!
内容がとても興味深かったので、トラックバックさせていただきますm(__)m
投稿者 涼微 : 2007年01月24日 16:39
