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2006年08月22日
マンガに教わる仕事学
■ 書籍情報
梅崎 修
価格: ¥735 (税込)
筑摩書房(2006/03)
本書は、仕事をテーマにしたマンガを「素材」として取り上げ、そこに描かれている、「職場に生まれる願望、苦しみ、喜び、誇り、後悔」などの等身大の経験を読み解き、仕事学を語っているものです。著者は、本書を書くにあたって、
(1)マンガの中の職場
(2)現役社会人たちのさまざまな職場
(3)自分自身の職場
の3つを想像しながら、「主人公たちの仕事経験の一つ一つを丁寧に読み解」いてきたと述べています。
本書の構成は、おおむね仕事人生の段階順に並べられています。
第1章「自分の仕事を探している若者に読んで欲しいマンガ」では、「自分らしさにこだわり、自分探しが強迫観念になっている」主人公が、他人の仕事をうらやみ、自分中心の発想から逃れられずに苦しむ『SHOP自分』、嫌でも地元と一緒に生きていかなければならない信用金庫の仕事の中に、街の人から必要とされる喜びを見出す『まいど!南大阪信用金庫』、水浸しの土間の中を駆け回るのでアヒルと呼ばれる「追い回し」の仕事の厳しさを伝える『味いちもんめ』、「責任を果たし終えた後の気持ちよさを味わおうじゃねえか」と仕事の楽しさを叫ぶ『サラリーマン金太郎』などが紹介されています。
第2章「会社の現実にぶつかったら読みたいマンガ」では、会社の昇進競争から閉ざされているがゆえに、人間関係のしがらみを上手に利用できるOLたちを描いた『OL進化論』、ていのよい経営側の責任転嫁でしかない「教育の自己責任時代」の逆を行く、「仕事をしながら学び、からだで覚えていく」身近な教師の大切さを教えてくれる『壁ぎわ税務官』、失敗体験を活かす"学ぶ能力"の高さが魅力の『なぜか笑介』等が紹介されています。
第3章「会社の人間関係が複雑になってきたら読みたいマンガ」では、"洞察力を持った優しさ"と"機転がともなう度胸"を兼ね備えた上司としての魅力が光る『怪傑!!トド課長』、「派閥ってもんは入るもんじゃない。自分で作るもんだよ」と、一人ひとりがライバルになるホストの世界で生きる『六本木不死鳥ホスト伝説 ギラギラ』、トラブルがあっても慌てず、機転を利かせて周囲をリラックスさせ、活気ある職場をつくるリーダーらしくない理想のリーダーシップを見せてくれる『総務部総務課 山口六平太』、自分の弱みを素直に見せ、他人からバカにされても気にしない、会社全体のためにバカになれる『取締役 平並次郎』等が紹介されています。中でも、「気持ちよくみんなに働いてもらうことが厚生課の仕事だからね」というトド課長のセリフは、成績の上がらない部下の自殺という過去を抱えているからこその重みがあります。
第4章「会社以外の生活を考えるために読みたいマンガ」では、「自分の家庭を充実させるには、住居と職場を選び、同僚と密接な人間関係をつくる必要が」あり、何よりもよい夫婦関係が重要であることを教えてくれる『クッキングパパ』、仕事と仕事の隙間に楽しみを見つけられる、負けをつくらない楽しい職場を見せる『タンマ君』等が紹介されています。
第5章「仕事人生を振り返るときに読みたいマンガ」では、「中高年真っ只中の団塊の世代(男に限る)の願望が投影された理想のサラリーマン」像のなかに、残された人生の短さに対する諦観が混じる『部長 島耕作』、「やっているときは気付かなかったけど、あの仕事はいい仕事だ、ユーリー、フィー、愛、もう5年ほどしたら帰る。そしたらまた仲間に入れてくれ」というセリフから人生の小さな発見が見える『プラネテス』、「大学教授になれたんじゃなくて、大学教授にしかなれなかった」という(確かに他の仕事は無理そうです)『天才柳沢教授の生活』、生来の不恰好さ、凸凹をうまく活かして一人前の落語家になる姿を描く『寄席芸人伝』等が紹介されています。
本書は、ビジネスマンガを、一時の気を紛らわすおとぎ話として読むのではなく、そこに人生の機微を読み取るか、という楽しみ方を教えてくれる一冊です。
■ 個人的な視点から
本書を生み出す母体になったのは、「オリジナル・ワーキング・ライフ
■ どんな人にオススメ?
・ビジネスマンガを夢物語と思っている人。
■ 関連しそうな本
日本経済新聞社 (編) 『働くということ』 2005年02月24日
田尾 雅夫 『会社人間はどこへいく―逆風下の日本的経営のなかで』 2005年02月27日
金井 壽宏 『働くひとのためのキャリア・デザイン』 2005年01月30日
佐藤 博樹 『変わる働き方とキャリア・デザイン』 2006年05月22日
玄田 有史 『仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在 中公文庫』 2005年07月20日
本田 由紀 『若者と仕事―「学校経由の就職」を超えて』 2006年03月02日
■ 百夜百マンガ
10年ほど前にテレビドラマになったので見覚えのある人もいるのではないでしょうか。最近は少なくなった下町人情ものです。
投稿者 tozaki : 2006年08月22日 07:00
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