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2006年08月26日

寄生虫館物語―可愛く奇妙な虫たちの暮らし

■ 書籍情報

寄生虫館物語―可愛く奇妙な虫たちの暮らし   【寄生虫館物語―可愛く奇妙な虫たちの暮らし】

  亀谷 了
  価格: ¥550 (税込)
  文藝春秋(2001/02)

 本書は、寄生虫を愛し、寄生虫と戦い続けてきた、目黒寄生虫館の館長による寄生虫トリビアが満載のエッセイです。
 著者は、「2種類の動物が相互に害することなく共同生活をする」共生生活を、
(1)双利共生:お互いが相手の存在で利益を受ける(ヤドカリイソギンチャクなど)
(2)片利共生:一方は利益を受けるが、もう一方は何の利益も受けない(カクレクマノミとイソギンチャク、コバンザメとサメなど)
の2種類あるとして解説し、一方で、「寄生生活」とは、「2種類の動物が共に生活しているが、一方は他方にすっかりよりかかり、職も住もまかせきりにしてしまい、何も宿主(寄生する動物)にお返しをしない」ものであり、このような生活をしている動物を「寄生虫」と呼ぶと述べています。著者は、一般にイメージされる「宿主に悪影響を与え、ときには命さえ奪う」という考えを否定し、「宿主が死ねば寄生虫自身も死んでしまう」ため、「基本的には寄生虫がいたとしても、宿主は決して迷惑をしない」と述べています。
 寄生虫館の目玉は何と言っても、8.8メートルのサナダムシの標本です。しかし、この虫がいたとしても、「患者は無視の存在がわかるほどの苦痛は感じない」ものであり、写真の虫がお腹にいた男性にも自覚症状がなかったと述べられています。また、女子高生のお腹の中に、合計8匹、45メートルものサナダムシがいた例も紹介されています。このページには、『東京女子高制服図鑑』の森伸之氏のイラスト入りです。
 寄生虫は、同じ宿主に対する過剰寄生によって共倒れすることを防ぐために(宿主を独り占めするために)、宿主に抗体を作らせて他の寄生虫の感染を拒否させているという説が紹介されています。
 著者は、「正しい終宿主にたどりついた寄生虫は悪いことはしない」というのは、寄生虫学の常識であり、寄生虫が怖いのは、「本来のルールからはずれて寄生虫が寄生する」、「迷入(マイグレーション)」によるものだと述べ、この場合には、「まちがって入ったことを自分でも腹立たしく思ってか、寄生した生物に害をなす場合がある」のだと述べています。
 また、寄生虫の持つ能力として、「自然界の食物連鎖に積極的にわりこむ能力」を挙げています。レウコクトリディウムという寄生虫は、「終宿主にたどりつくために、自分を食べてもらおうと、自分でアピールする」積極性をもっています。カタツムリの親戚であるオカモノアラガイを中間宿主に、スズメなどを終宿主に持つレウコクロリディウムは、オカモノアラガイに入ると、赤と緑の縞模様になり、その触角(カタツムリのツノの部分)に入り込むと毛虫のように動き回ります。これを見たスズメは、好物の毛虫と間違えて、オカモノアラガイの目をかじり取り、体内に寄生虫を抱え込んでしまうのです。
 この他本書には、カニに寄生した上、去勢してしまうフクロムシの寄生メカニズムや、5歳の少女の口から吐き出されたハリガネムシ、エジプトのミイラの中から発見されたエジプト住吸血虫、1958年にレース途中の競走馬「ワカコドラ」の腹の中でパンクした40匹の大条虫等が紹介されています。
 本書の第7章には、タイトルである寄生虫館の歴史が紹介されています。終戦後、奉天から引き上げ、診療所を開業した著者は、目黒の50坪の土地のバラックに住んでいた老婦人を往診した際に、千葉の300坪の土地と交換する機会に恵まれます。こうして寄生虫館の建設予定とを入手した著者は、15坪の3間のバラックからスタートし、標本を集め、古道具屋の主人から寄生虫の説明用の掛け軸を貰い受け、「あるときばらいの催促なし」の約束で立派な建物を建ててもらい、寄生虫館を成長させていく様子は、「現代のわらしべ長者」のようです。
 本書は、寄生虫の雑学読み物としてはもちろん、寄生虫に生涯をかけた著者の熱意とそれを意気に感じた周囲の人々の心温まる物語としてもお奨めの一冊です。


■ 個人的な視点から

 数年前に、目黒寄生虫館がデートスポットとして人気になったことがあります。お土産に数々の寄生虫のイラストの入ったTシャツを買いましたが、さすがにその後のお昼御飯には麺類は食べなかったと記憶しています。


■ どんな人にオススメ?

・うどんの映画と組み合わせてデートコースにしたい人。


■ 関連しそうな本

 亀谷 了 『おはよう寄生虫さん―世にも不思議な生きものの話』
 藤田 紘一郎 『笑うカイチュウ―寄生虫博士奮闘記』
 藤田 紘一郎 『踊る腹のムシ―グルメブームの落とし穴』
 藤田 紘一郎 『パラサイトの教え』
 藤田 紘一郎 『謎の感染症が人類を襲う』


■ 百夜百音

帰って来たヨッパライ【帰って来たヨッパライ】 フォーク・クルセダーズ オリジナル盤発売: 1968

 エンディングのお経の部分がビートルズの「A Hard Days Night」であることに今日初めて気づきました。
 テープスピードを半分に落として歌う大変さは「はじめてのチュウ」のあんしんパパによれば、お経みたいなスピードで歌うためにスタッフがみんな眠りに堕ちてしまうところにあるそうです。その意味では、メインの歌も実際にはお経状態で歌われていたことが想像されます。


『イムジン河』イムジン河

投稿者 tozaki : 2006年08月26日 11:00

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