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2006年10月26日
マスコミ対応緊急マニュアル―広報活動のプロフェッショナル
■ 書籍情報
【マスコミ対応緊急マニュアル―広報活動のプロフェッショナル】
石川 慶子
価格: ¥2625 (税込)
ダイヤモンド社(2004/09)
本書は、企業向けサービスとしての記者会見やインタビューの仕込みを数多く手がけてきた著者が、「対マスコミ(+世論)という切り口に徹底的にこだわって、コミュニケーションテクニックを書き起こし」たものです。著者は、通常のコミュニケーションよりもマスコミ対応が複雑である理由として、「記者の背後に世論という大衆が加わるために、通常のコミュニケーションテクニックだけでは乗り切れない難しさがある」と述べています。
序章「なぜ緊急時のマスコミ対応が重要なのか」では、マスコミ対応の失敗例として、
(1)事故が起きたにもかかわらず、なかなか記者会見を開かなかった。
(2)情報を十分公開しなかった。
(3)記者の質問に対し、誤解を招く表現で混乱させたり、横柄な態度で対応したりした。
(4)メモを見て読み上げるだけで形式的なコメントしかしなかった。
等を挙げています。また、記者会見を、「会社の公式見解を述べ、マスコミを通じて世論への理解を求める場」と定義し、「トップ不在の記者会見は荒れる」と述べています。
第1章「基本的なマスコミ対応」では、
・テレビのコメントは「8秒」以内
・記者が取り上げたくなるキーワード:「弱者救済、弱者のがんばり、女性、チャレンジ、新市場開拓、改革、コスト削減、雇用創出、未来志向、困難に立ち向かう、倫理、ボランティア、地域性、市民生活、大衆」
・まだ決まっていないことについては、具体的に回答してはいけない
・一人で取材対応しない
等の原則を解説しています。
第2章「緊急時のマスコミ対応」では、
・緊急記者会見では、「社長はいつ知りましたか」「その時社長はどこにいましたか」「最初に何を指示しましたか」が必ず質問される。
・スクープ記事とされてしまわないために個別対応はせず迅速に自社のホームページにコメントを掲載する。
・マスコミが殺到した時には、情報があってもなくても、トップがいようがいまいが、「何時に記者会見を行います」と言って対応すべき。
・緊急時には、電話取材は原則として対応せず、記者会見に来てもらう。
などの原則の他、「記者を怒らせるNGワード」として、
・知らなかった、部下がやった→「監督が行き届きませんでした」
・法的には問題がない、法律は守っている→法律で定められている以上の、自発的な努力
・みんなやっている→まずは自分自身の行いを反省
・たいしたことではない→相手が「たいしたことがない」と感じられるような基準を示す。
などが挙げられています。
また、緊急記者会見の開き方のポイントとして、
・ドアが2箇所以上ある場所で行う→ぶら下がりを防ぐ
・スポークスパーソンのテーブルと記者のテーブルを離す
・会見時間を区切ってはいけない
・頭を下げる時は、横からの撮影を意識し、手をつかず、スーツのボタンをかける。
等の具体的なポイントを示しています。
第3章「マスコミ対応・テクニック篇」では、
・第一印象を良くする「良い姿勢」
・嘘は手や脚の動きに出る:ペンをいじる、書類を丸める、足を組む、等
・仮定の質問には、「そのときになったら考えます」が模範解答
等のテクニックの他、NGワードとして、
・ノーコメント
・記事にしてほしい
・記事にしないでほしい
・オフレコだ
・原稿を事前に見せてほしい
を挙げています。
著者は、マスコミ対応のトレーニングの必要性を、本番では、「撮影用の強い光のライトを照らされるだけで緊張は高まり、汗は噴出し、記者の表情は捉えられず、絶えず歩き回るカメラマンやシャッター音に木をとられ、思わず失言をしてしまう」ためであると述べ、そのメディア・トレーニングの目的を、
(1)記者からの辛辣な質問や誘導尋問に慣れ、どんな質問にも的確に答えられるような能力を身につけること。
(2)記者の背後にいる読者・視聴者・自社のステークホルダー(利害関係者)・世論に的確なメッセージを発信できるようにすること。
(3)記者から理解され、さらに信頼・好感をもたれること。
であるとまとめています。
本書は、マスコミ対応を担当する広報部門はもちろん、人事など個別に取材の入ることが多い部署の管理職や報道担当者にはぜひ一読いただきたい一冊です。
■ 個人的な視点から
本書を読むと、失言など、マスコミから袋叩きにされた企業が、どこで対応を誤ったのかを理解することができます。
例えば、よく企業のマスコミ対応の悪い見本とされている雪印事件の場合、有名な「私は寝てないんだ」等のように、自分が被害者であるかのような無責任な発言が倫理的な面から非難されていましたが、マスコミ対応の態度としても言ってはいけないNGワードであったことがわかります。また、「工場長どうなんだ」のようなトップに情報を集めていない点などもNGです。さらに、記者会見後に、エレベータ前で記者に揉みくちゃにされるされるようなセッティングのまずさがなければ、「私は寝てないんだ」のような発言を口にしてしまうことはなかったかもしれません。
■ どんな人にオススメ?
・記者会見や取材に追われる可能性のある人。
■ 関連しそうな本
ポール・A. アージェンティ, ジャニス フォーマン (著), 矢野 充彦 (翻訳) 『コーポレート・コミュニケーションの時代』 2006年10月23日
矢島 尚 『好かれる方法 戦略的PRの発想』 2006年10月25日
五十嵐 寛 『実践マニュアル 広報担当の仕事 すぐ役立つ100のテクニック』
ロナルド・J・オルソップ 『レピュテーション・マネジメント』
猪狩 誠也, 剣持 隆, 城 義紀, 上野 征洋, 清水 正道 『コーポレート・コミュニケーション戦略―経営変革に向けて』
世耕 弘成 『プロフェッショナル広報戦略』 2006年09月22日
■ 百夜百マンガ
ODAの実態が、国内にはあらかた道路も橋も農業用水も作ってしまったゼネコンに、金を還流するしくみであることを教えてくれます。
投稿者 tozaki : 2006年10月26日 07:00
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