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2007年03月18日

新説 東京地下要塞 ― 隠された巨大地下ネットワークの真実

■ 書籍情報

新説 東京地下要塞 ― 隠された巨大地下ネットワークの真実   【新説 東京地下要塞 ― 隠された巨大地下ネットワークの真実】(#787)

  秋庭 俊
  価格: ¥1470 (税込)
  講談社(2006/6/16)

 本書は、東京の地下の闇(比喩的表現でなく本物の地下道)の謎を追う著者が、
・東京に初めて極秘の地下鉄が敷かれたのは、いつごろだったのだろうか。
・その地下鉄を建設したのは、どこの会社だったのだろうか。
という2つの謎を追ったものです。
 第1章「サンシャインシティの地下施設」では、地下駐車場3階にある野球グラウンド3つ分の巨大空間に迫り、「巣鴨拘置所の下には巨大な地下建築があったのだ」と推測し、「地下建築の解体、処理などの費用を国家予算でまかなうため」に拘置所の移転が閣議決定されたのではないかと述べています。著者は、サンシャインシティ地下の知られざる地下4階に通じるエレベーターを発見し、「池袋地域冷暖房株式会社中央監視司令室」という看板を発見するとともに、ここには豊島変電所と呼ばれる極秘の変電所が存在していると述べています。
 第2章「足元に広がる洞道」では、郵便洞道やNTT洞道、新宿やサンシャインなどの地域冷暖房用の洞道について、「戦前、陸軍が多くの地下道を有していて、戦後、各省庁に引き継がれたものの、そのルートは地上の道路とは無関係に延びていて、軍事上はそれが有効だったのだろうが、どこに行き着くのかわからないような地下道」ということが、「想像される」と述べています。そして、この洞道が建設されたのは、戦前、それも都電も走っていない頃、明治時代半ばの市区改正まで遡ることができると述べています。著者は、観音崎と富津の砲台周辺に武器弾薬を輸送するための地下道が縦横に走っていることを例に、護国寺そばの「坂下通り」に着目し、『日本築城史』を参考に、この近辺に偽装が施された砲台があったのではないかと述べています。そして、近くの開運坂から講道館のある後楽園まで柔道の先生が地下道を通って通っていた、と語る女性に出会っています。著者は、「東京の地下を調べはじめてそろそろ5年になるが、戦前の地下道を見たという人に会ったことがなかった」とその感激を語っています。
 第4章「都営浅草線の真実」では、東京に2種類の地下鉄がある理由を追っています。著者はこの背景に、山県有朋と立憲政友会との死闘が存在していたのではないかと推測し、戦後に岸首相が政権に着くと、私鉄が極秘に建設していたトンネルは「P線」という制度で私鉄に返却され、東京市が極秘に建設したトンネルは「都営地下鉄」として決めたのではないかと述べています。
 第5章「新宿・都営軌道」では、1919年に内務省東京市内外交通委員会が発表した「新宿・葵線」について、小田急電鉄が提出した路線図に着目し、この四ッ谷駅の書かれている場所が、現在の丸の内線の四ッ谷駅の場所であることは、ただの机上のプランであるならば、わざわざJRの駅から外れたところにするとは思えないと述べ、「地下鉄の四ッ谷駅を実際に建設する段階まで進んでいない限り、こんなところに駅を書くことはないはずである」と指摘しています。
 第6章「天下を掌握したのは誰か」では、東京に初めて極秘地下鉄が敷かれた時期と場所を、「1903(明治36)年の日比谷-数寄屋橋間」と述べています。そして、江戸期に作られた多くの上水の地下道には、「水が張られ、船が行き来していたのだと思う」と述べ、地下上水の大拠点が、「東京プリンスホテル付近と、神田駿河台の中央、皇居前から二重橋あたりと、東京駅八重洲口から日本橋にかけて」に存在していたと述べています。
 第7章「先に地下があった」では、三菱に払い下げられた丸の内の陸軍跡地が、開発されないまま放置され、三菱の二代目である岩崎弥之助が、「竹でも植えて虎でも飼うさ」と語ったという言葉を、「竹」は竹橋、「虎」は虎ノ門を表し、この間、皇居の中庭を貫通した地下道を示した、三菱の総力が結集された弥之助一世一代の名ゼリフだと「聞いても私は驚かない」(!)と述べています。
 本書は、同じ著者による帝都地下シリーズの最新刊として、地下マニアにはたまらない一冊ではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 本書のラストには、GHQの作った地図から著者が見つけ出した秘密の暗号が紹介されています。それは、東京市が敷設した極秘地下鉄は、新宿御苑、飯田橋、不忍池、清水観音堂など、アルファベットの「Shi」のつく地名が一直線に並んでいること、京急の祖・雨宮が認可を得た付近には、牛込見附、新見附、市ヶ谷見附などアルファベットの「Ke」が並んでいることなどです。さすがにここまでくると矢追系が露骨になってきますが、戦前の地図を現在と比較しながら追うこと自体はおもしろいです。


■ どんな人にオススメ?

・地下鉄はどこから電車が入るのかを考えると眠れなくなっちゃう人。


■ 関連しそうな本

 秋庭 俊 『帝都東京・隠された地下網の秘密』 2006年10月4日
 秋庭 俊 『帝都東京・隠された地下網の秘密〈2〉地下の誕生から「1‐8計画」まで』
 秋庭 俊 『帝都東京・地下の謎86』
 秋庭 俊 『写真と地図で読む!帝都東京・地下の謎』


■ 百夜百音

Love 2000【Love 2000】 hitomi オリジナル盤発売: 2000

 「どこからやってくるのか」が気がかりなのは地下鉄だけではありません。高橋直子選手が聞いていたことでも有名。
 シャンソンの名曲をカバーしていますが、作詞作曲のシャルル・アズナヴールはシャア・アズナブルのネタ元としても知られています。

『シャルル・アズナブール』シャルル・アズナブール


投稿者 tozaki : 2007年03月18日 06:00

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