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2007年07月07日

図解 アメリカ発明史―ふしぎで楽しい特許の歴史

■ 書籍情報

図解 アメリカ発明史―ふしぎで楽しい特許の歴史   【図解 アメリカ発明史―ふしぎで楽しい特許の歴史】(#898)

  スティーヴン・ヴァン ダルケン (著), 松浦 俊輔 (翻訳)
  価格: ¥2730 (税込)
  青土社(2006/10)

 本書は、「特許という巨大で活気に満ちた世界と、その特許がアメリカの夢(アメリカン・ドリーム)を生み出す助けになった様を見ていく」ものです。
 第1章「ねんねんおころり、おころりよ」では、バービー人形とGIジョーが取り上げられ、バービー人形のキャラクターが元々、「ドイツの新聞『ビルト=ツァイトゥング』紙に登場したリリーというマンガの登場人物」であり、1955年にこのキャラクターにもとづいた人形が発売されたが、ドイツではあまり売れなかったものを、マッテル社を創設したルース・ハンドラーが外見に関する著作権を買い取り、1959年にアメリカ玩具博覧会で発表し、「この業界のバイヤーからは懐疑的な目を向けられたが、間もなく大衆はもっと欲しいと大騒ぎになった」ことが述べられています。なお、ルースの娘の名が「バーバラ」で、ルースの弟が「ケン」でしたが、本人たちには必ずしも歓迎されず、バーバラは「バービー人形でいるのにはうんざりです」と語り、ケンは「私は本当にバービーが好きではありません――あれはふしだらです」と語っていることが紹介されています。
 第2章「遊びせんとや……」では、空飛ぶ円盤フリスビーについて、その由来が、1920年に、「イェール大学のある学生が、コネチカット州ブリッジポートのフリスビー製パン社のパイ用ブリキ容器を投げて遊んだこと」まで遡ることが述べられています。そして、なぜ「回転する円盤型の翼」があのように飛ぶのかについて、
(1)大気
(2)最初に投げたときの力
(3)回転
(4)中空の側を下に向けて回転させること
の4点が必要になると述べています。
 第3章「スポーツのある暮らし」では、野球のグラブを始めて使ったのが、1875年にセントルイスのチャールズ・ウェイトであると考えられており、「初めてベージュのグラブを着けて守備につくと、ファンは(さらには味方の選手まで)意気地なしといった」ことが述べられています。しかし、その少し後に、有名で尊敬もされていたアルバート・スポルディングが黒い山羊の皮のグラブ(今のミットというよりは、ゴルフ用のグラブに近かった)を着け始めたときから、「グラブを着けるという考えは、他の選手にも取り入れられた」ことが述べられています。
 また、ジェームズ・ネースミスというカナダ人が、マサチューセッツ州スプリングフィールドのYMCA職業訓練校で働いていたときに、「フットボールのシーズンが終わり、野球のシーズンが始まるまでの冬の間に、学生が屋内でできるスポーツをやらせてくれないか」と頼まれ、フットボール、サッカー、ラクロスを屋内でやらせてみたが、「それぞれ手足の骨が折れ、窓ガラスが割れ、道具が壊れた」ことが述べられています。そして、ネースミスは、「固い床の上ではプレーヤーどうしの接触が問題になるので、接触しないようにしなければならない。接触はタックルによるもので、走るからタックルも行われるのだから、走らないようにする。ボールは蹴るよりは投げる方が穏やかで、とくに上に投げれば緩くなるから、高い箱に投げ込むようにしよう」と考えたことから、床から3メートル少しのところに桃を入れるかご(バスケット)が釘で留められ、当初はサッカーボールが用いられたことが解説されています。
 第4章「ザッツ・エンタテインメント」では、1931年、ウォルト・ディズニーがウィルフレッド・ジャクソンとウィリアム・ギャリティとともに、「映像と同期する方法と装置」を出願し、その特許書類の中には、ピアノを弾いているミッキーマウスが登場していることが紹介されています。
 第5章「お家がいちばん」では、「家庭用の簡単お掃除道具の最たるもの」として、1980年にオレゴン州ニューバーグのフランシス・ベートソンによって出願された「自動清掃建造物」を取り上げ、「維持管理のしやすさを特徴とする」この建物が、「なぜ生活の半分を家の掃除で無駄に過ごさなければならないのか」という疑問に端を発したもので、天井に撒水装置が吊るされ、床面には部屋を乾かすための「ベースボード装置」があり、各部屋には1メートル当たり4ミリほどの排水のための傾きがあることが解説されています。ただし、問題点として、「お金、小切手帳などの紙類が残っていてだめになってしまわないように、それらを片付けておくこと、電気機器がショートしないようにしておくこと、水道代や防水にかかる費用に慣れなければならないところ」が挙げられています。発明者であるベートソンの自宅は、「大事なものはガラスの下におかれ、特殊加工をした家具を置いている。絨毯は埃を集めるだけだと考えて使わず、洗面台や流し(食器や台所用品類の保管領域も)は、自動的に清掃されるように設計されている。衣類も、戸棚に吊られている間に洗浄される」というものであることが紹介されています。
 第6章「おいしいものを食べたい」では、「有名な話」として、「コカコーラの成分は特許にはなっておらず、したがって、今なお企業秘密である」ことや、「おなじみのくびれた瓶」が、1915年の同社の弁護士による「人が暗闇で手探りしても、すぐにコカコーラの瓶だと分かるような瓶」を採用してはどうかという意見が由来であることが紹介されていますが、暗闇の中でコカコーラを飲む、というシチュエーションがよく分かりません。
 第8章「自動車天国」では、今や有名になったセグウェイ人間運搬装置が、「元はジンジャーという名で申請されたが、これは支援者が誰もが都市生活に革命を起こすと保証する、謎の事業である、アップル社のマッキントッシュ以来の大げさなハイテク構想だと呼ばれたこともある」ことが紹介されています。
 第11章「ペーパーレスへ向かう書類づくり」では、電話自動応答装置の最初の実用モデルが、日本の橋本和芙によるもので、「かけてきた人にメッセージを提供し、かけた人が残したメッセージを録音する」というもので、「橋本の成果は、オフィス環境関連で重要な日本初の発明で最初のものだろうし、その後、日本の発明は確かな影響を残している」と述べ、「1976年から2002年にかけての、分類358(ファックス装置)と399(コピー機)における3万5000件のアメリカの特許のうち、58パーセントは日本の企業によるものだった」ことが述べられています。
 第12章「真実、正義、アメリカ流」では、銀行強盗を防ぐために、「ガス弾が2発(散弾銃の弾のようなものが提案されている)、クリップでしかるべきところに留められ、水銀の傾斜により、乾電池で動く装置のスイッチが入り、札束が強盗に持ち上げられると、ガス弾の電動式キャップが動くことになる」という発明が紹介されています。
 本書は、発明を通じたアメリカンドリームの巨大さの片鱗を見せてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書で紹介されている「チョコレートで覆ったアイスクリーム」である「アイスクリーム・バー」について、アイオワ州に住むクリスチャン・ネルソンが、8歳の子が、「お小遣いをチョコレートバーにしようかアイスクリームにしようかと迷っていた」ことから思いついたもので、その権利の半分を取得したラッセル・ストヴァーが資金を出したことについて紹介しています。
 ストーヴァーは、自分で「アイスクリーム、ユースクリーム、ウィー・オール・スクリーム・フォー・アイスクリーム」(僕も叫ぶ、君も叫ぶ、みんな叫ぶ、アイスクリームが欲しい)という曲を作ったことが紹介されていますが、ということは、榊原郁恵の「夏のお嬢さん」はこの曲のパクリということでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

・アメリカンドリームの具体的な姿を見てみたい人。


■ 関連しそうな本

 福井 健策 『著作権とは何か―文化と創造のゆくえ』 2006年06月10日
 豊田 きいち 『著作権と編集者・出版者』 2006年5月4日
 ケンブリュー マクロード (著), 田畑 暁生 (翻訳) 『表現の自由vs知的財産権―著作権が自由を殺す?』 2006年04月23日
 ローレンス レッシグ 『クリエイティブ・コモンズ―デジタル時代の知的財産権』


■ 百夜百音

郁恵自身-25th Anniversary Edition-【郁恵自身-25th Anniversary Edition-】 榊原郁恵 オリジナル盤発売: 2001

 チューチューチュチュで知られる曲ですが、「アイスクリーム、ユースクリーム」のところで、楳図かずおの「まことちゃん」が「ギャー!!」と恐い顔で叫ぶところが浮かんでしまうのは間違っているでしょうか?

『榊原郁恵ベスト』榊原郁恵ベスト

投稿者 tozaki : 2007年07月07日 20:00

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