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2007年08月15日
世界の貧困―1日1ドルで暮らす人びと
■ 書籍情報
【世界の貧困―1日1ドルで暮らす人びと】(#937)
ジェレミー シーブルック (著), 渡辺 景子 (翻訳)
価格: ¥1995 (税込)
青土社(2005/07)
本書は、著者自身の取材を含む豊富な具体例を示すことで、「現代の貧困の諸相を浮き彫りにし、そのメカニズムを明らかにするとともに、解決への道を提示」したものです。
第1章「目に見えない貧困」では、「豊かな世界では、貧しい人々は目に見えない存在になっている。彼らが占める場所に、金持ちが踏み込んでくることはない」と述べたうえで、「欧米の貧しい人々は民主主義の死せる魂である。彼らは非参与者、落ちこぼれ、消えた者たちであり、選挙人名簿や公式のリストから漏れている」と述べています。
そして、エーレンライクの『ニッケル・アンド・ダイムド』が、「アメリカの低賃金経済の中で生きていくのがいかに困難であるかを検証するために、数ヶ月間実際に生活してみた」ことを紹介しています。
また、「イギリスでは、貧困線は中位の所得の60パーセントに設定されている」ため、「金持ちがより豊かになるにつれ、中央地も上昇し、外見上、より多数の人間が貧しくなった。この定義は、貧困が永遠に続くことを保証するものである」と述べています。
第2章「貧困を測定する」では、本書の副題のもとになったデータとして、
・世界で12億人の人々が、1日1ドル未満で生活している。世界の人口の半分が1日2ドル未満で生活している。
・世界でもっとも豊かな1パーセントの人たちの収入は、最貧57パーセントの収入の合計に等しい。
・世界でもっとも富裕な200人の資産は、世界人口の総年収の41パーセント以上にのぼる。
・世界人口の最富裕層5分の1が、世界の肉・魚の45パーセントを消費している。最貧層5分の1の消費量は5パーセントである。
第3章「貧困を定義する」では、「多くの、おそらくほとんどの人々にとって、貧困は相対的なものである。つまり、われわれは自分を周りの人たち、とりわけ自分よりいい暮らしをしている人たちと比較するのである」と述べ、「われわれは、自分と同じくらいの暮らし向きの人間に目を向け、彼らが自分よりうまくやっているかどうかを気にする」と述べています。
また、「問題は、富が増大すると、貧困もまた増大するということにある。貧困は人間性を傷つけ、発達を妨げるという大きな真実は、人間の生活は個人が享受する富の量に正比例して高められるという、より大きなうそを隠している」と延べ、「貧困の定義が大変難しい理由はここにある」と指摘しています。
第4章「貧困のメカニズム」では、「グローバル化時代の貧困は、資源の欠乏の問題ではなく、豊かな国々による経済のコントロールの帰結である」と述べ、「グローバリゼーションとは、程度の違いはあれ、すべての国を一つの世界経済システムへと統合することである」と指摘しています。
また、「開発」が「社会主義というライバルに対抗して考えられたため、それが約束するものは大部分が空想の領域に属していた」と述べ、「欧米のやり方で富の創造に利点があるのは確かだが、それは人類の大多数にとって手の届かないところにある」と指摘しています。
著者は、「『開発』の最大の秘密は、それが植民地主義的概念であり、搾取のプロジェクトだということである」と指摘し、「限界のある世界での無限の経済的拡大のシステム」が「開発のイデオロギー」であり、「それが実現可能ではないのは、社会主義の統制によって阻害されていた頃も現在も同じである」と主張しています。
そして、「貧しい人々は、安全を求めて移住する」が、「富は彼らよりも敏捷である。富の方が栄養もよく、健康で、可動性がある」と述べています。
第5章「富と貧困」では、薬物、不法移民、人身売買などの闇経済に関して、
(1)世界の富を再分配する世紀のプログラムが存在しないことから生じている途方もない社会的不公正への反応として、犯罪活動があることは理解できる。
(2)これらの活動のほとんどは公の経済を影のように追い、機密保持と商業上の秘密の保護という名目で守られ、しばしば役人や企業から黙認されている。政治の犯罪化と犯罪の政治化が、闇経済の再分配の役割を支え、貧しい人間から金持ちへの富の継続的な流れを支えている。
の2つのことが言えると述べています。
第6章「自立を救い出す」では、「自立、人間とその脆弱な資源基盤との間のより敬意に満ちた関係は、貧しい人々のニーズに全く対応せず、非常に収益を計算することで彼らを暗黒と沈黙へと追いやるグローバル市場の、人を見下したような行き過ぎから救われるのを待っている」と述べています。
本書は、世界の大多数の人々にとって身近な存在である「貧困」とグローバリズムの関係を問う一冊です。
■ 個人的な視点から
本書は、貧困の原因をグローバリズムに求めたマクロ的な視点が魅力の一つですが、いくぶん観念的というか、統計データを並べた大雑把な議論に感じてしまうところが難点です。
■ どんな人にオススメ?
・貧困が発生する原因を理解したい人。
■ 関連しそうな本
ジョセフ・E. スティグリッツ (著), 楡井 浩一 (翻訳) 『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』 2007年08月03日
ムハマド ユヌス, アラン ジョリ (著), 猪熊 弘子 (翻訳) 『ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家』 2007年05月10日
シルヴァン・ダルニル, マチュー・ルルー (著), 永田 千奈 (翻訳) 『未来を変える80人 僕らが出会った社会起業家』 2007年03月28日
渡邊 奈々 『チェンジメーカー 社会起業家が世の中を変える』 2005年08月11日
C.K.プラハラード 『ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略』 2006年07月28日
ジェフリー サックス (著), 鈴木 主税, 野中 邦子 (翻訳) 『貧困の終焉―2025年までに世界を変える』 2007年06月20日
■ 百夜百マンガ
出版社がスタジオジブリになっていたのでびっくりしましたが、考えてみれば映画化されたんですね。新聞4コマを映画化するってのも大変なことですが、「サザエさん・ザ・ムービー」なんてのも可能でしょうか。
投稿者 tozaki : 2007年08月15日 21:00
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【ののちゃん 】