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2007年08月12日
水木しげると鬼太郎変遷史
■ 書籍情報
【水木しげると鬼太郎変遷史】(#934)
平林 重雄
価格: ¥2310 (税込)
YMブックス(2007/05)
本書は、「水木翁の自伝的な記述も含め、裏話なども盛り込んで、『鬼太郎』シリーズの紙芝居から今日までのすべてのマンガ作品(絵物語も含む)について、そのシリーズの変遷を解説」しているものです。
「紙芝居時代1950-1957」では、昭和7年頃、伊藤正美原作、辰巳恵洋作画による『ハカバ奇太郎』をヒントに「蛇の腹から生まれた鬼太郎が人間に育てられるが、もらわれていった先々でいじめられたため、ついに蛇の本性を表して復習するといった怪奇談」である「墓場鬼太郎」を創作したが、グロテスクかつ陰惨であったため、第2作目では水木の兄の長男をモデルにした"可愛い"鬼太郎を登場させた『空手鬼太郎』を描いていることが述べられています。
「貸本時代1957-1965」では、水木作品の名バイプレーヤーとなる「ねずみ男」には、貸本漫画家の梅田栄太郎というモデルが存在していることが述べられています。
また、水木による「墓場鬼太郎」シリーズが中断した後、版元が、竹内寛行を起用した続編を書かせ、水木版よりも1冊多い16冊も出版されたことが紹介されています。
また、1964年の『おかしな奴』に登場する鬼太郎が、「今日の鬼太郎とは違い、生きるために働きもし、報酬に対しても、『ボカァ 何でも金で解決するという現代社会に反発を感じてるんだ』『いや、ぜんぜん貰わないと言うんじゃないんだ。社会事業並の値段でいいんだ』と、タバコをふかして非常にドライ」であることを紹介し、「生活観がにじみ出ていて非常に面白い」と述べています。
さらに、水木の、「働かないで暮らしていけることが最高の美徳である」というユートピア論が、多くの作品から読み取ることができ、「もともと子供の頃から怠け者であった水木が、戦争中、南方の現地人と暮らすことによって、より身に付いたものである」と解説しています。
そして、貸本版「鬼太郎」シリーズが、「水木自身の社会に対する不信感を表現した怪奇漫画に姿を借りた『大風刺漫画』であった」と述べています。
「雑誌時代I 1965-1969」では、1968年に「墓場の鬼太郎」が大ヒットし、アニメ化される際に、「墓場の鬼太郎」ではスポンサーが困るので、「タイトルを水木しげるの子供時代のあだ名"げげ"をもじって『ゲゲゲの鬼太郎』と改められ」たことが解説されています。
「雑誌時代II 1970-1979」では、1970年に描かれた「その後のゲゲゲの鬼太郎」に登場する鬼太郎が、南の島で「元酋長の娘メリーと、"死の無い世界"の初代自由酋長として暮らしている」というエンディングで、「鬼太郎の復活を待望した読者の期待を裏切る内容となった」ことが述べられ、水木がこの作品に、「自身の南方願望(南方ユートピア論)と死後の世界の探求を描くと共に『鬼太郎』シリーズの終結を宣言した」ことが解説されています。
また、1971年の2度目のアニメ化の際に原作として連載された「ゲゲゲの鬼太郎」が、全13回で終了し、最終回では鬼太郎親子が「ヤカンズル」に飲み込まれ、「生きかえるには、ヤカンズルを殺さなきゃ出れまい」「そう、運がよくて7年はかかろう」と語られ、「水木が再度、『鬼太郎』シリーズとの決別を図ったものと考えられる。『少なくとも以後7年間は描かない』という表明だった」と解説しています。当時、水木は「ゲゲゲの鬼太郎」を小学館の学習誌に同時連載しており、『よいこ』『幼稚園』『小学一年生』『小学二年生』『小学三年生』『小学四年生』の6誌に『週刊少年サンデー』をあわせた7種類の鬼太郎作品を同時進行させていて、「水木自身"鬼太郎漬け"で食気がそがれ、しばらくは描きたくなくなったのではないかと推測される」と解説しています。
さらに、「西洋妖怪の親玉であるドラキュラ」が、鬼太郎の宿敵として何度も登場するが、「この水木が描くドラキュラのキャラクターは実に統一性がなく、手塚治虫のようなきっちりとしたキャラクター設定とは逆で、水木はその場その場での気分で設定するという、きわめてアバウトな方法をとっていることが窺える」と解説しています。
「雑誌時代IV 1990-1999」では、『ビッグゴールド』に連載された「鬼太郎霊団」が、現時点で"最新のシリーズ"であること、「鬼太郎最後の作品」は、『週刊漫画サンデー』版「ゲゲゲの鬼太郎・セクハラ妖怪いやみ」であり、登場する、「陰毛を武器として攻撃する下品な妖怪」である「妖怪いやみ」が、本来『ビッグゴールド』に掲載するために執筆されていたが、「鬼太郎霊団」が「エージェントのクレームにより連載が中断していた」ために棚上げになっていたものを、「あれから1年が経過し、『週刊漫画サンデー』に載せるなら文句はないだろうと掲載した」ものであることが解説されています。
著者は、「鬼太郎」シリーズの間に前後のつながりがないことを、「水木は意図的にいるものと思われる」と述べ、「『鬼太郎』作品に新しい試みをするにあたっては、以前の設定をそのまま引きずっては新しい試みに足かせとなる」ため、「その場その場の設定を設けて、新しい試みを実施している」と解説しています。
本書は、今や国民誰もが知っているといっても過言ではない国民的キャラクター「鬼太郎」の変遷を通じて、漫画家水木しげるの半生を追った作品です。
■ 個人的な視点から
本書の著者は、「関東水木会 平林重雄」となっていますが、この「関東水木会」とは、『水木しげる叢書』に協力したファンの有志により、「水木先生をバックアップするための好事家の集まり」として1993年11月に立ち上げられたもので、京極夏彦氏や荒俣宏氏が関わっているそうです。強力メンバーですね。
■ どんな人にオススメ?
・鬼太郎は正義の味方だと思っている人。
■ 関連しそうな本
水木 しげる 『完全版 水木しげる伝』
水木しげる, 荒俣宏 『水木サン大全』
水木 しげる 『図説 日本妖怪大全』
中野 晴行 『謎のマンガ家・酒井七馬伝―「新宝島」伝説の光と影』 2007年07月28日
手塚 治虫 『ぼくはマンガ家―手塚治虫自伝』 2005年05月28日
フレデリック・L. ショット (著), 樋口 あやこ (翻訳) 『ニッポンマンガ論―日本マンガにはまったアメリカ人の熱血マンガ論』 2006年04月29日
■ 百夜百音
【LIFE】 BLACK BISCUITS オリジナル盤発売: 1999
当時、ポケビvs.ブラビの対決が盛り上がってましたが、「タイミング」はいい曲だったと思います。ビビアンは活動の拠点を台湾に戻してしまっているらしいです。
投稿者 tozaki : 2007年08月12日 07:00
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