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2007年08月19日
クール・ジャパン 世界が買いたがる日本
■ 書籍情報
【クール・ジャパン 世界が買いたがる日本】(#941)
杉山 知之
価格: ¥1680 (税込)
祥伝社(2006/02)
本書は、海外で「クール・ジャパン」と呼ばれ、熱い視線を浴びている「漫画やアニメをはじめとした日本のポップ・カルチャー」について解説したものです。著者は、「これから、人口も巨大で国土も広い中国とインド」が、日本を越す経済大国へ育っていく中で、「私たち日本が持っているのに、有効に使ってこなかった力」こそが「クール・ジャパン」の世界だと述べています。
第1章「『クール』の帝国・日本」では、「日本のアニメやゲームなどポップ・カルチャーが、海外では『クール(カッコいい)と呼ばれて人気が高い」と報道されるようになったが、日本にいると「あまりにもそれがごく普通に存在しているためか、実感がわかない」と述べ、アメリカのCGイベントで「さまざまな国籍の人々が盛大な拍手を贈っている様子を見て、ゾクゾクするほどの感動を覚えた」と述べています。
また、国際的に取引されるアニメの総本数や売買額に関して、「世界で放映されるアニメの約6割が日本製」であるというデータを紹介しています。
そして、日本の工業デザインの世界で、アニメの「メカ」のデザインの洗礼を受けた世代が工業デザイナーとして活躍することで、「アニメ的な形状が洗練されて製品化されることになる。これもまた文化的な蓄積だ」と述べています。
さらに、アメリカではビデオテープの時代から、「海外の番組に自分たちで字幕をつけて、同好の仲間に配布する『ファンサブ』という活動」があったことや、日本の作画の技術と世界観が、「メカニカルで暴力的で、どこか性的な部分を感じさせるもの」というエッセンスを持ち、永井豪の作品が欧米で人気を博していることなどを紹介しています。
第2章「ビジネスとしての『クール・ジャパン』」では、「情報の内容によって対価を生み出す産業」と意味する「コンテンツ産業」という言葉が、「日本に独特」なものであることを述べた上で、今までの産業が、「それぞれの業界ごとに独立して存在してきた」のに対し、「コンテンツ産業は、あらゆる産業を横に串刺しにする」と述べています。
また、「カワイイ(kawaii)」という日本語を海外に広めた『ハローキティ』が、「シンプルな線で描かれた、喜怒哀楽の見えない表情や、あまり細かな設定のないところが、自由に想像力を働かせることを助け、ファンをひきつけたのかもしれない」と解説しています。
著者は、コンテンツ産業が時代の日本の牽引力になっていくために必要なこととして、
(1)これまで持っている知財とその権利をきちんと見直すこと。
(2)コンテンツ産業をしっかりと産業として根づかせるための国としての取り組み。
(3)次の世代のクリエイターをいかに育てるかという人材育成。
の3点を挙げています。
第3章「『ジャパン・オリジナル』の強さ」では、日本のマンガの線が、「欧米人にはなかなか描けない。極端に省略されていながら、かたちの向こう側のエッセンスを描こうとしたようにも思えるのだ。ときにはぽんと描かれた絵だけで不思議な深遠さを表現する」と述べ、「輪郭線で描いた絵によって物語を作り、産業として成功している国は日本以外にない」と解説しています。
また、「表現に厳格なタブーがない日本では、アニメのヒロインがミニスカートをはいていたり、服を脱いだりするシーンも登場する」ことについて、「アメリカでも、子供たちが見る表現の中にエロティシズムのようなものが入っていることは、古くからあった」として、ディズニー映画の『白雪姫』にちりばめられた性的な暗喩の例を挙げ、「エロティシズムが隠されているからこそ、魅力的に見える部分がある」と述べています。また、『銀河鉄道999』に登場するメーテルが、「大人の女性でありながら、ことさら肉感的なわけでもない。しかし、どこかはかなげな"色気"をかもし出している」として、「ヨーロッパで突出した人気を誇っている」ことを紹介しています。そして、水木しげるを例に挙げ、キリスト教では「霊的なものを主人公に置く」のはタブーなため、映画やアニメになりにくいと述べ、「日本で生まれ育つと、キリスト教に基づく欧米人の宗教観がなかなか理解できないが、宗教的規範はエンターテイメントから科学技術まで強い影響を持つ」と述べ、「欧米では人間型ロボットは作ろうとも想像できないこと」であると述べています。
さらに、海外の人たちが、「アニメやマンガのおもしろさに気づき、熱中する楽しさを『オタク』という言葉によって認識した」と述べ、「日本型ビジネスと呼ばれた方法論のエッセンスも、アニメなどが示す世界観の中に現れていた」、「つまりコンテンツの輸出にとどまらず、『オタクな心』も輸出したのである」と解説しています。
さらに、「ヨーロッパに渡り、洗練されて世界のファッションの中に溶け合って」いって「日本のギャル・ファッション」が、「もともとはマンガの中にあった要素」であったと解説し、島田雅彦が日本文化の「三点セット」と表現した「わび・さび・萌え」について解説し絵知増す。
第4章「『AKIRA』から世界へ――国境を越えて増殖する『OTAKU』」では、英語の辞書にも「otaku」がそのまま載っていて、「何かにはまっていて、社会的なコミュニケーションが下手な人。往々にしてパソコン好き」と説明されていることを紹介しています。
そして、「ハマる」ことの楽しさ、うれしさを、「一種の『身をゆだねる快楽』ではないだろうか。何もかも忘れて集中することは、ある種の快感を伴なう。モチベーションをもって努力しているかぎり、人間は気力・体力とも、周囲が驚くほどの頑張りを発揮できるものである」と解説しています。
第5章「『クール・ジャパン』を産み出す人々」では、日本のアニメ産業の負の面として、「手書きにこだわって分業化されてきたこともあって、パソコン環境との融合が遅かった」ことを挙げ、「理系の人材が必要だという認識が浸透していない」と指摘しています。
さらに、行政などが「クリエイターの育成」を唱えているが、必要なのは、「作れる人」を「束ねて、大きな仕事をやろうという人」であると述べています。
第6章「新・文化産業のための世界戦略」では、日本が持っている「資産」として、「アニメの原作となる漫画では、世界に知られていないものもたくさんあるし、莫大な資産がまだまだ眠っている」と述べ、その一つが、「これまで日本でも大ヒットし、海外でもシリーズになったようなアニメの『映画化』」であると述べています。
本書は、当たり前すぎて気づきにくい、日本が持つ「文化」を、気づかせてくれる光の当て方を教えてくれる一冊です。
■ 個人的な視点から
本書でも触れられていますが、漫画やアニメ以上に「クール・ジャパン」を感じるのは日本の工業デザインです。車などは分かりやすい例かもしれませんが、携帯電話やデジカメなど、西洋のお手本がない分野のデザインには随所にガンダム世代の質感へのこだわりが感じられます。
■ どんな人にオススメ?
・日本製のアニメは海外ではマニアしかみてないと思っている人。
■ 関連しそうな本
中村 伊知哉, 小野打 恵 『日本のポップパワー―世界を変えるコンテンツの実像』 2006年11月29日
フレデリック・L. ショット (著), 樋口 あやこ (翻訳) 『ニッポンマンガ論―日本マンガにはまったアメリカ人の熱血マンガ論』 2006年04月29日
堀淵 清治 『萌えるアメリカ 米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか』 2007年04月15日
ジョセフ・S・ナイ (著), 山岡 洋一 (翻訳) 『ソフト・パワー 21世紀国際政治を制する見えざる力』 2007年04月27日
町山 智浩 (翻訳), パトリック・マシアス (著) 『オタク・イン・USA 愛と誤解のAnime輸入史』
浜野 保樹 『模倣される日本―映画、アニメから料理、ファッションまで』
■ 百夜百音
【Van Halen】 Van Halen オリジナル盤発売: 2004
再結成するのかしないのか、エディーの体調も心配されていますが、当時のギター少年にとってはエディは神様でした。
投稿者 tozaki : 2007年08月19日 22:00
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