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2007年09月21日
NPM実務の考え方・進め方―効率的・効果的な政策形成・実施・評価改善
■ 書籍情報
【NPM実務の考え方・進め方―効率的・効果的な政策形成・実施・評価改善】(#974)
福山 嗣朗
価格: ¥3,360 (税込)
学陽書房(2006/12)
本書は、「新公共経営(New Public Management, NPM)の考え方を活用した効率的・効果的な行財政の運営の具体的な薦め方の全体像を体系的に解説するテキスト」です。著者は、元自治省の官僚で、滋賀県庁で課長、静岡県庁で部長等を経験し、国と県の両方の豊富な実務経験をベースにしています。著者は、本書の最大の特色として、「NPMの考え方を活用した効率的・効果的な行財政の運営の具体的な進め方の全体像について、現実の実務の過程を念頭におきながら、体系的に解説していること」にあるとしています。
第1編「行財政運営の基本的な考え方」第1章「行政の第一義的目的・運営目標」では、国家公務員法、地方自治法、地方公務員法にあるように、「国と地方公共団体の行政の民主的かつ能率的な運営の確保を図ることが必要」であることを踏まえた行政の運営目標を、「行政の効率性・有効性の一層の向上、職員の能力の開発・伸長を含む自己実現および国民の力の活用水準の一層の向上」であると述べています。
第2章「今後の行政運営システムの基本方向」では、新しい行政運営システムの理念系の考え方として、
(1)戦略面では、国民・住民を公共サービスの顧客と見た、その福祉の増進に資する成果の重視(成果思考)が特徴。
(2)内部マネジメント面では、伝統的な行政管理の利点は維持した上で、献身的に目標達成に尽くすかどうかは、自己実現の欲求充足にかかっているという人間観を理念として採用する。
(3)外部マネジメント面では、国民・住民の参加・共同の促進を図る。
の3点を挙げています。
第3章「NPMの考え方の導入・推進」では、「新公共経営」(NPM)を、「公共部門においても企業経営的な手法を導入し、より効率的で質の高い行政サービスの提供を目指すという革新的な行財政の運営(行政経営)の考え方」であると定義しています。
また、そのシステムのポイントとしては、「明確で測定可能な目標をもった戦略計画に従って、予算編成、組織管理、人的資源管理等が行われ、その結果が定期的に評価されて、時期の戦略計画にフィードバックされる」という「戦略経営の推進」を挙げています。
第2編「全庁的な行財政運営(方針管理)の進め方」第2章「総合計画の策定(政策形成)」では、「戦略計画としての位置づけを持つ総合計画を中心に展開される」NPMが実効性を持つかどうかが、「行政の効率性・有効性の一層の向上等という運営目標の達成を図る上で重要な鍵を握る」とした上で、総合計画の策定手順をかなり具体的に例を挙げて解説しています。
また、NPMの考え方に基づく予算編成が、「戦略計画で設定した数値目標に基づいて予算に盛り込まれた政策の効果を評価するという簡単な手法」であり、その内容として、
(1)計画・予算・業績評価の連結を図るもの
(2)公会計改革の手法の活用を図るもの
(3)全庁的なコスト意識の一層の向上を図るもの
の3点を挙げています。
第3章「実施」では、「NPMの考え方の下における権限の分散化」の手法として、総合計画で明らかにされた目標達成に各職員の自発的な貢献意欲を引き出すため、「トップ・マネジメント層と核管理監督者との間で達成すべき任務目的・目標とそのために必要な行政資源の配分、権限の移譲等について協議し、約束を行う手法」である、「目標達成・資源配分等に係る契約概念の導入」を挙げています。
また、給与管理に関しては、NPMが、「有意義な目標を達成することを通じて職員に自己実現の喜びをもたらし、行政の効率性・有効性の一層の向上を図ることに本来の趣旨がある」ため業績を挙げた職員に評価されている実感を持たせるために給与上の処遇に差をつけることも必要であるが、「成果主義を給与上の処遇に短絡的に導入して本来の趣旨が損なわれることのないように注意することも求められる」と述べ、「内発的動機づけの理論を勘案すると、給与上の処遇と業績をあまりに直接に連動させれば、仕事それ自体の面白さや楽しさを職員から奪い、かえって成果の向上が図れなくなる恐れがある」と解説しています。
さらに事務の見直しの具体的手法として、
(1)QC(Quality Control, 品質管理)
(2)VA(Value Analysis)・VE(Value Engineering)
(3)ABC(Activity-Based Costing, 活動基準原価計算)
等の手法を挙げ、解説しています。
著者は、NPMの特徴である、事務事業の執行への市場メカニズム活用について、
(1)広義の民営化・・・公的企業の民営化、民間委託・バウチャー制度
(2)市場化テスト
(3)独立行政法人化(エイジェンシー化)
(4)PFI
等の手法を挙げて解説しています。中でも、民間委託に関しては、静岡県を筆頭にした「総務事務のアウトソーシング」について、詳しく解説しています。
また、公共工事の新たな契約方式として、「工事発注者と契約した建設技術者等がコンストラクション・マネジャー(CMr)となり、建設プロジェクト全体を管理する方式」である「CM(Construction Management)」を取り上げています。
第4章「評価・改善」では、「評価・改善」を合わせて「統制」と呼び、「計画の標準に対し達成度合を測定し、計画に従って目標が達成されるように、計画からの逸脱を是正すること」であると述べています。
そして、行政内部における評価・改善の他、
・国会や地方議会による行政統制
・裁判所による行政統制
・国民・住民による行政統制
等について解説しています。
第3編「職場の行財政運営(日常管理)の進め方」第1章「職場の行財政運営(日常業務)の考え方」では、「非効率な行政運営システム」の下では、目標が明確に設定されないのに対し、NPMは、「何をどれだけやるかを評価可能な程度に客観的に示す目標を明確にすることを重視する」とのべ、その効用として、
・仕事の生産性を高め、質を改善することができること。
・目標設定の際に、重点事項の選択がより効果的にできるようになり、効果の薄い施策、事務事業のスクラップが行いやすくなること。
等を挙げています。
第3章「実施」では、自己啓発の学習のコツとして、
(1)担当する事務に必要な箇所、関連があると思われる箇所等をマークしながら、とりあえず目を通すこと。
(2)朝起きてすぐの1時間、夜寝る前の1時間、通勤時間等の短い時間を無駄にせず、こまめに活用すること。
(3)最初に学習してからおおむね1週間後に1度目の復習をし、さらに2週間後に2度目の復習、さらに1ヵ月後に3度目の復習をすることで、脳が短期記憶を長期記憶にして保持する仕組みを踏まえる。
の3点を例示しています。
また、国会・議会への対応として、本会議の答弁に当たり、
(1)現在行っていることを特に尋ねられた場合以外は、当局として正式に決定した今後の方針(目標・方策等)を答える。
(2)答弁の骨格は、質問に即して組み立てる。
(3)答弁で使用する文章と用語は、できる限り法律、条令、総合計画、長の公式発言、議会の答弁等において使用され、公式にオーソライズされた表現を用いる。
等の留意点を示しています。
さらに、上司のタイプによって、「読むタイプ」の上司には、「できる限り情報の揃った文書により報告」し、「聞くタイプ」の上司には、「説明資料は簡単なものにとどめ、詳しくは口頭で説明」するなどのコツを伝授しています。
本書は、役所で生きていこうとする人にとっては、役に立つ一冊です。
■ 個人的な視点から
本書のタイトルは、『NPM実務の考え方・進め方』ですが、どちらかというと、『NPMの考え方・実務の進め方』という感じです。「NPMの考え方」のテキストとしてはよくまとまっていますし、「実務の進め方」としてはさまざまなノウハウが詰まっています。
ただし、自治官僚の悲しいところか、テキストとしての性格上か、法律で定めた「あるべき姿」をベースにして「実務」を論じているところが残念です。
■ どんな人にオススメ?
・NPMの理想と実務の乖離を目の当たりにしたい人。
■ 関連しそうな本
大住莊四郎 『ニュ-・パブリック・マネジメント 理念・ビジョン・戦略』 2005年01月23日
大住 荘四郎 『パブリック・マネジメント―戦略行政への理論と実践』 2005年05月06日
Ewan Ferlie, Lynn Ashburner, Louise Fitzgerald, Andrew Pettigrew 『The New Public Management in Action』
南 学, 小島 卓弥 編著 『地方自治体の2007年問題-大量退職時代のアウトソーシング・市場化テスト-』 2005年08月22日
南 学 (編著) 『行政経営革命―「自治体ABC」によるコスト把握』
野田 由美子 『民営化の戦略と手法―PFIからPPPへ』 2006年01月30日
■ 百夜百マンガ
小学校のドッジボールブームを巻き起こした作品。
子供向け漫画はあたるとでかいのです。
投稿者 tozaki : 2007年09月21日 05:00
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