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2007年09月07日

ファシリテーション・グラフィック―議論を「見える化」する技法

■ 書籍情報

ファシリテーション・グラフィック―議論を「見える化」する技法   【ファシリテーション・グラフィック―議論を「見える化」する技法】(#960)

  堀 公俊, 加藤 彰 (著)

  価格: ¥2,100 (税込)
  日本経済新聞社 (2006/09)


 本書は、「皆の前で議論を描いていけば、メンバーの参加意欲を引き出し、話し合いのプロセスを共有させること」ができるという、 「話し合いを促進する」ための描く技術である「ファシリテーション・グラフィック」について解説しているものです。著者は、会議で最も大きい影響力を持つ者として、
・ファシリテーター(進行役)
・グラフィッカー(板書をする人)
の2つを挙げ、そのポイントは、
(1)ファシリテーション・グラフィックはアート(芸術)ではなく(スキル(技術)である。
(2)ファリシテーション・グラフィックの様々な「作品」に触れて真似することが上達の近道。
(3)完成品の善し悪しだけでなく、描いていく過程がきわめて重要である。
の3点であると述べています。
 第1章「基礎編」では、失敗した話し合いの典型的な症状として、
(1)意見が出ない
(2)意見がかみ合わない
(3)意見がまとまらない
の3点を挙げています。
 そして、ファシリテーション・グラフィックのメリットとして、
○プロセス共有
(1)議論のポイントをわかりやすくする
(2)ポイントに意識を集中させる
(3)共通の記録として残す
○参加の促進
(4)発言を定着させて安心感を与える
(5)発言を発言者から切り離す
(6)議論に広がりを与える
の6点を挙げています。
 また、ライティングのステップとして、
・ステップ1:発言をコンパクトに要約する
・ステップ2:議論のポイントを強調する
・ステップ3:ポイント同士の関係を示す
・ステップ4:図解ツールを使って構造化する
の4つのステップを解説しています。
 第2章「技術編」では、「文字の書き方のコツ」として、
・大きめ、太め、四角文字
・漢字を大きめに
・漢字を忘れたらカタカナで
・上手に書くよりも、テイネイに書く
の4点を挙げています。
 また、多数の水性マーカーを操るためのテクニックとして、利き手ではない方の指の間に何本も挟んで持つ「ファシリテーターズ・グリップ」(別名:ハリモグラ)について解説しています。
 さらに、ファシリーション・グラフィックで最も難しい点として、「話し合いの中から書くべき内容を、適切に選び出す」点を挙げ、「ファシリテーション・グラフィックの良し悪しは、文字や色の美しさでも図解の使い方でもなく、要約力で決まる」と述べています。そして、的確な要約のための「聴く力」である、「ロジカルリスニング」について、
・縦の論理:思考の筋道
・横の論理:発言の位置づけ
の2つの軸を意識しながら話を聞くことであると述べています。
 著者は、発言者の意図を読み解く視点として、
(1)どんな欲求を達成したいのか
(2)発言の目的は何なのか
(3)どういう構図で発言しているのか
(4)発言内容を信頼しているか
の4つの視点を挙げ、「こういった分類を知っておくだけでも、意図を読み解く手がかりになる」と述べています。
 また、うまく要約できない発言への対処法として、
・問いかけて引っぱり出す
 (1)発言の中で活かせる部分を探す
 (2)発言の奥にあるものを探り出す
 (3)発言者に要約してもらう
・パーキングロット(駐車場)を使う・・・テーマから少しはずれた発言を端の方にスペースをとってメモしておく。
等の技術を紹介しています。
 さらに、ポイント同士をグループ化する方法として、
(1)枝から幹へ(帰納的なグループ化)
(2)幹から枝へ(演繹的なグループ化)
の2つのやり方を挙げ、どちらが優れているとは言えず、2つのやり方をうまく組み合わせることを推奨しています。そして、グループ化やタイトル付けの際によくある失敗として、「頭の良い人(またはファシリテーター)が、どんどん作業を進めてしまうケース」を挙げています。
 図解ツールの使い方に関しては、
(1)ツリー型:「モレなくダブりなく」(MECE)まとめるための3つのルール
 ・上位の項目は下位の項目を要約したものである
 ・同じ階層の項目は常に同じ種類のものである
 ・同じ階層の項目は論理的に順序づけられている
(2)サークル型:重なりが新たな発想を生む
(3)フロー型:原因と結果の関係を順に矢印で結ぶことで因果関係を整理する。
(4)マトリクス型:一刀両断に議論を切る
の4つの基本パターンについて解説しています。
 また、レイアウトの基本フォーマットとして、
(1)リスト型:話し合いの流れがわかりやすい
(2)マンダラ型:自由奔放に発想が広がる
(3):チャート型:議論のヌケモレが少ない
の3つのパターンを紹介した上で、紙面をいくつかのブロックに分割する方法として、
(1)段組型:リスト型が使いやすい
(2)表型:チャート型やリスト型に使われ、プロジェクトマネジメントで使うKPT(Keep, Problem, Try)が典型
(3)マルチ分割型:放射状に4~9のブロックに分けて描く、チャート型やマンダラ型でよく使う
の3つのレイアウトを紹介しています。
 第3章「実践編」では、「いつでもどこでもファシグラ」として、
・定例の話し合いの場
・思いや問題意識をすりあわせる場
・網羅的な検討が必要な場
・自由に意見を述べ合うワークショップ
・自由奔放にアイデアを出し合う場
・実行計画に落とし込む場
・意思統一が必要な場
・ちょっとした打ち合わせの場
・進め方のレベル合わせの場
など、様々な場を想定した活用方法を紹介しています。
 第4章「研究編」では、「ファシリテーターの頭の中を解剖する!?」では、話し合いの進行にともなって、ファシリテーターが、「どのようなことを考え、どのような行動をとりながら、ファシリテーション・グラフィックを描いていくのか」を、「映画のコマを送るように」解説して行くとして、
(1)とにかく描く(打ち合わせ)
(2)リスト型(定例のミーティング)
(3)マンダラ型(合宿ワークショップ)
(4)リスト型+チャート型(意思決定の会議)
の4つのケースを取り上げています。
 第5章「熟達編」では、「1人でできる基礎トレーニング」として、
・描く習慣をつける
・他人の「お手本」から学ぶ
・手を鍛えて速く描く
・色や記号を無理にでも使ってみる
・自分で上達目標を定めよう
等のトレーニング方法を紹介しています。
 そして、要約を鍛えるためのトレーニング方法として、
・新聞や雑誌の記事を要約する
・誰かに読み上げてもらった文章をリアルタイムで要約する
・「朝まで生テレビ」をリアルタイムで要約する
等の方法を紹介しています。
 また、ファシリテーションで求められる要約の特徴として、
(1)耳で聴いて要約するので後戻り(聴き直し)ができない
(2)限られた時間の中で要約しなければならない
(3)全体像がわからない中で、逐次要約をしていかなければならない
の3点を挙げています。
 本書は、ファシリテーションに関心のある人にとってぜひ身につけたい技術を解説した一冊です。


■ 個人的な視点から

 ファシリテーションと板書は一見関連が薄そうに見えます。実際に、多くの会議では司会と書記は別の人を充てています。
 しかし、その両者には共通する能力として「要約力」が必要とされます。その意味では、ファシリテーションをしながら議論の中身を要約して、参加者にフィードバックし、板書していく能力というのは一貫性があるといえるでしょう。


■ どんな人にオススメ?

 ・議論を目に見える形で要約したい人。


■ 関連しそうな本

 堀 公俊 『ファシリテーション入門』 2006年05月15日
 堀 公俊 『ファシリテーション入門』 2006年04月24日
 中野 民夫 『ファシリテーション革命』 2006年04月28日
 古川 久敬 『チームマネジメント』
 柴田 昌治 『なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ』


■ 百夜百マンガ

おじゃまユーレイくん【おじゃまユーレイくん】

 最近コロコロコミックの復刻版で一部取り上げられましたが、いまだになかなか読めないプレミア本になっているそうです。誰か読まれたくない人が買い占めてる?

投稿者 tozaki : 2007年09月07日 06:00

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