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2007年09月01日

巨大人脈SNSのチカラ

■ 書籍情報

巨大人脈SNSのチカラ   【巨大人脈SNSのチカラ】(#954)

  原田 和英
  価格: ¥756 (税込)
  朝日新聞社出版局(2007/02)

 本書は、「よかれ悪しかれ世界の構造を変えてしまう可能性を持った存在」である「SNS(Social Networking Service)」について、よい面とネガティブな側面の両方を伝えることを目的としたものです。
 第1章「mixiという化け物サイト」では、mixiの名前の由来として「『i(人)』と『人』を『mix(交流)』させるという意味を持つ」という説を紹介し、その強さの秘訣として、「非常にクイックでインタラクティブなコミュニケーション」である「足あと制度とコミュニティ制度」を挙げています。
 第2章「SNSはインターネットを超えた」では、これまでの「匿名が基本で、だれもがだれのページでも見ることのできたインターネットの世界」に「実名が基本」の「巨大な閉じられた世界が出現した」と述べ、SNSが、「人と繋がりたい」という「人間が元来持っている本能を刺激」したと述べています。
 そしてSNSを「個人専用のマイページがあり、それが他者のマイページとある関係性のもとで繋がっていることが可視化される」サービスだと定義しています。
 また、アメリカのブロガーであるマット・ウェブの言葉として、ソーシャルソフトウェアに必要な7つの要素として、
(1)Identity:一貫した個人の同一性
(2)Presence:利用者の息吹を感じられる仕組み
(3)Relationships:関係性
(4)Conversations:会話
(5)Groups:共通の何かを持った集まりの仕組み
(6)Reputation:自分がどのような人か簡単に分かる仕組み
(7)Sharing:共有
の7点を挙げています。
 さらに、デビッド・テテンとスコット・アレンが挙げるSNSの要素として、
(1)Searchable directory:人のディレクトリ検索
(2)High visibility:ローコストで自分をPRできる。
(3)Receptive audience:適切なコミュニケーションの方法の提示
(4)Easy group-forming:簡単にグループが作れる
(5)Get visibility into the networks of your connections:人のネットワークが見える
の5点を紹介しています。
 第3章「世界のSNS」では、
・音楽SNSのMySpace
・ビジネスSNSのLinkedln
・学生専用SNSのthefacebook
・国民の3分の1が利用し、住民基本番号で完全に個人認証された韓国のCyworld
・世界最大の写真SNSのFlickr
などを紹介しています。
 第4章「日本のSNS」では、日本のSNSの特徴として、
・実名利用が相対的に少ない
・招待制が多い
・次元の隔たり感覚が弱い
・「出会い系」の利用が少ない
・ビジネス利用するケースが圧倒的に少ない
等の点を挙げています。
 第5章「SNSを制するものが、ビジネスを制す」では、日本でも活用され始めた社内SNSについて、その利点として、
(1)社内コミュニケーションの促進
(2)車内の知識を共有できる
(3)社外、車内の人脈の活用
の3点を挙げています。
 また、SNSをビジネスに使う際のコツとして、「あなたが何を知っているか、ということは大事だが、同時に大事なのは、あなたが『だれ』を知っているか、ということだ。」という格言を紹介しています。
 さらに、ビジネスとしてのSNSが成功するポイントして、
(1)先駆者利益の大きさ:一度参加してしまうと他のSNSに移るコストが高い。
(2)ビジネスモデルが確立されていない。
(3)SNSが「必要とされる理由」となる「売り」がなかった。
(4)初期には物凄い勢いで利用者が増えるが、増加が停まった瞬間、増えてきたのと同じ理由で利用者は減っていく。
等を挙げています。
 第6章「SNSが変える人脈」では、SNSによって友人の、
(1)セグメント化:自分の趣味や嗜好に会った人とのコミュニケーションが深まる。
(2)ブロードバンド化:コミュニケーションの幅が拡がる。
(3)ネットワーク化:コミュニケーションが三次元化し予想外のネットワークを作り出す。
の3つが起こりうると指摘しています。
 また、「地域」に関するコミュニケーションの変化として、地域SNSの「ごろっとやっちろ」等を紹介した上で、「今まで廃れる一方だった地域のコミュニケーションが、インターネットにより復活されるというアイロニックな状況は、まことに興味深い」と述べています。
 そして、Googleが「あちら側」を信頼するものであるのに対し、SNSを使った検索が、「『こちら側』にいる人々の知恵を信頼して結果を導き出す」ものであると述べています。
 さらに、SNSがオフラインの交流を「豊饒化」させるとして、フィンランドの携帯SNSの事例を紹介しています。
 著者は、ネットワークの重要性に関して、ジョン・デーリーによる「人脈ネットワークづくり」の要素として、
(1)常にネットワークを広げる機会を探せ。
(2)常にネットワークを築け。
(3)恥ずかしがるな。
(4)近くの人々のことについて、覚えておけ、書き留めておけ。
(5)弱い紐帯の重要性を知っておけ。
(6)ネットワークを動かすために、ネットワークの人々にいいことをしろ。
の6点を紹介しています。
 第7章「SNSがはらむ問題」では、実名を使わなくても、「オフラインのネットワークを活用し、個人の趣味や日々を書いている以上、そこに存在する『名前』はある程度、実名に近い存在になっていく」として、
・いつ家にいるかがばれてしまう。
・IDやパスワードが盗まれるなどのプライバシーの問題。
・住所がばれる恐れ。
等の問題点を挙げています。
 また、著名人などを自分のネットワークにすることで、「自分の素性を意図的にグレードアップ」する「人脈ロンダリング」を指摘しています。
 第8章「SNSNが開く未来」では、「SNS世代」ではオンラインの交流がメインになり、「文章を書く力」が非常に重要になるため、「文章が確実に上手くなっている」と述べています。そして、「コミュニティの掲示板や、日記において、すべてのSNSの舞台では、人々は空気を読むことを強いられる」と述べています。
 また、SNSが、「Googleのように」世界を覆い尽くしてしまうかという仮説に対して、「YESでありNOである」として、「SNSというネットワークの概念」は「あらゆる世界を多い尽くすことになる」一方で、「単一のSNS運営サイトが世界を覆う」ことについては非常に難しいと述べています。
 著者は、「SNSの利用者が増えるということは、単純にSNSサイトに利用者が増えるというわけで」ではなく、「そこに参加している人たちの世界がより狭くなり、よりさまざまな出来事が生まれる土壌が醸成されていく」ことであると述べています。
 本書は、オフラインのネットワークとの親和性が高いがゆえに、オンラインに留まらず、オフラインの世界のあり方を変えてしまう可能性があるSNSについて概説してくれるコンパクトな入門書です。


■ 個人的な視点から

 世界中の色々なSNSを紹介してくれるのが楽しい一冊です。日本では、ほとんど「SNS=mixi」というイメージが定番化されていますが、こういう紹介を読むことによって、mixi自体の特殊性に気づいたり、SNSにたいする受容度の幅が広がるんじゃないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・SNS=mixiだと思っている人。


■ 関連しそうな本

 早稲田大学IT戦略研究所, 根来 龍之 『mixiと第二世代ネット革命―無料モデルの新潮流』 2007年03月31日
 増田 直紀, 今野 紀雄 『「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ』 2006年04月18日
 ダンカン ワッツ (著), Duncan J. Watts (原著), 栗原 聡, 福田 健介, 佐藤 進也 (翻訳) 『スモールワールド―ネットワークの構造とダイナミクス』 2006年03月22日
 ダンカン ワッツ (著), 辻 竜平, 友知 政樹 (翻訳) 『スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法』 2005年09月28日
 安田 雪 『実践ネットワーク分析―関係を解く理論と技法』 2005年10月04日
 安田 雪 『ネットワーク分析―何が行為を決定するか』 2005年10月13日


■ 百夜百音

Provision【Provision】 Scritti Politti オリジナル盤発売: 1988

 20世紀末に長い沈黙を破った後、活動を再開したグループですが、再開後の音は聴いてません。すみません。
 昔、上の世代の人たちが、6~70年代のロックを「本物だ!」と言っているのを聞いて、真似をして聴いてみましたが、人間は、思春期の頃に影響を受けたものによって価値観が固まってくるんだと気づいたのは最近のことです。

投稿者 tozaki : 2007年09月01日 22:00

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