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2007年10月30日

選挙裏物語―「当選確率80%」スゴ腕選挙コーディネーターが明かす選挙のすべて

■ 書籍情報

選挙裏物語―「当選確率80%」スゴ腕選挙コーディネーターが明かす選挙のすべて   【選挙裏物語―「当選確率80%」スゴ腕選挙コーディネーターが明かす選挙のすべて】(#1013)

  井上 和子
  価格: ¥1470 (税込)
  双葉社(2007/06)

 本書は、国会議員の選挙から、海外の国政選挙、地方の村長選挙まで、約200件以上の選挙戦にコーディネーターとして関わった経験を持つ著者が語る、「具体的かつ現実的に、テキストとしても関係者の役に立つような、選挙のプロとして当選に必要な知識や技術、方法論など」です。
 第1章「選挙今昔物語」では、公選法が改正される1994年の7~8年位前まではびこっていた「ここまでやるか!」的なすごい選挙違反として、
・国会議員クラスの裏選対の契約金は2000万円。
・不在者投票「1票1万円」、投票券は「1枚5000円」
・おにぎりの"具"に「1万円札」
などが紹介されています。そして、最近は、選挙違反を気にして「妙なことはやらなくなって」きた理由として、「何千万円、いや何億円と使っても、その『見返り』が期待できなくなった」からであると述べています。
 また、電話部隊が、有権者名簿に「◎、○、△、×」の4段階のマークをつけ、追い込み期には「集中的に△印のところに電話攻勢をかける」ことや、「落ちる候補者」の特色として、
・何より自分が最優先の人
・何事も他人のせいにする人
・他人頼みの人
・他人の苦労が分からない人
・感謝の心がない人
・細かい人
・打算で動く人
等を挙げています。
 第2章「選挙コーディネーターの世界」では、女性の「選挙コーディネーター」として表に看板を出しているのは、日本では著者一人だけであるだけでなく、「日本で最初に、この世界でビジネスを打ち立て」た人物であることを語っています。そして、小学生のときに「言葉の力」でイジメに打ち勝った経験から、弁論部→早稲田大学雄弁会に進み、国会議員の私設秘書になったこと、新卒の若造が秘書というだけでチヤホヤされることに不安を感じて半年で辞職し、「政治家に出したい人を自分で応援する仕事があるじゃないか」と選挙コーディネーターという仕事を始めたことが語られています。
 そして、選挙コーディネーターとして日本で第1号の公選法違反で捕まった事件として、35年前に自民党の元花形議員で女優の山口淑子さんの選挙応援をしたときに、ウグイス嬢にギャラを払ったことで、1カ月間警察の留置場に拘留され、「公選法はなんという理不尽な法律なんだろうという怒りが、胸の中に渦巻いた」と語っています。
 また、選挙コーディネーターの仕事の三本柱として、
(1)調査(支持率、世論調査等)
(2)広報(政策立案、イメージづくり、ポスター・パンフレット製作等)
(3)組織づくり(勝つ選挙と負けない選挙のための組織づくり)
の3点を挙げ、この他に『遊説カー、ウグイス上の派遣、事務所設立といった選挙活動に必要なハード面のツールのレンタルを含め、およそ総合的な選挙ビジネスを展開」していると述べています。
 第3章「あなたも政治家になれる」では、出馬する「必要性と必然性」として、
・自分が出なければならない理由
・他の人でなくなぜ私なのか、その理由
・自分が皆さんのお役に立つ理由
の3点を整理して頭に入れておくことが、有権者を説得する上で必要であると述べています。
 また、著者が独自に作成した「選挙チェックシート」として、
(1)特性要因解析・・・人、組織、環境、方法などの要因をチェックし、なすべき選挙活動の方法を項目立てしたもの。
(2)データ収集・・・投票率・議席数などの<参考データ収集>、支持者分析、他候補との比較など<瀬踏み調査に使用する主な方法>、新聞折込、チラシなど<広報手法の概略の確率>
(3)得票要素チェックシート・・・自分がどの程度の支持を得ているのかを、A=定量的に測れるもの、B=抽象的なもの、C=その他の3つの要素から分析
の3項目を挙げています。
 この上で、著者の仕事は、「これまで列挙した項目を、すべてにわたってチェックしながら、データを集め、分析し、候補者の弱点を見つけ出して、今後の"勝つ"ための活動に生かしてゆくこと」であると述べています。
 さらに、著者が、「長年、さまざまな利害と感情が、時にはのっぴきならないくらいに鋭く衝突し、錯綜する、ドロドロの人間関係の場である選挙の現場に身を投じてきて、その交通整理の任も引き受けて」きたなかで、編み出した「人間の性格やタイプを、ごく単純化して、3つに分類する独自の方法」である、「三人三色の法則」として、
・過去からの継続を大事にする人=「過去型」
・今は今と現実を直視する人=「現実型」
・未来のために今があると考える人=「未来型」
の3つのタイプを挙げ、「この分類法は、恋愛、試験勉強、仕事などさまざまなジャンルに応用可能の法則」であると述べています。そして、具体例として、
・過去型=加藤紘一
・未来型=小泉純一郎
・現実型=石原慎太郎
の3人の政治家を例に挙げています。
 第4章「新しい選挙、そして政治家」では、自民党が、「自ら地盤固めをするために、他人への気遣いや心配り、人間関係の機微に通じている候補者が多い」一方、民主党は「公募」で出てきている人が多いため、「人間関係を築くという面では、著しく欠陥があるタイプ」も少なくないと指摘されています。
 第5章「首長戦あれこれ」では、首長戦では、相手候補のこと、特に「女とカネ」を可能な限り調べ上げ、「インパクトのある致命的な情報なら、それでもう勝負がついたも同然」であり、「そんな決定的な情報がないか調査するのも、選挙の厳しい現実の一面」であると述べています。
 また、まったくの政治の素人から、「市長選に出たい」と言って、一旦市議を2期の途中まで務めた上、市長選で善戦した候補者を紹介し、税理士であったこの候補者が、民間企業の経営者が血の滲むような苦労をして払っている税金があまりにもいい加減に使われていることに対する憤りから出馬したことを紹介しています。
 第6章「現役市長に聞く」では、「首長が変われば、政治が変わる」、「政治が変われば、町が変わる」として、佐賀県鳥栖市の橋本康志市長と、茨城県鹿嶋市の内田俊郎市長のインタビューを紹介しています。
 第7章「選挙必勝の実践ノウハウ」では、著者のように、「大量の組織票を抱える有力候補を相手に戦う新人候補からの仕事が多い立場」では、「新たな票の掘り起こしや相手陣営への揺さぶり、切り崩しが必要」となり、「投票率は勝敗のカギ」であると述べています。
 また、ポスターは、「自然な笑顔で、眼にパワーがあり、動的なものがベスト」であり、「まずは清潔さと力強さを欠いては」いけないと述べています。そして、政治広報を長年やってきた著者のパンフレットは、2万枚近く駅で配付したが、その場で1枚も捨てられなかったものであると語っています。
 さらに、選挙戦では、「見た目」も大切だとして、「政策やその人の人柄が不明のうちは、特に見た目で判断されるもの」であること、候補者よりも奥さんのほうに注目することが語られています。
 そして、基本のトーク法として、
・結論(Plan)→理由づけ(See)→目標・展望(Do)=実現可能な具体論
の三部構成で話し、これに、
・決意と責任
を加えた論法で展開し、逆方向ではいけないと述べています。
 また、組織づくりの必勝パターンは、後援会長が最大のキーパーソンであり、この下に、
・勝つ組織:自分の出身校の関係者、各団体、サークル、ボランティアなど市民型組織
・負けない組織:地縁による地域型組織
の2つを置き、「勝つ組織」は、「つむじ風、旋風を巻き起こして戦うもの」、「負けない組織」は、基礎票を固める選挙を行い、「この両方が有機的に連動し、ワンセットになったときに、初めて車の両輪になり、車がスムーズに走り出」す、と述べています。
 本書は、候補者側の人にとっても、それを選ぶ側の人にとっても、興味深い選挙の機微を知ることができる一冊です。


■ 個人的な視点から

 「当選確率80%」の文字と両目が入った達磨が選挙の雰囲気を伝えてくれる表紙になっています。そう言えば、片目の達磨に目を入れるのには順番があるようで、右目から入れることが多いようです。なお、選挙で始めて達磨が使われたのは昭和5年ということなので、選挙に関しては、まだ100年も経ってない風習だということです。


■ どんな人にオススメ?

・選挙は金だと思っている人。


■ 関連しそうな本

 井上 和子 『勝率八割の選挙請負人が教える劇的!人の心を動かす「三人三色」の法則』
 関口 哲平 『選挙参謀』
 三浦 博史 『最新選挙立候補マニュアル―選挙参謀はいりません』
 三浦 博史, 前田 和男 『選挙の裏側ってこんなに面白いんだ!スペシャル』
 三浦 博史 『洗脳選挙』
 三浦 博史 『舞台ウラの選挙―"人の心"を最後に動かす決め手とは!』


■ 百夜百マンガ

クローズ【クローズ 】

 今度映画になるそうです。「湘爆」のように将来のスターが多数発掘できると良いですが。

投稿者 tozaki : 2007年10月30日 06:00

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