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2007年10月27日

つげ義春旅日記

■ 書籍情報

つげ義春旅日記   【つげ義春旅日記】(#1010)

  つげ義春
  価格: ¥420 (税込)
  旺文社(1983/01)

 本書は、昭和52年に晶文社から発行された『つげ義春とぼく』をベースに改変しなおし、単行本未収録のエッセイ・作品を収録したものです。
 「颯爽旅日記」では、初めての一人旅である東北の温泉めぐりをもとに、「二岐渓谷」「オンドル小屋」「もっきり屋の少女」の3つの作品が生まれたこと、前の2作は、「旅に出る前に大まかな構想があったが、話をもっともらしくするため、実在する場所を使いたい」と思っていたこと、「もっきり屋の少女」はメモしておいた会津の方言が役立ったことが語られています。
 また、群馬県の湯宿温泉では、同行した詩人の正津勉氏が「これでも温泉ですか、絶望的ですね」といいながら、
「もうぼくはここから動けなくなりそうですよ」
「夢も希望もなくなったから、ここで暮らすことにしますよ」
と嘆息していたことを語っています。
 「断片的回想記」では、出版社に持ち込みしていた頃の著者が、「ノイローゼが昂じてマンガ家になる決心をしたくらいなので、もし採用にならなかったら他に生きる道がないような気持ちになっていた」と語っています。
 また、14歳のとき、「ある日ふらりとメリケン波止場へ来て密航をする気になってしまった」と、ニューヨーク行きの日産汽船の日啓丸に潜り込み、畳十畳敷きくらいある煙突の中に隠れたこと、野島崎沖を過ぎたところで発見され、海上保安庁の巡視船で横須賀に連行されたことが語られています。
 さらに、貸本漫画家時代に20歳頃から10年住んでいた錦糸町の下宿では、あっという間に下宿代を2年分溜めてしまい、1日2回の食事を1日1回にしてもらったため空腹に耐えかねたことが語られています。
 「夢日記」では、元プロレスラーの男にかけられた「腰のあたりをスルメが火の上で反り返るように巻かれてしまい、両足は左右に開いたまま」という必殺「スルメがため」の技を掛けられてしまったこと、膝の上あたりのイボのようなものをつまんでみると「細いヒモのようにズルズルと」蛇の尾が出てきて、蛇は「糸の縫い目のようにU状に、胴の一部がももの中にあり、頭部はももの外に出ていた」こと、信濃町駅の駅ビルの3階に「黒川紀章事務所」の大きな看板を目にして「批判的な感情」を持ったこと、「マキはバイトの場所(近所の競輪場の切符売り)がどうしても分からなかったと、九州の地図を開き、鳥尾敏雄氏のいる指宿あたりを指差したこと、等が語られています。
 「猫町紀行」では、甲州街道で「犬目宿」を目指した著者が、迷い込んだ宿場町に、「先ほどと似たようなことをいつかどこかで体験した覚え」を感じ、それが萩原朔太郎の「猫町」を読んだときの体験であったことが語られています。
 巻末に収められている対談「つげ式生活の最近」では、藤枝や焼津よりも「房総の方が、もう断然すごいですよ」という理由として、「海岸線ですね。それからあと、漁村、集落が素朴でね」「房総の方に行くと、わりと素朴な漁村なんてあるし」と語っています。
 また、「夢日記」にエロチックなものが多い理由として、「エロチックなものっていうのが、なんとなく印象に強く残るし、そういうの入れた方が読む方も面白いんじゃないかなって、そういう配慮もあるしね」と語っています。
 本書は、他の全集や総集編との重複はありますが、著者の「旅もの」にはまりたい人、旅のお供には最適な一冊です。


■ 個人的な視点から

 今週末は、大阪まで出かけるのですが、残念ながら夜行バスの旅。本をお供にするわけにはいかないようです。
 以前、九州まで飛行機で行ったときは8冊本を持っていったのですが、行きでほとんど読んでしまって、帰りにひたすら重くて宅急便で送り返そうかと思ったほどでした。


■ どんな人にオススメ?

・つげ的な旅にはまりたい人。


■ 関連しそうな本

 高野 慎三 『つげ義春を旅する』 2007年10月07日
 つげ 義春 『つげ義春の温泉』
 つげ 義春 『貧困旅行記』
 宮本 和義 『和風旅館建築の美』 2007年09月30日
 高野 慎三 『郷愁 nostalgia』
 高野 慎三 『旧街道』


■ 百夜百音

ザ・ワイルド・ワンズ【ザ・ワイルド・ワンズ】 ワイルド・ワンズ オリジナル盤発売: 1996

 どうしても大ヒット曲「想い出の渚」ばかりが頭に浮かびますが、今になって聴き直すとGSはカッコイイです。ファントムギフトやレッドカーテンが活躍したネオGSブームから20年経った今、もう一度評価されてもいいのかもしれません。

『加瀬邦彦&ザ・ワイルドワンズin武道館 2006.11.2』加瀬邦彦&ザ・ワイルドワンズin武道館 2006.11.2

投稿者 tozaki : 2007年10月27日 06:00

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