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2007年10月28日

復刊ドットコム奮戦記-マニアの熱意がつくる新しいネットビジネス

■ 書籍情報

復刊ドットコム奮戦記-マニアの熱意がつくる新しいネットビジネス   【復刊ドットコム奮戦記-マニアの熱意がつくる新しいネットビジネス】(#1011)

  左田野 渉
  価格: ¥1785 (税込)
  築地書館(2005/7/29)

 本書は、「『絶版』『品切れ』のため、手に入らなかった書籍を投票により復刊させよう、というサイト」である「復刊ドットコム」の、「様々な試行錯誤の繰り返し」を語ったものです。
 第1章「復刊ドットコムストーリー」では、2000年の6月に「復刊ドットコム」を開設し、提携可能なコミュニティを持つ会社として、
・「紫式部」
・「EasySeek」
・「たのみこむ」
の3つをピックアップし、この中から「EasySeek」を運営するビズシークを選んだことが語られています。
 また、復刊の交渉をしていく中で、絶版になるには、
(1)経済的な理由・・・コストのかかる復刊は、よほどの数が売れないとペイしない
(2)著者側の理由・・・差別用語の使用、解散したバンドメンバーへの許諾、編集者と著者の感情的な軋轢、著作権継承を巡る親族の紛争、版権エージェントの契約切れなど
の2つの理由があることがわかったと述べています。
 そして、古書売買の世界で伝説になっていた「ダル物」こと「ダルタニャン物語」が、差別用語が頻出していて出すに出せない状態であったことから出版元が後込みし、全11巻をブッキング発売で復刊することを決めたことが語られ、このことが、ブッキングにとって、ブッキング自身が出版権を獲得するライツビジネスの領域に踏み込んでいくという、「新しいステージを意味」したと述べられています。
 著者は、復刊ドットコムを、「品切れ書籍へのリクエストという見えない市場ニーズを顕在化するサイト」であると位置づけ、「編集者の企画の泉」ともなると述べています。そして、なかには、復刊ドットコムの投票を勝手に参考にして、「他社の出版物を復刊・刊行する企画のアイデアに用いている出版社」もあると指摘しています。
 また、復刊ドットコムが、「不況といわれる出版業界の中で、唯一成功したベンチャー企業」であると述べ、その成功の秘訣として、
(1)提携先であるEasySeek(現「楽天フリマ」)とのアライアンス
(2)会員制度
(3)相互リンク
の3点を挙げています。
 そして、2001年春には、「われわれが思っても見なかった現象」として、「絶版本の復刊を交渉し、販売し、元の出版社がダメなら出版もしてしまおうという出版社を志向していたつもりだったのが、単品なら、いつの間にか日本で最も力のあるネット書店になっていた」と述べ、その発端が、5万円以上もする「スヌーピーブックス」全86巻が初回予約で300セット以上の注文を集めることができたことであったと語っています。
 第2章「人気本の秘密」では、「いかに希少感のある書籍を、復刊にせよ新刊にせよ、提供できるかが課題であると結論」づけています。
 また、投票ランキングの上位3傑として、
(1)岡田あーみん:先生と連絡が付くのは集英社の数名の編集者のみ
(2)手塚治虫:表現上の問題から先生自身が封印された作品群
(3)藤子不二雄:藤子・F・不二雄先生の作品復刊を望む声が強い。
の3人を挙げています。
 さらに、業界では「ボンコロ」と呼ばれている小学館「コロコロコミック」と、講談社「コミックボンボン」の作品が、幼稚園児から小学校中学年くらいまでを対象としているため、子供たちのお小遣いでは単行本を全館そろえることができず、「大人になって自由に使えるお金を手にした今、彼らは、子供時代に買えなかった『ボンコロ』コミックに飛びつく」のだと解説しています。
 第3章「復刊にまつわるエピソード」では、復刊が難しい本の事情として、
(1)差別用語が多く出てくる作品
(2)著者がお亡くなりになって、その著作権継承者の行方が不明
(3)本人や一緒に被写体になっている方が復刊を拒否した写真集
(4)外国作品で、版権エージェント経由での出版契約がすでに失効している
等の事情を挙げ、具体例として、
・『キャンディ・キャンディ』
・岡田あーみんの単行本未収録作品群
・藤子・F・不二雄ランド
・『ブラック・ジャック』の単行本未収録作品
等を挙げています。
 また、絶版の理由として、
・経済的な事情
・トラブル系の理由
の2つを挙げ、前者の例として、「藤子不二雄ランド」「ドラゴンランス」シリーズ、「江戸川乱歩推理文庫」など、あまりにも巻数が多いためにその資金負担額の大きさに出版社がたじろいでしまうものを挙げています。
 第4章「本好きのためのパラダイスとは」では、「インターネットによってもたらされたコンテンツへのニーズを、インターネットを使ってダイレクトに流通させること」が、復刊ドットコムの究極の使命ではないか、と述べています。
 そして、理想型と考えている組織として、
(1)イギリスで発祥した生活協同組合
(2)神戸に本拠地を置くフェリシモ(通信販売大手)
の2つを挙げています。
 本書は、本が好きな人、特に思い出の本にもう一度会いたいと考えている人には是非一読をお薦めする一冊です。


■ 個人的な視点から

 色々とこじれたり、儲からなかったりで本が出ていないところに交渉に行くのですから社員の皆さんには頭が下がります。Web2.0の話で言えば「ロングテール」の部分を数をまとめていく会社ということもできるでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

・探している本になかなかめぐり合えない人。


■ 関連しそうな本

 安藤 健二 『封印作品の謎』 2006年04月02日
 安藤 健二 『封印作品の謎 2』
 森 達也 『放送禁止歌』
 メディア総合研究所 (編集) 『放送中止事件50年―テレビは何を伝えることを拒んだか』
 荻野 友大, なかの 陽 , 白石 雅彦 , 西村 祐次, 円谷プロダクション 『怪奇大作戦大全』
 石橋 春海 『封印歌謡大全』


■ 百夜百音

ザ・ファントムギフトの世界【ザ・ファントムギフトの世界】 ファントムギフト オリジナル盤発売: 1987

 ネオGSブームの代表的なバンドでしたが、今聴いてもまったくかっこいいじゃないですか。解散後も皆さん活動しているのも素晴らしいです。

『ザ・ファントムギフトの奇跡』ザ・ファントムギフトの奇跡

投稿者 tozaki : 2007年10月28日 22:00

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