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2008年01月11日
県庁を変えた「ひとり1改革運動」―みんなで改革・大きな成果
■ 書籍情報
【県庁を変えた「ひとり1改革運動」―みんなで改革・大きな成果】(#1086)
静岡県, 静岡総合研究機構
価格: ¥2520 (税込)
時事通信出版局(2007/10)
本書は、「新しい行政マネジメントの手法(ニュー・パブリック・マネジメント:NPMと呼称)を他県に先駆けて構築して、10数年にわたり推進してきた」静岡県の行政改革に「魂を入れている」、「全員参加の改革運動、『ひとり1改革運動』」で提案された優秀事例を紹介しているものです。
第1章「『ひとり1改革運動』と静岡県の新公共経営(NPM)」では、「ひとり1改革運動」が、「職員一人ひとりが身近な業務を見直して、改革改善の行う運動」であり、そのスローガンは、
・「速く」(Speed):仕事を処理する工夫をします。
・「ムダなく」(Cost):作業量や書類などを少なくします。
・「いい仕事」(Quality):県民の視点に立った質の高い仕事をします。
の3点であること、平成10年度の運動開始から平成18年度までの累計では75,789件の取組みがあり、平成16~18年度の3年間の累計では全国1位であることなどを紹介しています。
そして、運動の秘訣として、
(1)楽しむ
(2)手間をかけない
(3)仕事を楽にする
(4)マネ・パクリ大歓迎
(5)褒める
(6)後押しする
の6点を挙げています。
また、「改革のヒント」として、「弓桁の6ヶ条」として、当時企業局西遠事務所湖西出張所長だった弓桁氏がまとめた、
(1)改革することは面白い
(2)感じて見つける改革
(3)自分の立場で発想しよう
(4)県民の立場で考えよう
(5)もっと気楽に考えよう
(6)アイデアは真面目と不真面目の間にある
の6ヶ条を紹介しています。
さらに、「ひとり1改革運動」が成果を挙げている要因として、静岡県では1980年代前半にも「QCA (Quality Control of the Administration)」という呼び名で、QC手法を現場に導入する運動をした経験があり、その反省から、
(1)パソコンを使って提案の手間を最小化した
(2)他の部署や職員のマネ・パクリを推奨した
(3)自分の仕事を楽にする改革・改善に焦点を当てている
(4)表彰と発表機会を設けて取り組みへのインセンティブを高めている
(5)毎年重点テーマや表彰項目を変え、新味を出すことに努めている
の5点を挙げています。
第2章「『ひとり1改革運動」の取り組み事例」では、過去9年間に表彰された約200件の事例の中から代表的な63件の事例を紹介しています。これらは、
(1)顧客志向(利用者の立場から考える)
(2)新しい発想(前例に捉われない斬新なアイデア)
(3)情報発信(工夫して伝える)
(4)協働(セクションを越えた連携を考える)
(5)合理化(やめる・へらす・かえる)
という考案者の発想の視点による5つのカテゴリーで分類されています。そして、「ひとり1改革運動」が、「野球にたとえれば、一発ホームランを狙うのではなく、シングルヒットからコツコツと得点を狙うようなアプローチ」であると解説しています。
まず、「顧客志向」の発想による事例としては、浜松財務事務所納税第2課が、滞納の原因を分析したところ、「平日に銀行に行くことができない若年単身者や日本語が分からない外国人に滞納が多いこと」が判明したことから、
・夜間納税相談窓口を月末に定期開設
・ポルトガル語と英語のチラシを作成
等の取り組みを行なった結果、平成16年10月末の夜間窓口開設から平成19年6月までに、298件、1,433万円が納付され、自動車税の滞納額も、平成17年度、18年度と減少を続けていることが紹介されています。
次に、「新しい発想」の事例としては、大井川橋を渡ってすぐの交差点で右折車を原因とする渋滞が起こっていたことに対し、通常の対策である右折レーンの設置では、橋の拡幅工事が必要となり、多くの工事費と工事機関が必要となるため、「右折車両をいったん左折させ、回転広場で方向転換させる」という試みを実施し、橋梁工事では15億円かかるところを、4,600万で実現、1日でもっとも混む時間帯の通過時間を14分58秒から7分30秒に短縮させたことが紹介されています。
「情報発信」では、東海地震等の大規模災害時の災害情報の発信にあたり、静岡県のインターネット用の設備は静岡県内に設置されていて、災害時に使用できなくなる恐れがあり、県外に設置する場合には多額の費用がかかるため、ヤフーと協定を結び、全国に分散して設備を利用した情報発信を可能にしたことが紹介されています。しかも、利用料はヤフーの好意により無料となっているため、新たに設備を設置した場合にかかる1億2,000万円の初期費用と、年間2,000万円の設備維持費を節減できたと述べています。
また、農業振興のための情報を報道機関に積極的に提供した結果、どれだけの広報効果があったかを広告料に換算し、職員全員に周知を図ったことが紹介されています。
さらに、話題になった「振り込め詐欺」防止のための大阪弁の女性3人の「それ詐欺やで」のCMでは、放送を開始した平成16年12月の県内の被害件数が8件と初めて1ケタ台に減少し、マスコミでも大きく取り上げられたため、CM料金に換算すると1億円以上の露出があったことを紹介しています。
「オレオレ詐欺の防止」CM
http://bb.pref.shizuoka.jp/player/player.asp?con_id=137&play_flg=bb
「協働」の事例では、肥えた土が必要な茶園区画整理工事現場から出た硬い土と、硬く締め固まる土が必要な林道整備工事現場で発生した肥えた赤土を相互に利用することで、発生土の処理費用など2,300万円の事業費の縮減に成功したことが紹介されています。
「合理化」の事例では、「本庁の電話回線に単独事務所の開戦を追加する契約に変更すること」でNTTの大型割引サービスである「ワリマックス」を受けられるようにした事例や、県立大学で外部資金研究費を管理するに当たって、振込み手続をインターネットバンキングで行なうことで振込手数料を年間66万円節約した事例を紹介しています。
本書は、1件1件は地味な取組みが、継続され積み重なることで、派手さはなくても大きな成果を挙げることができることを教えてくれる一冊です。
■ 個人的な視点から
「お役所仕事」と揶揄される県庁や市役所の職場でも、小さな改善を毎年積み重ねて毎年毎年前に進んでいます。そうした姿をこういった形で一冊の本にまとめることは、紹介された人たちにとってものすごく励みになったのではないかと思います。
■ どんな人にオススメ?
・お役所仕事はいつまでも進歩がないと思う人。
■ 関連しそうな本
福山 嗣朗 『NPM実務の考え方・進め方―効率的・効果的な政策形成・実施・評価改善』 2007年09月21日
大住莊四郎 『ニュ-・パブリック・マネジメント 理念・ビジョン・戦略』 2005年01月23日
大住 荘四郎 『パブリック・マネジメント―戦略行政への理論と実践』 2005年05月06日
石井 幸孝, 上山 信一 『自治体DNA革命―日本型組織を超えて』
若松 茂美, 織山 和久, 上山 信一 『変革のマネジメント―明るい「リストラ」を考える』 2005年08月10日
南 学, 上山 信一 『横浜市改革エンジン フル稼動 中田市政の戦略と発想』 2005年04月13日
■ 百夜百マンガ
泪・瞳・愛の三姉妹で幅広い好みに対応するヒロイン設定のやり方は、数が増えまくったモー娘。だったり、いつの間にかセーラームーンみたいになっていたプリキュアだったりと様々なバリエーションを持っています。
投稿者 tozaki : 2008年01月11日 21:00
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