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2008年01月27日

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来

■ 書籍情報

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来   【若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来】(#1102)

  城 繁幸
  価格: ¥735 (税込)
  光文社(2006/9/15)

 本書は、多くの若者が口にする「閉塞感の正体」を指し示すことで、「自分が人生地図の中でどの位置にいるのか」を理解することを助けることを目的としたものです。
 第1章「若者はなぜ3年で辞めるのか?」では、日本全体を包み込んできた「昭和的価値観」にとって何より重要なものが、「本人の能力やそれによる収入ではなく、『あるシステムに乗っかっているかどうか』」であると述べています。
 そして、「昭和的価値観の中では勝者と言っても差し支えない」正社員としての地位を確保した若者たちの中に、「わずか数年で途中下車してしまう人間が急増している」として、「大卒入社3年以内で36.5%」に達することを指摘しています。
 著者は、企業の人事担当者が若者を語った話の中に、"わがまま""忍耐不足"という単語が頻繁に登場していることを指摘し、「このニ語こそ、若者たちが企業から途中下車する理由を説明するキーワードになりそうだ」と述べています。そして、90年代末の就職氷河期に、学生の姿勢に変化が表れ、「明確なキャリアプランを持ち、そのために努力し、厳選採用に対応して正社員としての地位を獲得できるグループ」が、「就職までのプロセスにおいて、あまりにも『仕事に対する意識』が高くなりすぎている」ため、「彼らが入社後、希望していた業務と実際に割り振られた業務にギャップがあった場合、強烈なフラストレーションを抱え込むことになる」と解説しています。一方で、企業の人事部が、「入口で厳しく要求する能力など、半分くらいの若者、いや、ひょっとすると大半の若者には、生涯発揮する機会すらないのではないか」と指摘しています。
 そして、年功序列のシステムが崩壊し、「半数以上の人間は"働き損"で終わること」になり、「彼が受け取るのはポストではなく、やり場のない徒労感でしかない」ことが、「若者が会社を途中下車する最大の理由」であると述べています。
 第2章「やる気を失った30代社員たち」では、就職氷河期を経験した世代からは「温室育ち」と揶揄されるバブル世代を、「もっとも貧乏くじを引いた存在」であると述べ、「バブル世代ほど、年功序列というレールを深く信頼しきっていた世代はおそらく他にないだろう」と指摘しています。
 そして、30代でのメンタルトラブル発症率の高さの原因として、「モチベーションの消失」を挙げ、「企業の中でレールに乗って順調に先に進めるか、それとも完全にキャリアパスが止まってしまうのか」が自分ではっきり分かる年齢が、「大方の企業において30代」であることが、「企業内で30代が壊れていく最大の理由だろう」と述べています。
 第3章「若者にツケを回す国」では、バブル崩壊後、人件費抑制のために採用を抑えた企業にとって、「いままでよりずっと安い賃金で、ずっと下っ端のままこき使える存在」が、「1990年代、長引く不況の中で、企業側の強い圧力により新しく作り出されて」いったとして、「派遣社員と呼ばれる新しい形態の労働者集団」を解説しています。
 そして、「若者を切り捨てたのは、なにも年老いた欲深い経営者だけではない」として、「労働組合も、まだ組合費を払っていない将来の組合員には冷酷そのものだ」と述べ、
「若い人間は必要だ」(経営者)
「でも、リストラや賃下げは絶対に認められない」(労働組合)
という両者の声の妥協の産物が、「派遣や請負などの非正規労働者の増加」であると指摘しています。
 第4章「年功序列の光と影」では、就職先を決めないまま大学を卒業してしまった「既卒」扱いの若者たちが、「ほとんどの企業で『既卒者は門前払いされる』ことになる」として、東京大学法学部を卒業し、司法試験浪人をしていた若者の例を挙げています。そして、「企業が年功序列に固執する限り、彼らが正社員になれる可能性は今後も低いだろう」と述べています。
 著者は、「年功序列制度の本質」を、「ねずみ講」であると指摘し、「『若いうちは我慢して働け』と言う上司は、いわば若者をそそのかして人生を出資させているようなものだ」と述べています。
 第5章「日本人はなぜ年功序列を好むのか?」では、豊臣秀吉が作った制度であり、「ある大名が、自分の許可なく勝手に過信を辞めた人間を"奉公構い"扱いと宣言したとする。すると、どんなに有能であっても、他家は決して彼を採用できない仕組み」である「奉公構い」という制度を紹介し、現代でも、同業の大手企業同士が「現役社員については、お互いに中途採用しない」ことを取り決めていた例を挙げ、「やたら熱心に結婚を勧める」「早くマイホームを買えと言う」ことも理由は同じで、「足につける重しという意味では、奉公構いと変わらない」と解説しています。
 そして、企業がそこまでして従業員を囲い込むメリットとして、労働の量そのものを挙げ、数年前、日本の年間総実労働時間がアメリカを下回ったという調査に、
(1)パートタイマーもカウントされている。
(2)年俸制や裁量労働制といった、時給という概念のない新しい勤務形態が増えている。
(3)この統計自体が、給与支払い実績を元に作成されており、サービス残業分はカウントされていない。
という留意点があることを指摘し、「平均的な日本人は、今でも欧米人の1.5倍程度は働いている計算になる」と述べています。
 第6章「『働く理由』を取り戻す」では、「日本型教育システムにおける優秀層の人間ほど、逆に自らの動機が希薄なように思えることがある」として、「むしろ、彼らは動機を失うことで、その地位を手にしたのかもしれない」と述べています。
 そして、国内最大手の生命保険会社を1年で辞め、政治家に転身した若者、ソニーを退職しベンチャー企業を起こした若者、フリーター生活からライターになり友人たちと編集プロダクションを立ち上げた若者、の3人の例を紹介し、「一見すると彼らの行動基準はてんでんばらばら」だが、「常に自分の動機と真剣に向き合っていることがよくわかる」、「彼らが義務を負っているのは、他の何者でもない、自分自身の内なる動機に対してだ」と述べています。
 著者は、本書を、「これほど希望に満ちた明るい書はない」と述べ、「本書を読んで胸が躍る代わりに、不安にさいなまれたという人」は、「例の昭和的価値観」を捨てなければならない、と述べ、「それさえ捨てることが出来れば、実はわれわれには、先人たちにはない、ある貴重な宝物があることに気づく」として、「自分で道を決める自由」を挙げています。
 本書は、若者が直面している人生に対する閉塞感の原因をわかりやすく解説した一冊です。


■ 個人的な視点から

 著者は元々、大企業における成果主義の実態を世の中に明らかにした告発本で有名になっただけに、労働組合などから講師に招かれることが多いようなのですが、著者自身は、成果主義自体には反対ではなく、成果主義が徹底されていないことに対して告発したつもりがあったようで、思惑をはずしてしまった労働組合関係者はずいぶん戸惑ったのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・入社3年以内の若者と学生。


■ 関連しそうな本

 城 繁幸 『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』 
 城 繁幸 『日本型「成果主義」の可能性』 2005年12月08日
 高橋 伸夫 『虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ』 2005年3月30日
 高橋 伸夫 『〈育てる経営〉の戦略―ポスト成果主義への道』 2005年06月16日
 本田 由紀 『若者と仕事―「学校経由の就職」を超えて』 2006年03月02日
 玄田 有史 『仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在』 2005年07月20日


■ 百夜百音

TOKIO【TOKIO】 沢田研二 オリジナル盤発売: 1979

 よくよく見るとタケちゃんマンの衣装だということをはじめて知りました。ナハナハ。タイマーズのゼリーとは別人のようです。

『MIS CAST』MIS CAST

投稿者 tozaki : 2008年01月27日 22:00

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