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2008年01月24日
社会的責任のマーケティング―「事業の成功」と「CSR」を両立する
■ 書籍情報
【社会的責任のマーケティング―「事業の成功」と「CSR」を両立する】(#1099)
フィリップ・コトラー, ナンシー・リー (著), 早稲田大学大学院恩藏研究室 (翻訳)
価格: ¥3570 (税込)
東洋経済新報社(2007/08)
本書は、企業に対して多く寄せられる「社会的コーズ(主張)への支援」を求めた提言や要望への対応に追われている企業の経営層、管理者、担当スタッフが円滑に意思決定を行うための手引書としてまとめられたものです。
第1章「よきことを行なう」では、「企業の社会的責任(CSR : Corporate Social Responsibility)」を、「企業が自主的に、自らの事業活動を通して、または自らの資源を提供することで、地域社会をよりよいものにするために深く関与していくこと」と定義するとともに、「企業の社会的取り組み」を、「社会的コーズへの取り組みを支援し、社会的責任を果たすために企業が行う主要な活動」と定義しています。
また、企業が社会的コーズに取り組むことの潜在的ベネフィットとして、
・売り上げや市場シェアの増加
・ブランド・ポジショニングの強化
・企業イメージや評判の向上
・従業員にとっての魅力度や労働意欲の向上と離職率の低下
・コストの削減
・投資家や金融アナリストに対するアピール力の強化
等を挙げています。
第2章「企業の社会的取り組み――6つの戦略オプション」では、社会的責任に関連する、もっとも主要な取り組みとして、
(1)コーズ・プロモーション
(2)コーズ・リレーテッド・マーケティング
(3)ソーシャル・マーケティング
(4)コーポレート・フィランソロピー
(5)地域ボランティア
(6)社会的責任に基づく事業の実践
の6点を挙げています。
第3章「コーズ・プロモーション―社会的な主張に対して意識と関心を高めること」では、コーズ・プロモーションを、企業が、「資金、物資、その他のさまざまな企業資源を寄付することにより、自らの社会的コーズ(主張)に対する意識や関心を高め、この主張のための資金調達、人々の参加、ボランティアの人材募集を支援する」と定義しています。
そして、企業のコーズ・プロモーションがフォーカスを当てるコミュニケーション対象として、
・意識と関心を高める
・よりくわしく知るよう呼びかける
・時間を提供するよう呼びかける
・寄附金を募る
・金銭以外の寄付をするよう呼びかける
・イベントに参加するよう呼びかける
等を挙げています。
第4章「コーズ・リレーテッド・マーケティング―製品の売上げを通してされる社会貢献」では、コーズ・リレーテッド・マーケティング・キャンペーンを、「企業が製品の売り上げから得られた利益を何らかの組織に寄付すること」と定義しています。
そして、一般的なものとして、
・個々の製品の売り上げに応じて一定額の寄付を行なう
・すべての申込や口座開設に応じて一定額の寄付を行なう
・製品の売り上げや取引における一部を慈善団体へ寄付する
・時には公表せずに、売り上げの一部を慈善団体へ寄付する
・製品と関連した事柄に結びつけ、消費者に寄付させる
・製品の売り上げにおける純利益の一部を寄付する
・特定製品や複数の製品で寄付を行なう
・特定の期間、あるいは無期限で寄付を行なう
・売上げに対して寄附金の上限が句を設定する
等を挙げています。
また、コーズ・リレーテッド・マーケティングの取組みがもっとも成功する場合として、「企業がコーズや慈善活動との間に刺激的で、理想としては長期的な関係を構築し、さらにこの取り組みが製品に統合的に反映される状況」を挙げ、例として、「ある救命胴衣メーカーが何年もの間、子どもの水難防止への社会的取り組みに、地域の小児病院とパートナーになっているシナリオ」について検討しています。
第5章「ソーシャル・マーケティング―行動改革キャンペーンの支援」では、ソーシャル・マーケティングを、「公衆衛生・治安・環境・公共福祉の改善を求めて、企業が行動改革キャンペーンを企画、あるいは実行するための支援手段のこと」と定義しています。
そして、企業にとっての潜在的なベネフィットとして、「ブランド・ポジショニングを括弧たるものとし、ブランド選好を創造し、取引を構築し、販売量を増加させるといったマーケティングの目標や目的と一致している」と述べ、「時には本物の社会的インパクトを生み出すなど、マーケティングの成果を越えたベネフィットが得られることもある」と解説しています。
また、戦略的にソーシャル・マーケティング計画を企画するためのステップとして、
(1)状況分析を実施せよ
(2)ターゲットとする人々を選択せよ
(3)行動目的(望ましい行動)を行動改革の目標を設定せよ
(4)行動改革に対する障壁やモチベーションについて決定せよ
(5)製品・価格・チャネル・プロモーション戦略といったマーケティング・ミックスを策定せよ
(6)評価とモニターのための計画を立案せよ
(7)予算を決定し、資金提供スポンサーを見つけよ
(8)実行プランを完遂せよ
の8点を挙げています。
第6章「コーポレート・フィランソロピー―コーズに対する直接的な寄付活動」では、コーポレート・フィランソロピーを、「企業が慈善団体やコーズに対して行う直接的な寄付行為であり、多くの場合、現金、製品、サービスなどの寄付という形で実施される」と定義しています。
そして、この取り組みに大きな強みとして、「企業の名声と評判の向上、労働力の獲得と維持、地域における社会的課題に対する影響力、当該企業が従事している社会的取り組みの効果の増大」を挙げています。
第7章「地域ボランティア―従業員は自らの時間と能力を提供している」では、地域ボランティアを、「従業員、取引先企業、フランチャイズ企業が、地域のコミュニティ組織やコーズを支援するために自らの時間を進んで提供することに対し、企業が支援・推奨するという取り組みである」と定義しています。
そして、ボランティアへの取り組みにおける成功の鍵として、「親しみ(familiar)」を挙げています。
第8章「社会的責任に基づく事業の実践―コーズを支援するための自主的な事業活動と投資」では、社会的責任に基づく事業を、「環境保護やよりよい地域社会の実現といった社会的コーズ(主張)の支援を目的とする自主的な事業活動や投資のこと」と定義しています。
また、「企業が社会的責任に基づく事業にいざ取り組むとなると、動機が疑問視されたり、活動に厳しい評価がなされたり、結果が細かく調べられたりする」という専門家の警告を紹介し、「企業のマネジャーは、疑いや批判を受ける前に取り組むこと、社会的ニーズだけでなくビジネス・ニーズとも適合したい課題を選ぶこと、長期的にコミットメントすること、従業員の熱烈な支持を得ること、約束を達成するための体制づくりをすること、オープンで、正直で、直接的なコミュニケーションを行なうこと、などにより人々からの疑いや批判を減らすよう全力で努力しなければならない」と述べています。
第9章「25のベストプラクティス―企業とコーズに対して最もよきことを行うために」では、25のベストプラクティスを取り上げたうえで、これらのインタビューの中での「もっとも重要であると思われるアドバイス」として、「社会的取組みに対する全社的ガイドラインを含む公式資料を作るべき」であることを挙げています。
第10章「企業から資金援助や支援を獲得するための10の提案―マーケティング・アプローチを用いる」では、企業経営者たちに、
・企業が社会貢献活動に求めているベネフィットとは何か
・表立っては言わない関心事とは
・社会支援に取り組みたいと思わせる状況とは
・複数の社会的取り組みの中から支援すべきものをどのように選ぶのか
・申し出をどのように評価するのか
・パートナーに何を望み、何を期待しているのか
などの点を質問した結果、返ってきた答えをベースに10の提案を示しています。
本書は、企業の社会的責任を、いかに事業の成功に結びつけるかを考えるヒントを与えてくれる一冊です。
■ 個人的な視点から
「CSR」というと企業が慈善事業に寄付をする、というような認識をされることが多いように思われますが、本書を読むと、企業が営利の事業活動を通じて、社会にいかに貢献できるか、社会を変えることができるのかが伝わるのではないかと思います。
■ どんな人にオススメ?
・CSRとは企業に金をせびることだと思っている人。
■ 関連しそうな本
フィリップ コトラー/ナンシー リー (著), スカイライトコンサルティング (翻訳) 『社会が変わるマーケティング――民間企業の知恵を公共サービスに活かす』
フィリップ コトラー, エデュアルド L. ロベルト (著), 井関利明(監訳) 『ソーシャル・マーケティング』 2005年02月14日
谷本 寛治, 田尾 雅夫 (編著) 『NPOと事業』 2005年01月28日
上山 信一 『「政策連携」の時代―地域・自治体・NPOのパートナーシップ』 2005年03月28日
沢 昭裕, 経済産業研究所『公を担う主体としての民』研究グループ (編集) 『民意民力―公を担う主体としてのNPO/NGO』 2005年05月18日
D. ヘントン, K. ウォレシュ, J. メルビル (著), 加藤 敏春 (翻訳) 『市民起業家―新しい経済コミュニティの構築』 2005年03月15日
■ 百夜百マンガ
あの「国民的漫画」のリメイク作品です。とは言え、ライバルを主人公にしているので、リメイクというよりサブストーリーとか外伝の類ではないかと思います。
個人的にはぜひ、「左門」も作って欲しいものです。
投稿者 tozaki : 2008年01月24日 07:00
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