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2008年01月23日
オバサンの経済学
■ 書籍情報
【オバサンの経済学】(#1098)
中島 隆信
価格: ¥1575 (税込)
東洋経済新報社(2007/04)
本書は、「オバサンになることも女性の合理的な選択の結果であり、それについて周りがとやかく言う必要はないのではないか、また、オバサンがこの世に存在する以上、何か世の中の役に立っているのではないか」という思いから書かれたものです。
著者は、「オバサン」を、「女性らしさの維持の放棄」と定義したうえで、「オバサンの経済学」の目的を、「なぜ女性がオバサン化することを決断するのかを明らかにしたうえで、それが女性の自由な選択に基づくものなのか、あるいは何らかの社会の歪みを反映したものなのかを解明することである」と述べています。
第1章「オバサン誕生のメカニズム」では、「経済学的な視点に基づき、女性がオバサンになるかならないかは女性自身の決断によるものと考える」と述べ、女性らしさを長期間維持することのコストとメリットの観点から、「女性がオバサン化するメカニズム」を解明しています。
そして、近代以降に定着した家庭内分業が、「行政による制度上の後押しもあって女性のオバサン化を促進してきた」と述べ、「現代では、そうした制度の歪みが女性の晩婚化という形で表れてきている」と解説しています。
第2章「オバサンの働き方」では、オバサンが活躍している仕事として、
(1)家政婦
(2)土木作業者
(3)清掃員
(4)マンション・アパート等管理人
(5)飲食店主
(6)会社役員
(7)小売店主
(8)理容師
(9)浴場従事者
(10)集金人
などを挙げた上で、「これらの仕事でオバサンが多数を占める」理由として、
(1)家事労働などオバサンの持っている能力が職場で重宝されている。
(2)育児能力
(3)女性らしさを放棄している
などの点を挙げています。
一方で、オバサンが少ない職業として、
(1)歯科衛生士
(2)電子計算機等オペレータ
(3)デザイナー
(4)キーパンチャー
(5)記者、編集者
(6)臨床・衛生検査技師
(7)保健師
(8)医師
(9)養護学校教員
(10)幼稚園教員
の10点を挙げ、こうした職業でオバサン世代が少ない理由として、
(1)女性にとって結婚後の職場復帰が難しい。
(2)これらの専門職では、家事や育児とはとても両立できないほど多忙を極める。
(3)これらの専門職にある女性は結婚するチャンスに恵まれている。
などの点を挙げています。
また、「労働力としてのオバサンは社会にとってきわめて便利な存在である」として、
(1)オバサンは極めて安価な労働力資源となっている。
(2)家事と子育ての経験があり、ある程度の就労体験を持つオバサンの人的資本の便利さ。
などを挙げています。
第3章「経済人としてのオバサン」では、「既婚の無業女性がオバサン年齢に達したときの生活時間の変化」として、「育児が2時間丸々減少し、そのかわりにテレビ視聴・雑誌購読などが1時間以上、趣味・娯楽が20分程度増加している」ことに着目し、「この大きな変化こそがオバサンの生活者としての行動を解明する鍵になる」と述べています。
そして、「オバサンの時間コストは一般的に低い」と考え、「時間をかけて市場調査する余裕が生まれる」ために価格に敏感になると述べています。
また、「経済活動における摩擦的なコスト(取引コスト)をもたらす要因」となる「他人の目に対する羞恥心」がないオバサンは、「経済学が想定する最も単純な合理的経済人そのものである」と述べています。
著者は、「オバサンほど自らの欲求の充足のために合理的に行動している人たちはいない」と述べたうえで、「オバサンは特別な存在ではない」として、「われわれは状況次第で誰でもオバサン化する可能性があることを知っておかなければならない」と指摘しています。
第4章「お母さん、オバサン、おばあさん」では、「『お母さん』→『オバサン』→『おばあさん』という流れ」を想定し、「この変化の過程で女性の合理的行動にどのような変化が見出されるか」について検討しています。
そして、「一卵性母娘」のような「子育てが終了していないお母さん」は、「女性らしさを維持するインセンティブが高いため、いつまでもオバサンにはならない」と述べ、「オバサンになった女性は精神的な子育ての終了を宣言しているのである」と述べています。
第5章「オバサンとオジサン」では、「女性はオバサンになることを選択することによって中性化し、性的な特徴が表に出なくなっていく」一方で、「男性の場合は、オジサンになると外見上のたくましさ、格好よさ、そして清潔感などが失われていくにもかかわらず、相変わらずホルモンは分泌され続けるため、性的な機能だけが目立つようになる」と述べ、オジサンを、「若さを失った後も性を捨てることの出来ない存在として生き続けなければならない男性」と定義しています。
そして、オジサンが「イヤらしい性を素敵な性に転換すること」によって「オジサマ」になるという選択肢を示しながらも、
(1)見た目の身体的特徴が第一条件
(2)オジサマという評判を勝ち取り、それを維持するにはコストがかかる
などの難しさがあることを指摘しています。
また、近年登場した「ちょい不良(ワル)オヤジ」という選択肢について、「女性に気に入られるような男らしさを徹底的に追求」するという、「オジサンのマイナスイメージを払拭したい中年男性にとって極めて巧妙な戦略」であると述べています。
さらに、熟年離婚の増加について、「突如として日本の中高年夫婦の仲が悪くなったため」ではなく、「単に離婚のコストが下がった結果に過ぎない」と指摘しています。
第6章「オバサンに未来はあるか」では、働く女性の増加や専業主婦のモチベーションの低下などを挙げ、「女性にとってオバサンになることのコストが上昇したこと、すなわち女性らしさを維持するメリットが相対的に高まったことを意味している」と述べ、その結果、「オバサンの空洞化を生む」と指摘し、「これからの女性は一人の人間としての生きがいを追求していく存在になるだろう」と述べています。
そして、「家庭内で子育てや介護などを引き受ける専業主婦の社会的な役割が大きい」としたうえで、「そうあることを女性が積極的に選択したわけでなく、『家庭内差別』の状態におかれ他に選択肢がなかったためだとするならば、その見返りが生きがいのないオバサンという現実はあまりにむなしい」と述べ、「現在問題になっているのは、人生の選択肢が制度的に狭められているために、結婚や出産を後悔する女性や、将来の不自由さを予測してこれらの選択を避ける若い女性が増えてきていることである」と指摘しています。
また、「女性にとって人生の選び直しは極めて難しい」ことを指摘し、「選び直しの出来ない市場は活性化しない」として、「選び直しのコストを下げれば、夫婦の仲は現在よりも強固になる」と述べ、その理由として、
(1)夫婦の緊張感を高め、相手に気に入ってもらおうという言動として表れる。
(2)緊張感のコストを節約するため、信頼関係の構築に努める。
の2点を挙げ、「大切なことは、夫婦が自らの意思において積極的に良好な関係を保とうとすることである」と述べています。
本書は、男女問わず「明日はわが身」の可能性がある「オバサン化」のメカニズムを解説した一冊です。
■ 個人的な視点から
本書でも筋金入りの「志願兵オバサン」として取り上げられている「大阪のオバサン」は、関ジャニの「∞SAKAおばちゃんROCK」でも散々歌われていますが、確かに「オレオレ詐欺」にはひっかからなそうな感じがします。
■ どんな人にオススメ?
・「オバサン」誕生のメカニズムを理解したい人。
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■ 百夜百マンガ
現役騎手が原作についたリアリティあふれる作品になっちゃった作品。路線変更と言うか「化けた」作品といえるでしょうか。
投稿者 tozaki : 2008年01月23日 07:00
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