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2008年01月25日
爆発するソーシャルメディア セカンドライフからモバゲータウンまで グーグルを超えるウェブの新潮流
■ 書籍情報
【爆発するソーシャルメディア セカンドライフからモバゲータウンまで グーグルを超えるウェブの新潮流】(#1100)
湯川 鶴章
価格: ¥735 (税込)
ソフトバンク クリエイティブ(2007/3/16)
本書は、「意見、洞察、経験、見解を互いに交換するためのツールやプラットホーム」と定義される「ソーシャルメディア」の時代の到来が何を生み出しつつあるのかを論じた一冊です。
ソーシャルメディアは、「ユーザーが作るコンテンツによって成立するメディア」である「CGM(コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア=消費者生成メディア)」と同義語であると述べられ、「これらのサービスに共通しているのは、ユーザーが自発的に発信したり投稿したりする『表現』という側面」であり、「そうした『表現』に、他のユーザーがアクセスしたり投票したりすることで、ユーザー同士の『つながり』が発生する。そしてその『つながり』と通じて情報が伝播することになる」と述べています。
第1章「進化するソーシャルメディア」では、ソーシャルメディアの代表格であるSNSについて、元々は、「人脈作りのサイトとしてスタート」したものであり、日本のミクシィのほか、マイスペースやフレンドスターなどについて概略を紹介した上で、このような「コミュニティビジネスは先手必勝」であると考えられる理由として、「一般的に、コミュニケーションの手段というものは電話と同じで、ユーザー数が増えれば増えるほど、そのサービスの利便性が増す」という「メカトーフの法則」あるいは「ネットワークの外部性」と呼ばれる効果を挙げています。
また、「SNSの進化の次の大きなステップは、間違いなくモバイルの方向」であり、「日本においてはモバイル展開なしに成功はあり得ない」として、モバイルへの進化は、
(1)パソコンの世界とはまったく違うユーザー層を確保できること
(2)カメラやGPSや電子マネー機能等のオフラインの世界との融合
の2つの大きな意味を持つと述べています。
第2章「『動画共有』はソーシャルメディアのインフラになるか?」では、「ウェブを通じて誰でも無料で動画を公開・共有できるように」し、「作者(動画の提供者)とユーザー、またはユーザー同士がコミュニティを形成できるような仕組み用意している」サービスを提供しているユーチューブの功績について、「膨大な海賊版映像のアーカイブを作り上げたこと」ととらえるのは「大きな誤解」であり、「もともとはあくまでユーザーが(他人の著作権を侵さない)自分のオリジナル動画を自由に公開するためのツール」であり、「ユーザーが発信する情報が時に大きな話題を呼び、既存メディアでも取り上げられるようなケースは着実に増えてきている」と述べています。
また、ニコニコ動画など、「動画ファイル自体を加工するのではなく、動画や音声など、本来テキスト情報がないところにタグを付けて」いく「ディープタギング」が「映像ビジネスをウェブで展開するうえで欠かせない要素になっていくだろう」と述べ、「もはや動画やただ共有するだけでなく、ユーザーが自由にカスタマイズできるようになりつつある」と述べています。
第3章「セカンドライフという衝撃」では、セカンドライフ内におけるIBMの事業展開や、「セカンドライフの中でもっとも有名な個人」であり、「わずか10ドルの元手を32ヶ月で100万ドルにした」ことで知られる「アンシェ・チャン」が手がける不動産事業、さらには、セカンドライフ内に存在するマフィアである「バレンチノ一家」などを取り上げたうえで、「今から50年後ぐらいには、人々はみな現実社会と仮想社会の両方の人生をもち、その間を行き来する時代になる」というデジタルハリウッドの杉山校長の予測を紹介しています。
第4章「爆発するクリエイティビティ」では、「自分を表現したい、クリエイティビティを発揮したいという欲求は、『承認欲求』や『自己実現の欲求』の一つの形ではなかろうか」と述べ、「ソーシャルメディア爆発の根底にはクリエイティビティの爆発があり、クリエイティビティが爆発しているのは、表現ニーズの高まりと表現ツールの登場が同時に起こっているからだ」と解説しています。
そして、「自分の自己実現欲求を満たすために金銭的な見返りなしに智力を使ったクリエイティブな政策をする人は増えるだろうし、人から尊敬を集め他人に影響力を行使するために智力を使ったクリエイティブな作品を作る人も増えるだろう」と述べています。
また、今後、「どのようなメディアが登場しようとも、その基本になるのは人々のクリエイティビティであり、そのクリエイティビティを共有すること、ということだけは間違いなさそうだ」と述べています。
第5章「グーグル vs ソーシャルメディア」では、フロリダ州にあるジャーナリスト向けの非営利教育機関、ポインター研究所出身のロビン・スローン氏とマット・トンプソン氏が制作した「EPIC2014」というショートムービーを取り上げ、その内容は、「グーグルがアマゾン・どっと・コムと合併して巨大ネットメディアに成長し、ニューヨークタイムズなどの既存メディアを傍流に追いやるという大胆な未来予測」であり、「当時米国のメディア業界関係者に衝撃を与えた」と述べています。
そして、このショートムービーが、ジョージ・オーウェルの『1984年』の主人公の名前である「ウィンストン・スミス」の運転免許証を登場させていることを挙げ、「このショートムービー波長管理社会の恐怖を隠れたテーマにしている」と述べています。
著者は、「クリエイティビティが爆発するソーシャルメディアとグーグルの争いの結果は、もうすでに見えている。爆発するクリエイティビティの圧勝である。そのことを知っているグーグルは、戦おうともしていない」と述べています。
本書は、新しい時代のメディアのあり方に連なる道を示してくれる一冊です。
■ 個人的な視点から
映画やテレビのような、時間軸の設定権が制作者側にあるメディアに触れる時間がどんどん減り、ビデオやネットなどのように、受ける側が時間軸を設定できるメディアに触れる機会がどんどん増えているような気がします。ちょうど、作者の設定した時間の流れに身を委ねる小説を読む時間が減っているような感じでしょうか。
■ どんな人にオススメ?
・メディアのあり方の進む方向を見極めたい人。
■ 関連しそうな本
早稲田大学IT戦略研究所, 根来 龍之 『mixiと第二世代ネット革命―無料モデルの新潮流』 2007年03月31日
原田 和英 『巨大人脈SNSのチカラ』 2007年09月01日
国際社会経済研究所, 青木 日照, 湯川 鶴章 (著) 『ネットは新聞を殺すのか-変貌するマスメディア』
増田 直紀, 今野 紀雄 『「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ』 2006年04月18日
アルバート・ラズロ・バラバシ (著), 青木 薫 (翻訳) 『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』 2005年10月24日
スティーヴン・ストロガッツ (著), 蔵本由紀, 長尾力 (翻訳) 『SYNC』 2006年04月10日
■ 百夜百マンガ
この作品が発表された平成初期の頃でさえ、元ネタの海のトリトンをリアルタイムで知っている人は相当少なかったのではないかと思いますが、マニアは恐ろしいものです。
投稿者 tozaki : 2008年01月25日 23:00
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