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2008年02月06日

インテリジェンス 武器なき戦争

■ 書籍情報

インテリジェンス 武器なき戦争   【インテリジェンス 武器なき戦争】(#1112)

  手嶋 龍一, 佐藤 優
  価格: ¥777 (税込)
  幻冬舎(2006/11)

 本書は、9・11テロを伝えたNHKワシントン支局長の手嶋隆一氏と、「外務省のラスプーチン」と呼ばれた「起訴休職外務事務官」佐藤優氏の対談を収録したものです。
 序章「インテリジェンス・オフィサーの誕生」では、「外交は武器を使わない戦争」といわれ、「インテリジェンス」は「そうした戦いに不可欠な武器」であり、「国家の命運を担う政治指導者が舵を定めるための羅針盤」であると定義しています。そして、「精査し、裏をとり、周到な分析を加えた情報」がインテリジェンスであると述べています。
 佐藤氏は、自身を、「プロパーのインテリジェンス・オフィサー」ではなく、「インテリジェンスについてある程度の知識を持っている外交官」であると述べています。
 第1章「インテリジェンス大国の条件」では、手嶋氏が、「ラスプーチンのテーゼ」として、「世界第二の経済大国は、潜在的には世界第二のインテリジェンス大国たりうる」と述べた上で、「眠っているポテンシャルを十分に引き出していない」背景には、「外務省のひ弱な体質がある」と述べています。
 そして、佐藤氏が学んだ英国の陸軍語学学校について、「英国の潜在的な敵国の言葉を習得させる学校」であるとともに、「英国に好印象を持って本国に帰ってもらい、いざというときには、そこで築いた人脈をフル稼働させる」ことを目的としており、カダフィ大佐も卒業生であると述べています。
 また、インテリジェンスや情報力を、「自分の弱いところをできるだけ隠して、強いところを実力以上に強く見せる技法」であるとして、「軍事力が圧倒的に強い国には情報力が育ちにくい」と述べています。
 第2章「ニッポン・インテリジェンス その三大事件」では、「インテリジェンスにかかわる者にとって、、東京ほど魅惑の貌をした都市はそうめったにない」として、各国の情報機関が、1人当り年間5千万円もの膨大なコストをかけて人間を送り込んでいると述べています。
 そして、「1980年代あたりまでは、日本政府もかなりスクープ性の高いインテリジェンスのヒットを放っていた」として、1984年2月の「当時のソ連最高指導者だったアンドロポフの死去を世界で最初に掴んだ」琴を紹介し、「ハゲワシ」または「ハゲタカ」の異名を持った手練れの外交官、元外務省欧亜局長の東郷和彦氏がロシアの科学アカデミーの情報提供者に、「テレビの雰囲気がおかしいんですが、いったい何が起きているんでしょうか」と訊ねたのに対し、相手は日本語で「天皇陛下です」と答えたというエピソードが紹介されています。
 また、日本の公安警察や外事警察が、「間違いなく世界最高水準に近いレベルのカウンター・インテリジェンス組織」であると述べています。
 第3章「日本は外交大国たりえるか」では、佐藤氏が、小渕総理から官邸に呼ばれ、「おまえはモスクワやテルアヴィヴなどあちこち動いて、情報を集めて俺に報告に来い。俺がいないときは鈴木宗男のところに行け」と直接指示を受けて動いていたと語っています。
 また、外務事務次官の谷内氏の悪口を、「酒の勢いを借りて、ジャーナリストにずっと言い続けている外務省幹部」の言ったことが、30分も経たないうちに著者に電話で伝わってきたことを挙げ、「外務省のモラルの崩壊は異常」であると述べています。
 第4章「ニッポン・インテリジェンス大国への道」では、イスラエルがアラブ諸国の軍隊の侵攻の情報を読み誤った苦い経験から、「首相に提出されたレポートに対して、どんなことでもいいから『これではダメだ』と難癖をつけること」を役割とする「悪魔の弁護人」という役職を設けたことを紹介しています。
 また、情報機関を作るにあたっては、「まずは人を育てるところから始めなければならない」として、「まずは学術的な基礎体力」をつける必要があること、そして、「インテリジェンスの専門家を育成する作業は、シンクタンクではなく大学で行なうべき」であると述べています。
 さらに、「そもそもインテリジェンスというもの自体が、効率のいいものではありません。この世界は錯誤の連続です。膨大に存在する玉石混淆の情報をより分けて、ようやく国家の舵取りに役立つダイヤモンドのようなインテリジェンスが一粒か二粒見つかる」と述べています。
 本書は、インテリジェンスという言葉に初めて出会った人にも抵抗なく入り込める入門書です。


■ 個人的な視点から

 インテリジェンスといえば思い出すのは「スパイ大作戦」ですが、最初に原稿を書いた後、誤ってデータを消してしまいました(正確には上書きをしてしまった)。誰のミッションを受けているわけでもないのに、もしかするとこの本自体に、「このデータは自動的に消滅する」という仕込みがあったのかもしれません。インテリジェンス恐るべし。


■ どんな人にオススメ?

・「インテリジェンス」と聞いて「インテリげんちゃんの夏休み」という糸井重里のコピーを思い出してしまった人。


■ 関連しそうな本

 佐藤 優 『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』
 佐藤 優 『自壊する帝国』
 佐藤 優 『インテリジェンス人間論』
 佐藤 優 『獄中記』
 手嶋 龍一 『ウルトラ・ダラー』
 手嶋 龍一 『外交敗戦―130億ドルは砂に消えた』


■ 百夜百マンガ

幻蔵人形鬼話【幻蔵人形鬼話 】

 大ヒット作のイメージが強すぎるのか、どうしても結びつけて見られがちですが、うだつの上がらなそうな「やられキャラ」のオヤジに味があったりします。実は、伝奇物よりもサラリーマンマンガにむいているのかも?

投稿者 tozaki : 2008年02月06日 23:00

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