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2008年02月24日
悪魔の発明と大衆操作―メディア全体主義の誕生
■ 書籍情報
【悪魔の発明と大衆操作―メディア全体主義の誕生】(#1130)
原 克
価格: ¥756 (税込)
集英社(2003/06)
本書は、テレビやラジオなど、いまや「第二の自然」になっているメディア環境について、「こうした事態はいつごろから生まれてきた」のかを、「20世紀前半、メディアの揺籃期、当時の都市大衆は我々の先輩として、どのように情報と接していた」のかを、主にドイツと日本を例に挙げて解説したものです。
第1章「【テレビ】料理番組と遠隔誘導ミサイル」では、1930年代に、ヨーロッパ各国がテレビの定時放送を開始したことについて、各国が国の威信をかけて開発競争にしのぎを削っていたと述べています。
そしてナチスのゲッベルスが、「直接的な政治宣伝よりも、いわゆる『非政治的な娯楽』番組の方が、トータルで見た場合、大衆に与える影響が大きい」と考えていたことを挙げ、直接的な政治宣伝のような稚拙なやり方よりも、カワイ子ちゃんや好感度の高いスターや芸能人を使って、「自分を取り巻いている世界の根本を、ラディカルに問い直したりせず、ただただ目の前の現実を、受苦的に受けとめる様子を演じさせる」という「効率の良い方法」があると述べ、「こうした事態は、今も実はぜんぜん変わっていない」だけでなく、「事態はずっと深刻になっている」と指摘しています。
また、日本におけるテレビ技術の開発の歴史を紐解き、「テレビ開発というプロジェクトが、国家事業としてのオリンピック開催という文脈を抜きには、考えにくくなり始めている様子を読み取ることができる」と述べています。
著者は、「この時代は、テレビ社会や軍需産業といった問題の方がが、一斉に出現していた時代にほかならない」と指摘し、「今日のテレビ情報化時代の、直接のスタート地点なのだ」と述べています。
第2章「【パンチカード】個人情報は悪魔の囁き」では、アメリカ合衆国の人口調査のために、1882年に新しい大量情報処理システムとしてパンチカード処理機が考案されたことを紹介し、「これこそ、国家がシステマチックに、個人情報を収集、管理した最初の事例である」として、「この高速処理マシンは、国家が個人情報を一元管理するという、特殊な使用目的と深く結合していた」と述べています。
そして、「パンチカード処理機は、その情報処理能力の高さゆえ、戦争に動員される運命にあった」として、ナチス・ドイツが、1939年のポーランド進行直前に二度目の人口調査を実施した目的が、「運転免許取得者」と「ユダヤ人種」の数の確定にあったことを解説しています。ナチスが一斉にユダヤ人強制収容を実施したときには、「ユダヤ人の名前が漏れなく記載された名簿」が彼らの手にあり、「その名簿に基づいて、間違いを犯すことなく、ユダヤ人だけを連れ去った」と述べています。
著者は、「情報の拘束児童処理システムは、この瞬間に、生命の高速処理機という凶器になったのである」と述べています。
また、収容所において、「決して名前は使われなかった。つねに番号だった」という元衆人の証言を紹介し、「ここでは人間の死が、もはや個人名では語られず、記号や番号によってだけ整理されていた。人間性を否定する究極のディストピアだ」と語っています。
第4章「【ラジオ】バベルの電波塔あるいはガレージキット」では、ラジオ愛好家(アマチュア)にはふたつのタイプがあるとして、
・積極派:ラジオ技術に関して、あれこれと工夫してみたがるマニアックなひとびと。部品を購入してキットを自分で組み立て、波長やコールサインを手がかりに世界中の電波を拾おうとする。
・消極派:もっぱら聴くだけで満足するひとびと。ラジオ受信機を、「蓄音機をモダンに改良したもの」ぐらいにしか考えていない。
の2つのタイプを挙げています。
そして、英国や合衆国では、アマチュア無線家が、第一次世界大戦に通信兵として動員され、「動員に関する彼我の違いが決定的であった」ことが述べられています。
第5章「【ラジオ定時放送】フォルクス受信機VE301型」では、ナチス・ドイツが、「自分達の主張を漏れなく送り届けるために、各家庭に一台、ラジオ受信機を行きわたらせる」ための、「大衆の受信機」「国民受信機」普及プロジェクトについて解説しています。
そして、平均的な二回路タイプで150マルク前後が相場だったところを、「50マルク」で登場させるという価格破壊を仕掛け、さらに、2台以上受信機を保有した場合に受信料を無料することで、「家庭にラジオ複数時代が到来した」と述べています。
また、ナチスのプログラムが、「ラジオを行きわたらせることによって、国家の行政機構にまで変革を及ぼすことができる」というものであり、「ラジオ受信機というハードウェアを行きわたらせ、メディア環境を一元化する」ことで、「これまでの行政システムも根本的に改革できる」というものであることを解説しています。
さらに、ラジオは元来、最初から受信機だったわけではなく、「アマチュア無線のように送信機能も受信機能も両方兼ね備えたガレージ・キットであった」が、「中央からのコントロールが不能な情報が、全国を飛び交っているという図は、潜在的な反権力の体現そのもの」であることから、「送信業務の認可制度が導入され、中央による電波情報の一元化が国家行政の一部になっていった」と述べ、「情報を選択する可能性が、情報の受け手である聴取者から、本質的に剥奪されていた」と述べています。
本書は、普段当たり前に接しているテレビやラジオが、どのような意図の下で放送されているのかを教えてくれる一冊です。
■ 個人的な視点から
アマチュア無線家が通信兵として活躍したという史実は、現代に置き換えると、スーパーハカーの皆さんをサイバー戦争に徴用するかのようなものではないかと思いますが、そう言えば、「ゲームセンターあらし」で、誤って発射された大陸弾道弾を打ち落とすためにソ連があらしを頼ったエピソードを思い出しました。
■ どんな人にオススメ?
・テレビやラジオの定時放送を当たり前のものだと思っている人。
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■ 百夜百音
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イスタンブールやモンテカルロなど地名を冠した筒美京平メロディで人気を博しました。「歌って踊れるディストリビューター」としても知られています。
『庄野真代 ゴールデン☆ベスト-シングル・コレクション+筒美京平作品集-』
投稿者 tozaki : 2008年02月24日 22:00
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