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2008年02月29日

ネットは新聞を殺すのか-変貌するマスメディア

■ 書籍情報

ネットは新聞を殺すのか-変貌するマスメディア   【ネットは新聞を殺すのか-変貌するマスメディア】(#1135)

  国際社会経済研究所, 青木 日照, 湯川 鶴章
  価格: ¥1575 (税込)
  NTT出版(2003/9/25)

 本書は、「ネット社会が進展する中で、メディアがどのように変容していくか」に焦点を当てた「ネット社会における情報戦略」をテーマとし、
(1)「2ちゃんねる」や「ウェブログ」のような個人(大衆)による情報発信が、草の根ジャーナリズムあるいは大衆ジャーナリズムとして確立すると、既存のメディアにどのように影響していくのか。
(2)若者を中心にどんどん活字離れが進み、ネットで情報を取ることが日常化してくると、紙の新聞はなくなっていくのか。
の2つの疑問を提示しているものです。
 第1章「報道機関に挑む草の根ジャーナリズム」では、急増している「ウェブログ」が、「価値のある情報ほど多くのウェブログからリンクが集まり、人々の目により触れやすくなる」という特徴を持つため、「価値のある情報はあっという間にネット上に広がる」と述べています。
 また、ウェブログ作成ソフトメーカーCEOのデイブ・ワイナー氏が、「ウェブログが新聞より影響力を持つようになる」と主張する根拠として、
(1)大衆がより多くの情報を求め出した。
(2)プロのジャーナリズムの業界が経済的な危機に陥っている。
の2点を示していることを紹介した上で、プロのジャーナリストであるジョシュ・クイットナー氏が、プロが勝っている点として、
(1)数多くのニュースをコンパクトにまとめる仕事
(2)調査報道
の2点を挙げていることを紹介しています。
 また、「2ちゃんねる」のユーザーたちが、あるドキュメンタリー番組のないように疑義を抱き、独自に検証を行なった事例を取り上げ、「大手報道機関に対抗できるほどの大きな発言力を一般大衆が持ち始めている」と述べています。
 さらに、メールマガジン発行元の「まぐまぐ」などによって、「何かを書いて発表するということが、一部の層の特権的なものであったのが、誰もが書いて発表できるようになった」ことを紹介しています。
 第2章「21世紀のジャーナリズムの姿」では、報道機関の側が、「偏見のない正確な報道」という点で大衆発信情報より優れていると自負しているのに対し、大衆はそうは思っていないというギャップを指摘し、「草の根ジャーナリズムがプロのジャーナリズムを凌駕することはない」という報道関係者の言葉を「そのまま鵜呑みにはできない」と述べています。
 また、「プロのジャーナリズムと草の根ジャーナリズムの融合というかたちが、もっとも可能性の高い結末になりそうだ」として、日本経済新聞社が運営するIT有識者のコミュニティー「日経デジタルコア」を取り上げ、事務局の坪田知己代表幹事の「テレビが登場してもラジオが役割を変えて生き残ったように、一般誌は事業規模が大幅に縮小するものの生き残ることはできるだろう」が、専門性が問われる経済紙で、変化のスピードに追いついて生き残るのは、「専門家のコミュニティーをネット上に形成し、ニュースの重要性や意義付けを即時に提示してもらえる仕組みを作ったところ」であり、デジタルコアがそうした試みである、という言葉を紹介しています。
 著者は、「今後のジャーナリズムの形は、既存の報道機関が、一般大衆の要望に応えられるかどうかにかかっているといってもいいだろう」と述べています。
 第3章「紙の新聞はなくなるか」では、マイクロソフト社のディック・ブラス副社長が「ニューヨークタイムズは2018年を最後に紙の新聞の発行を止めるだろう」と予測していることを取り上げた上で、ハーバード大BSのクラーク・ギルバート教授が「紙の新聞に対する需要はなくならないでしょうが、紙の新聞の市場は縮小し、紙の事業の収益率は低下する」として、「紙の事業の呪縛から逃れられない新聞社にとって、非常に厳しい時代になろうとしている」と指摘していることを紹介しています。
 また、ニューヨークタイムズ・オン・ザ・ウェブのスコット・マイヤー氏が、「紙の読者とウェブの利用者は、まったく違う層」であるため、「ウェブ版は紙の読者を増やすのに最適の手段である」と語っているのに対し、日本の新聞関係者は、これは「紙の配達地域とニュースサイトのターゲット地域が違う」からではないかとして、「日本の新聞の部数は確実に減る」と述べていることを紹介しています。
 第5章「テクノロジーは何を変えるのか」では、「情報技術の日進月歩の進化は当然、報道機関のあり方を激変させる」として、
(1)読むための電子機器:電子ペーパー、タブレットPC、読書端末など
(2)オンライン広告:ターゲッティング広告、グーグルの動向など
(3)コンテンツを作り出す技術
などのテクノロジーを紹介しています。
 終章「21世紀の日本の報道機関の姿」では、「もし数年後に技術革新の津波がやってくればどうだろう」と、「対策を持つには、技術革新の動向を見極めること、情報技術に長けた集団に生まれ変わることが何よりも肝要だ」と述べています。
 本書は、最先端の情報を扱っていながら、実はもっとも保守的な業界の一つであるジャーナリズムを舞台に、激変する環境をわかりやすく解説した一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書を読んでいて、日経の坪田さんが突然登場して個人的にはびっくりしました。
 今年のお正月、釣れ過ぎてしまったアジとサバを何匹か引き取っていただきありがとうございました。あったら嬉しいですが、また釣れ過ぎてしまったらよろしくお願いします。


■ どんな人にオススメ?

・ネットばかり見ていて新聞は不要だと思う人。


■ 関連しそうな本

 歌川 令三 『新聞がなくなる日』
 中馬 清福 『新聞は生き残れるか』
 河内 孝 『新聞社―破綻したビジネスモデル』
 崎川 洋光 『新聞社販売局担当員日誌』
 大塚 将司 『新聞の時代錯誤―朽ちる第四権力』
 藤原 治 『ネット時代10年後、新聞とテレビはこうなる』


■ 百夜百マンガ

医龍 Team Medical Dragon【医龍 Team Medical Dragon 】

 この作品で「バチスタ手術」という言葉が一般に広まりましたが、バチスタというのは人の名前だということを初めて知りました。
 そういえば、どことなく「ステバチ」と語感が似ていますが、ローザ・ルクセンブルグのアルバムで「STAY BUT EAT」というのがありました。

投稿者 tozaki : 2008年02月29日 23:00

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