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2008年03月08日
テツはこう乗る 鉄ちゃん気分の鉄道旅
■ 書籍情報
【テツはこう乗る 鉄ちゃん気分の鉄道旅】(#1143)
野田 隆
価格: ¥777 (税込)
光文社(2006/4/14)
本書は、「鉄道ならぬテツ道入門」であり、本書をきっかけに、「テツ予備軍のみなさんが、ときにはクルマや飛行機を捨てて鉄道旅行を試みて」くれることを目指したものです。
第1章「テツはこう乗っている 日常編」では、「テツはまず何よりも車窓を楽しむもの」であること、「テツにとって、時刻表というのは、キリスト教徒の聖書、法律家の六法全書、ビジネスマンの経済新聞、若い女性の化粧道具と同じく必携品」であること等を述べています。
そして、「列車に乗って音を楽しむ」ことの初心者向けとして、京浜急行電鉄やJR常磐線の車両が放つドレミ音階(インバータの音が発車時に段階的に変化するのに着目して音をつけたもの、ドイツ製)を紹介しています。
また、「テツのいちばんの喜び」として、「ある路線の始発駅から終着駅までの全区間を走破すること」である「完乗(かんじょう)」を挙げています。
第2章「テツはこう乗っている 旅行編」では、「テツは四種類いる」として、
・乗りテツ:列車に乗ることを無常の喜びとするテツ
・撮りテツ:列車の走行シーンを撮影することに生き甲斐を感じるテツ
・収集テツ:切符やカードを始め、普通の人にはガラクタとしか思えないような鉄道部品や廃品を大事に保存し、コレクションに加える。
・模型テツ:「製作派」、「収集派」、「運転派」等の流儀がある。
の4大勢力を紹介しています。
そして、中でも最大の勢力である「乗りテツ」については、さらに、
・旅情派:風光明媚なローカル線に乗って楽しんだり、趣のある車両に揺られて旅情を感じたりするテツ
・記録派:「全線完乗」や「最長片道切符」などの事業達成のために乗るテツ
に分かれるとしています。この「最長片道切符」については、1978年に作家の宮脇俊三氏が実行したときには、北海道広尾線広尾から九州の指宿枕崎線枕崎までの1万3000キロあまりであったが、四国への連絡線の廃止や赤字ローカル線の廃止のため、「総延長距離はだいぶ短くなって」しまい、2004年にNHKの番組で俳優の関口知宏氏が実行したときには、総延長11925.9キロ、運賃は93879円であったことを紹介しています。
第3章「テツはここに感動している」では、夜行列車に乗ったテツが、「チェックすることが多すぎて徹夜となる」ことや、全国に十数か所あるデッドセクションの場所を暗記して、「通過の瞬間を待ちわびる」こと等を語っています。
第4章「テツはこう得している」では、「ケータイやインターネットで、わざわざ乗り換え情報を検索する必要」もなく、「苦なくして、労少なくして電車に乗れる。これこそ、テツならではのお得な一面である」と述べています。
そして、テツの乗車パターンに対応できるフリー切符や乗り放題切符を紹介し、鉄道利用主体の生活を送っていると「歩くことが日常的」になり「健康に非常にいいこと」である等、「テツ知識があるとずいぶん得することも多い」と述べ、「いかにもテツ丸出しの人間よりは、『隠れテツ』くらいが、案外、人からも信頼され、得な人生を送れるのかもしれない」と語っています。
第6章「テツはこれを集めている」では、鉄道模型の価格が1台10万円以上するものもあるため、「鉄道」が、「金を失う道」と言われると述べ、ミニカーや飛行機、戦艦などのモデルのコレクターも、「鉄道模型は高くて手が出ないよ」と敬遠していることを紹介しています。
第7章「テツはこれを食べている」では、日本中の駅弁を紹介する中で、「幻の駅弁」として、福井県小浜の「御食國(みつけくに)濱のかあちゃんのまごころ焼き鯖そぼろ寿司弁当」や1万円を越す高額で知られる「極上松阪牛ヒレ牛肉弁当」等を紹介しています。
また、珍しい飲み物として、新潟~会津若松間を走る「SLばんえつ物語号」の沿線の新潟県にいつの酒屋が作った「酒酒ポポ酒ポポ」という、「蒸気機関車の形をした陶器に入っていて、煙突から煙ではなく酒が出てくるようになっている」商品などを紹介しています
さらに、「日本全国を旅しているから、テツは各地の名産を食べ歩いているのだろう」と思われることがあるが、「それは大きな勘違いだ」と、ホームの駅ソバをすすり、中には、「テツ行為中は食べない」など、「その日のテツ行為が終了するまでは、おちおち食事などしている暇はない」という「究極のテツ道」を語っています。
第8章「テツはこう乗っている 海外編」では、「テツにとって、海外の鉄道は鉄道の範疇に入らない」理由として、
・国内の鉄道に多大な関心を示し、その乗りつぶしや撮影に膨大な時間や労力をつぎ込んできたため、海外の鉄道に目を向ける余裕がない。
・飛行機には敵意や恐怖心を持っているために日本から脱出できない。
・語学に苦手意識を持っている。
等を挙げています。
本書は、テツ分の少ない一般読者にとっても、たまに見かける「テツ」達が、何を考え、何のために行動し、そこで何をしているのかを教えてくれる一冊です。
■ 個人的な視点から
本書によれば、イタリアでは「撮りテツ」行為は法律に触れる行為になるそうです。どうやら、テロ対策として駅構内での写真撮影が禁じられているようで、他の国でも駅は軍事施設などとともに撮影禁止になっているところがあるようです。
そう言えば、列車の中に放置されているバッグがあると思って鉄道関係者が拾おうと思ったら、「録りテツ」が血相を変えて飛んできて、録音中だから触るな、と怒られたそうです。奥が深すぎます。
■ どんな人にオススメ?
・自分自身の「テツ分」を自覚していない人。
■ 関連しそうな本
三戸 祐子 『定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?』 2005年10月10日
橋本 毅彦, 栗山 茂久 『遅刻の誕生―近代日本における時間意識の形成』 2006年05月11日
猪瀬 直樹 『土地の神話―東急王国の誕生』 2006年07月21日
青木 栄一 『鉄道忌避伝説の謎―汽車が来た町、来なかった町』 2007年07月18日
原田 勝正 『鉄道と近代化』 2007年11月30日
丸田 祥三 『鉄道廃墟』
■ 百夜百音
【WINK ALBUM COLLECTION 1988-2000 アルバム全曲集】 Wink オリジナル盤発売: 2008
20年前の中高生たちが30代になり、自由に使えるお金も増えたところを狙った高額商品を出してきているようですが、さすがに妻子がある人は買いにくいんじゃないかと思います。
投稿者 tozaki : 2008年03月08日 21:00
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