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2008年04月06日

算法少女

■ 書籍情報

算法少女   【算法少女】(#1172)

  遠藤 寛子
  価格: ¥945 (税込)
  筑摩書房(2006/08)

 本書は、江戸時代に出版された算法書『算法少女』からインスピレーションを受け、その著者といわれている千葉桃三という医師とその娘「あき」の父娘を中心に、生き生きとした町人たちを描いた小説です。
 「花御堂」では、当時の算法の主流派中の主流であった関孝和を祖に持つ関流に学ぶ武家の少年が掲げた「算額」の誤りを指摘してしまう顛末が描かれています。「算額」とは、「算法を勉強している人が、観音さまのおかげで、こんなにむずかしい問題がつくれるようになりましたって、お礼の意味で、じぶんのかんがえた問題を、観音さまに見ていただく」という意味の絵馬のことですが、算額をあげる「ほんとうの目あては、人の大ぜいあつまる場所で、自分の学力を発表し、誇示すること」にあったが、このときには、「それが、かえってうらめにでてしまった」ため、少年から逆恨みを買うことになります。
 「てまりうた」では、筑後久留米藩主にして自身も算法家として知られ、多くの算法家を召抱えている有馬頼ゆき(「ぎょうにんべん」に「童」)から、お姫様の算法御指南役の誘いを受けますが、あきが学んだ算法が、大阪出身の父から学んだものであり、江戸の算法の中心となっている関流の排他性を心配して、ためらう様子が描かれています。
 「九九をしらぬ子」では、木賃宿に泊まっている子どもたちが、読み書き、そろばんも九九も知らないことに、あきがショックを受けた様子が描かれています。
 「雨の日」では、あきの噂を聞いた、関流の宗統が久留米藩邸を訪れ、お姫様の御指南役をめぐって関流の娘と算法比べをすることになってしまう経緯が描かれています。
 「縁台ばなし」では、桃三の友人の谷素外が、「関流の本すじでない算法を習った、それも武家でもない町の娘のあんたが、これほどの算法の実力を持っていると、天下にしらせてやりたい」という思いから、桃三とあきに算法書の出版を持ちかけた様子が描かれています。
 有馬のお姫様の御指南役をめぐる算法比べはついには、関流との算法比べの様相を呈してきますが、そんななか、あきは本多利明という算法家を訪ね、オランダの算法書や『解体新書』を見せられ、「関流だの、上方の何流だのと、あらそっている時ではない」と諭されます。そして、「「女であれ、男であれ、すぐれた才をもっている人は、だれでもおなじように重んじられなければならない」が、「いまこの国では、どんなにすぐれた才をもっている人でも、身分がひくかったり、じぶんたちのなかまに入っていないと、その才能を認めようとしない人がおおい」、「この国がのびていくためには、なによりも、人びとが算法をしっかりと学ぶことが必要」だという本多の言葉に深い感銘を受けます。
 本書は、こうしたメインストーリーに、久留米藩をめぐる陰謀や、何かと桃三・あき父娘の世話を焼いてくれる素外の正体などのサイドストーリーが絡み、「少年少女歴史小説シリーズ」というジュブナイルものでありながら、大人が読んでも十分楽しめる一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書は、1973年に出版され、長らく絶版になっていましたが、実際の教育現場で課題に用いられるなど熱心なファンが多く、復刊ドットコムでの盛り上がりなどをうけ、30年ぶりに復活したものです。自分でも早速注文してしまいました。


■ どんな人にオススメ?

・数学が人生にとって何の役に立つのか、と思っている人。


■ 関連しそうな本

 小寺 裕 『だから楽しい江戸の算額』 2008年03月15日
 結城 浩 『数学ガール』
 佐藤 健一, 和算研究所 『和算』
 佐藤 健一, 牧下 英世, 伊藤 洋美 『算額道場』
 深川 英俊 『例題で知る日本の数学と算額』
 佐藤 健一 『和算を楽しむ』


■ 百夜百音

Impressions【Impressions】 竹内まりや オリジナル盤発売: 1999

 夫婦は似て来るといわれていますが、「山下まりや」や「竹内達郎」と呼ばれるピッチを変えて女声、男声にすると似ているのは、ボーカルの処理などレコーディング方法に負う部分も大きいのではないかと思います。

『NIAGARA TRIANGLE 1』NIAGARA TRIANGLE 1

投稿者 tozaki : 2008年04月06日 06:00

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