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2008年04月22日

新聞社販売局担当員日誌

■ 書籍情報

新聞社販売局担当員日誌   【新聞社販売局担当員日誌】(#1188)

  崎川 洋光
  価格: ¥1575 (税込)
  日本評論社(2006/12)

 本書は、新聞社において、販売局で、「新聞販売店のコンサルタント的役割を担う」任務を持つ「担当員」について、「認知度は低い」とした上で、「担当員業務を体系的なものにまとめ、広く知ってほしい」という願いから書かれたもので、著者は、「ブラックボックス」に例えられる「販売局の業務内容に、光が差し込むことがあれば」と述べています。
 第3話「新聞販売業」では、「新聞販売業のメリット」として、「朝が早い」、「大雨が降っても配達は中止できない」、「休みも取れない」、「交通事故の危険も多い」というデメリットの反面、
(1)経営計画が立て易い
(2)新聞代金が月内に回収可能
(3)仕入れの苦労がない
(4)在庫管理の必要がない
(5)景気に左右されない
(6)店舗作りが簡単
(7)テリトリーが決まっている
(8)再販売価格維持商品に指定されている。
(9)織り込み収入がある
(10)社との繋がりが強い
の10点を挙げています。
 また、第4話「従業員表彰」では、著者が駆け出しの頃は、「優秀とされるセールススタッフの1ヶ月のカード枚数(購読契約数)」が、「1日平均10枚×30日稼動で300枚」であったのに対し、「現在は1日平均2枚×25日稼動で50枚に落ちている」ことを指摘し、その理由として、「以前は単カード(1ヶ月契約)が大半であったが、最近はしばりカード(長期契約)が主になったためである」と述べています。
 第5話「専売店」では、「すべての銘柄の新聞を1店で取り扱っている新聞販売店」を意味する「合売店」について、「合売制を維持している合売店は、どこの新聞社からもクレームを付けられない普及率、具体的には県単位の各新聞の普及率に合わせた部数を扱っているところが多い」と述べています。
 第7話「増紙経費」では、「新聞社は新規読者にはサービスをするが、長年の固定読者には何もしない」という批判に対して、朝日新聞では、「アスパラクラブ」という会員制組織のサービスがあると述べています。
 第8話「ABC公査」では、「1952年10月にABC懇談会の名称で発足した社団法日本ABC協会が行なう、新聞販売数調査のこと」であると解説しています。
 第9章「押し紙」では、「新聞社が販売店に対し、注文部数より多くの部数を送りつける行為であり、新聞業における特殊指定により厳禁とされている」「押し紙」とともに、「販売店が実際の販売部数を上回る部数を、自らの意思で注文する行為」である「積み紙」を取り上げ、「積み紙」の発生原因として、
(1)名誉
(2)折込み
(3)義理
の3点を挙げています。
 第16話「高校野球」では、「朝日の場合、主催する夏の高校野球は特別だ」として、「県大会開催直前に行なわれる、高校野球連盟(高野連)や地元警察との打ち合わせ。球場整備や観客への対応。試合の経過報告。そして、最近は自粛されているが優勝パレードの設営等等」を挙げています。
 第23話「補助」では、「販売店に対する資金援助のことであり、販売費の中から支出」される「補助」について、「部数に連動させている新聞社が多い」とした上で、「担当員は思いのままに販売費を使用して販売店に補助を出せる、と考えられているようだが、まったくの誤解である」と述べています。
 第27話「新人社長」では、新聞業界が「インテリが作ってヤクザが売る」と揶揄されているが、「昭和40年代には本当にヤクザの販売店長が存在した」ことうを挙げた上で、「目の前の畳にドスを突きつけられ、居直られている」店主を紹介しています。
 第30羽「足跡」では、41年にわたる著者の勤務実態として、
・新聞販売店延訪問店数 964店
・出席結婚式集:157回
・参列葬儀数:参列葬儀数 362回
の3つを挙げています。
 本書は、世の中からよく知られていない新聞販売の現場の姿を伝えてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 コンビニなどでも、地域を受け持つ「スーパーバイザー」がいるので、決して他業種と比較して珍しい存在ではないのですが、その閉鎖性ゆえに謎の存在とされてきた「担当員」ですが、新聞社と販売店の関係について、経済学の観点からきちんと分析できたら日本に限らず世界中の経済学や経営学の教科書に扱われそうです。


■ どんな人にオススメ?

・新聞がなぜあれほど執拗に押し売りに押しかけるのかを知りたい人。


■ 関連しそうな本

 河内 孝 『新聞社―破綻したビジネスモデル』 2008年04月08日
 本郷 美則 『新聞があぶない』 2008年04月07日
 黒薮 哲哉 『新聞があぶない―新聞販売黒書』
 今西 光男 『新聞 資本と経営の昭和史 朝日新聞筆政・緒方竹虎の苦悩』 2008年04月05日
 河崎 吉紀 『制度化される新聞記者―その学歴・採用・資格』 2006年11月10日
 吉原 勇 『特命転勤―毎日新聞を救え!』


■ 百夜百マンガ

なんて素敵にジャパネスク【なんて素敵にジャパネスク 】

 大ヒットした小説のコミカライズ版。テレビドラマになったり、最近になって続編が出たりしているようです。

投稿者 tozaki : 2008年04月22日 22:00

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