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2008年06月30日

日本全国おもしろユニーク博物館・記念館

■ 書籍情報

日本全国おもしろユニーク博物館・記念館   【日本全国おもしろユニーク博物館・記念館】(#1257)

  新人物往来社
  価格: ¥2730 (税込)
  新人物往来社(2006/12)

 本書は、1993年に始まった「ユニーク美術館、博物館シリーズ」の8冊目となるもので、近年続々オープンした、ハイテクを駆使した大型美術館、博物館から「歴史を重ね守られてきた館や少人数で手作りしたような館」まで59館を紹介しているものです。
 青森県の「小川原湖民族博物館。渋沢邸」では、渋沢敬三に秘書兼執事として仕えていた杉本行雄が開いた古牧温泉の小川原湖民族博物館について、東京三田綱町にあった渋沢邸が、戦後、財産税代わりに物納され、平成になって道路拡張工事に伴う取り壊しが決まると、杉本は国に払い下げを要請し、平成4年6月、12億円の費用をかけてこの地に移築したものであると解説しています。
 そして、渋沢つながりでは、埼玉県深谷市のJR深谷駅前に立っていた渋沢栄一の銅像が、現在は「渋沢栄一記念館」に移されたことや、同市血洗島にある「中ノ家(なかんち)」と呼ばれた渋沢栄一の生家(明治28年に再建されたもの)などについて紹介しています。
 さらに、渋沢栄一が人生の大半を過ごした東京都の飛鳥山にある「渋沢資料館 晩香盧 青淵文庫」では、栄一の孫の敬三が収集した漢籍6000冊が収められていた青淵文庫を紹介し、「青淵(せいえん)」という雅号が、「渋沢の生家中ノ家の近くに上の淵と呼ばれる深い淵があり、水が青かったところからつけた」といういわれを紹介しています。
 福島県の「大内宿町並み展示館」では、「江戸時代にタイムスリップした不思議な感覚に包まれる。山間に現れた茅葺き屋根の町並み」が、戊辰戦争時に、東軍・会津藩と西軍(新政府軍)との戦いの場になり、会津軍が宿場を焼き払おうとするのを、名主阿部大五郎が、「死を覚悟して嘆願し、抵抗した」ため、焼き払いにあわずにすんだことなどが解説されています。
 千葉県の「大原幽学記念館」では、「牛渡村一件」と呼ばれる事件をきっかけに、幽学が「失意のうちに死を決意」した悲惨な結果を紹介した上で、「幽学の教えは現在も受け継がれていて、八石性理学会」が、「改心楼の跡地に大原神社を建てる運動」をしたり、「幽学関係の資料の保存などに活躍」していると紹介しています。
 同じ千葉県の「麻雀博物館」では、「世界の各地から収集した3000点を越す牌をはじめ、麻雀に関する貴重な文献」が収められていることなどを紹介しています。
 福井県の「御食国(みつけくに)若狭おばま食文化館」では、「小浜では、祭礼の折には焼鯖と赤飯と蒲鉾が欠かせない」として、「その赤飯を入れる飯桶」は、「その昔、お嫁さんが33歳の厄年を迎えると、実家から贈られることになっていた」という風習を紹介しています。
 静岡県の「浜松市楽器博物館」では、「こんなにアジアの楽器を揃えているだけでも驚きなのに、日本の伝統楽器もちゃんとそろっているし、地価にはヨーロッパの楽器だけでなく、中南米やアフリカ、オセアニアの楽器まで溢れている」として、「まさに世界中の楽器がある」と感嘆しています。さらに、「各コーナーでその楽器の音が聞けたり、演奏風景のビデオが見られたり」というだけではなく、「打楽器や弦楽器が触り放題」の「体験コーナーや体験ルーム」があることを、驚きを込めて紹介しています。
 山口県の「回天記念館」では、人間魚雷「回天」について、「絶望的な戦局の太平洋戦争末期、『天を回らし、戦局を逆転させる』という願いを込めて誕生した特攻兵器である。魚雷に大量の爆薬を搭載し、隊員自らが操縦して敵艦に体当たりする。なんという悲惨な兵器であろう」と紹介しています。そして、昭和18年夏に、二人の青年士官が、「人間魚雷」を研究した際には、「はじめ『必死』を前提とする兵器案は採用できないと却下されたが、翌19年、トラック等が壊滅的な打撃を受け非常体制となった海軍はついに正式兵器とした」という敬意を紹介しています。
 高知県の「高知県立坂本龍馬記念館」では、この館の最大の特徴として、「もともと高地県内の青年組織や、地域起しグループなどが主体となり、募金によって建設資金を集めた。日本国内はもとより、海外からも寄付が集まり、その学は7年間で8億円に達した。最終的には高知市が敷地を提供し、高知県が2億円を助成して、着工に至った」という「館の成り立ち」を挙げ、昭和3年に地元の青年有志によって建てられた、桂浜の龍馬像と「同じ方法を踏襲した」と解説しています。
 本書は、ハコモノ批判も多い中で、全国の個性的な博物館・記念館を、多くの人々の情熱が支えていることを紹介している一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書で紹介されている博物館・記念館の中には、公立なんだけど誰が見にくるんだろう、と思うようなニッチかつマニアックな分野をカバーするテーマを選択してしまったものもあれば、本当にニッチな狭いところを、ピンポイントでカバーする個人や好事家たちによって設立されたものまで幅広くあります。ちょっと敷居は高いですが、個人の思い入れのある記念館は、濃い世界を体験できるのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・身近にあっても意外に知らない博物館・記念館を知りたい人。


■ 関連しそうな本

 水藤 真 『博物館学を学ぶ―入門からプロフェッショナルへ』 2008年06月20日
 村井 良子, 上山 信一, 三木 美裕, 佐々木 秀彦, 平田 穣, 川嶋-ベルトラン 敦子 『入門ミュージアムの評価と改善―行政評価や来館者調査を戦略的に活かす』 2005年11月17日
 神奈川県博物館協会 『学芸員の仕事』
 太陽レクチャー・ブック編集部 『ミュージアムの仕事』
 高橋 隆博, 森 隆男, 米田 文孝 『博物館学ハンドブック』
 全国大学博物館学講座協議会西日本部会 『新しい博物館学』


■ 百夜百マンガ

CAとお呼びっ!―逆風客室乗務員【CAとお呼びっ!―逆風客室乗務員 】

 観月ありさの主演でドラマ化されていた作品。青年漫画誌に連載された作品ながら少女漫画的なテイストをもっているところは、『おたんこナース』に通じるところがあるでしょうか。でも観月ありさは『ナースのお仕事』でしたね。

投稿者 tozaki : 2008年06月30日 06:00

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