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2008年07月14日

女子の本懐―市ヶ谷の55日

■ 書籍情報

女子の本懐―市ヶ谷の55日   【女子の本懐―市ヶ谷の55日】(#1271)

  小池 百合子
  価格: ¥788 (税込)
  文藝春秋(2007/10/17)

 本書は、2007年7月4日から8月27日までの55日間、日本初の女性防衛大臣を務めた著者の「大臣日記」です。
 第1章「いざ防衛省へ」では、「世界でも女性の防衛大臣、国防大臣」は「数少ないことも事実」だが、「誰もが記憶ことなく、女性国防大臣の務めを果たしたことだろう。女性大臣だからできること、女性、男性に限らず、なすべきことの両方をこなしている」として、「女性の側は、特に肩肘張って国防に挑むわけではない。むしろ肩肘張って女性のトップを迎え入れるのは、男性側ではないだろうか」と述べています。
 そして、着任時の記者会見場のカーテンが「くすんだ水色」だったものを、「これでは『どこの役所かも、わからない』」からと、「大臣室にかかっていた世界地図を、間に合わせに」吊るしたことなどのエピソードを述べています。
 また、天候によってヘリを飛ばすか陸路を使うかの見きわめを、海上自衛隊では「決心」という言葉を使い、陸自、空自では「決断」という言葉を使うことを紹介し、「陸海空のそれぞれの伝統と、『俺たちは、他とは違うぞ』という強い自負が存在することも、おさえておかなければいけないポイント」だと述べています。
 さらに、7月19日の第4回地震災害対策本部会議で、1973年に著者がカイロで経験した第四次中東戦争の思い出話を披露したが、「灯火管制を経験した人が誰もいないこと」に気づき、「防衛省・自衛隊の幹部が、ただ一人として有事を体験していない。決して悪いことではない。それは平和な日本の証明でもあった」と述べています。
 第2章「『ひとり二・二六』との攻防」では、8月6日に、守屋次官からの人事案が、「米軍再編、テロ特措法への対応、廃止する防衛施設庁に代わって、防衛省内に置くこととなっている新ポスト、地方協力局長の人事など、かなり大掛かりな変更とされたが、次官ポストだけはそのままという案」に、「あっ」と「この人は、ずっと居続けるつもりなのだ」ということに気づき、「このまま『はい、そうですか』と受けるつもりはなかった」と述べています。
 そして、その日の夜、著者が、「水面下で進めてきた防衛省の人事案が、もうマスコミに漏れているという情報」が入り、「情報漏洩に神経を尖らせ、そのための保全策に取り組もうというのに、新聞に抜かれては示しがつかない」として、守屋次官本人の携帯に電話したが、「待てど、暮らせど、返事はなかった」と述べ、翌8月7日の毎日新聞の3面に、「防衛省:守屋次官退任へ 後任は西川官房長」という「メガトン級の記事」が掲載されたとして、「事務次官人事をめぐり、防衛省内はマグニチュード10の地震が襲ったような騒ぎとなっていた」と述べ、「役人にとっては人事がすべてだというが、役所の仕事は国を守ることである」と述べています。
 8月9日のワシントンでのライス国務長官との面談後のCSIS(戦略国際問題研究所)での講演では、冒頭、「私を"日本のライス長官"と呼ぶ人もいる。どうぞ『マダム寿司』と呼んでください」とのジョークをはさんだことを述べています。
 事務次官人事をめぐる問題では、「肝心の塩崎官房長官とのアポがなかなかとれない」ことについて、「どうやら小池包囲網が構築されていたようだった」が、「そもそも防衛大臣である私が人事案を練り、安倍総理自信が納得したものだ。真の任免権者は誰なのか。答は一つだった」と述べています。
 そして、守屋次官が「官邸を自由に泳ぎまわり」、著者の人事案阻止を訴えていたことについて、「たとえ『人事検討会議』なる装置があるとしても、大臣である私の人事案に、法律的には自衛隊員である時間、それも本人が異を唱えるのは、シビリアン・コントロールに反しないか」として、「これでは『ひとり二・二六』である」と述べ、「そもそも大臣の人事案に、次官が反対し、阻止に躍起となるなど、考えられない」、「上官の命令に、部下が反抗し、それが成功するようでは、ヒエラルキーの典型である組織がもたないではないか。シビリアン・コントロールが破られる前例を作るわけにはいかなかった」と述べています。
 また、8月24日の記者会見では、「新しい大臣にしっかり任せていきたい」と明言しているのに、「記者たちはいまだに理解していなかった」ことにいらだち、「だから私は辞めると言っているのよ」と記者たちに解説をしたことで「はじめて記者たちがざわめいた」と述べています。
 第3章「一兵卒として」では、原油価格の高騰について、「日本というくには、二度のオイルショックで経験したように、国家的な危機意識を企業や国民が共有したときに、驚異的な力を発揮する」と述べ、「今こそ、世界をリードするためにもグランド・デザインが必要だ」として、「『不都合な真実』を直視し、『好都合な真実』に転換することこそ、日本のお家芸なのだ」と述べています。
 また、少子化問題については、「結婚、出産が、ご褒美につながるような環境を作ることが求められている」として、そのために、「社会全体の意識変革を促さなくてはいけない」と、クールビズ導入のように、「子育ての分野で、『大義』と『共感』の両方を満たすような手法がないものだろうか」と述べています。
 さらに、「国力の方程式」として、元CIA副長官でジョージタウン大学教授のレイ・クライン氏による、
「国力=(人口と領土+経済力+軍事力)×(戦略+実行する意思)」
という方程式を紹介しています。
 本書は、短いだけに濃密な大臣としての日々を伝えてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 先月、著者が千葉大で特別講義をしたときには、愛車のプリウスで千葉まで来たそうですが、日産のカルロス・ゴーン氏と対談したときに、一緒に写真を撮ろうと言ったら、それだけは勘弁してくれと言われたそうです。


■ どんな人にオススメ?

・初の女性防衛相の目から見た「市ヶ谷」を見てみたい人。


■ 関連しそうな本

 小池 百合子 『小池式コンセプト・ノート―プロジェクトは「大義と共感」で決まる!』
 ワンガリ・マータイ (著), 小池 百合子 (翻訳) 『UNBOWEDへこたれない ~ワンガリ・マータイ自伝』
 飯島 勲 『小泉官邸秘録』 2008年01月30日
 竹中 治堅 『首相支配-日本政治の変貌』 2006年12月26日
 読売新聞政治部 『自民党を壊した男小泉政権1500日の真実』 2006年03月14日
 清水 真人 『官邸主導―小泉純一郎の革命』 2007年03月19日


■ 百夜百マンガ

百鬼夜行抄【百鬼夜行抄 】

 ホラー名作品の割にはペンネームはふざけているのですが、そういえば、現在は日光市になっている旧今市市で起きた殺人事件について、和歌山市長が「イマイチなまち」と発言して問題になったことがありました。

投稿者 tozaki : 2008年07月14日 06:00

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