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2008年07月12日

現代日本の行政と地方自治

■ 書籍情報

現代日本の行政と地方自治   【現代日本の行政と地方自治】(#1269)

  本田 弘
  価格: ¥2940 (税込)
  法律文化社(2006/05)

 本書は、「国と地方自治体の行政の動向なかんずく現在もなお推進されている改革のそれを解明したもの」であり、「現代のわが国における行政にかかわる基本的認識に加えて政治と行政の相互関連の理解を一層深める意図を持つもの」です。
 序章「現代行政の動向と課題」では、「行政の透明性の向上や説明責任を遂行するために、直接的にか間接的にか行政情報の公開の制度化が必要と考えて条例その他により公開制度の設置に踏み切った地方公共団体」が、
(1)住民の知る権利の保障を可能にするものだから
(2)住民の行政への参加の促進に作用するものだから
(3)住民の行政に対する信頼の確保
(4)住民の生活における充実と向上
のいずれかの理由を強調していると述べています。
 また、地方分権について、「国家全体に関わる事務事業を国家が行うとし、その他の国の権限や事務事業などを地方公共団体に移譲するだけで実現しうるものでは」なく、「従来までのいわゆる国と地方との関係の重要な要素であった機関委任事務制度や補助金制度を媒介として、あたかも国と地方が上下・主従の関係にあったものを対等・協力の関係へ転換せしめてはじめて、真に地方分権が機能する」と述べています。
 第1章「国と地方の政府間関係」では、戦後の地方制度改革が、
(1)第一次地方制度改革:日本国憲法や地方自治法の施行に先立ち、1946年7月の第90帝国議会に提案され、同年9月に成立し、翌10月から施行されたもの。――知事、市町村長の直接公選制の実現、条例制定や長・議員の解職請求などを含む直接請求制度の制定など
(2)第二次地方制度改革:地方自治法の制定、知事の身分が公吏(地方公務員)に改められ、都道府県が完全自治体化したこと、警察や教育の分権化など
の二段階に分けて進められたと解説しています。
 また、「戦後改革から行政改革に至る時代に展開された、国と地方の政府間関係の変遷」について、
(1)戦後改革の時代を別にして、逆コース、高度成長、行政改革の次代とともに集権化に向けて徐々にその傾向が強まってきた。
(2)逆コースと高度成長の時代を境に、国と地方の捉え方が分離型から融合型へ変化した。
(3)逆コースと高度成長の時代を境に、分権の狙い(目的)とするものが、民主化から効率性に大きく変化した。
の3つの特徴を指摘しています。
 第2章「政策評価とアカウンタビリティ」では、田辺国昭による、諸外国と比較した日本の政策評価制度の特徴として、
(1)評価制度が法律によって義務づけられていること(拘束性)
(2)包括的なフレームになっている
(3)各府省が自主的、柔軟性を持って評価システムを構築する
(4)各府省による自己評価と総務省による評価との二段階から構成されている
(5)政策評価と予算編成の担当組織が、総務相と財務省に分かれているため、予算とのリンクが弱い。
の5点を挙げ、「これらの特徴が長所であると同時に、問題も惹起している」と述べています。
 第4章「行政改革と特殊法人の合理化」では、戦後の日本の行政において、「ほとんど切れ目なく行政改革のための審議会等が設置され、行政改革の方策が審議されている」として、「日本の行政は行政改革の歴史」であったとともに、「行政改革の必要性とその改革の困難性を証左する」と述べています。
 そして、中曾根行革において、「財政再建が目的ではなく、国家の機能、活動を考えた上での行革」が目的とされたこと、橋本行革の目玉は中央省庁の再編であり、「明治以来130年間続いてきた官僚主導の政治システムを徹底的に解体し、政治主導の政治・行政システムを構築すること」にあったこと、小泉行革の最大のセールスポイントが郵政事業の民営化であったこと、等を解説しています。
 第5章「人事行政と公務員制度の改革方向」では、「一般的に優れた国家は優れた公務員制度を持ち、劣った国家は劣った公務員制度しか持っていない」として、「公務員制度の良否はその国家の運命を左右し、国民の幸・不幸に直接繋がるとされる」と述べています。
 第7章「行政施策のアウトソーシング」では、日本で行われてきたさまざまな行政改革が、
(1)行政の効率化・コスト計算
(2)民間委託
(3)民営化
(4)規制緩和
(5)指定管理者制度
などのアウトソーシングなどの方法によって行われてきたと述べています。
 また、自治体における民間委託の理由として、
(1)経済性の要因
(2)能率性の要因
(3)住民サービスの要因
(4)行政責任の要因
の4点を挙げ、「住民サービスは、経費の削減や能率性だけが重要なのではなく、サービスの質の向上や行政責任を確保することが前提条件」であることを強調しています。
 第10章「地方行政に置ける広報活動」では、「日本の行政広報の20世紀の総括ということは、20世紀後半の半世紀(50年)の総括ということになる。行政広報は、第二次大戦後、上からの、実質的には外部からの啓蒙の第一段階(GHQの指導など)、続いて経験の第二段階(高度経済成長に便乗など)、さらに安全保障条約改定以降の新展開の第三段階(経済安定成長に便乗など)を克服してきた。つまり、この第三段階には行って行政広報は本格的な展開を見せるようになった」との三浦恵次の研究報告を紹介した上で、「これからの地方分権下の行政広報を第四段階と位置づけることは可能であろう」と述べています。
 そして、「高度生活社会で展開される行政の広報活動の基本的な方向付け」として、
(1)個人レベルの生活情報の広報
(2)危機管理情報の広報
(3)文化行政にかかわる情報の広報
(4)パブリシティ活用情報の積極的取組の方向
の4つの特徴を挙げています。
 また、「地方行政の実施する広報活動に、マス・メディアなどいわば外部媒体の活用が考えられるのは言うまでもない」とした上で、パブリシティの特色として、
(1)行政の政策、計画、意向、展望、行事、報告などをはじめとして、住民にとって問題提起型の内容の事項までも伝達することがパブリいティによって可能であるということ。
(2)パブリシティによる伝達の速報性。
(3)民間報道機関などとの接触による民間パブリック・リレーションズの手法からの影響。
の3点を挙げる一方で、「パブリシティについての最小限度の政策留意点」として、
(1)パブリシティ効果の予測
(2)パブリシティ媒体の選択
(3)パブリシティ活動実施の計画化
(4)パブリシティ媒体側民間報道機関との打合せ
(5)全庁職員のパブリシティによる広報活動の熱意と行動意欲の効用
の5点を挙げています。
 さらに、コラム「広報研究会と全国広報研究会の設立」では、「一部では、行政広報は占領政策の"落し子"とも見られていた」広報において、連合軍総司令部が去った後の占領政策見直し機運の中で「予算、人員とも削減された」と述べ、「行政広報の危機は、特に地方自治体で著しかった」が、全国の広報担当有志が、「この冬の時代を力を結集して乗り切る」ため、昭和29年5月に、「広報に関する研究および後方関係者相互の連絡し協力を促進し、広報行政の向上発展に寄与すること」と目的に、全国広報研究会が発足したことを解説しています。
 この他、首長の立場として、
(1)行政運営についての全般管理、すなわち、庁内での指導力発揮が全職員を広報活動への認識効用に向わしめる立場
(2)首長の持つ庁外を含む多様な役職が広報活動の実質的な場を醸しだしている。
(3)首長にとって広聴機会こそ広報機会でもある。
の3点を挙げた上で、「広報マンとしての首長に期待されるべきもの」として、
(1)住民に対する自治意識を地方自治の重要性を認識させる広報パフォーマンス
(2)国等への広報活動
(3)当該地方公共団体の設定した将来目標の実現への期待
の3点を挙げています。
 本書は、行政の動向をサッと見るにはお手軽な一冊です。


■ 個人的な視点から

 行政や地方自治体に関する本というのも、各論の本は結構充実したのですが、総論となると、公務員試験や昇進試験向けの本が多く、試験の傾向とかに関係なくざっと概括したような本は意外と少ないのではないかと思います。
 本書は、各章ごとに著者が異なる寄せ集め本にありがちなレベルのばらつきは結構ありますが、これだけざくっとコンパクトにまとまった本は、各章ごとに読んでいけばなかなか面白いのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・行政と地方自治体をザックリと概括したい人。


■ 関連しそうな本

 竹前 栄治, 中村 隆英, 天川 晃 『GHQ日本占領史 (13)地方自治改革』 2007年01月19日
 天川 晃 『GHQ日本占領史 (38)地方自治体財政』 2007年02月15日
 勝田 政治 『内務省と明治国家形成』 2007年02月16日
 天川 晃, 増田 弘 『地域から見直す占領改革―戦後地方政治の連続と非連続』 2007年03月07日
 井之上パブリックリレーションズ (著), 井之上 喬 (編集) 『入門 パブリックリレーションズ―双方向コミュニケーションを可能にする新広報戦略』 2006年12月13日
 大嶽 秀夫 『日本型ポピュリズム―政治への期待と幻滅』 2007年05月29日


■ 百夜百音

炎神戦隊ゴーオンジャー【炎神戦隊ゴーオンジャー】 オリジナルアルバム オリジナル盤発売: 2008

 戦隊ものの主題歌としては初めてオリコンベスト10にランキング入りした作品。「エンジン戦隊」とは言っても「猿の軍団」のことではないです。それから「轟音ジャー」と聞こえてもジザメリのようなサウンドは期待できません。


投稿者 tozaki : 2008年07月12日 22:00

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