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2008年07月22日

舞台ウラの選挙―"人の心"を最後に動かす決め手とは!

■ 書籍情報

舞台ウラの選挙―   【舞台ウラの選挙―"人の心"を最後に動かす決め手とは!】(#1279)

  三浦 博史
  価格: ¥767 (税込)
  青春出版社(2007/06)

 本書は、選挙プランナーである著者が、「現実の選挙で繰り広げられているウラ・オモテの攻防戦を通して垣間見える、"人を動かす"ことの本質を浮かび上がらせ」たものです。
 第1章「選挙にはいくらかかるのか?―選挙の収支決算ウラ・オモテ」では、「誰でも政治家になれば金儲けができる」というのは幻想であると述べた上で、「地方議員の選挙では、お金がないならないなりにやっていけることもあるということだが、いずれにしても地方議員の場合でも、選挙費用はピンからキリまである」と述べています。
 そして、選挙プランナーとしての経験から、「どの選挙のレベルでも、選挙費用は法定費用の2倍以上が平均相場」だと述べています。
 第2章「票はこうして集まる~小選挙区制で変わった当選事情」では、「参議院比例で後援会名簿を100万人分集めても、実際の得票は8万、9万で落選という候補者がザラにいる」として、「その候補者の組織が後援会名簿をフル活用できるほどには動かなかった」ケースを挙げています。
 第3章「そのお金は"誰が"出す?~選挙とお金と利権の相関関係」では、よくある例として、「県の副知事や幹部、中央官僚出身者などが知事選に担ぎ出される」場合に、「有力な支持者から、運動員や資金面まで全面的に面倒を見てもらう」こともあるが、「どうしても借りができる」ことを指摘しています。
 また、「金持ち議員とたくさんのお金を使う議員とは必ずしも一致しない」として、「金権政治家と言われた田中角栄氏は多くのお金を集めたが、他人に対しても多くのお金を使った」として、「要は収入源と資金使途、どう集め、何に使ったかが重要」だと述べています。
 さらに、いわゆる「選挙ブローカー」がいなくなった要因として、「候補者が選挙にかけるお金は少なくてすむようになってきた」こと、「世代交代が進んだこと」などを挙げています。
 第4章「PR上手が心をつかむ~イメージ戦略とメディア」では、商業PRが「売れるもの」を売るためのものであるのに対して、政治PR・宗教PRは、「必要としていない人にも必要と思わせる」点が異なると述べ、商業PRの発想によるやりかたを「迎合型選挙」と呼ぶ一方で、食べたことのない人にニンニクを食べさせるやり方を「啓蒙型選挙」と呼ぶと述べています。
 そして、「イメージ選挙」について、「その人(候補者)がもっている魅力的な部分を最大公約数的に、特定の有権者層をターゲットに抽出して、選挙運動に用いること」だと述べています。
 また、候補者の発言のブレについて、男性は多少のブレにも比較的鷹揚だが、女性は、「ブレる人が大嫌いなのだ。なぜ発言がブレたのかを理解する前に、ブレたこと自体に嫌悪感を持つ人が多い」と述べています。
 さらに、「ディベート」と「ディスカッション(討論)」は違うとして、「『ディベート』は議論で相手に勝たなければならないが、『ディスカッション』はどちらの候補者が観客に好感度を与えるかが重要」だと述べています。
 この他、インターネットが選挙運動に解禁された場合に変化として、
(1)政策を伝えるための量的制限がなくなる。
(2)選挙関係の情報の告知が楽になる。
(3)異なる複数の場所をつないでリアルタイムに双方向の交流ができる。
(4)イシュー(関心事)ごとのサイトが開設され、そこで同じイシューに興味をもっている人同士が交流できる。
(5)インターネット版の怪文書が出てくる。
の5点を挙げています。
 第5章「人を動かす決め手とは~人を巻き込む熱エネルギーの起こし方」では、選挙プランナーである著者が、「この選挙区には○○という特殊事情があるんですよ」といわれたときに、「違う点を10いってみてください。私は似てる点を11いいますから」と切り返すとして、「選挙の手法というものはどこでもそう変わらない」と述べています。
 そして、「人や集団を動かす基本は1つしかない。古今東西を問わず"熱伝導"だ」と述べ、「事実に基づいた心温まるエピソードでしか伝わっていかない」として、浜田幸一元衆議院議員が、「選挙期間中は車の中にピカピカに磨いた革靴が何足も置いて」あり、「農村を回るときは、そのピカピカの革靴で車を降り、どんどん田んぼの中に入っていく」、「農作業の人たちはその姿を見て驚くとともに、いたく感動する」と述べ、土下座をし、涙を流しながら「お母さんの歌」を熱唱するという「泥臭いことに心を動かされるものなのだ」と述べています。
 第6章「こんな人が最後に勝つ~時代とともに変わるもの、変わらないもの」では、田中角栄氏のすごいところとして、「越山会会員や会員以外でも田中氏に投票している人たちが、自分の言葉で『田中先生のここが好き! ここがすごい!』と具体的にはなせること」を挙げています。
 そして、著者が、全米1位の選挙コンサルタントから、「勝算率1位の秘訣」として、「運がよくて当選しそうな人しかクライアントにしない」ことを教えられ、著者の考えでは、、
(1)初めて会ったときの第一印象でオーラを感じる人
(2)熱伝導の熱源を持っている人
の2つのポイントを満たしていなければならないと述べています。
 また、著者自身が「直接選挙に直接関わった」中で、「運がよくて当選しそうな人」として、「青春の巨匠」森田健作氏を挙げ、「会った第一印象でオーラを感じる人」であり、話をしてみると、「熱伝導の熱源を持っている人」であり「運がよくて当選しそうな人」であったと述べています。
 さらに、そのまんま東(東国原英夫)氏について、「最大の勝因の一つは『郷土愛』」であったと述べ、「宮崎命というメッセージが、県民にきちんと伝わった結果である」と述べています。
 著者は、「イメージ選挙といわれるが、何といっても候補者の熱い思いが一番」だとして、「選挙キャンペーンの手法もその真価が問われる時代に突入した」と述べています。
 本書は、怪しげなイメージを持つ人もいる「選挙プランナー」の役割と選挙の面白さを伝えてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 「選挙プランナー」という肩書きには、著者なりの思い入れが相当あることも伝わってきましたが、やはり、どこか陰で糸を操る「黒幕」的なイメージが浮かんでしまいます。とは言え、「選挙コンサルタント」、「選挙アドバイザー」、「選挙請負人」、「選挙仕事人」などの他の呼び方もピンとこないのですが。


■ どんな人にオススメ?

・選挙は怪しげだと思う人。


■ 関連しそうな本

 三浦 博史 『最新選挙立候補マニュアル―選挙参謀はいりません』
 三浦 博史 『洗脳選挙』
 三浦 博史, 前田 和男 『選挙の裏側ってこんなに面白いんだ!スペシャル』
 井上 和子 『選挙裏物語―「当選確率80%」スゴ腕選挙コーディネーターが明かす選挙のすべて』 2007年10月30日
 季武 嘉也 『選挙違反の歴史―ウラからみた日本の100年』 2007年10月02日
 藤谷 治 『いなかのせんきょ』 2006年10月28日


■ 百夜百マンガ

エースをねらえ!【エースをねらえ! 】

 この作品を読んでいないと、『トップをねらえ』を見ても面白さが半減する?かどうかは分かりませんが、女子スポ根ものの定番中の定番です。

投稿者 tozaki : 2008年07月22日 06:00

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