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2008年07月30日

合コンの社会学

■ 書籍情報

合コンの社会学   【合コンの社会学】(#1287)

  北村 文, 阿部 真大
  価格: ¥735 (税込)
  光文社(2007/12/13)

 本書は、「合コンという、現代の私たちの出会いを語る上で欠かせない奇妙な装置」を社会学の視点から切り込んだものです。
 第1章「出会いはもはや突然ではない――合コンの社会学・序」では、合コンの魅力の一つとして、「その確実性」を挙げ、個人の私的ネットワークに基づく「友縁」を「最大限に活用」使用と摺る合コンこそ、「現代の社会経済的事情にかなったかたちで創発した新たなシステムだと言えるだろう」と述べ、「そう考えるならが、親が合コンへ行けというのも上司が合コンをしろというのも、実はきわめて自然なこと」だと指摘しています。
 そして、「合コンという場で、自発的な集まりの中で、誰からの干渉も受けずに、出逢おうとしたはずの私たちは、実は、決して自由ではない」として、「合コンでの出逢いにも、階層ファクターが介入する」ことを指摘し、
「私たちは、合コンを通して恋愛すべき相手と恋愛し、結婚すべき相手と結婚することで、社会構造の維持に貢献することになる。
 合コンは、現代の私たちが出逢うために創りだした、そして今や私たちを取り込もうとする、まごうことなき『制度』である」
と述べています。
 また、「合コンのいっそう複雑な矛盾」として、「突然に訪れるはずの出会いを、人為的につくりだしたうえで、さらにその『出逢い』というなまなましい目的を隠す、それも参加者全員で」という点を挙げています。
 第2章「運命を演出するために――相互行為儀礼としての合コン」では、「酔ってばか笑いをしていたとしても、合コンは、規律に従って粛々となされる聖なる儀式だ」として、
(1)よく似たタイプを集める――ジェンダー間/内の均一性
(2)がっつかない、和を保つ――「自然な出逢い」の演出
(3)核心には触れない――階層性の隠蔽
(4)「合コン」よりも「飲み会」――偽装のためのレトリック
などの「基本ルール」を解説し、「合コンはこうして、みんなが楽しめる飲み会を、その中で運命の出逢いを、偽装する」と述べています。
 第3章「運命の出会いは訪れない――合コンの矛盾」では、「合コンでは、目の前の相手に対して二つの異なるメッセージが送られる」として、
(1)「あなたが気に入っている」というメッセージ
(2)個人的な好みには関係なく、「私は合コンの場において適切に振舞える」というメッセージ
の2点を挙げています。
 そして、「合コンにおいて必要な、特殊なコミュニケイション――初対面の男女が軽い話題で盛り上がる――が、特異な人もいれば苦手な人もいる」として、「儀礼はつねに、私たちを拘束するものでもある」と述べています。
 第4章「運命の相手を射止めるために――女の戦術、男の戦略」では、「合コンは、男性が『男』を演じ、女性が『女』を演じる場だ。そしてこのジェンダー・パフォーマンスにおいてこそ、男女は魅力を発揮しようとする」と述べています。
 著者は、「合コンがジェンダー・パフォーマンスの競演の場である以上、男女の出逢いは限りなく虚構に近い」ことを指摘しています。
 第6章「それでも運命は訪れる――合コン時代の恋愛と結婚」では、「合コンで出会い結婚したという経緯」を現実的に捉える人もいるとして、「結婚してよかったのは、もう合コンっていう場にいかなくて済むっていうこと。それぐらい、合コンに疲れてた」という(女性・30代・会社員)の言葉を紹介しています。
 著者は、「かつての村祭りがそうであったように、合コンは、若者がはめをはずして『ハレ(非日常)』を味わい、しかしその後おとなしく『ケ(日常)』に帰っていく、限定的な自由が許された場として機能している」として、「合コンで誰もが味わうあの緊張感や高揚感は、祝祭的なものに他ならない。合コンは、奔放でカオティックにも見えるけれど、実は村祭り同様しっかりと既存の秩序の中に位置づけられている。度が過ぎて秩序を崩壊させないように、囲い込まれた遊びの場だ」と述べています。
 そして、合コンから「降りる」人たちのタイプとして、
(1)物語としての美しさを手放し、現実的に目的達成を果たそうとする人たち
(2)真実の運命の出逢いのため、という理想の物語に固執する人たち
の2つのタイプを挙げています。
 第7章「偶然でなくても、突然でなくても――合コンの社会学・結び」では、「合コンの社会学」が、氾濫する「合コン必勝の法則」を疑い、「社会的経済的格差を超える『性愛の可能性』が発現する場であったはず」の合コンが、「可能にしたのは階層性の隠蔽であって階層性の無効化ではない」ことを指摘しています。
 著者は、「合コンが何かを知ろう。その複雑な力学を、ミクロにマクロに絡まった構図を、わかっていれば飲み込まれることはない」として、「私たちの物語――自分探し――は、合コンの内部にとどまるものではなく、結婚で完結するものでもない」と述べています。
 本書は、大人に縛られない「自由」な仕組みだと思われていた合コンが、社会に組み込まれた「制度」であることを明らかにしてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 「合コンの席で適切に振舞える男」っていうのがかっこいいのかどうか微妙な感じがしますが、かつての「村祭り」のような「囲い込まれた遊びの場」だとすると、「盆踊りで粋に太鼓を叩く」とか「山車の上で見事に踊る」とかに近いものなのかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・合コンの必勝法にかけている人。


■ 関連しそうな本

 山田 昌弘, 白河 桃子 『「婚活」時代』
 赤坂 真理 『モテたい理由』
 白河 桃子 『「キャリモテ」の時代』
 鈴木 由加里 『「モテ」の構造―若者は何をモテないと見ているのか』
 樋口康彦 『崖っぷち高齢独身者』
 土井 隆義 『友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル』


■ 百夜百マンガ

たいまんぶるうす【たいまんぶるうす 】

 暴走族を題材にしたマンガの中でも古典の部類なのですが、問題が、「古典」と変わらないような作品が、このジャンルでは現在も再生産されていることでしょうか。もはや剣豪もののようです。

投稿者 tozaki : 2008年07月30日 21:00

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