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2008年08月18日
プロ法律家のクレーマー対応術
■ 書籍情報
【プロ法律家のクレーマー対応術】(#1306)
横山 雅文
価格: ¥756 (税込)
PHP研究所(2008/5/16)
本書は、「苦情・クレームに名を借りて、執拗に不当な要求や嫌がらせを繰り返す人々」である「悪質クレーマー」を、いくつかのタイプに分類して、「それぞれのタイプの特質を指摘すると同時に、その特質に即して対処のポイントの解説」を行っているものです。
第1章「悪質クレーマーに潰される!」では、悪質クレーマー増加の背景として、
(1)消費者保護関連法の施行による権利意識の高揚
(2)度重なる企業不祥事とそれに対する一般社会の激烈な反応
(3)インターネットの普及によって一般人でも企業・行政に対する攻撃が可能となったこと
の3点を挙げています。
そして、「従業員の精神的健康のため、また善良な顧客に対するサービスの質を落とさないために、顧客と悪質クレーマーとは峻別して対応すべき」だと述べています。
第2章「顧客? それとも悪質クレーマー?」では、「顧客として扱うか、悪質クレーマーとして対応するかの判断」のポイントとして、
(1)クレームの原因に法的根拠はあるか
(2)損害は発生しているのか
(3)クレームの原因と損害に因果関係はあるか
(4)損害と要求の関連性はあるか
(5)クレーマーの行為は適法か
の5点を挙げています。
第3章「悪質クレーマーの4タイプと対応の基本」では、悪質クレーマーのタイプを、
(1)性格的問題クレーマー:自己保身には敏感
(2)精神的問題クレーマー:突発的な加害行為に要注意
(3)常習的悪質クレーマー:具体的な事実を根掘り葉掘り聞く
(4)反社会的悪質クレーマー:決して秘密を共有しない
の4つのタイプに分け、それぞれについて「対応の基本」を示しています。
第5章「悪質クレーマーの術中にはまるな」では、企業の担当者の悪質クレーム対応が、「悪質クレーマーの術中にはまっている」と見られるケースについて、「企業側に、クレーマーの要求が不当要求か否かを判断する手順が確立されておらず、不用意な行為をしてしまうことによって、悪質クレーマーのペースに乗せられていくことが原因」だと述べています。
また、「製品の欠陥による回収・交換の新聞広告が出ると、必ず、架空の被害を申告して金銭を得ようとする悪質クレーマーが出てくる」と述べています。
第6章「クレーマーに言質・念書を取られるな」では、「クレーマーに念書を取られる要因のほとんどは、迫力負けによる混乱と長時間の拘束、いわゆる軟禁状態」であるとした上で、これを避けるコツとして、「自分には決裁権はないが、事実調査については自分が責任者である」ということを常に念頭において、事実関係の確認に集中することだと述べています。
また、「裁判官は書面重視」であり、「特に書いたほうが不利になる内容の書面」、本章で紹介されている事例のような「賠償約束の念書などがあるのであれば、それは、ほとんど決定的」だとして、「裁判は、常に事後的判断」であると述べています。
第7章「悪質クレーマーの犯罪行為」では、「悪質クレーマーの迷惑行為が犯罪を構成する場合を具体的事例を挙げて説明」しています。
そして、「苦情の受付担当者の使命は、事実の確認に尽き」ると述べたうえで、「悪質クレーマーと判断するには、クレーマーの要求を明確にすること」だと述べています。
第8章「企業不祥事が起こったときのクレーム対応」では、企業不祥事発生時に、直接の原因以外にクレームがふえる原因として、
(1)不信感による消費者の被害意識の拡大
(2)常日頃の製品・サービスに対する不満
(3)一般消費者からのご意見的なクレーム
(4)同業他社の不祥事の影響によるクレーム
(5)不祥事企業に対する嫌がらせ・いたずら
(6)弱みにつけ込んだ架空請求・過剰請求などの不当要求
の6点を挙げています。
第9章「悪質クレーマー対応の7つの鉄則」では、「悪質クレーム対応の7つの鉄則」として、
(1)まずお詫びから:謝罪の言葉と、過失や法的責任の有無とはまったく別の問題
(2)事実の確認を潜行させる:損害額の査定など、責任を前提とした行為は、事実確認が確定するまでしてはならない
(3)感情的な対応は厳禁:人間は、その対象を分析する姿勢に立つことで、その対象が原因で感情的になることを回避することができる
(4)堂々巡りになったときが最初のポイント
(5)文書による最終回答・交渉窓口を弁護士に移管する通知を送る
(6)加害行為には素早い仮処分と刑事告訴で対応
(7)悪質クレーム事例を記録して対応の指針とする
の7点を挙げています。
第10章「今後の課題」では、「弁護士費用は悪質クレーマーのもたらす損失よりはるかに安い」ことを解説しています。
本書は、クレーマーの矢面に立たされている人はもちろん、潜在的なクレームのリスクを抱える多くの人にとって読んで損はない一冊です。
■ 個人的な視点から
本書は、弁護士が登場しないと収まらないような「病状」の重たいケースを中心に取り上げているので、日々のクレーム処理をどううまく対応するか、というニーズには直接的には対応していません。
しかし、1万件に1件でも、致命的なクレーム処理のミスがあったときのことを考えると、悪質クレーマーへの対処方法は身につけておいて損はないのではないでしょうか。
■ どんな人にオススメ?
・悪質クレーマーに怯えている人。
■ 関連しそうな本
吉野 秀 『お客さま!そういう理屈は通りません』
関根 眞一 『となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術』
川田 茂雄 『社長をだせ!―実録クレームとの死闘』
吉野 秀 『クレーマー・シンドローム―「いちゃもん化社会」を生き抜く交渉術』
援川 聡 『超プロがついに明かすクレーマーの急所はここだ!―どんな問題もすべて解決』
森山 満 『企業のためのクレーム処理と悪質クレーマーへの対応 改訂版』
■ 百夜百マンガ
リアルタイムで経験する世代ではなかったのですが、この作品に刺激されてカメラを手にした人は少なくないのではないかと思います。
投稿者 tozaki : 2008年08月18日 23:00
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