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2008年08月21日

プロフェッショナル仕事の流儀あえて、困難な道を行け

■ 書籍情報

プロフェッショナル仕事の流儀あえて、困難な道を行け   【プロフェッショナル仕事の流儀あえて、困難な道を行け】(#1309)

  茂木 健一郎, NHK「プロフェッショナル」制作班
  価格: ¥1365 (税込)
  日本放送出版協会(2008/03)

 本書は、NHKの人気番組『プロフェッショナル』から、5人の出演者との対話をまとめたものです。
 第1章「環境金融コンサルタント 吉高まり」では、温室効果ガスの「排出権」を売買するビジネスについて、「経済の仕組みを使って環境問題の解決を図ろうという新しい取り組みに、今、世界が注目している」とした上で、「そのパイオニアといわれるのが、吉高まりだ」と述べています。
 そして、男女雇用機会均等法の前年に就職した吉高が、「会社に行けば、仕事というのはあるものだと思っていた」が、「何もない状況というのは、自分では受け入れられ」ず、外資系企業に転職し、ニューヨークに転勤し、環境ビジネスにであったことを語った上で、「やはり探さないと、求めて動かないと、やりたいものは見つからない」と述べています。
 また、「すごく悩んでいるときに難しいほうを選ぶ」、「答えはわかっているのに悩んでいて、結局は難しいほうを選ぶ」といわれると語っています。
 第2章「公立高校校長 荒瀬克己」では、堀川高校の学校改革が、「生徒の誰もが持っている『知りたい』という気持ちを中心に据えたものだ」と述べています。
 そして、「探求する心は、きっと子供たちの中にある」とした上で、「一つの学問研究につながるようなことを高校の間に経験できないだろうかと考えて、『探求基礎』という科目を作った」と語っています。
 さらに、「生徒や先生のやる気を引き出すキーワード」として、
・アドバイスはするが教えない。
・まっすぐに聞く、まっすぐに見る。
・すでに効果が証明されたものを取り入れる。
などのキーワードについて解説しています。
 第3章「自閉症支援 服巻智子」では、「一口に自閉症といっても、いまでは、『自閉症巣ペクトラム障害』という名前で呼ばれているように、とても多様な症状」を示すと述べ、あるオーストラリア在住の研究者が、「すべての人はいくつかのピースを持っている。もしも自閉症スペクトラムだという診断をするのに80ピース必要だとすると、多くの人は10ピースくらいは何かしら持っているだろう」という言い方をしていることを紹介しています。
 そして、服巻が、「誰かとわかり合いたい」という気持ちを自分の中に確認できるので、「誰かの『共感し合いたい』という気持ちを手助けしたい」と語り、それは、「結果的に忍耐という言葉になるのかもしれませんが、そうではなくて『ひもとく』だけ」だと解説しています。
 また、「自閉症支援を通じて、私自身の人生のためにすごく良かったのは、多様さを受け入れること、多様であっていいということを学んだこと」だと語り、「彼らが生まれてきた意味を探りたいと思ってこの仕事を選んだけれど、その子どもたちから、生きていくとはどういうことか、人として社会に存在するとはどういうことかを、教わった」と語っています。
 第4章「漫画編集者・原作者 長崎尚志」では、「企画からシナリオづくり、宣伝戦略まで、絵を描く以外の漫画制作すべてに関わる」、「絵を描かない漫画家」だとした上で、「面白いストーリーを創るキーワード」として、
(1)わかりにくいものを選ぶ:わかりにくいものをわかりやすく描いているから面白い。
(2)上下左右から見る:物語の形というのは大昔の神話や伝説に始まって、ほとんどパターンが出尽くしている。
(3)裏切りながら安心させる:「自分はこうなると思ってたのに、どうしてこうなったんだ」というのが、読者には面白い。
(4)自分が面白いと思うものをやる:漫画家なり編集者なりが面白いと信じているものをやるしかない。
の4点を挙げています。
 第5章「義肢装具士 佐喜眞保」では、「手術によって、気持ちが変わるほど大きな変化がある」として、自身が、脊椎の手術で身長が2センチ伸びただけで、「性格が変わるぐらいに幸せだった」と述べた上で、「本人の希望がかなうということが、どんなにうれしいことかわかる」として、「装具づくりでも、本人がどうありたいと願っているのかといういうのを、常に聞いて、本人の気持ちを入れながらつくって」いると語っています。
 また、子どもの頃の事故で障害を持つようになったことで、サングラスをかけるなど、「弱い自分を見せたくない」という時期があり、「本当は弱いんだけれど、弱く見せたくない」と思っていたが、「この仕事に出会って、人様が喜んでくれる、人のお役に立てるというのが実感できるようになった」と語っています。
 そして、「弱いから、弱いということがわかるから、それをカバーする努力もするし、自身を人の拓に立つ部分にぶつけたいという気持ちがある」と語っています。
 本書は、テレビで何となく見ていたのでは気づかないかもしれない、「プロフェッショナル」たちの心の機微に気づかせるきっかけを与えてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 前身となった「プロジェクト×」がドラマティックなプロジェクトを追い求めたあげくに、都合の悪い部分は都合よく改変したりしてしまったために、信用を失って打ち切りの憂き目にあったのに対し、多くの雑誌や評伝が出ているように、個人の話は、それほど極端にドラマティックなプロジェクトでなくても、人生としてのドラマが人の心を揺さぶるのではないかと思います。
 個人的には、最近『20世紀少年』全22巻と『21世紀少年』上下巻を一気読みしてしまった勢いで長崎さんの話は楽しかったです。


■ どんな人にオススメ?

・プロフェッショナルの仕事をしたい人。


■ 関連しそうな本

 村山 昇 『「ピカソ」のキャリア「ゆでガエル」のキャリア』 2005年07月19日
 渡邊 奈々 『チェンジメーカー 社会起業家が世の中を変える』 2005年08月11日
 大島 謙 『高校を変えたい!―民間人校長奮戦記』 2006年02月13日
 吉田 新一郎 『校長先生という仕事』 2006年02月15日
 うしお そうじ 『手塚治虫とボク』 2007年10月06日
 斎藤 槙 『社会起業家―社会責任ビジネスの新しい潮流』 2005年06月01日


■ 百夜百マンガ

あいつとララバイ【あいつとララバイ 】

 バイク乗りの作品ですが、なぜか映画化されたときには少年隊が主役で、主人公はニッキでした。ちなみにカッちゃんは千葉の出身です。


投稿者 tozaki : 2008年08月21日 22:00

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