2007年10月23日
忘年会
■ 書籍情報
【忘年会】(#1006)
園田 英弘
価格: ¥756 (税込)
文藝春秋(2006/11)
本書は、「忘年会という、あまりに日常的な生活習慣を考えることを通して、その日本的固有性の程度を検討し、あわせて日本の生活文化の特色を東アジアの『文化循環』という観点から、位置づけ」ることを目的としたものです。著者は、忘年会を、「年末に開かれる非宗教的な宴会」と定義することで議論を始めています。
第1章「江戸時代の忘年会――その多元的起源」では、忘年会に関する記録として、
(1)皇族の日記・・・室町時代の『看聞日記』
(2)さまざまな資料を集めた武家に関する古記録・・・戦国末期の「関八州古戦録」
(3)町人を描いた小説・・・井原西鶴の『才覚織留』
の3つの文献を紹介しています。
第2章「近代忘年会の成立」では、「明治時代の到来とともに、本格的な忘年会時代がやってきた」と述べ、「忘年会を考える上で、無視できない新しい主役」として、「西洋という存在とそれを体現した新しい社会層の出現」を挙げています。
そして、「江戸時代の忘年会が、既存の人間関係を維持させるための集まりだとするならば、新しい近代の忘年会は、近代化を急ぐ時代の人々のために、人間関係の開拓という役割を期待されていた」と述べ、「忘年会も懇親会も、ともに同じ時期に西洋のパーティを出発点として会合の形式を形成した」が、「官僚重視の社会環境の文脈で模倣したために、会合の官僚制的形式主義が『宴会』を支配した」と解説しています。
また、御雇い外国人であったチェンバレンの言葉として、「すべての招待状は官職録にしたがって送られる」という言葉を紹介し、日本の宴会には、
(1)男性だけのための日本風の晩餐会で、しばしば芸者が接待する。政治団体や科学者の団体の会合、倶楽部の集会などは、この種類に属する。
(2)ヨーロッパ風のもので、このような会に西洋人が参加すると、共通の話題がなく、言葉の問題もあり「憂鬱」で「退屈」である。
の2つのタイプがあるとの記述を紹介しています。
さらに、「芸者遊びは、高くつく」ため、近代忘年会では、「経費節減のためか、芸者がいないのに、いや芸者がいないから、かくし芸をやるようになった節がある」と述べています。
第3章「近代忘年会の拡散」では、明治33年11月に幸田露伴が書いた「宴会」というエッセイを紹介しています。このエッセイは書き出しから、
「背景。何々の候、何々何々。陳れば何々何々会、来る何月何日、何々楼に於て相開き候間、万障御差繰御賁臨被下度候、早々敬具。と書いた後に、但し会費金何円当日御持参之事という一ヶ條と、準備の都合も之あり候間、御出席の有無共来る何日までに御通報下され度候という一ヶ條との小書ありて、明治何年何月、何の某、何の某、と矢鱈に多勢の名前を義士の連判帖を見るように列ぶるもあれば、また何々会会頭何爵何々、と立派な人の名を、羽子板に余るしばらくの面、という格で押し出すもありて、さて何の某殿、と、ぴったり名を指した呼び出しが懸かりて、やがて、宴会というものは始まるなり」
と辛口であり、「この冒頭の文章が、『会』の流行とともに始まった近代宴会を皮肉っていることは、明白であろう」と述べています。そして、露伴が、宴会は「朋友の義理」であり、社会人として生きていくための「税」であると述べていることを紹介しています。
また、明治時代には「紳士」の会合であった忘年会が、昭和前期には国民的な年末行事になることを指摘し、「このことを理解しておかないと、大正・昭和の忘年会のことは不可解なことになる」と述べています。
第4章「大衆忘年会の時代」では、「大衆忘年会時代の主役は、急速な経済成長とともに拡大する企業である」と述べ、終身雇用の導入によって、「企業は従来にないほど『共同体』的な色彩を強め」、「企業側でも社員の側からでも、社内年中行事は大いに利用すべきもの」となったが、「起業忘年会は仕事vs.娯楽、全員参加vs.自由参加といういずれとも決めきれないネジレを本質としている」と指摘しています。
著者は、「企業忘年会は、宴会の連続として捉えるべきである」と述べ、「公的な性格」を持つ一次会と、それから離れた「私的企業忘年会(つまり二次会)」という忘年会も「やはり忘年会だということを理解しておかなければならない」と述べています。そして、企業忘年会は、「社内行事の一環としての『宴会』」であり、「無礼講的な下からのエネルギーと儀式的な組織の秩序が合体したのがこの時期の忘年会であった」と述べています。
また、『総務部総務課 山口六平太』の第5集に収められている「ああ忘年会」という作品を取り上げ、この作品が、「大衆忘年会の終わりの始まり」というメッセージを持っていると述べ、「この時期を境に企業忘年会の多様化が始まった」と指摘し、企業忘年会に集中していた年末のエネルギーが、同窓会や家族や趣味の仲間の忘年会へ分散した」と述べています。
第5章「海を越えた忘年会」では、1988年の映画『ダイ・ハード』で、日系企業ナカトミ・コーポレーションがクリスマス・イブに開催した企業のクリスマス・パーティを紹介した上で、多くのアメリカの企業が開催している企業クリスマス・パーティを、「年末に開かれる非宗教的な宴会」という定義上は、「アメリカの忘年会」と言えないかと述べています。
また、北朝鮮で開かれる「忘年会(ナンニョンヘ)」や台湾の「尾牙(ベーゲ)」、中国の「年夜飯(ニエンイエフアン)」などを紹介しています。
第6章「忘年会の現在」では、「日本では企業の活動に不可欠の団結新を鼓舞するために、あるいは共同体的な企業の一体感を表現し、確認する場として、企業忘年会は機能してきた」と述べています。
著者は、「現在の忘年会文化は、成熟し、大人しくなった、大衆文化である。経済格差が構造化された時代に、遅れてきた大衆という趣がある。私はそれが好きだ」と述べています。
本書は、普段はその存在を当たり前のものとして意識することのない年末の行事の持つ役割と歴史を教えてくれる一冊です。
■ 個人的な視点から
秋も深まり、おでんや鍋物が恋しい季節になってくるといよいよ忘年会シーズンが近づいてきます。昔は色々な名目で職場の忘年会がありましたが、最近はあっさりしてきました。また、昔は二次会三次会四次会に自動的に流れていく雰囲気がありましたが、最近は一次会に顔を出せば「義務」を果たしたと見られるのか、二次会に行く人は好きな人たちだけ、という感じにもなってきています。昔は積立をしてでも開催を心待ちにしていたという忘年会ですが、社内行事としての性格は急速に薄れているんじゃないかと思います。
それでも、職場によっては、忘年会のために一泊二日で職場旅行に行くところが多く、さらに
・課全体の職場旅行
・課の一部であるグループ単位の職場旅行
・課内有志による職場?旅行
なんてのがあって、財布に重い負担がのしかかることも少なくありません。これもさすがに減りましたが。
旅行の準備や運営をいかに上手くこなせるかが、幹事や若手の「腕」の見せ所だったりするので、幹事さんの気合の入り方が半端じゃない場合もありました。
■ どんな人にオススメ?
・忘年会は「日本古来の風習」と思っている人。
■ 関連しそうな本
園田 英弘 『逆欠如の日本生活文化―日本にあるものは世界にあるか』
飯倉 晴武 『日本人のしきたり―正月行事、豆まき、大安吉日、厄年…に込められた知恵と心』
高橋 章子, 怒涛の暴露班 (著) 『忘年会全記録』
林 律雄 (著), 高井 研一郎 (イラスト) 『総務部総務課山口六平太/ああ忘年会』
園田 英弘 『西洋化の構造―黒船・武士・国家』
幸田 露伴 『露伴随筆集』
■ 百夜百マンガ
美少女を描くことで定評があっただけに、「ウイングマン」のヒットの後、「超機動員ヴァンダー」でコケ、「電影少女」以降は美少女モノを中心に描いていましたが、久々に大好きなヒーロー、アメコミ系の作品を投入してきました。
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2007年10月01日
働くみんなのモティベーション論
■ 書籍情報
【働くみんなのモティベーション論】(#984)
金井 壽宏
価格: ¥1890 (税込)
NTT出版(2006/10/13)
本書は、大和言葉で、「動機づけ、意欲、やる気という意味合い」を持つ「モティベーション」について解説しているもので、本書では、モティベーション論を「緊張系、希望系、持論系」の3つの系統に分けて取り上げています。
「プロローグ」では、「この本で言いたいこと」は、「自分のモティベーション(やる気、意欲、動機づけ)を自分で調整できる人間になるための手立てを探ること」であり、そのためには、「モティベーションについて、自分なりの持論(しばしば、本書で持<自>論と表記する)を持つことだ」と強調しています。
第1章「モティベーションに持論をもつ」では、本書全体を通じて強調したいこととは、「自分を知ること、自分の生きる世界を知ること」であると述べ、前者が「セルフ・セオリー」に、後者が「ワールド・セオリー」に関わると述べています。
そして、本書で紹介するモティベーション理論の系統として、
(1)緊張系:ズレ、緊張、不協和、欠乏を解消、回避するためにひとは動く
(2)希望系:夢、希望、目標、自己実現、達成など、ありたい姿に近づくためにひとは動く
(3)持論系:自分がどうやれば動くか暗黙にあるいは明示的に知っているまま、ひとは動くことになる。
の3つの系統を挙げています。
第2章「持論がもたらすパワー」では、すぐれた内省的実践家が自然に気づいているように、「自分の経験と経験の内省と、自分なりの思考からたどり着いた持論を、研究から生まれてきた理論とつき合わせてみたい」というときの理論への接し方として、
(1)シャワーを浴びるように、たくさんの理論に触れること。
(2)世の中にたくさんの理論があるとしても、その根源深いところにおける理論の基本類型をつかむこと。
の二通りがあると述べています。
第3章「マクレガー・ルネサンス」では、学者であるマクレガーが使った「X理論とY理論」という言葉が、教科書では研究者が構築した理論のように紹介されるが、「これこそが大きな(そして、マグレガーの真意からはズレの大きい)誤解」であると述べ、マグレガーは、「実践家がモティベーションの持論を、いくつかの項目からなる仮定群として抱いている」ことを描こうとしたと述べ、「X理論とY理論」は、「マネジャーたち自身が抱く対照的な人間観であり、持論に他ならない」と指摘しています。そして、「社会科学者が構築する公式の理論のように、科学的に検証されてはいなくても、実践家は、自分なりに自分の意思決定やアクションを左右する仮定群を持っている。それが、実践家が抱くセオリーにほかならない」とマグレガーの考え方を解説しています。
また、「マグレガーの最大の貢献」として、
(1)管理者になる頃には、意識している度合は低いかもしれないものの、モティベーションについての持論を持っていること。
(2)どのような持論を持っているかによって、部下の働き方、したがって職場のありようが変わってくること。
を明らかにした点にあると指摘しています。
第4章「外発的モティベーションと内発的モティベーション」では、「外発的動機づけを考えるための理論的視点と、外発的動機づけのみに頼ることの危険」について議論しています。
まず、外発的動機づけに過度に依拠することのマイナスとして、このことを最もラディカルに批判してきたアルフィー・コーンを取り上げ、外発的報酬が悪影響をもたらす理由として、コーンが注目した、
(1)報酬は罰になる
(2)報酬は人間関係を破壊する
(3)報酬は理由を無視する
(4)報酬は冒険に水をさす
(5)報酬は興味を損なう
の5点を紹介し、さらに、この問題の先鞭を切ったデシの主張として、
(6)報酬は使い出したら簡単には引けない
(7)報酬はそれを得るための手抜き(最短ルート)を選ばせる
の2点を追加しています。
そして、コーンが、読者からの手紙で、「間もなく3歳になる娘が寝る時間なのに、何度も何度もベッドルームから出てくるときに、どうしたらいいのか」と質問され、その選択肢として、
(1)「3つ数えるうちにベッドに戻らないと、テレビは一週間禁止よ」
(2)「今晩から3晩、ちょろちょろせずにすぐに寝たら、欲しがっていたぬいぐるみのクマを買ってあげるわ」
(3)「なぜベッドから何度も起きてくるのか、理由を探さなくちゃね」
の3点を挙げていることを紹介しています。
さらに、「内発的動機づけの最も有力な論者として君臨」するデシを取り上げ、彼が、「有能感と自己決定(self-determination)」に注目したことを紹介しています。
第5章「達成動機とその周辺」では、経営学における経営管理や組織行動のテキストで必ず紹介される理論モデルである「期待理論(expectancy theory)」について、「努力しだいでそのような報酬(実際には、多種多様な報酬の束)にありつける主観的確率(期待)をその報酬(の束)の価値との相乗効果(掛け算)で、実際にどれくらい努力を投入するかという大きさで示されるモティベーションの水準が決まる」というものであり、「期待×価値(誘意性)理論」とも呼ばれると紹介しています。
また、達成動機の研究を高い達成動機を持ってとことんやりぬいた、デイビッド・マクレランドが、達成動機の所在を、
(1)達成の卓越した水準を設定し、それに挑む。
(2)自分なりの独自なやり方で達成しようとする。
(3)長期間かかるような達成に取り組み、その達成を期待する。
の3つの基準に所在を見極めようとしたと述べています。
さらに、「内発的動機づけの理論に、デシとは異なる立場でユニークな貢献をおこなった」研究として、チクセントミハイの「フロー経験」とマズローの「思考経験」を取り上げています。フロー経験の特徴としては、
(1)行為と意識の融合
(2)限定された刺激領域への注意の集中
(3)自我の喪失や忘却、および世界との融合感
(4)自分の行為や環境を自ら支配できているという感覚
(5)首尾一貫した矛盾のない行為が必要とされ、そこに明瞭なフィードバックがあること
(6)自己目的的、つまり他の目的や外発的報酬のためにそれをしているのではないこと
の6点を挙げています。
第6章「親和動機」では、心理学者のデイビッド・ベイカンが、「人間には"エイジェンシー"として生きるという面と、ひとりではなくみんなと一緒だという"コミュニオン"な面の二重性がある」と説いていることを紹介し、日本ではこれを「主体性」と「共同的」と約すことが多いと述べています。
また、「マズローは、自己実現以外に愛と所属の欲求、マクレランドは、達成動機以外に親和動機、デシは、自律性と有能性意外に関係性にも注目する」理由として、
(1)遺伝子レベルで、われわれは集まり、親密さ、社会性を大事にするようにできているという考え。
(2)ベイカンの言うコミューナルなものが人間性の根底を占めるという考え。
(3)関係性に注目する精神分析の学派の考え。
(4)マッカダムズが、モティベーション論では「親密動機」に強く注目し、生涯発達の面では「世代継承性」にこだわりを見せた。
(5)有能感と自己決定(自立)を重んじるデシも、人が本当に充実した生き方を希求するなら、関係性が大事になってくることを強調している。
等の解説をおこなっています。
第7章「目標設定」では、モティベーションが、「『今、がんばる』という瞬発力の世界」で、キャリアは、「『長期的な生き方・働き方の意味づけ』という持続力の世界」であり、両者はばらばらではなく、「毎日のがんばりの積み重ねなく、長期的に意味のある生き方はむずかしいし、今打ち込んでいることが長い目で見て意味の感じられる行き方につながると見通せるなら、そのことがいっそう今がんばる気を万全なものにしてくれる」と述べています。
第8章「自己実現」では、「自己実現の欲求以外なら、『動機づける』ことができる」が、自己実現は別格であると述べ、「下位の四つだけが動機づけの問題で、自己実現は発達の問題だと強調するため」に、「自己実現の欲求」をピラミッドから切り離した図等を紹介しています。
第9章「実践家の持論」では、世の中に、「努力や能力という自分の側に原因を求めるタイプの人」(インターナルズ=内部帰属者)と、「課題や運という環境の側(自分の外側)に原因を探しがちな人」(エクスターナルズ=外部帰属者)とがいると述べています。
また、モティベーションを学ぶ意味として、「若いときは自分を動かすためのモティベーションを知れば十分だが、やがて人に動いてもらう立場になると、どうすれば他の人々の動いてもらえるかという点を踏まえてモティベーションを学ぶ必要がある」と語っています。
本書は、自分のモティベーションで悩んでいる人にも、部下のモティベーションで悩んでいる人にもお勧めの一冊です。
■ 個人的な視点から
本書の中でも触れられていますが、「モティベーション」を「動機づけ」と訳すのにはやはり違和感があります。どうしても、目の前にニンジンをぶら下げられる絵を想像してしまいます。
■ どんな人にオススメ?
・自分や部下のモティベーションに悩んでしまう人。
■ 関連しそうな本
ヴルーム, 坂下 昭宣 『仕事とモティベーション』 2006年02月17日
ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
金井 寿宏, 高橋 潔 (著) 『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト』 2005年04月27日
金井 壽宏 『組織を動かす最強のマネジメント心理学―組織と働く個人の「心的エナジー」を生かす法』 2005年06月09日
M. チクセントミハイ (著), 今村 浩明 (翻訳) 『楽しみの社会学』 2005年02月08日
エドワード L.デシ (著), 安藤 延男, 石田 梅男 (翻訳) 『内発的動機づけ―実験社会心理学的アプローチ』
■ 百夜百マンガ
「あ~る」にしてもそうですが、若いマンガ家が描く文科系部活漫画は楽しいです。新入生が珍妙なセンパイに翻弄される、という設定はたいてい同じですが。
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2007年09月12日
部長のハート―解決!職場のストレス あなたは部下を愛せますか?
■ 書籍情報
【部長のハート―解決!職場のストレス あなたは部下を愛せますか?】(#965)
河合 薫
価格: ¥1000 (税込)
プレジデント社(2004/10)
本書は、「ストレスに対処する能力(Sense of Coherence: SOC)」の概念を用いて、「部長」の心配事を解決に導き、「あなたが元気になること」を目的としたものです。著者は、SOCを用いる理由として、
(1)SOCが「心配事をエネルギーに換えてしまう能力」であること
(2)SOCが「環境で創られる能力」であること
の2点を挙げています。
第1章「『首尾一貫感覚』――あなたは『楽天力』を持っていますか?」では、SOCが、1979年にアントノフスキーによって提唱された、人間が「どうして元気なんだろう?」と考える「健康生成論(salutogenesis)」という考え方に基づいていることを解説しています。アントノフスキーは、ナチスの強制収容所からの生還者を多く含んだ、イスラエルに住む45~54歳の女性たちへの調査の結果、「そんな経験を持ちながら、ココロの健康を保っていた女性が29%もいたこと」に着目し、「なぜ、彼女たちは極限にいたるほどの悲惨な経験をしているにもかかわらず、人生の新しい局面である更年期に適応する力を持ち、精神的にも元気でいられたのか」と考えたことが、「人間には『ストレスを退治するパワー』があるのではないだろうか?」と考えたことが健康生成論の生まれた背景であり、その結果SOCにたどり着いたことが解説されています。
このSOCは、「心配事をエネルギーに換えてしまう能力」と説明されていますが、直訳すると「首尾一貫感覚」と訳され、「自分の人生で起こるさまざまな出来事のつじつまを合わせることができる感覚」であると説明されています。アントノフスキーは、SOCを、「人生を通じて人間が元気でいられるように働く、『能力』だ」と述べ、
(1)把握可能感(sense of comprehensibility):ストレッサーを秩序付けられる、ときにはある程度予測できると考え、同時にそれがどういうものなのか自分で説明できるという確信
(2)有意味感(sense of meaningfulness):ストレッサーは自分にとってある意味、挑戦であり、それに対することは人生に必要なことであるという確信
(3)処理可能感(sense of managebility):ストレッサーに対応し、処理するための資源が自分にはあるという確信
の3つの要素から構成されていると述べています。
著者は、「SOSは性格ではありません。あくまでも『能力』です」と述べ、「乳幼児から思春期を経て青年期にいたるまでの人生の経験を通じて、育ってきた環境との相互作用によって後天的に形成されていく能力であり、成人期以降も人生の経験によって変化することが確かめられて」いると解説しています。
第2章「『元気になる力』――今も職場に残ってますか?」では、「あなたの会社」に欠落している「失われた元気になる力」として、
(1)夢
(2)働きがい
(3)信頼
の3点を挙げ、「この『元気になる力』を取り戻すことが、楽天力の高い職場をつくるための基本」であると述べています。
第3章「『把握可能感』――「俺が責任をとってやる」と言えますか?」以降の章では、本書の主人公である「部長」(=読者)に愛人がいる、と設定し、さまざまなストレスのかかる状況を解説しています。本章で、彼女から「誕生日を忘れていた」ことを指摘された「部長」(=読者)は、
(1)忘れるなんてことは誰にでもあることだ。大したことじゃない。「このあとホテルに行く予定にしていたんだ」とかいって、うまくこの場を乗り切ろう。
(2)や、やばい。ど、どうしよう……。どうにかしなくっちゃ! まずは、正直に謝って、今度会ったときにネックレスを買いに行こうと約束しよう。それとも、忘れてはいなかったけど、時間がなかったと言い訳しようか。
(3)あ~、もう終わりだ! 俺はなんてダメな男なんだ。
の3つの中からどれが一番近いかによって、
(1)ホテル部長
(2)言い訳部長
(3)パニック部長
にタイプ分けされ、「この事態にどう対処するか」について解説しています。(1)の「ホテル部長」は、今回の事件を全くストレスとして受け止めておらず、「楽天力の高い人は、低い人に比べ、この段階で『自分にとって、全く問題のないことだ』と認知し、『ストレスでない』と判断する傾向」にあり、「ストレスと認知したとしても、すぐにそれに対する対処法を選択することが可能」であると解説されています。(2)と(3)のタイプは、「今回の出来事を自分にとって危機的状況である」と判断し、「ストレスにさらされている」状況にありますが、「そのあとどうするか?」という対処の原動力を、持ち備えているか否か、という点で違いがあり、(2)の「言い訳部長」は、「いくつかの対処法を持ち合わせており、多少パニックに陥りながらも、どうにか危機を乗り越えること」ができるのに対し、(3)の「パニック部長」は、「この危機を乗り越えるための対処法」を全く考えることができていないと解説され、このような「ストレスにうまく対処するための原動力を持ち合わせていない」人が、「楽天力の低い人」であると述べられています。
著者は、この「事件」は、職場においても応用できるものであり、「SOC(楽天力)の低い部下の楽天力を高め」、「楽天力の高い部下の能力を最大限に引き出す」ことこそが、「部長であるあなたの仕事」であると述べています。
そして、「楽天力の高い人は、直面した出来事を説明不可能などうにもならないこととしてではなく、自分で説明できる秩序だった明瞭な情報として受け止めること」ができ、この「説明できるという感覚」がSOCの構成要素の一つ、「把握可能感」であると解説しています。
第4章「『有意味感』――『おお、がんばってるな』と言ってますか?」では、SOCの構成要素の2つ目である「有意味感」について、「ストレッサーが自分にとって、立ち向かっていく価値のあるものだ」と思える感覚であると述べ、「動機づけの要因」であると解説しています。
また、「価値あるメッセージがココロに与える影響」について、シグリストらが1980年代に提唱した「努力―報酬不均衡モデル(Effort- Reward Imbalance model:ERIモデル)を取り上げ、「職業生活において『努力しているのに、報われない』状態が続くと、それは慢性的なストレッサーになる」ことを説明した理論モデルであると述べ、ERIモデルが、「仕事から得られる報酬」を、
(1)金銭などの経済的報酬
(2)他者からの尊敬などの心理的報酬
(3)昇進などの仕事(キャリア)の機会
の3つに分類していることを解説しています。
そして、「仕事を意味のあるものだ」と感じる部下に育てるためには、「社会的に価値ある意思決定への参加という経験の持続は、人が仕事に有意味性を感じる源である」というアントノフスキーの言葉を紹介したうえで、
(1)仕事上の喜びと誇り
(2)自由裁量度
の2つの要素で説明できると解説しています。
第5章「『処理可能感』――『お前なら大丈夫だ』と言えますか?」では、SOCの3つ目の要素である「処理可能感」について、「ストレッサーに対応し、処理するための資源が自分にはあるという確信」であり、ここで「処理するための資源」とは、「元気にある力」のことであると述べています。そして、さらにわかりやすく翻訳すると、「元気になる力を動員して、困難な出来事に直面しても、自分なら何とか切り抜けられる。何とかやっていけると信じられる感覚」であると述べています。
著者は、部下の「効力への信念」を強める方法として、
(1)制御体験:何らかの困難にぶつかり、乗り越える努力をした結果、見事に成功することで「効力への信念」が強められる。
(2)代理体験:他人の行動を観察することから、効力感を得る方法。
(3)社会的説得:他人から勇気付けられたり、評価されることで「効力への信念」が強められる。
(4)良好な生理的状態:体長が悪いと、人間は自分の遂行能力が低下していると思い込んでしまう。
の4点を挙げています。
本書は、職場のストレスに悩む人や、職場のストレスの原因になっている人にぜひ読んでいただきたい一冊です。
■ 個人的な視点から
本書は、「部長」や「愛人」が出てきたりして、「職場恋愛相談」か何かと間違えられそうですが、しっかりと、仕事のモチベーションとストレスについて解説している本です。それだけに、思わせぶりな本書のタイトル・サブタイトルは、売上には貢献するかもしれませんが、評価としてはちょっともったいない気がします。著者がぜひ読んでほしいと思う人に素通りされてしまってはもったいないです。
■ どんな人にオススメ?
・部長のハートの中味を知りたい人。
■ 関連しそうな本
ヴルーム, 坂下 昭宣 『仕事とモティベーション』 2006年02月17日
ジョセフ・H. ボイエット, ジミー・T. ボイエット (著), 金井 壽宏, 大川 修二 (翻訳) 『経営革命大全』 『熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素』 2006年08月30日
金井 壽宏 『組織を動かす最強のマネジメント心理学―組織と働く個人の「心的エナジー」を生かす法』 2005年06月09日
ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
ジーン・リップマンブルーメン, ハロルド J.レヴィット (著), 上田 惇生 (翻訳) 『最強集団ホットグループ奇跡の法則―成果を挙げる「燃えるやつら」の育て方』 2007年09月06日
■ 百夜百マンガ
この恐い見た目の上に名前は「鬼」!
こんな人事課長がいたら恐いですが、実は人事制度やモチベーション、チームビルディングなどを正面から取り上げたビジネス物であり、ほろりとさせる人情ドラマです。
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2007年09月06日
最強集団ホットグループ奇跡の法則―成果を挙げる「燃えるやつら」の育て方
■ 書籍情報
【最強集団ホットグループ奇跡の法則―成果を挙げる「燃えるやつら」の育て方】(#959)
ジーン・リップマンブルーメン (著), ハロルド J.レヴィット, 上田 惇生 (翻訳)
価格: ¥1,680 (税込)
東洋経済新報社 (2007/03)
本書は、情熱を持って成果を挙げる、「ホットグループ」について解説しているものです。ホットグループは「組織図上の一単位」ではなく、「メンバーに共有されるミッション中心の心のあり方」であるとされています。
著者は、ホットグループが中心的な存在となる理由として、
(1)イノベーションの重要性が高まったこと。
(2)ピーター・F・ドラッカーが命名した「知識労働者」なる人たちが中心的な存在となったこと。
(3)あらゆることが複雑化したこと。
の3点を挙げています。
第1章「奇跡の集団ホットグループ」では、「ホットグループとは一つの心のあり方である」と述べ、「メンバーの頭の中は、果たすべきミッションでいっぱいとなり高度の熱を帯びてくる。そして、通常とは違った行動、集中力、力強い姿勢が生まれる」と述べています。
そして、
・ラーチバッカー大尉の造船所におけるマネジメント・グループ
・ビル・ゲイツのプログラミング・グループ
・航空宇宙産業のプロジェクト・チーム
・『ヒルストリート・ブルース』の制作現場
・マッキントッシュを生んだパソコンおたく集団
・ケネディのエクスコム
等のホットグループを紹介し、これらのグループの共通点として、
・重要なミッションに携わるという誇りを持っていた。
・ミッションが支配していた。個々の人間関係はさほど需要ではなかった。
・活動期間は長くはなかった。しかし、メンバーにとってはいつまでも懐かしく輝かしい思い出となった。
の3点を挙げています。
第2章「希望の種を蒔く」では、ホットグループが成長する環境として、
(1)親組織がホットグループの発芽に気づいていない。
(2)トップマネジメントそのものがパトロンになっている。
(3)組織が本当に変化しようとしている。
(4)すでに組織が危機下にある。
の4つの点を挙げています。
第3章「戦略はミッションに従う」では、ホットグループを、「情緒的な集団ではない。カルト集団でも日本型のチームでもない。議論百出の仕事集団である。ホットグループはミッション至上主義である。メンバー相互の感情や親組織に配慮する暇はない。このため、外部からは組織全体のチームプレーに無関心な無法者との見方がされる」と述べ、その欠点は、「迅速な思考と創造力」によって埋め合わされ、彼らが、「多様性を好む」と同時に、「暗黙か明示的かを問わず、一定の思考の枠組みと価値観」を持ち、「正しいこと正しくないことについて同じ考え方を持つ」と解説しています。
第5章「いかにして『やつら』の魂に火をつけるか──リーダーたる者の条件」では、ホットグループのリーダーのタイプを、
(1)指揮者型:プレイング・マネジャー的なリーダー。
(2)パトロン型:グループを激励し支えるが、日々の活動をともにはせず、触媒としての役割を持つ。
(3)炎の番人型:かたくなにミッションに取り組み、前進させる人。
の3つに分類しています。
第6章「『人』の共鳴からスタートする──指揮者型リーダーのための12の心得」では、「ホットグループのリーダーであるということは、行政機関を指揮するというよりも、誠二キャンペーンを指揮するのに似ている。大企業の一部門をマネジメントするというよりも、厳しい戦闘態勢下で分隊を率いるといった方が近い」と述べています。
そして、指揮者型のリーダーがグループをホットにするための心得として、
(1)仕事ではなく人から考える
(2)持てるものは総動員
(3)親組織に売り込む
(4)ミッションの価値を明らかに
(5)弱者を装う
(6)自由を設定する
(7)共同体意識を育てる
(8)息抜きも必要
(9)クールダウンする
(10)燃え尽きさせない
(11)危機を乗り越える
(12)意味づけを行う
の12点を挙げています。
第7章「野生の叡智を躍動させる──パトロン型リーダーのための10の心得」では、
(1)考えをはっきり伝え、それを行動で示す
(2)リーダー候補を見極め支援する
(3)野鴨を採用し応援する
(4)人選をグループに任せる
(5)不適切な人材は出てもらう
(6)貴重なメンバーを失ったときの対処
(7)外部と競争させる
(8)組織内の他のグループと競争させる
(9)若者に聞く
(10)メンバーではなくグループ全体に報いる
の10点を挙げています。
第8章「多様なものに自由を与える」では、
・放射型グループ
・円形グループ
の2つの構造を示した上で、「この変化の時代により適しているのは円形である。階層が少なく相互のつながりが強い組織構造が、これからの世界が求める自己改革とイノベーションを生む。ホットグループは円型を好む」と述べています。
また、ホットグループが短命な理由として、
(1)機能ではなくミッションを中心に組織されているので、目的であるミッションが達成されれば、それ以上活動する必要はほとんどない。
(2)ホットグループそのものが長命を望まない。
(3)活動的で代謝率が高い。
(4)解放性と柔軟性が強さの源であると同時に脆さの原因となる。
の4点を挙げています。
第9章「親組織とのトラブルを回避する方法」では、ホットグループと親組織の関係が特殊である点として、
(1)ホットグループはミッションのみを重視し、親組織を「ミッションに関係あるか関係ないか」という一つの視点からしか見ることができない。
(2)ホットグループは孤立しやすい。
(3)ホットグループは気まぐれである。
の3点を挙げています。
第10章「『想定外』の動きで大組織を変革する方法」では、「改革は海老の脱皮に似ている。脱皮したてで殻が柔らかく壊れやすい時期には、捨てられた古い硬い殻の保証と、新しい殻が固まってようやく手に入る新しい保証との間のバランスを取らなければならない」と述べ、人がその時期に不安を感じることを指摘しています。
第12章「失われた個を求めて」では、「ホットグループで働くことには中毒性がある。ホットグループを経験してから定型的な仕事に戻ることは難しい。ホットグループの活気と刺激が恋しい」と述べたうえで、
・「二度とごめんだ」という気持ち
・「次のプロジェクトを始めよう」という気持ち
の「誰もがかなり矛盾した感情にとらわれる」と述べています。
本書は、正体をつかみにくい「ホットグループ」について、多くの角度から光を当てた一冊です。
■ 個人的な視点から
「最強集団」「奇跡の法則」というと良いことばかりな印象を与えますが、重要な点は、彼らが同じ組織にいたら「嫌な奴ら」だということです。そしてそういう集団が飛びぬけた成果を挙げることの不思議さが「奇跡」であり、その「法則」を解き明かそうとしたところに本書の価値があるのではないかと思います。
■ どんな人にオススメ?
・組織内で嫌われてもミッションを完遂したい人。
■ 関連しそうな本
ヴルーム, 坂下 昭宣 『仕事とモティベーション』 2006年02月17日
ジョセフ・H. ボイエット, ジミー・T. ボイエット (著), 金井 壽宏, 大川 修二 (翻訳) 『経営革命大全』 2006年01月06日
デビッド・シロタ 『熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素』 2006年08月30日
金井 壽宏 『組織を動かす最強のマネジメント心理学―組織と働く個人の「心的エナジー」を生かす法』 2005年06月09日
松繁 寿和, 中嶋 哲夫, 梅崎 修 『人事の経済分析―人事制度改革と人材マネジメント』 2006年01月10日
ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
■ 百夜百マンガ
柏のカフェに置いてありました。
東京じゃないですが、こういう雰囲気は好まれているようです。
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2007年01月03日
管理される心―感情が商品になるとき
■ 書籍情報
A.R. ホックシールド (著), 石川 准, 室伏 亜希 (翻訳)
価格: ¥3045 (税込)
世界思想社(2000/04)
本書は、航空会社の客室乗務員や債権の集金人に対する調査を元に、「人はどのようにして感情に働きかけるのか――あるいは、働きかけるのをやめたり、感じることをやめたりもするのか?」、「私たちが働きかけている対象とは何なのか」を明らかにすることを目的としたものです。
第1章「管理される心の探求」では、「自分の感情を誘発したり抑圧したりしながら、相手の中に適切な精神状態――この場合は、懇親的で安全な場所でもてなしを受けているという感覚――を作り出すために、自分の外見を維持しなければならない」という「感情労働」について、「この種の労働は精神と感情の協調を要請し、ひいては、人格にとって深くかつ必須のものとして私たちが重んじている自己の源泉をもしばしば使い込む」と述べています。
著者は、感情労働の働きを追及するため、
(1)デルタ航空の客室乗務員の世界。デルタ航空は他の会社よりも会社側の要求が強く、すべての客室乗務員に課せられる要求が拡大する状況にあり、公的生活における感情の働きについて、一般的なケースよりも明確に問題点を示してくれる。
(2)デルタの請求部へのインタビュー。企業にはときに猜疑や怒りでわざと客の立場を潰す集金人に代表されるような別の顔もある。
の2つのルートで労働市場に入り込んだことを述べています。
第2章「手がかりとしての感情」では、デルタのスチュワーデス訓練センターで、会社が年に1回実施している自己意識講座の講師の、「これは、思考回路、行為、そして感情についての講義です」、「誠実な人間であるためには、私はあなた方に一つのことを話しておきながら別のことを信じると言うことはできない。私の誠意と熱意を、今から私が話そうとしている感情管理の技術の価値を証明するものとして受け止めなさい」という言葉を紹介しています。そして、講師が、「文句つけ(「文句つけ irate」は経験から生まれた造語的名詞)に対する腹立たしさを、あなたならどうやって静めますか」という問いかけに続いて、「私は、彼らの人生には何かトラウマ〔精神的外相体験〕があったのだ、という風に考えるように努めます。(中略)私は後になって、彼の息子が亡くなったばかりだったということを知りました。(中略)皆さんが相手のことを思い、なぜ彼らがそんなに混乱しているのかを考えていれば、自分のことや自分のフラストレーションから注意をそらすことができます。そうなれば、それほど怒りを感じることはないでしょう」という解説を紹介しています。
著者は、「深層演技(deep acting)によって手がかりは解消するが、ある見方からすればそれによって他者を欺くのと同時に自分自身を欺いているのである。表層演技(surface acting) をするとき、私たちは自分が本当に感じていることを他者に対してごまかしていはいるが、自分をごまかしていはいない」と述べています。そして、「自分固有の領域が残されている、そのような内なる宝石という概念」である「ほんとうの自己」を、「自分の内部に深く押しやり、一層手の届かないものにしている」と解説しています。
第3章「感情を管理する」では、「私たちは誰でも多少とも演技をしている」が、それには、
(1)表層演技(surface acting):ボディランゲージや作り笑いや気取って肩をすくめるしぐさ、計算されたため息。
(2)深層演技(deep acting):感情の働きの自然な結果であり、行為者は、自己誘発した感情を自発的に表現する。
の2種があると述べ、表層演技では、「表情や身振りは『うわべだけのもの』だと感じられる」が、深層演技では、「意識的な精神労働」を行うことで、「『私自身』の一部から自分で呼び起こした感情が保たれる」ことが解説されています。
この深層演技の方法には、
(1)感情に直接命じるもの
(2)訓練されたイマジネーションを間接的に利用する
の2つの方法があり、「この2つ目のものだけが真のメソッド演技である」と解説しています。これは、「単純に体が、あるいはただちに接近できる感情がではなく、ファンタジーや潜在意識または半意識的な記憶全体が、貴重な資源とされる」と述べています。
著者は、「劇場と生活を区別するものは幻想ではない」と述べ、「両者を区別するものは、幻想への価値評価と幻想を<それ>と知る容易さ、そして感情を作るための幻想を利用したときの結果である」として、「私的生活では、その結果は予測不可能であり、破滅的な結果を招かないとも限らない」と述べています。そして、「深層演技や表層演技が一日の仕事の一部に、つまり一日の賃金と引き換えに私たちが雇用主に売るものの一部になるとどうなるだろうか?」と問いかけ、「商業的場面では、表層演技と深層演技によって、顔と感情が一個の資源という特性を帯びる」と述べています。
第4章『感情規則』では、「感情の交換を統制する権利や義務の意識を作り上げることによって感情作業を導く」、「感情規則」について解説しています。著者は、感情規則が、「心理学的な『お辞儀』を通じて交換の基本線を提供している」と述べ、交換には、「ストレートなものと即興的なもの」との2つのタイプがあることを解説しています。そして、「私的な生活の場では現在の交換レートを自由に尋ねることができるし、新しいレートについて自由に交渉することもできる。納得できないのならば、立ち去ることもできる」が、「労働という公の世界では、客に向けたい怒りを空想の中に閉じ込めながら不公平な交換を受け入れることや、失礼な、あるいは逆上したクライアントに対処することが人の仕事の一部となる」と述べ、「収支は賃金によって帳尻が合うことになっている」と解説しています。
第6章「感情管理」では、「表現(displey)は売りさばかれるものである」が、そのような表現も長期的には「感情となんらかの関係性を帯び」、「表現と感情との分離を長期にわたって継続させるのは難しい」として、「認知的不協和のアナロジー」を用いて、<感情的不協和>の原理が作用すると述べています。また、感情管理の領域が、「身体的な外見と深い信念との間」に存在する中間の領域であることを述べています。
そして、感情管理を機能させるためには、
(1)感情作業:個人的な行為から、一方で購入された方で販売される、公的な行為となる。
(2)感情規則:個人の自由裁量や他者との個人的な交渉に任された問題から、マニュアルや研修などの中で公然と定義づけられる。
(3)社会的なやりとり:細い水路に限定されることになる。
の3つの基本要素を変異させることが必要であることを解説しています。
著者は、「生活のために感情労働をしている人は、他の人は直面しないような3つの難しい問題にぶつかる」として、
(1)自分の仕事や会社と一体化することなしに、どうやって心から、仕事や会社に帰属意識を持つことができるのか?
(2)働きかけている<相手と>気持ちの上で切り離されているときに、いかにして自分の力を使うことができるのか?
(3)もし私が一体感をもてない相手に向かって深層演技をするとしたら、どうすれば皮肉っぽくならずに自尊心を<維持>できるのか
の3点を挙げています。
第7章「両極の間で」では、企業社会の2つの極として、「一方はサービスを提供し、他方はその代価を取り立てる」と述べ、「サービス提供行為の身振りの背後で、労働者には実際に思いやりと信頼と行為の感情を抱くことが求められる」一方で、「売りさばいた商品の代価を取り立てるときは、労働者には、深い不快な顔と命令を下す鋭い声とが求められ」、その背後で「不信と、ときには積極的な悪意の感情」が要求されることを述べ、「いずれの身振りにおいても、適切な感情をどのように生み出し、それらを持続させていくかが、労働者にとっての課題となる」と語っています。
著者は、「集金業では、業務遂行の場や行為者間の関係は、最も初期の段階で非人格化され、保護される」として、集金代理店の集金人たちが、本名の使用を禁じられていることを紹介しています。そして、「集金人も客室乗務員と同様に、感情規則を遵守する」として、集金人は、「その疑念をたやすく信頼の気持ちに置き換えてしまってはならず、相手が真実を語っているかどうかの目安になるサイン、つまり真相に通ずる小さな手がかりが重要となる」と述べています。また、集金人たちが、「高慢な態度を取り、相手よりも優位に立ち、やりたい放題に物事を進めることが許されている」として、客室乗務員にとっては招かれざる「苦情の手紙」が、多くの集金代理店では大いなる賞賛を勝ち取ることになると述べています。また、客室乗務員が、雇用時の審査によって仕事上要求される資質の存在が保証されるのに対し、集金人の場合は、「仕事になじめないものは早々に辞めていく」という「人の回転率の高さ」によって保障されるものであると解説しています。
著者は、感情労働が求められる職業は、これらの両極端な霊の中間に多数存在し、
(1)対面あるいは声による顧客との接触が不可欠である。
(2)他人の中に何らかの感情変化(感謝の念や恐怖心など)を起こさせなければならない。
(3)研修や管理体制を通じて労働者の感情活動をある程度支配する。
という3つの特徴を備えていると述べています。そして、「感情の負担を伴う職業は、すべての社会階層に存在し、それは、仕事を遊びではなく、仕事たらしめている一条件であるとも言える」と語っています。
また、感情労働者である大人が、子供という小さな感情労働者の育成にも寄与しがちであるとして、「労働者階級の親たちが、行動に課せられる規則への服従を子どもに教えるのに対し、中流階級の親たちは、感情に課せられる規則をより重んじるように、子どもを育てる」という研究を紹介し、「中流階級の母親が子どもを罰するのは、息子が暴れてたり物を壊したりしたことに対してよりも、癇癪を起こしたことに対してである可能性がはるかに大きい」と述べています。
この他、第8章「ジェンダー、地位、感情」では、「人に接する能力を求める巨大組織の成長につれて、相手の地位を持ち上げるための女性らしい技術や、そのために必要な感情作業は公的なものとされ、標準化されるようになってきた」ことが、第9章「本来性の探求」では、「資本主義が、感情を商品に変え、私たちの感情を管理する能力を道具に変える」のではなく、「資本主義は感情管理の利用価値を見出し、そしれそれを有効に組織化し、それをさらに先へと推し進めた」ことなどが述べられています。
本書は、働く人の多くが、「感情労働者」として組織的に仕事をしていることを、気づかせてくれる一冊です。
、
■ 個人的な視点から
本書を読んで、「研修」とは、一般的な能力を向上させたり、知識を習得するばかりでなく、感情労働のために不可欠な技術である、自分の感情をコントロールする技術を習得するためのものであることを知りました。
「感情をコントロールする」というと、なにやらヨーダの元で修行でもしているような感じですが、映像としての視覚効果バッチリな超能力ばかりでなく、感謝や同情などの感情をコントロールすることも「感情労働者」にとっては重要な武器であることがわかります。
■ どんな人にオススメ?
・自分は感情労働者だという自覚のある人。
■ 関連しそうな本
ポリー・トインビー (著), 椋田 直子 (翻訳) 『ハードワーク~低賃金で働くということ』 2006年03月08日
玄田 有史 『働く過剰 大人のための若者読本』 2006年06月26日
小沢 牧子, 中島 浩籌 『心を商品化する社会―「心のケア」の危うさを問う』
パム スミス (著), 武井 麻子, 前田 泰樹 (翻訳) 『感情労働としての看護』
森 真一 『自己コントロールの檻―感情マネジメント社会の現実』
武井 麻子 『感情と看護―人とのかかわりを職業とすることの意味』
■ 百夜百マンガ
ヤクザの息子が主人公、というわかり易い本宮マンガ。何しろ30年近く前のマンガなので今読むとアレかもしれませんが、本宮作品のスタイルの原型の一つと言えるでしょう。
投稿者 tozaki : 06:00 | コメント (0) | トラックバック
2006年09月28日
動機づける力
■ 書籍情報
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部
価格: ¥1890 (税込)
ダイヤモンド社(2005/2/3)
本書は、組織の成功の半分を占める要因とも言うことができる「モチベーションを醸成するものとは何か、適切なインセンティブとは一体何なのか」という問いに答えることを目的として、モチベーションマネジメントの名論文を収めた論文集です。
1968年のフレデリック・ハーズバーグによる第1章「モチベーションとは何か」では、多くの論文、書物、講演、研究会で提起される「どうすれば思うとおりに社員を働かすことができるか」という問題に対して、「机上の空論が知識を凌駕する」という情けない状況であることを指摘するとともに、どこで講演しても聴衆の中に必ずいる「直接行動派」のマネジャーによる「KITA」("Kick in the ass":尻を蹴飛ばせ)という方法について次のように紹介しています。
(1)消極的かつ肉体的KITA
(2)消極的・心理的KITA
(3)積極的KITA:ボーナスや手当、身分や昇進など。
この中で、多くのマネジャーが「消極的KITAはモチベーションにならないとすぐ断言し、積極的KITAはモチベーションになると、ほとんど異口同音に主張」することについて、著者は、「消極的KITAが暴力だとすれば、積極的KITAは誘惑だからである」として、「誘惑に負けるほうが暴力を振るわれるよりもずっと不幸である」、「誘惑は自堕落を思い知らせるもの」と述べています。著者は、人間のもつ2組の異なる欲求として、
・動機付け要因(motivator):職務に内在する。達成、達成の承認、仕事そのもの、責任、それに成長ないし昇進。
・衛生要因(hygiene factors):企業の施策と管理、監督、対人関係、作業条件、給与、身分、それに福利厚生。
の2種類を挙げています。
また、人事管理の考え方として、
(1)組織論:人間の欲求は非合理で、しかも多様であり、さらに状況によって変わるため、人事管理は時と場所に合わせて臨機応変に対応することが第一義となる。
(2)産業工学:人間は機械的に反応し、経済的に動機付けられるので、欲求を満たす最善の方法は、最も効率的な手順で仕事をさせることである。
(3)行動科学:集団の感情、社員の個人的な態度、加えて組織風土の社会面と心理面に関心が向けられる。
の3つの考え方が存在することを紹介しています。
そして、仕事の充実化を図る10のステップとして、
(1)次に挙げる4つに当てはまる仕事を選び出す。
・産業工学のアプローチに投資しても出費がかさむばかりで改革に結びつかないもの。
・執務態度が水準以下のもの。
・衛生要因のコストがかさみ始めたもの。
・モチベーションいかんで成績に違いが現れそうなもの。
(2)(1)の仕事は改革できるという確信を持つ。
(3)ブレーンストーミングによって仕事の充実化が図れそうな改革リストを作成する。なおその際、実行の可能性は無視する。
(4)この改革リストを点検し、実際のモチベーションよりも衛生要因に関連する提案なら、却下する。
(5)リストを点検し、一般論的な提案は却下する。
(6)リストを点検し、水平的職務付加に関する提案は却下する。
(7)充実すべき仕事を担当している社員たちの直接参加は避ける。
(8)仕事の充実化を初めて試みる時には管理実験を実施する。
(9)実験班の成績が最初の数週間下降することを覚悟する。
(10)ライン・マネジャーが改革の導入に不安と敬意を示すことをあらかじめ想定しておく。
の10点を挙げています。
第2章「期待が部下を動かす」では、バーナード・ショウの戯曲『ピグマリオン』のなかから、「レディと花売り娘との違いは、どう振舞うかではなく、どう扱われるかにあるんです」という言葉を引用し、上司の期待が部下の行動に及ぼす影響力の重要性を解説しています。中でも「沈黙は期待値の低さを伝える」例として、ある企業の最下位グループから営業職員が去るときに、「何一つものを言ったことはなかった」ことが、「大して期待していない」という暗黙のメッセージとなっていた事例を紹介しています。
第3章「MBO失敗の本質」では、MBOに、「明らかにそのコンセプトと実践との間に深刻な乖離がある」ことを指摘し、プロセスとしてのMBOが、「モチベーションにおける、より深遠な感情的要素が適切に考慮されていない」という点で、「マネジメントにおける最も大きな幻想の一つ」であると述べています。また、企業においてMBOプログラムがうまく機能していない根本的な理由として、「相手は人間である」という視点がまったく欠けていると指摘しています。
その上で、「MBOの実効性を高める3条件」として、
(1)モチベーションについて検証する。
(2)グループを単位とする。
(3)評価者を評価する。
の3点を挙げるとともに、「MBOを導入する前に考慮すべき3要素」として、
(1)理想自我の理解:ある個人がもつ「自分はこうあるべきである」という考え方を理解する。
(2)部下による自己検証
(3)上司の自省
の3点を挙げています。
この他本書では、第4章「モチベーショナル・リーダーの条件」において、優れたマネジャーに不可欠な権力欲求に言及し、マネジャーのタイプを
・組織志向マネジャー:権力欲求が高く、親和欲求は低く、抑制力が高い。
・親和志向マネジャー:権力欲求よりも親和欲求の方が高い。
・個人権力志向マネジャー:親和欲求より権力欲求の方が高いものの抑制力が低い。
の3タイプに分類しています。
また、第5章「フェア・プロセス:信頼を積み上げるマネジメント」では、「高業績を実現する上で決定的な行動や姿勢に大きな影響を及ぼす」フェア・プロセスについて解説しています。
本書は、モチベーションについて考える上でヒントとなるさまざまな視点からの分析を提供してくれる一冊ではないかと思います。
■ 個人的な視点から
本書の第6章「いかに人を動機づけるか」では、12人のマネジャーからのワンポイントアドバイスが収められていますが、よくある企業経営者ばかりでなく、犬ぞりレースの優勝者の言葉が入っているのが特徴です。
ラグビーなどの集団スポーツのマネジャーによるリーダーシップ論はよく目にしますが、相手が人間ではない場合でも、人間に通じるリーダーシップや動機付けのあり方があるということでしょうか。
■ どんな人にオススメ?
・モチベーション理論の古典を押さえておきたい人。
■ 関連しそうな本
ヴルーム, 坂下 昭宣 『仕事とモティベーション』 2006年02月17日
ジョセフ・H. ボイエット, ジミー・T. ボイエット (著), 金井 壽宏, 大川 修二 (翻訳) 『経営革命大全』 2006年01月06日
デビッド・シロタ 『熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素』 2006年08月30日
金井 壽宏 『組織を動かす最強のマネジメント心理学―組織と働く個人の「心的エナジー」を生かす法』 2005年06月09日
松繁 寿和, 中嶋 哲夫, 梅崎 修 『人事の経済分析―人事制度改革と人材マネジメント』 2006年01月10日
ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
■ 百夜百マンガ
モーニングの多国籍路線の中でも大ヒットした作品。歴史ものはこういう筆タッチの絵が合いますね。
投稿者 tozaki : 07:00 | コメント (0) | トラックバック
2006年08月30日
熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素
■ 書籍情報
【熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素】
デビッド・シロタ
価格: ¥1995 (税込)
英治出版(2006/2/2)
本書は、企業にとって「もの言わぬ殺し屋」である無関心な社員を、企業が最も求めているものである「情熱にあふれた社員」に変身させるためには何をすべきか、について解説したものです。そして、著者は、「まず、社員が求めているものを理解し、それを与えなければならない」と述べています。
著者は、社員の式のレベルを、「情熱的」「満足」「中間」「怒り」の4段階に大きく分け、「情熱は、満足感とは違う。関心の高い社員は、不満を抱えた社員でもある」とした上で、「自分と会社を同一視している人なら、たとえ企業の業績を賞賛されても現状に満足しないのは当然だ」と述べています。
また、士気と企業の業績の互恵的な関係を取り込んだ「人材パフォーマンス・モデル」を開発し、その要点を、
(1)社員の士気は、ビジネスの成功にとって非常に重要である。
(2)社員の士気は、組織の方向性とリーダーシップが反映される日々の経営慣行による一つの関数である。
(3)フィードバック・ループにより、成功がさらなる成功をもたらす。
(4)日々の経営慣行は、社員の士気を高める上でもとも重要である。
と述べています。
著者は、情熱を生み出す根源である、モチベーションに関しては、「人が仕事をする上での3つのゴール」を、
(1)公平感:「企業目標の達成に向けた社員の自発的な協力」を得るには、彼らが自分たちに対する会社側の姿勢や振る舞いに対して、本質的な公平感を持つことが不可欠。
(2)達成感:自分と帰属する組織が達成したことに誇りを持つことへの執着が、高いパフォーマンスに向けた行動を促進する。
(3)連帯感:他者との前向きな相互作用は、単なる満足以上に精神的な健康にとって欠かせない。
であるとする「仕事のモチベーションにおける3要素理論」を提唱しています。
第3章以降の本書では、公平感、達成感、連帯感のそれぞれに関連した解説という構成になっていて、「公平感を示す」方法としては、雇用保障、報酬、敬意を、「達成感を与える」方法としては、ビジョン、権限委譲、やりがい、フィードバックを、「連帯感を強める」方法としては、チームワークをそれぞれ章を立てて解説しています。
雇用保障に関しては、社員が「リストラを企業経営上の慎重な判断としてではなく、根本的に不公平な扱い」と受け取っている理由として、
・本質的な公平感:事象自体が公平であるか。
・手続きの公平感:実施プロセスが公平であるか。
の2点を挙げるとともに、企業が厳守すべき5つの基本原則として、
・原則(1):リストラに至るまでに、代対策をつくす。
・原則(2):リストラが不可避のときは、まず希望退職者を募集する。
・原則(3):寛大で、道徳にかなうやり方でリストラを行う。
・原則(4):リストラに至るプロセスのすべての情報を開示する。
・原則(5):残った社員への悪影響を最小限にとどめる。
の5つの原則を挙げています。著者は、本章の最後に、「パフォーマンスが低い社員を我慢してまで雇用し続けろ」と言っているわけではなく、「景気の下降やテクノロジーの進歩による省力化など、社員のレベルではどうすることもできない環境と、自発的に動かず受身なだけの社員」とを区別すべきであるとまとめています。
報酬に関しては、成果主義の賃金制度が社員から最も低い評価を受けていること、中でも「メリット・ペイ」(給与が生産量と直接結びつかず、上司が一定期間における社員のパフォーマンスを主観的に評価する)に対しては社員の大多数が否定的であること、労働賃金と労働コスト(賃金と生産との関数)とを混同してはならないこと等を述べた上で、給与水準に関しては、「与えた分しか返ってこない」と結論付けています。その上で、成果主義の適切な運用方法として、グループ変動給の導入を提唱しています。
敬意に関しては、その本質を平等性にあるとし、「自分の存在に経営者や管理職が満足している」と信じることが、社員が敬意を感じる重要なサインであると述べています。この具体策としては、「人間らしい」職場環境をつくること、不要なステータス・シンボルを廃止することが必要であると述べています。
達成感を与える第1の方法であるビジョンに関しては、社員の総合的な満足度に強い相関関係を持つ「会社に対するプライド」の源泉として、
(1)財務実績におけるエクセレンス
(2)業務効率におけるエクセレンス
(3)製品特徴におけるエクセレンス(実用性、他社との差別化、品質など)
(4)企業倫理におけるエクセレンス
の4つのエクセレンス(卓越)を挙げています。
権限委譲に関しては、リーダーシップを、「独裁者型」「自由放任型」「社員参加型」の3つに分類した上で、「ピラミッド型」である独裁者型マネジメントに対し、「フラット型」である3番目の社員参加型マネジメントの利点として、「社員の情熱とコミットメントを引き出すには、管理を減らすことである。管理が少なくなればなるほど、社員の情熱とコミットメントが生まれるのだ」と述べています。
やりがいに関しては、「労働者の76%が自分の仕事を気に入っていると回答し、不満を表明した回答者は、わずか8%である」という調査結果を示し、「仕事内容を魅力的だと感じる感じないは、人によって大きく異なる」こと、仕事におけるプライドの源として、
・生産性の高い仕事をする。
・価値ある能力を生かす。
・重要度の高い仕事をする。
の3点があることを述べています。
フィードバックに関しては、管理職の負担を和らげながら、社員にとって助けとなるフィードバックのガイドラインとして、
(1)パフォーマンスのフィードバックと年次人事考課の違いを理解する。
(2)社員は誉め言葉は聞きたがるが、改善を促す指摘には耳を課さないという先入観を持たない。
(3)全体的なパフォーマンスが満足でき、会社もそれを高く評価している社員には、そのことを伝える。
(4)改善を促すコメントは、具体的で事実に基づき、当人ではなく状況に対する指示でなければならない。
(5)フィードバックは、社員のパフォーマンスに直接作用する行為だけを対象とする。
(6)フィードバックする際には、双方向のコミュニケーションに努める。
(7)フィードバックのゴールは、あくまで改善実現を可能にするアクションにある。
(8)フォローアップで補強する。
(9)フィードバックは、把握している分野に限る。
の9点を挙げています。
連帯感を強める方策であるチームワークに関しては、「職場における社員同士の社会的関係の質」として「社会関係資本」(ソーシャル・キャピタル)が重要であること、チームワークを促進するのは、「彼らにとっての最大の楽しみ」である、「共通の目標に向かって働くチームの一員としての交流である」ことを述べた上で、パートナーシップの確立に向けた方策の一つとして、ワークショップを提唱しています。
本書は、本来は、情熱にあふれる社員を求める経営者むけのものですが、自分の職場を情熱あふれるものに変えて行きたい、という社員一人ひとりにとっても示唆に富んだ一冊ではないかと思います。
■ 個人的な視点から
本書の第9章には、パフォーマンスの劣った社員として、
・能力指導、明確な目標、それなりの刺激を与えれば、現職のままでも満足できるレベルに引き上げられるタイプ。
・職種もしくは所属する会社自体の選択を間違えているため、環境を変えなければ改善が望めないタイプ。
・どんな指導を与えても、また、どんな職種や会社においても、現状が変わらないタイプ。
の3つのタイプが示されています。
近年、公務員の世界でもパフォーマンスの劣った職員、中でも上記の3番目のタイプに対する分限処分に対する取組みが始められています。もちろん、人にはさまざまな事情がありますが、問題は、著者が、「その悪影響は多数の社員に及ぶ。なかでも、経営者や管理職がこの問題を放置しているという印象を社員に与えることが最大の問題だ」と指摘している点ではないかと思います。
■ どんな人にオススメ?
・自分の職場を変えたいと思っている人。
■ 関連しそうな本
松繁 寿和, 中嶋 哲夫, 梅崎 修 『人事の経済分析―人事制度改革と人材マネジメント』 2006年01月10日
ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
金井 寿宏, 高橋 潔 (著) 『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト』 2005年04月27日
金井 壽宏 『組織を動かす最強のマネジメント心理学―組織と働く個人の「心的エナジー」を生かす法』 2005年06月09日
ヴルーム, 坂下 昭宣 『仕事とモティベーション』 2006年02月17日
サンフォード・M. ジャコービィ (著), 鈴木 良始, 堀 龍二, 伊藤 健市 (翻訳) 『日本の人事部・アメリカの人事部―日本企業のコーポレート・ガバナンスと雇用関係』 2006年06月02日
■ 百夜百マンガ
ビーバップ、シャコタンブギ、工業高校バレーボールなど、この時期のヤンマガのヤンキーマンガ路線の一つです。
月曜の朝、コンビニで、おにぎりと缶コーヒーと一緒に買われて、工事現場に向かう車に常備されてそうなイメージです。というか毎週買ってました。
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2006年02月17日
仕事とモティベーション
■ 書籍情報
ヴルーム, 坂下 昭宣
価格: ¥3,873 (税込)
千倉書房(1982/01)
本書は、個人の仕事行動をモティベーションに焦点を当てて論じた、モティベーション研究の古典です。本書の「原書」が出版されたのは今から約40年前の1964年、日本語訳が出たのは1982年と非常に古いのですが、モティベーションについて論じる上では決して外すことはできない古典の一つです。
本書では、日常で様々な意味で用いられる「仕事」という言葉の代わりに「仕事役割」というタームを用い、「役割担当者によって遂行される機能の集合、すなわち財やサービスの生産に貢献する遂行」と定義されています。また、「モティベーション」というタームは、「人またはより下等な有機体が自発的活動の代替形態を選択する行動を支配するプロセスを意味するもの」と定義されています。著者は、モチベーションの議論における、「何が活動の形態を決めるのだろうか。どんな条件下で、有機体はある反応を選択したり、ある方向から別の方向へと移行するのだろうか。」という問題に重点を置き、「われわれは、モティベーションの中心問題は異なった自発的反応の中から有機体によってなされる選択を説明することである」と述べています。
著者は、「人はなぜ働くのか」という問題を、「どんな条件下で彼らは働くのか」という問題として捉え、この条件として、経済学的なものとモティベーション的なもののうちから、後者に着目し、「仕事を通じて得られる諸結果のモティベーション上の意味を見ていくことによって追求していく」としています。
本書は、下記の主要な2つの命題を、職業選択、職務満足(仕事役割への満足)、職務業績(職務役割における業績)のそれぞれについて検証するという構成になっています。
・命題1:ある人にとってのある結果の優位性は、他のすべての結果の優位性と、こういった他のすべての結果の獲得に対するその結果の手段性についての彼の認識の積の代数和の単調増加関数である。
・命題2:人がある行為を遂行するよう彼に作用する力は、すべての結果の有意性と、その行為がこういったすべての結果の獲得をもたらすとの彼の期待の強度の積の代数和の単調増加関数である。
まず、職業選択に関しては、「職業選択は、職業間の選好によって決定されるだけでなく、職業獲得の主観確率および期待コストによっても決定されるとみなすことができる」としています。また、「個人は、自分が保有していると信じている技能の使用機会を与えてくれると信じる職業を選好したり、選択したりすると期待でき」るとしています。
次に、職務満足に関しては、(1)監督、(2)作業集団、(3)職務内容、(4)賃金、(5)昇進機会、(6)作業時間の効果について考察したうえで、「職務満足をもたらす仕事役割は、高賃金、実質的な昇進機会、配慮的及び参加的監督、同僚との相互作用の機会、多様な職務、および作業方法や作業ペースに対する高度のコントロールを与える仕事役割である」としています。そして、職務満足は、状況変数とパーソナリティ変数の両者が作用する結果であると仮定し、これらを同時に研究することによって、それらの交互作用の複雑な性質を明らかにできる、としています。また、職務満足と離職確率の間に一貫した負の関係があること、職務満足と欠勤の間にも負の関係を見ることができることなどを指摘しています。
さらに、職務業績に関しては、過去の研究のレビューから、「業績に対するモティベーションの効果は作業者の能力レベルに依存し、能力と業績の関係は、モティベーションに依存する」として、
業績=f(能力×モティベーション)
という公式で表しています。そして、タスク遂行能力と、タスクを効率的に遂行しようとするモティベーションの度合いという2つの変数の間には交互作用が存在することを指摘しています。
本書は、モティベーションについて論じる上で、欠かすことができない基本文献ですが、とにかく過去の研究の引用が多いために、実務家向きとはいえないので、気合を入れて読む必要があります。
■ 個人的な視点から
本書は500以上の膨大な研究調査を引用したものとしても知られていますが、本書で紹介されているうち、話のネタになりそうなものとして、フットボールの賭で莫大な金額を得たロンドンの3人の工場作業者についての記述があります。この金額は、「もしも適切に投資されるならその作業者が余生を快適に暮らせるだけの十分な所得を生むほどの金額」であったにも関わらず、1人は「ルーティンな反復的な仕事」に、もう1人は組立工に、わずかな期間の後に復帰したそうです。
このことは、仕事へのモティベーションが単に経済的な理由だけではないかとを示している例の一つとして挙げられています。
働く人の多くが、「宝くじで3億円当たったらこんな仕事辞めて一生働かずに過ごしてやる。」ということを夢想したり冗談で口にしたりしますが、実際にはお金があっても仕事をしない生活にも我々は強いストレスを覚えるようです。
「ニート」が単なる怠け者のように言われることがありますが、就職の機会を閉ざされ、またはチャンスを逸した彼らが感じているストレスは相当大きいのではないかと思います。私自身も、大学卒業後仕事をせずにブラブラしていたときには、大変な焦りや不安を感じました。
労働経済学的な観点や格差の観点から論じられることが多いニート問題ですが、現在は仕事をしていない彼らの「仕事へのモティベーション」に着目した議論にも関心があります。
■ どんな人にオススメ?
・モティベーションの研究に関心がある人。
■ 関連しそうな本
ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
金井 寿宏, 高橋 潔 (著) 『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト』 2005年04月27日
金井 壽宏 『組織を動かす最強のマネジメント心理学―組織と働く個人の「心的エナジー」を生かす法』 2005年06月09日
M. チクセントミハイ (著), 今村 浩明 (翻訳) 『楽しみの社会学』 2005年02月08日
エドワード L.デシ (著), 安藤 延男, 石田 梅男 (翻訳) 『内発的動機づけ―実験社会心理学的アプローチ』
沼上 幹 『組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために』 38388
■ 百夜百マンガ
根元敬まで含めて大抵の絵柄は大丈夫なのですが、少女漫画が激しく力強くなったようなこの絵はちょっと苦手でした。
でも意欲作だと思います。
2005年11月08日
報酬主義をこえて
■ 書籍情報
アルフィ コーン (著), 田中 英史 (翻訳)
価格: ¥6,090 (税込)
法政大学出版局(2001/02)
本書は、報酬によって行動をコントロールしようとする「行動主義」に基づいた通俗的な報酬の考え方、すなわち「これをすればあれをあげるよ」という考え方と、この報酬主義に基づいた経営論、教育論、育児論を、主に心理学の立場から徹底的に批判したものです。
本書は、「馬ニンジン」的な報酬の問題点として次の5点をあげています。
(1)報酬は罰になる・・・報酬と罰は同じコインの裏表に過ぎない。
(2)報酬は人間関係を破壊する・・・報酬を受ける側の協力や仲間意識にとっても、報酬を与える側との関係にとっても悪影響を与える。
(3)報酬は理由を無視する・・・報酬は間に合わせであり、真の問題を隠す。
(4)報酬は冒険に水をさす・・・報酬目当てに働くときは、報酬を得るのにちょうど必要なだけの仕事をやり、それ以上はやらない。
(5)興味を損なう・・・外発的報酬は内発的動機づけを減退させる。
また、仮に報酬を与えるとしても、その害を最小限に抑えるため、著者は次の6点を提案しています。
・報酬を見えないようにせよ
・報酬は事後に、思わざる贈物として出せ
・報酬をめざすことを競争に変えるな
・報酬をできるだけ課題に似たものにせよ
・報酬の出し方について、もらう方が選択できる余地をできるだけ残せ
・報酬が動機づけを殺す効果に対して各人に免疫性を持たせるようにせよ
本書は、お金やキャンディーのような目に見えやすいニンジンだけではなく、通常「馬ニンジン」を嫌う人にも奨励されている「賞賛」の問題点についても指摘しています。他の報酬と同様に、褒めることが、それを受ける側よりも与える側の利益になるような場合、すなわち、誉めることによって人をコントロールしようとする場合に問題があることを指摘しています。
著者は、賞賛を行う基準として、誉められる側の自己決定と内発的動機づけの2点をガイドラインとすることを提案しています。そして、誉めることの害を小さくするために以下の4点を提案しています。
・人間を誉めずに行為だけを誉めよ
・できるだけ特定した誉め方をせよ
・まやかしの誉め方を避けよ
・競争をあおるような誉め方は避けよ
本書は、企業における業績給、学習への動機づけ、そして子供のしつけの3つの分野で、報酬の具体的な問題を指摘しています。業績給に関しては、その誘因プランが上手くいかない理由として、以下の14点を指摘しています。
(1)必要性がないこと
(2)秘密性
(3)給料と働きがぴったり連動しない
(4)経費
(5)大きすぎ 対 小さすぎ
(6)短期的 対 長期的
(7)客観的 対 主観的
(8)「業績の査定は不毛な仕事だ」
(9)「給料は動機づけ要因にあらず」
(10)報酬は罰になる
(11)報酬は関係を壊す
(12)報酬は理由を無視する
(13)報酬は冒険に水をさす
(14)報酬は興味をそぐ
著者は、真の動機付けへの条件作りとして、企業でも、教室でも、育児でも「3C」が重要であると述べています。それは、「協力(collaboration)」、「内容(content)」、「選択(choice)」の3つです。本書では、経営、教育、育児のそれぞれに1章ずつ割き、この3つのCを具体的に解説しています。
本書は、『虚妄の成果主義』などを読んで「内発的動機づけ」に関心を持った人が、直接、心理学の理論書に立ち向かう前段のガイドライン的な役割を果たせるものではないでしょうか。「馬ニンジン」的な考え方が、どうも自分の働き方にしっくりこないと思っている方は、本書を読むことがその違和感の解決につながるのではないかと思います。
■ 個人的な視点から
本書を読んで感じることは、本書が扱っている経営と教育と育児の3つの分野は、それぞれバラバラなのではなく、特に内発的動機づけや報酬の問題点においては、同じことが繰り返し述べられているということです。特に「3C」に関する解説の部分では、教育や育児について述べられていることは、ほとんど企業でも当てはまることが多く、気づきが多かったと感じています。おそらく、企業の分野での解説にはどうしても仕事上の先入観が入ってしまうのに対し、教育や育児では素直に読むことができるからではないかと思います(おそらく、教師が読む場合は、企業に関して述べている章からの気づきが多いのではないかと想像します。)。
業績給に関しては、それが盛んに取り入れられている米国と、そうでない国として日本やドイツが対比されています。また、公務員に対する業績給の適用についても少々触れられています(そして、有意の違いが現れないことが紹介されています。)。日本企業で業績給が「成果主義」という名目と主に人件費削減の目的で導入されたこと、そして、日本の公務員に業績給が取り入れられようとしている点についての著者のコメントが聞きたいところです。
■ どんな人にオススメ?
・自分が「馬ニンジン」的に動機付けられている、という考え方に違和感を持つ人。
■ 関連しそうな本
ペッカ ヒマネン, リーナス トーバルズ, マニュエル カステル (著), 安原 和見, 山形 浩生 (翻訳) 『リナックスの革命 ― ハッカー倫理とネット社会の精神』 2005年10月29日
エドワード L.デシ (著), 安藤 延男, 石田 梅男 (翻訳) 『内発的動機づけ―実験社会心理学的アプローチ』
M. チクセントミハイ (著), 今村 浩明 (翻訳) 『楽しみの社会学』 2005年02月08日
エーリッヒ・フロム (著), 日高 六郎 (翻訳) 『自由からの逃走』 2005年11月07日
高橋 伸夫 『虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ』 2005年3月30日
金井 壽宏 『組織を動かす最強のマネジメント心理学―組織と働く個人の「心的エナジー」を生かす法』 2005年06月09日
■ 百夜百マンガ
「モチベーションと教育」というテーマであればこの本を無視するわけにはいきません。「東大合格」や受験テクニックばかりが強調されて取り上げられていますが、生徒の気持ちの変化こそが重要なテーマなのかと思います。
【ZETMAN 】
【ボンボン坂高校演劇部 】
【人事課長鬼塚 】
【TOKYO DRIVE】
【男樹 】
【東周英雄伝 】
【ファンキー・モンキーティーチャー 】
【昴】
【ドラゴン桜 】