2007年10月13日

アトピービジネス

■ 書籍情報

アトピービジネス   【アトピービジネス】(#996)

  竹原 和彦
  価格: ¥693 (税込)
  文藝春秋(2000/06)

 本書は、「ごくはりふれた慢性疾患の一種にすぎない皮膚炎」が、「民間療法に名を借りたビジネスと一部マスコミの誤った報道」によって、「いつの間にか世間では『難病』のように認識されている」現象を論じているものです。
 「序にかえて つくられた難病」では、アトピー性皮膚炎が難病とされてしまった理由として、「なにより、雨後の竹の子のように誕生する民間療法に名を借りた『アトピービジネス』にとって、アトピー性皮膚炎=難病という前提が企業戦略上不可欠だったから」ということが問題の本質であると指摘し、「患者がアトピー性皮膚炎は難病と思い込むことによって、アトピービジネスは成立する」と述べています。
 第1章「アトピー性皮膚炎とは何か」では、著者が患者に、「アトピー性皮膚炎の人は生まれつき皮膚のバリヤーに異常があって、皮膚が刺激を受けやすく、非常にデリケートな状態になっています。そこに色々な刺激が加わると簡単に湿疹が起こり、自然には治りにくいのです。その刺激にはアレルギー的なものも含まれていますが、アレルギーではないさまざまな刺激でも湿疹は起こるのです。この病気を治療するには、アレルギーだけが原因だという考え方では病気の本質を見失ってしまう可能性があります」と説明していると述べています。
 第2章「ステロイド悪魔化」では、1990年代初頭に、アトピー性皮膚炎を取り上げる報道が爆発的に増加する中で、増加している成人型アトピー性皮膚炎患者が、「患者自身が十分に炎症がコントロールされない状態に対して諦めの気持を持つようになり、ステロイド治療による副作用への不安とあいまって、ますます治療意欲が低下している点」が特徴であると述べ、そうした患者の多くが、「魔法のように短期間に完治させてくれる『青い鳥』を捜し求めて」アトピービジネスに走っていることを指摘しています。そして、そうした報道の極めつけとして、1992年7月に「ニュースステーション」で一週間放送したステロイド叩きの特集の最後に、キャスターの久米宏氏が「これでステロイド外溶剤は最後の最後、ギリギリになるまで使ってはいけない薬だということがよくお分かりになったと思います」と発現したことを取り上げています。
 そして、この時代に、週刊誌を中心に「奇跡の○○療法」「アトピーがみるみる治る××治療」といった報道が繰り返されたことを紹介し、今日のアトピービジネス大手が、1980年代後半に創設され、1990年代前半にメディアを活用して規模を拡大した企業が多く、「メディアがアトピービジネスの格好の宣伝機関となっていた」ことを指摘しています。
 さらに、1990年代半ばに入ると、ステロイド薬害論が、「ステロイド外用薬を使用したためにアトピー性皮膚炎そのものが難治化、重症化する」という方向に変化したことを挙げ、1999年6月7日の読売新聞では、「ステロイドに95%が抵抗感――"副作用感じた""一時しのぎ"患者団体が全国アンケート」という反ステロイド団体による調査結果を紹介する記事を掲載したことについて、「いわば『赤旗』の購読者に支持政党のアンケートをとったら、日本共産党が一位であったことをニュースとして報道したようなもの」であると指摘しています。
 著者は、「ステロイド外用薬を使用したためにアトピー性皮膚炎の炎症そのものが悪化するなどという理論がまかり通るのはわが国特有の現象である」と指摘し、「アトピー性皮膚炎における『悪魔の薬・ステロイド』のストーリーは、アトピービジネスによって作られたもの、と断じて差支えない」と述べています。
 第3章「アトピービジネス全批判」では、アトピービジネスを、「アトピー性皮膚炎患者を対象とし、医療保険診療外の行為によってアトピー性皮膚炎の治療に関与し、営利を追及する経済活動」と定義しています。
 そして、アトピー性皮膚炎がビジネスの格好のターゲットとなった理由として、
(1)今もって病因が明確にされていないこと。
(2)厳密な意味でスタンダードな治療法が確立していないこと。
(3)患者数が多いということ。
(4)マスコミの"支援"。
(5)直接命に関わる疾患ではなく、トラブル発生時のビジネスリスクが低いこと。さらに、自然治癒傾向が高く、症状の消長があること。
(6)皮膚科医によって提唱された脱ステロイド療法がアトピービジネスに格好の口実を与えていること。
の5点を挙げています。
 また、アトピービジネスを、医療機関との関係において、
(1)既存の医療との共存を基本戦略とするアトピービジネス
(2)既存の医療を100%否定することを基本戦略とするアトピービジネス
(3)医療機関における非保険診療として実践されている治療そのものがアトピービジネス
(4)医療機関を経営するアトピービジネス
(5)皮膚科あるいは他科の医師が実践してマスコミに登場してブームになったが、その背景にアトピービジネス企業の関与が大きいもの
の5つに分類し、ジャンル別には、
・健康食品
・化粧品および石鹸など
・温泉療法
・入浴剤
・水治療
・防ダニグッズ
・エステ
・医療機関による特殊療法
などを挙げています。
 これらアトピービジネスが書店や全国紙の広告欄で跳梁跋扈できる理由については、正式な認可なく「アトピーに効く○○」という形で効果を謳うことは、薬事法違反に問われるが、「アトピー性皮膚炎が治る驚異の○○療法! ××博士の新理論」といったタイトルの本を広告することは法律に触れず、「効くということを本の中で主張したり、利いたという人の体験談を紹介したり、その本を広告することは合法」である現状を述べています。
 第4章「皮膚科医の『脱ステロイド療法』を検証する」では、「脱ステロイド療法」というネーミングに誤解を招く部分がある、として、「ステロイドを使わないことそれ自体に治療効果があるような印象を与えている点が問題」であることを指摘するとともに、「脱ステロイド療法」と称する中に、「ステロイド内服例や筋注例が含まれていること自体、既に矛盾は明らかであろう」と指摘しています。
 第5章「アトピービジネス被害調査の報告」では、1998年から1年間実施したアトピービジネスの被害調査の結果として、「1年間の全調査期間において入院または入院が必要と判断された349例中、教育入院30例をのぞく319例において140例、なんと44%が不適切治療による悪化例と判断された」こと、さらに悪化例のうち29%を占める40例においては、「休学、退学、離職、休職など、社会生活からのドロップアウトを余儀なくされていること」が明らかになったとしています。
 本書は、アトピービジネスに限らず、霊感商法など、怪しげな詐欺商法全般に通じるエッセンスを読み取ることができる一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書の第3章「アトピービジネス全批判」には、アトピービジネスの代表例を伏字で紹介しているのですが、図書館で借りてきた本にわざわざ伏字を解説したメモが挿んでありました。
・O社の温泉療法
・C化粧品
・SOD治療のN医師
・Fクリニックのソフトレーザー治療
・B水
・T豆
・アトピービジネス・タレントM・K
などの答が書かれてあり、その真偽は分かりませんが、ネットで調べればすぐに分かりそうです。


■ どんな人にオススメ?

・自分はアトピーには関係ないと思っている人。


■ 関連しそうな本

 マイケル・W. フリードランダー (著), 田中 嘉津夫 (翻訳), 久保田 裕 (翻訳) 『きわどい科学―ウソとマコトの境域を探る』 2006年01月21日
 マーティン・ガードナー 『インチキ科学の解読法 ついつい信じてしまうトンデモ学説』 2006年02月11日
 マーティン ガードナー (著), 市場 泰男 (翻訳) 『奇妙な論理〈1〉―だまされやすさの研究』
 マーティン ガードナー (著), 市場 泰男 (翻訳) 『奇妙な論理〈2〉なぜニセ科学に惹かれるのか』
 伊勢田 哲治 『疑似科学と科学の哲学』 2006年02月12日
  『』


■ 百夜百音

演歌名曲コレクション(2)~きよしのズンドコ節~【演歌名曲コレクション(2)~きよしのズンドコ節~】 氷川きよし オリジナル盤発売: 2002
 ピストン西沢がGROOVE LINEの中でミックスに使ってました。日本の演歌もダンスミックスに使いやすいかも、と思ってしまいます。

『大井追っかけ音次郎~青春編~』大井追っかけ音次郎~青春編~

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2007年02月17日

渋滞学

■ 書籍情報

渋滞学   【渋滞学】

  西成 活裕
  価格: ¥1260 (税込)
  新潮社(2006/9/21)

 本書は、渋滞が嫌いで、「混むには必ず理由がある。そしてその理由を取り除けば渋滞はなくなるはずだ」と考えた著者の10年間の「渋滞の理由探しの旅日記」をまとめたものです。著者は、建築士や生物学者、情報処理技術者が、「異なる分野でも案外似たようなことを考えている」という「相似性や相違点に注目」したと述べています。
 第1章「渋滞とは何か」では、ホースの出口の断面積を半分に絞れば水は2倍の速さで出て行くのに、人や車には無理な理由として、「人は水の分子と違って自らの意思を持っており、別に誰かに押されなくてもいろいろな方向に勝手に動ける」ことを指摘し、水分子は、(1)「慣性の法則」、(2)「作用=反作用の法則」、(3)「運動の法則」という力学の基本原理が成り立つ「ニュートン粒子」であるのに対し、人や車はこれが成り立たない「非ニュートン粒子」であり、著者はこれらを「自己駆動粒子」と名づけています。そして、これら「自己駆動粒子系」とその渋滞を考える上で性質の良い理論モデルとして、「ASEP(エイセップ:Asymmetric Simple Exclusion Process、非対称単純排除過程)」と呼ばれるモデルを紹介しています。そのモデルとは、
(1)初めにたくさんの箱を用意し、それをずらりとまっすぐ並べる。
(2)箱には玉が一つだけ入り、適当にいくつかの箱に玉を入れておく。
(3)玉をいっせいに右隣の箱に移す。ただし、すでに玉が入っていれば動けない。
という簡単なルールで、この操作を繰り返すと、玉全体が右にぞろぞろ動いてゆき、これを人や車の動きに見立てることができることが解説されています。そして、「一つの箱には一つしか玉が入れない」という「排除堆石効果」があることで渋滞が発生することが述べられています。このとき、玉が少なければ渋滞は発生しないが、玉を増やしていくと、「お互いが邪魔になって動くことのできない玉の集団」(クラスター)が発生し、クラスターは流れとは逆に右から左へ進むことや、渋滞クラスターができ始める玉の数は、サーキットの長さの半分だけ玉を入れた状態で、このギリギリの状態は、「臨界状態」と呼ばれることが解説されています。
 この他、従来の渋滞の理論として、現在で銀行やデパートなどっで実際に使われている「待ち行列理論」について、「リトルの公式」と呼ばれる、
   待ち時間 × 人の到着率 = 待ち人数
が紹介されています。著者は、この待ち行列理論には、「人の実際の動き」である「排除体積効果」が考慮されておらず、「ところてんのように後ろから押されて全体が一気に動く」というイメージであり、「自己駆動粒子系としての扱いは、車や人の排除体積効果を考慮しなければならないときに本質的に重要になってくる」ため、「ASEPを基礎とした自己駆動粒子系の渋滞学はこれからの分野」であると述べています。
 さらに、人や車が道の上を「連続的」に移動するのに対し、ASEPでは箱から箱に「離散的」に動くモデル化をしていることについて、このような手法は、近年多くの分野で見られるようになった「セルオートマトン法」と呼ばれる新しいモデル化の手法であることを解説しています。
 第2章「車の渋滞はなぜ起きるのか」では、高速道路の渋滞原因について、平成17年度の第1位は、「サグ部・上り坂」であり、昔は渋滞原因のトップであった「料金所」はたったの4%でしかないことについて、ETCの導入の効果を指摘しています。そして、「サグ部」について、「棚などの真ん中の部分が重みで『たわむ』という意味」であり、緩やかにたわんだような状態の道、100m進むと1m上昇または下降しているぐらいの気がつかない坂道であると解説し、明らかな原因が見えず、「自然渋滞」といわれる「このサグ部での渋滞こそ、本書の中心テーマである『自己駆動粒子』系が作り出す物理的現象といえるもの」であると述べています。
 著者は、研究の切り札として、「縦軸に交通流量、横軸に交通密度をとって描いた図」である「基本図」について解説し、東名高速道路では、「自由走行のときの車」(自由走行相)は「お互いに邪魔されないために、皆ほぼ同じような最高速度」で(およそ時速84km)走り、右上がりの直線を描くのに対し、渋滞してくると基本図の右半分の高密度側にデータ点が出現し、右下がりの広がったデータ分布を示し、「ちょうど渋滞が起きるところはこの右上がりが右下がりに変わるところである」ことを指摘しています。この形は、感じの「人」の形をしているため、「基本図は人型である」といわれ、上に突き出た部分は、「メタ安定」部分と呼ばれる「自然渋滞発生のメカニズムを考える上で最も大切」な部分であることが述べられています。これは、「車間距離が40m以下になっても相変わらず自由走行の時速80kmぐらいで走っているような状況」であり、「渋滞になってもおかしくない密度にもかかわらず、渋滞せずに自由走行相と同じ速さで動いているので、車群が車間距離をつめて高速走行しているかなり危ない状態」であることが解説されています。
 この他、「2車線道路はどっちが得か」という問題に関して、「自由走行のときは追い越し車線のほうが速いのだが、渋滞してくるとわずかに走行車線のほうが平均速度は速くなっている」という事実を指摘し、「混んできた場合は走行車線を入ったほうがよい」ということについて、「長距離トラックの運転手はこのことを経験的に知っている」が、「この結果を皆が知ってそのように振舞ってしまってもまた意味がないため、本音をいえば、この結果は本書に書きたくなかったのだ」と述べています。
 さらに、信号のある都市交通に関しては、基本図は、人型ではなく、メタ安定のある辺りがごっそりと削り取られたような台形に近いことを述べ、このような流れを絞ってしまうものを「ボトルネック」と呼ぶことが解説されています。さらに、信号機がたくさんある道では、「ある速度で走る車だけノンストップで通り抜けられるようにした」「スルーバンド」と呼ばれる信号機制御が可能であることが解説されています。
 第3章「人の渋滞」では、2001年7月21日発生し、死者11人を出した明石市大蔵海岸花火大会の事故を取り上げ、死者が出た場所では、1平米の面積に15人ぐらいいたのではないかという調査結果があり、「そのときに人が感じた力は1平米あたり約400kgという、とてつもない大きさだったらしい」ことが解説されています(現場付近の300kgの荷重に耐える手すりが壊れ、医学的には約200kgで人間は失神するといわれている)。
 著者は、群集の状態をその動因によって、
(1)会衆:興味の対象への直接行動には訴えず、むしろ受動的関心から集まっているもの――音楽会や劇場
(2)モッブ:強い感情状態に支配され、抵抗を押しのけつつ敵対する対象に直接暴力的に働きかけるもの――手段テロ、襲撃
(3)パニック:予期しない突発的な危険に遭遇して、強烈な恐怖から群集全体が収拾しがたい混乱に陥るような場合――劇場やホテルでの火事や客船の沈没
の3通りに分類し、状況の変化で、「会衆がモッブ化したり、モッブがパニックに陥ったりすることもある」と述べています。
 そして、非常口の手前で混雑し、「出口がつかえてしまってスムーズに出られなくなる」状態である「アーチアクション」について解説し、避難の際のボトルネックに発生する閉塞に関する「ミンツの実験」を紹介しています。また、避難経路の問題に関して、安全な避難の原則が「2方向避難」という言葉に集約されていることを解説しています。
 第4章「アリの渋滞」では、アリが1列で歩けるのはフェロモンと呼ばれる化学物質のおかげであり、重要なフェロモンとして、
(1)道しるべフェロモン
(2)警報フェロモン
(3)性フェロモン
の3種を紹介しています。
 そして、アリの運動の基本図について、「密度が増加すると平均速度が上昇しているところ」があり、これこそが「混んでくると逆に速く動ける」という「アリの場合で起きるフェロモン特有の効果」を解説しています。
 また、アリがフェロモンの効果によりダンゴ状態になることに関して、バスのダンゴ運転との類似性を指摘し、「バスもアリも同じメカニズムでダンゴ運転になってしまう」として、「バスの場合の渋滞は、『フェロモン=乗降客の少なさ』という公式で、アリとまったく同じモデルで研究できる」と述べています。
 第5章「世界は渋滞だらけ」では、「砂時計で1分を正確に測るのに必要な砂の量や容器の形を理論的に計算すること」はまだ誰にもできておらず、粉つぶの動きの計算については、「基礎になる方程式すら物理学ではまだ確立されていない」ことを解説しています。そして、粉粒体の解析にセルオートマトンがうまく使えない理由として、
(1)粉粒体の内部での相互作用はある意味で「非局所的」である。
(2)「多体衝突」の問題。
の2点を挙げています。
 この他、地下鉄がダンゴ運転を避けるために、「時間調整のために当駅で1分停車いたします」などの放送が入って停車することや、空港での離陸許可待ちなどについて解説されています。また、マネーフローと渋滞、すなわち、渋滞学の経済学への応用や、医学の分野への応用などについて解説されています。
 第6章「渋滞学のこれから」では、車やアリなどが、「決して直線状の道の上を動くだけでなく、実際にはネットワーク上の道の上を動く自己駆動粒子」であるとして、ネットワークモデルの拡張を行っています。具体的には、インターネットや高速道路網、航空機の路線などのネットワークについて解説しています。そして、ネットワーク理論に関しては、
・「スモールワールド」:ネットワークの接続形態において規則性とランダム性の両方の性質を持ったネットワーク。
・「スケールフリー」:ある程度ランダムなつながりのネットワークの中にも、実は多数の接続をもつ中心的な役割のものが少数存在し、ネットワークを特徴づける代表的なスケールがない。
という2つの新しい概念の発見によって、ここ数年の間に新しい動きが出ていることが解説されています。
 また、複雑なものを理解する上でも、「いつかは立ち止まってじっくり考え、得られた結果を要素還元的なアプローチで料理することが大切であり、それこそが科学」であると述べています。
 本書は、高速道路でノロノロ走りながら誰もが思い描く「渋滞の先頭」について、科学的な分析を与えてくれる一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書の中で、「スルーバンド」と呼ばれる「ある速度で走る車だけノンストップで通り抜けられるようにした」信号制御技術が紹介されています。これを読んで、小学校4年生くらいのときに、社会科見学で県警本部の交通管制センターを見学させてもらい、「ちゃんと制限速度を守って走ると信号機に引っかかって止まることなく走り続けられるようになっているんだよ」と解説されたことを思い出しました。もう四半世紀も前の出来事ですが、まさかこんなところで再会するとは思いませんでした。
 ところで、県警の交通管制センターって一般の人でも見学可能なんでしょうか?
 ということで「交通管制センター 見学」でググってみると、要予約で、平日の昼間、というパターンが多いようです。
・警視庁
・埼玉県警
・千葉県警
・神奈川県警


■ どんな人にオススメ?

・渋滞の列の先頭が気になって仕方のない人。


■ 関連しそうな本

 ダンカン ワッツ (著), Duncan J. Watts (原著), 栗原 聡, 福田 健介, 佐藤 進也 (翻訳) 『スモールワールド―ネットワークの構造とダイナミクス』 2006年03月22日
 ウィリアム パウンドストーン 『囚人のジレンマ―フォン・ノイマンとゲームの理論』 2006年09月11日
 アルバート・ラズロ・バラバシ (著), 青木 薫 (翻訳) 『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』 2005年10月24日
 土場 学, 佐藤 嘉倫, 三隅 一人, 小林 盾, 数土 直紀, 渡辺 勉, 日本数理社会学会 『社会を"モデル"でみる―数理社会学への招待』 2005年11月30日
 スティーヴン・ストロガッツ (著), 蔵本由紀, 長尾力 (翻訳) 『SYNC』 2006年04月10日
 蔵本 由紀 『新しい自然学―非線形科学の可能性』 2006年12月03日


■ 百夜百音

hirose kohmi THE BEST Love Winters【hirose kohmi THE BEST Love Winters】 広瀬香美 オリジナル盤発売: 1998

 厭味とかそういうのではなく、本当にどういう人がこの人のアルバムを買っているのか興味があったのですが、やはりスキーに行くときに聞く曲なのでしょうか。


『Harvest』Harvest

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2006年09月10日

ヴォイニッチ写本の謎

■ 書籍情報

ヴォイニッチ写本の謎   【ヴォイニッチ写本の謎】

  ゲリー ケネディ, ロブ チャーチル (著), 松田 和也 (翻訳)
  価格: ¥2940 (税込)
  青土社(2005/12)

 本書は、「誰にも読めず、理解もできない書物」として、長い間、暗号解読者やペテン師、古典学者、書籍商まで多くの人たちを魅了してきた奇書『ヴォイニッチ写本』をめぐるBBCのドキュメンタリーです。なお、本書の著者の一人、ゲリー・ケネディは、この写本を発見したヴォイニッチの遠い子孫に当たる人物です。
 この世紀の奇書を発見したウィルフリド・ヴォイニッチは、1865年、リトアニアの多言語都市コヴノに生まれ、ポーランド民族主義運動に参加して逮捕、投獄の後、シベリア送りになる直前に逃亡、「冒険また冒険、危機また危機の五ヶ月間」を経てロンドンにたどり着きます。その後、「ブックキャリア連盟」の一員としてマルクスやエンゲルスらの禁書をロシアに持ち込む仕事に携わり、これをきっかけに古書界での成功を収めます。
 ヴォイニッチは、この奇書との出会いを、「1912年、ヨーロッパ大陸への定期的渡航の折、貴重なる彩飾写本のまことに驚くべきコレクションに出くわしました。数十年にわたって、これらの書物は南ヨーロッパのとある古城の櫃に埋もれていたものであります。」と記しています(実際には、イタリア、フラスカーティにあるイエズス会の僧院ヴィラ・モンドラゴーネであったと解説されています)。そして、この写本が作成された年代を、「それが書かれていた仔牛皮紙(ヴェラム)、書体、挿画、顔料などをざっと見まして、一三世紀後半のものと判断」したと述べています。
 この写本は、「未解読の暗号でロジャー・ベーコンが記した作品」として世に出されました。その後、ウィリアム・ニューボールド教授によって解読が試みられます。しかし、「彼の解読作業には無数の直感的飛躍と当て推量が入り込んだが、彼は時に常軌を逸する自らの方法論を正当化するのみならず、自分の辿り着いた結果が驚くべき重要性を持つものと頭から信じ込んでしまった」ために、解読結果の発表直後はセンセーションを巻き起こすものの、彼の死後、解読手法の誤りを徹底的に指摘され、ニューボールドの評価は永久的に地に落ちるとともに、ヴォイニッチ写本それ自体が学会の外の闇の中に放逐されてしまうことになります。
 本書の中盤部分は、多くが暗号の歴史のおさらいに充てられています。そして、暗号学の発達の歴史こそが、ヴォイニッチ写本がロジャー・ベーコンの世紀(13世紀)のものであるのか、近年作成されたものであるのかを解読する鍵となっています。
 また、本書の終盤では、ヴォイニッチ写本が捏造である可能性について述べられていて、その捏造候補者の中には、「冒険とスパイと危険と暗い秘密に満ちた生涯を送った男」として、ウィルフリド・ヴォイニッチ自身の名も挙げられ、その「動機、能力、機会」について検証されています。
 著者は、最終章で、「もしも最終的にこの写本が偽書であることが判明したとしたら、私としてはその犯人はウィルフリド・ヴォイニッチであって欲しい。私の遠い先祖であることはさておいても、私はとっくの昔に地獄に堕ちたこの男にどんどん親しみを抱くようになった」と述べています。
 本書は、世紀の奇書をめぐるドキュメンタリーであると同時に、暗号学の入門書としての読みやすさを持っている一冊ではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 本書の大きな魅力は、謎に満ちた写本そのものの魅力のみならず、まるで映画から抜け出てきたかのような人物であるヴォイニッチその人のキャラクターです。
 著者自身が、「ヴォイニッチは明らかに情熱と行動の人であり、イデオロギーと美しい人生に突き動かされていた。彼の傲慢と胡散臭い商売も、彼自身がそれを天真爛漫に吹聴していたという事実に照らせば、ほとんど大目に見ることができるだろう。暗黒街の紅はこべのような人物は、健全で地味な普通の人よりもずっと魅力的なのだ」と述べているように、ヴォイニッチのキャラクターは、最後まで読んでも写本の謎は解けなかった、という消化不良感をもチャラにしてくれます。


■ どんな人にオススメ?

・世紀の奇書に心を惹かれてしまう人。


■ 関連しそうな本

  『世界の奇書・総解説』 2005年07月03日
 サイモン シン (著), 青木 薫 (翻訳) 『暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで』 2006年05月03日
 ピーター ジェームズ 『事典 古代の発明―文化・生活・技術』


■ 百夜百音

GOLDEN☆BEST/ハイ・ファイ・セット 荒井由実・松任谷由実・杉真理作品集【GOLDEN☆BEST/ハイ・ファイ・セット 荒井由実・松任谷由実・杉真理作品集】 ハイ・ファイ・セット オリジナル盤発売: 2002

 ユーミンのカバーをしているグループという印象ばかりが強かったのですが、命名が細野晴臣ということを知って印象が多少変わりました。


『THE BEST ハイ・ファイ・セット』THE BEST ハイ・ファイ・セット

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2006年08月19日

華麗なる騙しのテクニック 世界No.1の詐欺師が教える

■ 書籍情報

華麗なる騙しのテクニック 世界No.1の詐欺師が教える   【華麗なる騙しのテクニック 世界No.1の詐欺師が教える】

  フランク・W・アバグネイル
  価格: ¥1,680 (税込)
  アスペクト(2003/12/19)

 本書は、ディカプリオが主演した映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の実在のモデルであり、現在は詐欺師時代の経験を生かし、文書偽造と安全対策に関する権威となっている著者が明らかにする数々の「騙しのテクニック」とその防衛策を収めたものです。
 著者は、16歳から21歳までの5年間に、その大人びた風貌と類稀な知能を使って、パンナムのパイロット、小児科医、地方検事補、社会学教授、株式仲買人になりすまし、250万ドルもの小切手を換金し、世界一の詐欺師として知られるようになります。逮捕された後には、刑務所で刑期を勤め、釈放後はピザ屋弥スーパーマーケット、映画館の夜勤の映写技師などの仕事を転々とします。先々で頭のよさを認められ、登用されそうになるたびに、詐欺師の前科と保釈中の身分とが明らかとなり、著者は絶望します。著者は、「刑務所が自分を更生させたとか、道徳心を養い、改心させたとか思っているわけではない。突然に明るい光が降り注ぐこともなければ、神が語りかけることもなかった。ただ私は、大人になっただけなのだ」と語るとともに、「二度目のチャンスさえ与えてもらえれば、それを活かせると知っていたが、与えようとしない社会に怒りを感じていた」と語っています。
 そんな著者に転機が訪れるのは、保護監察官に勧められて、保安官事務所や治安官事務所、地元のFBI捜査官や郵政監察官に、自分がしてきた詐欺の手口のレクチャーを始めてからです。この評判を聞きつけ、ターゲットというディスカウントストアからもレクチャーの依頼を受けます。著者は、これらの仕事を通じて、自分が偽造や小切手詐欺についてだれよりも精通していること、そして、その知識を正しい方向に活かせば、人々の力になれることを知り、その計画を実行します。著者は、それまで自分が常習的に搾取してきた相手である銀行に、行員に対する1時間のレクチャーをお試しでやらせてくれないか、内容に価値がなければなにもいらない、有益であれば500ドル払って欲しい、と持ちかけます。この結果、著者は、「ホワイトカラー犯罪の専門家」として銀行業界で評判になり、次にはホテルや航空会社からもお呼びがかかるようになります。
 著者は、その後25年間この仕事に携わり、報酬も高くなったが、FBIアカデミーなどの法執行機関でのレクチャーについては、まったくのボランティアであること、それが過去の償いであることを語っています。
 本書で詐欺の手口を明かすことについて、著者はその危険性を承知の上で、この本を読むことが、「ビジネスマンや消費者として役に立つ知識」になること、そして、犯罪者だけが手口を知っているべきではないことが本書の目的であることを述べています。
 本書の第2章以降には、小切手や偽札、横領、話術、偽造カード、ATM、ネット詐欺などあらゆる種類の騙しの具体的なテクニックが解説されています。著者が「現役」であった時代には、アパートを借り、他人名義の運転免許証を入手し、預金口座を開き、10日待って小切手帳を入手しなければならなかったのに対し、いまでは小切手が簡単に手に入るようになったことを指摘しています。そして、小切手に関しては、「人物ではなく小切手そのものを見ろ」という重要な原則が守られていない例として、でたらめの住所や署名が書かれた小切手が換金されている例を示しています。また、レーザープリンターで印刷された小切手が、マニキュアの除光液であるアセトンやスコッチテープで簡単に偽造されてしまう手口等も解説されています。
 また、ショッピングモールの商品券がカラーコピーされてしまうことや、バーコードラベルの貼り換えの手口、2色のインクしか使われていないアメリカ紙幣ほど偽造しやすいものはないこと、横領犯を捕まえても金は返ってくる見込みはないが「1099」という支払い証明の政府への提出をちらつかせるのが効果的なこと、よく働く人ほど横領を働く可能性が高いこと、定番であるマスタード詐欺や銀行を捜査するFBI捜査官詐欺、日本でも問題になったATMを使った数々の犯罪(ショルダー・サーファー、お札取出し扉に接着剤)、著者自信が被害にあったというネット詐欺、数々の偽ブランド品、富裕層を対象とした「金持ちサークル」を謳った投資詐欺などの手口が紹介されています。
 本書の巻末には、ID窃盗の遭いやすさをチェックする14項目のチェックリストがあり、書類の処分方法に注意すること、そして、基本として、自分の個人データを「教える必要性」があるのかを常に考えること、理由の説明を求める習慣を持つことを述べています。
 本書は、詐欺に遭いたくない人はもちろん、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の続きが気になる人にもお奨めの一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書には、古典的な釣り銭詐欺の手口が紹介されています。
 手口自体はよくあるものですが、著者は、これをテレビ番組『トゥナイト・ショー』で、警戒する司会者を相手に2回も実演して見せてみます。
 このやり方は、『ドラえもん』第9巻の「世の中ウソだらけ」でもジャイアンがのび太からアイスを騙し取る手口として使われています。
 
○変ドラ第九回「世の中うそだらけ」
http://hendora.com/hendora/hendora09/hendora9.htm


■ どんな人にオススメ?

・自分は騙されないぞ、と思っている人。


■ 関連しそうな本

 フランク アバネイル, スタン レディング (著), 佐々田 雅子 (翻訳) 『世界をだました男』 2006年03月19日
 ゴードン・スタイン/編著 井川ちとせ/〔ほか〕共訳 『だましの文化史 作り話の動機と真実』 2006年03月18日
 デービット・カラハン (著), 小林 由香利 (翻訳) 『「うそつき病」がはびこるアメリカ』
 DVD 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』


■ 百夜百音

Singles(1976-2005)【Singles(1976-2005)】 Char オリジナル盤発売: 2006

 個人的にはチャー大好き世代よりちょっと下の(加藤)茶ー大好き世代なんですが、それにしても歳とってもかっこいいです。


『Johnny,Louis&Char since1985~1994』Johnny,Louis&Char since1985~1994

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2006年03月25日

詭弁論理学

■ 書籍情報

詭弁論理学   【詭弁論理学】

  野崎 昭弘
  価格: ¥693 (税込)
  中央公論新社(1976/01)

 本書は、なんとなく言い負かされてしまう「強弁」や「詭弁」のロジックを、会話の事例をふんだんに用いて楽しく読みやすい形で解きほぐしているものです。
 著者は、議論の修行(反省と観察)の中で、「議論に強いからといって、頭がよいとは限らない」という真実に気づきます。「昔から『無学者、論に負けず』というように、相手のいうことなどまるでわからない(わかろうとしない?)石頭のほうが、えてして自分のいいたいことを押しとおしてしまったりする」のだそうです。著者はこの例として、古典落語の「粗忽長屋」やフーテンの寅さんと義弟の博の会話を引用しています。
 著者は、理屈抜きの「押しの一手」を「強弁」とする一方で、「多少とも論理や常識をふまえて『相手を丸め込む(あるいはごまかす)』」ことを「詭弁」として区別しています。「詭弁」が詐欺・窃盗なら「強弁」は強盗、という喩えはわかりやすいものです。
 先の「粗忽長屋」や寅さんのようなパターンは、「小児型強弁」と名づけられています。このタイプの厄介なところは、本人にそのつもりがないという点にあり、その原因として、(A)自信が強すぎる、(B)好き嫌いの感情が強すぎる、(C)他人に対してきわめて無神経である、の3点を挙げています。
 また、権力者たちが使う、やや詭弁術に近い強弁術として、「二分法」を取り上げています。これは、「人々や考え方などを、ある原理的な基準で二つに分けてしまう考え方」を指し、本書では、中世ヨーロッパの魔女狩りにおける強弁術と詭弁術を駆使した魔女裁判のプログラムを紹介しながら、現代においても「××主義者」などのレッテルによって相手の発言を封じる二分法が使われていることを指摘しています。
 この他の強弁術としては、「確かにそうだがお前だって○○だろう」と重箱の隅をつついて相手の言い分を帳消しにする「相殺法」や、「他の人もやってるのになぜ自分だけ捕まえるのか」という「公平の原則」等を紹介した上で、強弁術の要諦を、
(1)相手のいうことを聞くな。
(2)自分の主張に確信を持て。
(3)逆らうものは悪魔である(レッテルを利用せよ)。
(4)自分のいいたいことを繰り返せ。
(5)おどし、泣き、またはしゃべりまくること。
の5点にまとめています。
 本書のタイトルである、詭弁に関しては、強弁と厳密に区別することは難しいとしながらも、二分法に関しては、「有無をいわさず押しつけるのが強弁だとすれば、『何となくその気にさせる』のが詭弁である」としています。また、相殺法に関しては、水俣病の原因物質がはっきりしない時に、日本化学工業協会から「敗戦のときに旧軍隊が水俣湾に捨てた爆薬が原因かもしれない」という珍説が出された話が紹介されています。
 詭弁の具体的なロジックとしては、三段論法の落とし穴としての、「否定二前提の虚偽」、「不当肯定の虚偽」、「特殊二前提の虚偽」、「媒概念曖昧の虚偽」、「四個概念の虚偽」などの具体例が示されています。
 著者は、詭弁術に押されたり、自らが詭弁を操ったりしないための心構えとして、以下の4つの原則を示しています。
・原則1:無理やり説得しようとするな。
・原則2:時間を惜しむな、打ち切るのを惜しむな。
・原則3:結論の吟味を忘れるな。
・原則4:「わからない」ことを恥じるな。
 本書は、「詭弁」という気づかないうちに陥りやすい落とし穴を、気づかせてくれるきっかけとなる一冊ではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 自らを「気が弱い」とか「議論が苦手」と思っている人は結構います。ついつい相手に言いくるめられてしまうけれども、後から考えると、どうも腑に落ちない。でも後の祭りで、自分の性格のせいにしてしまうことはないでしょうか。しかし、相手のロジックをよく観察してみると、腑に落ちない理由が納得できるかもしれません。本書は、そんな実例、特に著者自身が言い負かされてしまった実例を後からあれこれ分析しているところに好感を持てます。つまり、論理的に考えられることと、人に言いくるめられないことは必ずしもイコールでないのです。そう思って読んでみると気楽に読めると思います。


■ どんな人にオススメ?

・「自分は議論が苦手だ」と思い込んでいる人。


■ 関連しそうな本

 マックス H・ベイザーマン (著), マーガレット A・ニール (著), 奥村 哲史 『マネジャーのための交渉の認知心理学―戦略的思考の処方箋』 2005年07月04日
 印南 一路 『ビジネス交渉と意思決定―脱"あいまいさ"の戦略思考』 2005年6月28日
 ウィリアム・L. ユーリ, ステファン・B. ゴールドバーグ, ジーン・M. ブレット (著), 奥村 哲史 (翻訳) 『「話し合い」の技術―交渉と紛争解決のデザイン』 38610
 鈴木 有香 (著), 八代 京子(監修) 『交渉とミディエーション―協調的問題解決のためのコミュニケーション』 38625
 フランク・W・アバグネイル (著), 高橋 則明 (翻訳) 『華麗なる騙しのテクニック 世界No.1の詐欺師が教える』
 A・K・デュードニー (著), 田中 利幸 『眠れぬ夜のグーゴル』 2005年12月25日


■ 百夜百音

春咲小紅【春咲小紅】 矢野顕子 オリジナル盤発売: 1981

 江口寿史マニアの皆さんは「♪ほ~ら春咲小蟹♪」と思い浮かべるのですが、1981年当時は、「♪ほ~ら春先神戸に♪」の方を思い浮かべる人が多かったのではないかと思います。そうです。春先にポートピアを見に行きましょう。「THE官営空港」を使って。・・・と言っても当時は空港はありませんでしたが。
 本当のテーマソングはゴダイゴが歌ってました。


『ベスト・アルバム ゴダイゴ』ベスト・アルバム ゴダイゴ

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2006年03月19日

世界をだました男

■ 書籍情報

世界をだました男   【世界をだました男】

  フランク アバネイル, スタン レディング (著), 佐々田 雅子 (翻訳)
  価格: ¥700 (税込)
  新潮社(2001/11)

 本書は、映画『Catch Me If You Can』の原作になった、天才詐欺師フランク・アバネイルの自伝的小説です。最初は、裏づけのない小額の小切手を恐る恐る使っていた著者は、21歳までに250万ドルを「稼ぎ」出します。
 文房具店を営む父親の元で裕福に育った著者は、15の時に父親のカードを使い込み、1年間矯正施設に放り込まれますが、その間、父親の商売は傾き、ほとんどの資産を手放し、大きなピカピカの2台のキャデラックを持つ百万長者は、ボロボロのシボレーに乗った郵便局員に変わっていました。落ちぶれた父親は著者にこう語ります。
「人は何を持ってるかじゃなくて、何であるかが重要なんだ。(略)わたしは自分がどんな人間で何をしているかを心得ておる。それが大事なんだ。人がわたしをどう思うかじゃなくてな。わたしは自分を正直な人間だと思っておる。それは大きな車を持つよりも大切なことだ……人は自分がどんな人間で何をしているかを心得ている限り、間違ったことはせんものだ」
 「親の小言と冷酒は後で効く」と言いますが、15歳の著者にはこの言葉の意味はわからなかったようです。
 著者が詐欺に手を染めるきっかけは、同じ年頃の少年たちと変わらずナンパの軍資金不足でした。ニューヨークに家出した著者は、ハイスクールを中退した16歳の少年に稼げるお金はわずかであることを思い知らされますが、背も高く老け顔だった少年は、年齢を10歳偽り、人々が人物ではなく身なりや肩書きしか見ていないことに気づいてパンナムの制服を手に入れます。この手の詐欺師のお約束どおり、航空業界に関する知識は、落としたスチュワーデス達との会話から吸収し、ついには他の航空会社の乗務員席に「デッドヘッド」で便乗して各地を転々とするまでになります。
 その後、ニセパイロット姿での手形詐欺の手口がばれそうになると、しばらく身を隠すためにマンションを借りますが、そこでたまたま職業を医師と名乗ったために、人手不足の病院で小児科医を担当することになってしまいます。この他にも、州の司法長官の下で法務官として働いたり、大学の社会学の集中講座を担当したりと、さまざまな社会的地位の高い専門職の仕事をこなしてしまいます(ティーンネイジャーなのに!!)。この裏には、手形偽造で身につけた技術を活かしてハーバードの成績証明書や大学の学部長の推薦書やらを使ってはいるのですが、それでも付け焼刃的な知識を集中的に詰め込んで、司法試験に通ってしまったり、大学で講義をしたりと、著者の集中力と立ち回りのうまさが光ります。
 著者は、「もっとも当たりのいい小切手詐欺師は、優位に立つ三つの要素を持ち合わせている」として、以下の3点を挙げています。
(1)人間的魅力:身だしなみが重要。トップクラスの詐欺師は、立派な服装をして、信用と権威を感じさせる雰囲気をにじませている。
(2)観察力:並みの人間なら見落としてしまう枝葉末節まで気づく能力。あとから伸ばすことができる。
(3)調査能力:世界中のどんな銀行のどんな窓口係をもしのぐほど小切手についての小切手についてよく知っている。
 もちろん、映画を見るのも手っ取り早くていい方法ですが、本書は、小説ならではの緊張感を味わうことができると思います。


■ 個人的な視点から

 著者は、至る所で詐欺を働き、出会う人をことごとく騙しますが、それでも憎めないのは、彼が金を巻き上げるのは小切手を現金化してくれる銀行窓口や空港やホテルのカウンターばかりであり、その意味では一般人から金を巻き上げて路頭に迷わせるタイプの詐欺師ではなかったからでしょうか(小説化に当たって隠しているだけだということもあり得ますが。)。
 何しろ好人物である著者は、女性に持てるのはもちろん、その家族にもいつも気に入られます。両親に紹介されることも多かった著者は、パリの印刷屋に偽造小切手を作らせることもありましたが、基本的には好青年の印象を残したまま去っていきます。しかし、それでもなかなか逃げ切れない場面もあり、サンフランシスコのアメリカン航空のスチュワーデスの家族とどんどん結婚式の段取りが進んでしまいます。ついに真相をあかすシーンは次のようなものです。
 「ロザリー、実は、私はパンアメリカンのパイロットじゃないんだ。二十八歳でもないんだ、ロザリー。ほんとは十九歳だ。名前もフランク・ウィリアムズじゃない。フランク・アバネイルだ。わたしは悪党なんだ、ロザリー。ペテン師で、小切手詐欺師だ。警察から全国に手配されている」
 映画を見たわけではないのですが、彼女のポカーンという表情が目に浮かぶようです。
 ルパン3世とかが好きな人、子供の頃江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズにハラハラドキドキした人は今でも楽しめるでしょう。


■ どんな人にオススメ?

・憎めない悪党が好きな人。


■ 関連しそうな本

 フランク・W・アバグネイル (著), 高橋 則明 (翻訳) 『華麗なる騙しのテクニック 世界No.1の詐欺師が教える』
 ゴードン・スタイン/編著 井川ちとせ/〔ほか〕共訳 『だましの文化史 作り話の動機と真実』 2006年03月18日
 デービット・カラハン (著), 小林 由香利 (翻訳) 『「うそつき病」がはびこるアメリカ』
 DVD 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
 江戸川 乱歩 『少年探偵団 少年探偵』


■ 百夜百音

特撮狂 TOKUSATZCREW【特撮狂 TOKUSATZCREW】 オムニバス オリジナル盤発売: 1999

 最近戦隊モノも新しいシリーズに変わりましたが、学生時代に「恐竜戦隊ジュウレンジャー」の子供ショーでバイトしてました。残念ながら低予算だったので、ティラノレンジャー(赤)1人&悪ボス1人という構成だったように記憶しています。
 ちなみに、スーパー戦隊シリーズは80年代の「○○○マン」系の名前から、このジュウレンジャー以降はほとんど「○○レンジャー」系の名前に戻ってしまってます。
 アメリカにも輸出されましたが、名前がやばいということで「パワーレンジャー」に変更されています。


『秘密戦隊ゴレンジャー MUSIC COLLECTION』秘密戦隊ゴレンジャー MUSIC COLLECTION

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2006年03月18日

だましの文化史 作り話の動機と真実

■ 書籍情報

だましの文化史 作り話の動機と真実   【だましの文化史 作り話の動機と真実】

  ゴードン・スタイン/編著 井川ちとせ/〔ほか〕共訳
  価格: ¥2,940 (税込)
  日外アソシエーツ(2000/01)

 本書は、歴史に残った「だましの芸術」である作り話の多くをまとめたものです。本書で取り上げる作り話には、金目当ての嘘である詐欺は含まれておらず、金銭的な報酬とは無関係にでっち上げられ、嘘がばれるまで続くという特徴があります。
 本書の構成は、歴史を変えた作り話、科学と発見と作り話、考古学にまつわる話、贋作と芸術にまつわる話、文学にまつわる話、音楽にまつわる話、いんちき写真術、宣伝用作り話、悪意なきいたずら話、実話だった話、の10章からなります。
 歴史を変えた作り話としては、1887年から89年に刊行された『アプルトン・アメリカ伝記事典』のなかに100件を超える架空の人物がでっち上げられています。この悲劇が起きた原因は、編集委員が掲載項目を選定してから執筆者に依頼するという通常の時点であれば踏まれるはずの手続きが行われず、専門家を含む執筆者任せにし、架空の人物をでっち上げるほど報酬が増えるという契約形態であったために起きたと考えられています。
 また、大きく歴史を変えた最大級の嘘として、ローマ教皇庁による1200年に渡るイタリアの支配の根拠となった「コンスタンティヌスの寄進状」が紹介されています。この寄進状は750年頃に書かれたものと考えられますが、コンスタンティヌス1世が337年に死んでいることから、歴史上何度もその信憑性を疑われてます。
 さらに、人前に出ることを徹底的に嫌う有名人であるハワード・ヒューズの伝記をでっち上げた事件や、切り裂きジャックを英国王室を巡るスキャンダルと結びつけた話、ノストラダムスの『諸世紀』の様々な後知恵での解釈、ホロコーストにつながった『シオンの議定書』等が紹介されています。
 科学と発見を巡る作り話としては、UFOやビッグフットの他、月に住んでいる「こうもり人間」や「ジャージーの悪魔」等が紹介されています。中には、インド奇術師が行う、空にロープを投げてそこを登っていく、という手品の種明かしが紹介されています。さらに、この手のお話の定番として、「創造説」論者達の地質学も紹介されています。また、嘘が嘘を呼ぶ例として、UFOで有名なアダムスキーをだますために、「国務省は貴兄の主張を裏付ける多くの証拠を保管している」という国務省の書簡を偽造して送りつけた話まで紹介されています。
 芸術にまつわる話としては、アルフレッド・I・デュポンが、ディーラーから先祖の肖像画として売りつけられそうになった贋作を、額縁の価値くらいにはなる千ドルまで値下げさせ、更に、その肖像画の下から現れた17世紀の聖母子像が15万ドルの値を付けた話が紹介されています。
 この他、イリノイ州リヴァプール出身の偽ビートルズやコナン・ドイルが入手したコティングリーの妖精の写真、ロンドンのビッグベンがデジタル化されるというBBCのエイプリルフール報道が紹介されています。
 本書に収められている「作り話」は、その一つ一つにまつわるエピソードに魅力があるところがポイントではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 本書の最終章には、「実話だった話」として、偽造だと思われていた始祖鳥の化石や、各地の宗教的行事で使われる「火渡り」等が紹介されていますが、その中にウィリアム・アレンズの『人食いの神話』の件が紹介されています。これは、よく言われる人食いの風習を持った部族はいない、としたものですが、その後の検証によって、アレンズが見逃していた事実や間違いが指摘され、やはり人食いの風習は実話であった、としているものです。
 また、1938年にアメリカでパニックを起こしたH・G・ウェルズの『宇宙戦争』のラジオ放送のエピソードは有名ですが、本書には、その数年後に、チリとエクアドルで放送されたときの更に大きなパニックが納められています。これは、パニックによって心臓発作で倒れる人が続出したほか、怒った群衆が暴徒となってラジオ局を取り囲み、投石の上、焼き討ちしたという事件です。当時のラジオへの信頼性の高さを伺い知るとともに、情報リテラシーの重要性を表すエピソードなのではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・作り話の面白さを楽しめる人。


■ 関連しそうな本

 フランク アバネイル, スタン レディング (著), 佐々田 雅子 (翻訳) 『世界をだました男』
 マイケル・W. フリードランダー (著), 田中 嘉津夫 (翻訳), 久保田 裕 (翻訳) 『きわどい科学―ウソとマコトの境域を探る』 2006年01月21日
 マーティン・ガードナー 『インチキ科学の解読法 ついつい信じてしまうトンデモ学説』 2006年02月11日
 マーティン ガードナー (著), 市場 泰男 (翻訳) 『奇妙な論理〈1〉―だまされやすさの研究』
 マーティン ガードナー (著), 市場 泰男 (翻訳) 『奇妙な論理〈2〉なぜニセ科学に惹かれるのか』


■ 百夜百音

HEAVY GAUGE【HEAVY GAUGE】 長渕剛 オリジナル盤発売: 1983
EXTRA LIGHT GAUGE

 タイトル曲を聴いたときには30歳は遥かかなた、半分にも満たない歳でしたが、いつの間にかこの僕も30歳をとうに越してしまいました。
 でも僕のギターにはいつもHeavy GaugeならぬExtra Light Gaugeが張ってあります。何しろ、「USE EXTRA LIGHT STRINGS ONLY」と書いてあるものですから。

『SINGLES(2)1983-』SINGLES(2)1983-

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2005年07月03日

世界の奇書・総解説

■ 書籍情報

世界の奇書・総解説   【世界の奇書・総解説】

  
  価格: ¥2,000 (税込)
  自由国民社(1992/11)

 本書は、神話に始まり、博物誌や聖書学、偽書・暗号書、奇想文学から悪魔学、性文学まで、古今東西の「奇書」「珍書」の類を一堂に集めた読書ガイドです。『帝都物語』で知られる博物学者の荒俣宏氏(「トリビアの泉」でいつもうれしそうに笑っているおじさん)も解説に参加していて、『博物誌』や『台湾誌』などの解説を書いています。
 各項の基本的な構成は、数ページの「大要」であらすじなどを紹介した後、若干の「解題」が加えられる、という共通の構成になっています。ところどころに紹介される古い挿絵や写真が、怪しさを醸し出しています。『博物誌』で紹介されている「胴に顔を持つ人間」や「長耳人」「一本足の人間」「象頭人」、『高等魔術の教義と儀式』で紹介されている「魔法陣」、『ムー大陸の子孫たち』の「ムーの装飾文字」、『地獄の辞典』で紹介される数々の禍々しい悪魔の姿など、パラパラと挿絵を眺めているだけでもクラクラと来てしまいそうな胡散臭い絵や写真が満載です。
 本書の構成は、ギリシャやエジプト、バビロニア、インド、北欧など各国の神話を集めた「第1部 神話学」、古代の博物誌や中世の旅行記などを集めた「第2部 博物誌と旅行記」、『死海写本』や外典を紹介する「第3部 聖書学」、世間を騙した大でっち上げや解読されていない暗号を紹介する「第4部 偽書・暗号書」、近世を中心に幻想的な世界を描く「第5部 奇想文学」、錬金術から世界の終末、超古代文明、怪奇現象を紹介する「第6部 疑似科学とオカルト学・予言学」、魔女狩りのマニュアルから悪魔の召喚までを紹介する「第7部 悪魔学」、古代の恋愛指南書・性愛書からサディズム・マゾヒズムの原書、カサノヴァまでを紹介する「第8部 性文学」、これほど怪しげな文献を分類した中でも、まだカテゴリーに収まりきらない奇書を集めた「第9部 その他の奇書」、という構成になっています。
 自宅で読んでいると家族から白い目で見られ、ましてや電車の中で読んでいると周囲に空間ができてしまうかもしれませんが、現代の文学・映画・マンガ・アニメなどで様々に引用されている原典が紹介されていますので、菊地秀行が好きな人は言うに及ばず、『エヴァンゲリオン』や『孔雀王』などが好きな人も本書からは様々な発見があるのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 小学生のときに、チャーチワードの『失われたムー大陸』を紹介している怪しげな超古代文明物の本を夢中になって読んだりした記憶がありますし(オカルト雑誌『ムー』を購読するほどではなかったですが)、『帝都物語』にもはまり、『エヴァ』の再放送を夜更かしして観るなど、本書で紹介されている奇書の二次作品的なものとは接点があるのですが、なかなか原典に当たる機会はありません。そもそも邦訳が出ていなかったり、入手が困難なものも多いようです。
 本書で紹介されいている奇書に一つ一つ当たって行くことは現実的ではないかもしれませんが、文学その他様々な作品を読む上での基礎知識(ずいぶん偏った知識ですが)として、知っておいて損はない内容だと思います。


■ どんな人にオススメ?

・オカルト好きな人(必携)。
・『エヴァ』にはまった人。
・「世界ふしぎ発見」が好きな人。


■ 関連しそうな本

 荒俣 宏 『帝都物語』
 荒俣 宏 『新編 帯をとくフクスケ―複製・偽物図像解読術』
 荒俣 宏 『広告図像の伝説』
 高馬 三良 『山海経―中国古代の神話世界』


■ 百夜百音

ベストアルバム【ベストアルバム】 かまやつひろし オリジナル盤発売: 1987

 「何かに凝る」ということで、ムッシュかまやつ氏の名曲「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」を紹介します。「そうさ何かにこらなくてはダメだ」というムッシュのメッセージは、痺れるほどカッコいいです。オカルトに凝るのが傍から見てカッコいいかどうかは別ですが・・・。
 (試聴もできます。
 関連CDは、歌詞の中に「ゴロワーズ」が出てくるということでパール兄弟の「6.AMのパーク」です。もっとも「語呂ワーズ」だったような気もしますが。

『ブルー・キングダム』ブルー・キングダム

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