第1回(2001年度) 行政経営大賞(Public Management Awards)受賞者について
2002年4月24日

第1回の大賞は、以下の2名の方に決定しました。

(1) 梅田次郎さん(三重県庁)
(2) 山岸稔隆さん(東京法令出版)

梅田さんの受賞理由

梅田さんは、1995年以来、北川知事とともに三重県庁の改革に先鞭をつけ、全国自治体の改革リーダーたちに多大な刺激と勇気と知恵を与えました。特に、自らの県庁職員としてのキャリアをリスクにさらしてまで、事務事業評価システムの導入に尽力したプロフェッショナルとしての真摯な姿勢は、全国の改革者の模範的な存在といえます。さらにまた、改革における職員の意識改革の重要性に早くから気付き、外部の民間コンサルタントの力を借りた戦略性は、従来の役所内のノウハウだけで済ませようとする自前主義の「行革」とは大きく異なるアプローチであり、特筆すべきものといえます。

梅田さんは、また、事務事業評価システムの導入を通じて得られた様々な知見や三重県庁の改革の経緯(庁内の葛藤や様々な悩みを含む)をさまざまな媒体や講演で発信しました。このような活動を通じて、三重県だけでなく、全国的な行政経営の流れを作る上で大きな貢献をしました。

山岸さんの受賞理由

山岸さんは、東京法令出版の編集者です。純然たる民間企業の社員である山岸さんの受賞のニュースをきいて、違和感を覚える人がおられるかもしれません。「行政経営フォーラムは、どこからも中立なはず・・特定の民間企業の活動を評価してよいのか?」などという疑問をもたれる向きもあるかもしれません。しかし、そういう方こそ頭を切り替えていただきたいと思います。行政経営の推進は、行政マンだけでは絶対になしえません。いうまでもないことですが、行政経営のノウハウは、公的セクターの中には存在しません。民間セクターや海外事例のノウハウを注入する必要があります。各地の事例や理論を流通させる民間セクター(出版、メディア、学術研究、研修、コンサルタント、会計士、IT企業など)の協力なしには、行政経営は大きな流れを形成しえず、政治的・社会的なサポートも得られません。そういう意味で、行政経営の分野で事業を興す起業家の存在は、極めて重要です。そして、何よりもそこで利益を上げ、勝者になることこそが王道です。

山岸さんは、フォーラム発足直後の98年の有志会員による「行政評価による地域経営戦略」の出版と、その後の「実践・行政評価」の2冊の出版を決断されました。当時、行政経営の今日の隆盛を見越した出版人は、ほとんどいませんでした。しかし、山岸さんは、この分野の市場の可能性を信じ、かつ出版人としての使命感にたってリスクを採りました。そして、当時は無名の任意団体にすぎなかった行政経営フォーラムとの出版プロジェクトを決断しました。結果として、見事に赤字を回避し、東京法令出版は、この分野におけるパイオニア的存在になりました。一見、地味なこの市場に取り組もうとした熱意と使命感は特筆すべきものです。また、この2冊の出版は、その後の行政経営フォーラムの発展に大きく貢献しました。山岸さんは、本業における営利追求を犠牲にせず、本業を通じて社会の改革に大きく貢献しました。まさに、企業人の鑑といえます。

以上