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2006年02月27日

福島県立病院で産婦人科医逮捕

今日は、批判覚悟で議論をしたい。

2月18日、福島県立大野病院の産婦人科医師が帝王切開ミスで逮捕されたというニュースが報道された。

http://www.kahoku.co.jp/news/2006/02/20060218t63051.htm

*******引用開始**************************

帝王切開ミスで医師逮捕 福島県立大野病院

 帝王切開手術の無理な処置で女性を出血多量で死亡させ、警察への届け出も怠ったとして、福島県警富岡署は18日、業務上過失致死と医師法違反の疑いで、福島県大熊町下野上、県立大野病院産婦人科医師○○○○容疑者(38)を逮捕した。

 調べでは、○○容疑者は2004年12月17日、同県楢葉町の女性=当時(29)=が帝王切開で出産した際、子宮壁に癒着した胎盤を無理に手術用器具ではぎ取り、出血多量で女性を死亡させた疑い。また、この事故を24時間以内に警察に届けなかった疑い。胎児は無事だった。
 ○○容疑者は事実関係を認めているという。

 県の事故調査委員会は昨年3月、「胎盤を無理にはがした行為自体が誤りで、本来は子宮を摘出する必要があった」と指摘した。胎盤癒着は2000―4000件に1件とされる珍しい症例で、○○容疑者は胎盤癒着の執刀経験がなかったという。
 ○○容疑者は1996年に医師免許を取得。産婦人科の専門医で、大野病院には04年4月から勤務し、年間200件近い出産を担当していた。

 茂田士郎・県病院事業管理者は「誠に残念だ。今後は警察の捜査状況を見守り、良質な医療の提供と事故の再発防止に全力を尽くす」とのコメントを出した。県は既に遺族に謝罪し、賠償交渉を重ねている。

2006年02月18日土曜日

***********引用終了**********************

亡くなった方には、心より哀悼の意を表させていただきたい。
子供を残し。亡くなったお母さんや残された家族の無念さは、筆者も十分理解できる。

しかし、この医師を医療ミスということで逮捕することまで必要であったのか。
当然、民事事件として損害賠償にはなるであろう。
刑事事件として書類送検はやむを得ないかもしれない。
(これについては、医療の観点からしっかりとした検討が必要である)

この医師は1人で大野病院に勤務し200件ものお産をこなしていた。

産婦人科医の意見として、誰でもこのような結果を招いた可能性があるという意見もある。
http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2006/02/post_1b76.html

あちらこちらの自治体立病院で産科医が不足し、診療を中止した病院が相次いでいる。

少なくとも、医療的な視点で、この産婦人科医が逮捕されるだけの理由があると認定されるだけの違法性が明らかでないと、今後、誰も産婦人科医になる者はいなくなる。

当然、医師がどんなに問題があっても、責任を負わなくてもいいというのではない。
かつての富士見産婦人科事件のようないい加減な医療を行った医師には、断罪が下されるべきである。

小児科医も同様であるが、訴訟や逮捕のリスクをどのように社会的に負担するかを考えなければ、自治体立病院から、産婦人科医と小児科医がいなくなる日が来るかもしれない。

本当にいたたまれない事件だ。
悲しい。

投稿者 iseki : 2006年02月27日 16:42

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コメント

 まさに伊関さんのおっしゃるとおりです。どなたもコメントがないようですので、産科医の実情を投稿しておきますが、その前に、亡くなられた妊婦さんの無念は察するに余りあります。心より哀悼の意を表します。
 “事件”のあった県立病院の産婦人科医はたった1人しかいませんでした。たった1人で年間200件の分娩をこなすということが、どういうことだかお判り頂けますでしょうか?単純に計算しますと、まず200件/7日=約30件は日祭日に時間外出勤ということです。また200件/2=100件は、普通なら晩酌一本の後で眠っていたい午後8時から午前8時までの夜間時間外勤務ということです。しかも200件の分娩以外にも、通常の日には産婦人科外来もありますし、子宮癌や卵巣癌など婦人科の手術もあったと思います。○○氏はこれをお一人でやっておられたのです。しかも今回の妊婦さんは癒着胎盤のうえに前置胎盤というきわめて難しいケースでした。伊関様が引用されているように、1人だけしか産婦人科医を雇ってくれない病院では、どんな名医でも同じ結果になった可能性が非常に高い。
 バブル崩壊して景気も悪い今日、確かにもっと辛い勤務体制もある、“高給取り”の医師ならもっとちゃんと働かんかい、というのが批判者の意見でしょう。しかし医師の仕事、それも産科医の仕事は、「契約を1件取り損ねた」「部品を1個作り間違えた」で済む内容ではありません。後々の責任の重さに比べたら、他の仕事に比べてワリの良い仕事ではないのです。
 こんな“事件”が起こるのであれば、せっかく医師免許を取得したら、老人相手、軽症相手の医者になろう、という若手医師が増えてくるでしょう。ただでさえ4月からは医療費改定で医療機関は今よりもっと痛めつけられることになるのです。産科医や小児科医のなり手はますます減少するでしょう。誰が最終的な不利益を被ることになるのか、よく考えていただきたいと思います。
 ついでに言えば、私もかつて産科をやっていましたが、今はやめました。ですから38歳という年齢まで、1人産科医で年間200件という分娩を担当されていた○○医師の体力と使命感には脱帽いたします。○○医師を責めるのではなく、1人しか産婦人科医を置かなかった県の責任者を追及すべきです。皆さんの都道府県でもきっと事情は同じでしょうから…。

投稿者 ぶんぶん : 2006年03月14日 09:52

ぶんぶん様、書き込みありがとうございます。
書き込んでいただいた文章、このブログを見ている人に広く見ていただきたいので、別途、新しくエントリーを作って、紹介させていただいています。

削除してほしいということであれば、エントリーは削除させていただきます。

投稿者 伊関友伸 : 2006年03月14日 23:21

 どこへ紹介くださって差し支えありません。医師仲間のブログには同じような趣旨の文章が多数見られますが、医学畑以外の方のブログを見つけたので、書き込ませて頂きました。
 夫の方のご無念はよく判ります。まさかと思っていたら奥様が突然亡くなられ、母の顔を知らずに育つ我が子を見ていれば、「あの医者のせいで」という恨みが募るのは当然です。自分が同じ立場だったらどう感じるか、胸に手を当てて考えれば判ります。
 しかしその怒りや恨みを誤った方向に増幅させ、誘導した人間がいるのではないでしょうか。JR福知山線の脱線事故でご家族を亡くされた方が、いつまでもJRの運転士や現場職員を恨み続けているでしょうか?
 夫の方のやり場のない怒りや恨みは、1人しか産婦人科医(小児科医なども同じですが)を置けないような日本の医療制度にこそ本来向けられるべきなのですが、それを誤った方向に誘導している人間こそ許せません。これでは亡くなられた奥様も心が安まらない。保険金目当てに人を殺したり、悪戯目的で子供を殺したりした殺人犯と同様の扱いを担当医師にして、報復の欲求だけに矮小化させられた夫の方もお気の毒です。
 ですからご遺族も一刻も早く悲しみを乗り越えて問題を正しく見つめられるよう、また何の利益にもならない恨みと怒りの呪縛から解放されるよう、この文章が他の多くの医師たちの文章と共に多くの人の眼に触れるように計らって下さることを望みます。もちろん私はすべての医療事件を一括して弁護しているのではありません。

投稿者 ぶんぶん : 2006年03月15日 09:35

前々便にちょっと追加しておきます。年間分娩200件の多くの部分が時間外・日祭日勤務になると申し上げましたが、実際は正常分娩の大半は助産師さんの管轄で行なわれますから、医師が必ず立ち会うものではないです。しかし正常分娩はいつ異常分娩になってもおかしくない。その時は時間外でも日祭日でも医師がコールされますから、産科医が1人しかいなければ結局24時間気が休まる時間はないのです。

投稿者 ぶんぶん : 2006年03月15日 09:44

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