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2005年10月03日
有機農業と外食産業
先日のワールドビジネスサテライトを見ていての感想である。
外食産業では今、ビュッフェ・スタイルが行列をつくっている。
ランチバイキング1,800-2,200円。
ビュッフェの中に、有機野菜を使ったもの、メニューは筑前煮やひじきの煮物。もちろん黒米などの、なかなか口にはいらない食品もあるけれど、こんな普通のおかずを出して、みんな喜んで2,200円払っている。しかも、口をそろえて、家で有機野菜を買って作ると高いから、という。
有機野菜は本当にそんなに高いのか。
実際にスーパーにいってみてほしいと思う。
たとえば普通のサトイモ、500g198円。有機だと298円。
確かに値段はいいが、定食やの3倍のお金を払うほどの価格差はない。本当は家で作るのがめんどうくさいだけ。
有機野菜のビュッフェは、家で作るのがめんどうな人のいいわけをうまく隠せるから当たっているビジネスモデルにほかならない。
本当の豊かさって何だろう、と時々思う。
自分が3人の母になって、子供たちにとにかく安く、たくさん食べさせたいと思っていた頃、産地は一切とわずに、安い野菜・肉・魚をたくさん買っていた。産地偽装事件や種種の食の安心・安全の諸問題がクローズアップされ始めた頃から、産地表示や栽培管理がはっきりしている食品にシフトしてきたが、それは年をとるにつれ、収入が増えてきたから行動がともないはじめたのだと思う。
でも、もし今、わたしが、まだ20代の頃のように、保育料と自分の手取り収入がほぼ同額だったなら、やっぱりなんでもいいから安いもの、安いもの、と量を求めることだろうと思う。
そして、なんかようわからん食べ物を子供に食べさせていることを、自分の中で悔やみながらでも、行動することは、ちょっと難しいと思うだろう。
有機野菜というのは、つくるのに、やはり手間ひまのかかるもの、という印象がある。
だから、それぞれの産地でも、それほどたくさん生産されているものではない。
もし外食産業が、これらの産品を農場ごと「全部買い」するようなことになると、当然有機野菜の市場価格はあがるだろう。
本当に、市中では、手の届かないものになってしまうかもしれない。
そして産地が従来農法を歩合のよい有機に切り替え、供給量を増やすと、今度は外食産業にとっては付加価値を失う。価格だけを目安にしてきた消費者にとっては、値崩れした有機野菜の価値を見直すことは容易ではないだろう。 わたしは有機野菜の本当の強み、よさ、というものが、まだ見えていないなかでの外食進出を懸念する。
その頃には、一度は問題になった中国などの外国産品も十分なトレーサビリティを身につけてかならずや戻ってくると思われる。
日本は諸外国に比べて食のトレーサビリティが優れている、とたかをくくっていては従来農法でさえあやうい。そもそもシステムとして構築されたものほど模倣されやすいものはなく、むしろもっとも模倣されにくいビジネスモデルは、消費者のライフスタイルに影響を与えるものであることに気づかなくてはならない。
愁うべきは、消費者がそのときにはすでに外食に慣れ、第1次産品を自ら調理して食べることを自分の手に取り戻すことがもしできないでいるとしたらどうだろう。
そのときこそ、今日の有機野菜の生産者にとっては、正念場なのではないだろうか。
今、若い人に伝えたいのは、やはり、下手でもなんでもいいから、自分でつくってみませんか、ということ。そして食べ比べてみてほしい。産地もそうした努力をするべきだ。今の外食産業のブームにだまされて、市場に自らの産品を、たとえ少量でも安定的に供給するのを怠ることはしてはいけない。そのいっぽうで、消費者に食べ方を伝えていく。そのことが本当の食べ物の味を守り、客をつかむということにつながる。
世の中便利ばかりが、豊か、ということではないはずである。