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2008年03月21日

リスクマネジャ

大阪大学の主催する講座をこの1年半受講していた。テーマは環境リスク管理。30単位取得で日本リスク研究学会の認定リスクマネジャになるという。
前職が廃棄物管理が担当であったし、今の仕事も環境改変にかかわりの深い公共事業部門なので、たいへん興味深く受講できた。

ところが、阪大でも工学部の講座である。化学物質など法制度面では理解できても、そのリスクを定量化したり評価したりというのは、なかなか素養のない自分には難しい講座だった。
修了を前に面接を受けたのだが、一番心に残ったのは、と問われ、少し考えたのち、やはりリスクコミュニケーション論で学んだ「共考」ということだろうと思った。

行政にいると、基本的に住民は何も知らないから、教えてあげる、という立場に立ちやすい。
実はこの科目、演習などでロールプレイをすると、住民側からは「わかりやすかった」「納得できた」というお褒めをいただけたのだが、評点はからかった。納得させることがリスクコミュニケーションの目的なのではなく、相互作用、すなわち共に考えることが求められるので、住民をわかったような気にさせることは、本当の意味でリスクコミュニケーションとはいいにくいのかもしれない。

20日に修了式をかねた研究発表があり、化学物質のリスク評価のレポートでつまずきまくって結局よくわからなかった「PFOA」という化学物質が淀川水系の河川水に多く検出したという、2007年5月の報道を契機とした一連の行政コミュニケーションなどを事例に発表をした。

この化学物質については、ほとんどの水道局等は、濃度からいって特に問題はないレベルという国の見解を引き合いに、住民を安心させようとする情報発信がとられたが、この物質が今、米国の環境保護庁(EPA)と世界的メーカーのグループの間で問題にされ調査研究がされていることについてふれたのはわずかだった。

その後大阪府・市は地下水の汚染源になっていたメーカーに指導を行うところまでを報道資料にしており、その際にメーカーがEPAの指導により本物質を使用全廃に向けて取り組み中であることなどを広報している。

わたしが注目したのは、EPAの消費者に対するコミュニケーションで、日本の場合は、このような情報発信が行政側から積極的になされていないのと、情報源が偏在しており、市民生活に身近な自治体レベルで情報収集を独自に行い公表し、消費者に対して行動をするにしろ、しないにしろ、考えるきっかけをともに持つことができたんではないか。

そういう問題提起をしたものである。
(このほか、ちょっとだけ大阪府の寝屋川水系改修工営所の行政コミュニケーションの例なども紹介させてもらった。さらに前進をすすめていければいいのではないか、と思う。)

発表後、PFOA,PFOSについては国内でも小数の科学者しか情報を持ち合わせていないので、このような報道の機会があると突然に対応を求められる行政機関は大変である、とか、大阪府の化学物質管理担当は、国内の自治体でもよくリスクコミュニケーションがとられているほうであり参考になっている、などの声もかけていただいた。
自分自身、現在の職などからいえば、こういうテーマで人と語り合うこと自体稀有なことであり、非常に貴重な機会であった。

講座をご紹介いただいたM先生、講師の皆様、励ましてくださった受講生の皆様、ありがとうございました。

投稿者 kamimaki : 2008年03月21日 00:18