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2008年05月25日

世界6月号から

ジャーナリストの多田実さんこと本多清さんが、岩波書店「世界」の6月号に執筆をしていると聞いたので、週末に紀伊国屋で買ってきた。
豊岡市でのコウノトリを育む農業の話題から、本多さんのフィールドになっている滋賀県高島市での環境保全型農業の取り組みを、農業者の生の声を交えながら本多さんらしい書きぶりで紹介する文章だった。

コウノトリは過去、田んぼを踏み荒らすということで農家からの嫌われ者だったそうだが、実際に中国から飛来した一羽の天然のコウノトリの生態観察からそれが誤解であることがわかった。地元の方から「ハチゴロウ」と名づけられたこのコウノトリは、死亡が確認されるまで、様々なことを人間に教えてくれたようだ。本多さんは、環境保全型農業は、単なるハウツーではなく、根源的なものへのコミットメントからはじまることを、書いておられたように感じている。

これを読みながら、どういうわけか思い出していたのが、娘の5年生の頃の教科書に出ていた「大造じいさんとがん」という物語だった。猟師の大造じいさんが、猟果をあげることができない元凶、群れの頭領である一羽のがん、残雪を得ようとしかけを凝らす戦いは何年もに及ぶ。そうしているうちに、じいさんの中で残雪のことを次第に「ただの鳥にしているような気がしなくなってくる」というのだ。

結びでは、環境保全型農業をすすめるにあたって、一般によく言われる絶滅危惧種が生き残ればいいという考えではなく、その地域の固有の生態系に、古くから慣れ親しんだ地域の生き物への愛着をもって取り組んでほしいという筆者のねがいが託されていた。これは本多さんの、長年の観察者としてのオリジンを感じるメッセージだったと思う。

本多さんおすすめ「高島いきもの田んぼ米」はこちらで購入可能。
http://www.city.takashima.shiga.jp/ikimonotanbo/erabu/index.html

投稿者 kamimaki : 2008年05月25日 16:13