2006年05月18日

大阪市の事業経営分析セミナーに参加

昨日、共同通信社主催のセミナーに参加した。
大阪市の環境事業をはじめとする各事業に関する経営分析について、講演がなされた。
配布資料は大阪市のホームページ上に掲載されている。
http://www.city.osaka.jp/keieikikakushitsu/kaikaku/kaiken/shiryo/jigyo20051006.html

環境事業についてはマニフェスト発表時にこのブログにも記載したとおり、大量廃棄を前提とした経済効率優先のシナリオと、環境負荷低減型のシナリオといった方向性の違うシナリオによって導かれる結果が相当変わってくると思われる。
http://www.pm-forum.org/kamimakis/archives/2005/12/post_12.html

そこで、質疑の際にどのシナリオでいくかを問うてみたが、これはまだこれからの議論、話を広げていけば都心部の焼却場がそこにあるのがよいのか、地域開発戦略の中で見直されるなどの大きな展開が期待できる部分、という回答もあった。
できればこのような議論には、当然市民が参加していくしかけを期待したい。

わたしはごみは文化を物語る、と思う。
ごみで発電してもうけましょう、それを貧しい人にほどこしましょう、という「市営」の精神はけっこうだが、そのために燃やすごみを汗かいて集めましょう、というのはどうもすっきりしない。
質問のときの例にひいたが、廃棄物処理の事業を営む企業経営者の中には、すでに廃棄物の減量への顧客支援に軸足を移しているところも多い。世界的に廃棄物を減らそう、としているが、いわゆる焼却による減容ではなく排出抑制が潮流である。

また、容器プラスチックの分別の施行により、焼却によるごみ発電の効率は今後ますます低下することが見込まれる。今売電収入があるからといって、さらに老朽施設を更新してまでその売り上げに期待することが本当に戦略的なのか。

ここは地道に考えて、収集運搬の直営の見直しや搬入手数料の見直しといった通常考えられる改善努力を行いながら、10年後、20年後に大阪市のごみはどうなっているのか、社会の期待にこたえる将来の予測にたった政策立案にむすびつけられたいと思う。

また、人員の流動化についても、大阪市の職員さんからたまに聞く、「1級職員」「2級職員」というような職位にとらわれた流動化ではなく、現場の処理事業にあたっている人がそれまでの経験をいかせるありようを考えるべきだ。

府内のH市では、30年も収集にあたってきた現場の職員が現在は環境教育の企画や出前講座に取り組んでおられたり、市民への個別排出指導といった難しい業務に携わっておられる。
ごみ収集車にごみを積むことだけやってきたわたしらでも、循環型社会のことは考えるし、そうした仕事をずっとしてきたからこそ市民のみなさんにつたえたいことがあるんです、と言った一言が忘れられない。
人が活きる、市役所にしかできない改革をのぞむ。

投稿者 kamimaki : 12:30

2005年12月20日

環境事業における独立行政法人化

大阪市は市政改革マニフェスト案の中で環境事業において独立行政法人化を前提に今後マネジメント改革を推進していくという。

この報道に接する限りにおいての識者の意見は一方向的で辛らつである。現在も大阪市は他市の家庭ごみも一部受け入れている。これは地元の家庭ごみの処理の責任は地元の自治体が担うとなっているものの、ダイオキシン問題で清掃工場が廃止し当該自治体内で焼却処理ができないなどの問題を抱える町や、市民の排出量に対して既存のごみ処理施設の能力不足がある自治体のものを、特例的に受け入れ処理を行っているものである。大阪市は他市のごみで金もうけをしようとしているのか、という意見や、わが町のごみはわが町で処理をするのが基本という廃棄物処理のルールに対する挑戦だという見方は、これまでの廃棄物行政に関わっているなかで、ごくごく一般的な意見だと思われる。

私個人としては、処理能力の高い施設を最大限稼動すれば経済的メリットもまた最大化するという考えは経済優先のマネジメント改革の要素として評価される一方で、そのような経済性優先の独法化によってごみ減量による環境負荷の低減というもう一つの環境事業の目標がないがしろにされるのではないか、という心配を持っている。

大阪市のごみ焼却施設は10工場、一日あたりの公称能力は6900tにのぼる。これを仮に365日稼動させれば、実に251万8千トンのごみを焼却できるが、実際の年間の焼却処理量は163万4千トンなので、およそ64%の稼働率に過ぎない。大阪市民が排出する量ではフル稼働には、ぜんぜん足らない。それくらい処理能力の高い施設が十分活用されていないことは確かに税金の無駄であるという見方も確かにあるだろう。

しかしその10工場の中には、昭和40年代、50年代に整備されたものも4箇所あり、これらの更新をどう考えるかは興味深い。もし横浜市が分別回収を徹底し、ごみの27%削減を行って市内の2施設の更新を取りやめたことで行政コストを低減させた取り組みと同様に考えていくのであれば、これら4つの施設の更新を今後大阪市はしないという選択肢も生まれる。
これら施設を除くと年間の公称処理能力での365日稼動による処理量は実際現在排出されている焼却ごみ量163万4千tを下回る153万3千tとなる。他市のごみを受け入れる余裕はいっさい失われるだろう。これはごみ減量化を行うという目標に沿ったあらたなシナリオ(環境負荷低減のシナリオ)になる。

いっぽう環境事業によるあらたな経済資源の獲得というシナリオ(経済利益重視のシナリオ)もないわけではない。
現状以上の他市のごみ受け入れや、事業系一般廃棄物処理受け入れを進めることでの処理委託料の収益獲得だけではない。焼却施設の中には、余熱による発電事業により収入を得ているものもあり、大阪市の関西電力への売電状況は9工場における337,637MHWにのぼる。フル稼働による売電の売り上げ獲得も狙えれば、という目論見もまた、大阪市が環境事業を独立行政法人化によって経済的に効率化しようと考える大きな要素になっているものと思われる。

独立行政法人化の大きなポイントは「中期目標」を定め提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項を明らかにする点にある。
環境負荷の低減というシナリオにそった中期目標を立てるのか、経済利益の重視のシナリオにそった中期目標をたてるのか、現在のマニフェスト案ではそれが見えない。
つまり環境事業を独立行政法人化を前提に考える、という内容は、「政策マニフェストとして少なからず不十分な点」がある。

なお、大阪市の年間焼却残渣埋め立て量は33万4千tであり、府内の総量の46%を占める。平成15年時点で埋立地の残余年数は約8.6年分であり、多くの識者が危惧するように、大阪市の環境事業が経済性を優先し、ごみ減量に向かわない路線をたどるとなれば、大阪市のごみ処理の動静は府域全体、埋立地を共有している関西一円の自治体の廃棄物処理の計画に大きな影響があるものと考えられる。
一市のマニフェストが、実は埋立地を共有している関西一円の周辺自治体の行政計画に大きな影響がある。意見の募集は市民に向けて行われているが、周辺自治体もしかるべき公的意見をのべる機会が与えられるべきだ。

投稿者 kamimaki : 12:21 | コメント (2316) | トラックバック