2006年06月09日

家庭系危険・有害廃棄物の諸課題(8)

わたしと地域計画建築研究所のK計画部長とは暑気が立ち上る高槻の富田駅に立っていた。
小売に協力を依頼に行く前に、どうしても製造にも働きかけをするべきだと思ったからである。今回の実験にかかる費用のうち、奨励金相当部分と処理費用を補助してもらいたい、また消費者へのアンケートに、製造からも設問を出していただき、消費者の声を届けたい。
訪問したのは大手の家電メーカーの照明部門だった。

同社では、前年度の調査に際して、住民団体の皆さんとともに、この会社を訪れて蛍光灯の環境対策について時間をさいて説明いただき、工場見学をさせていただいた。

蛍光灯に含まれる有害物質は水銀がその代表的なものになる。蛍光灯の発光原理から、水銀は欠かせないものであるが、人体・環境に有害であるため、近年製品中の水銀は従前の50mgから10mg程度まで低減させながらさらに長寿命化を果たしてきた。隠れた企業の努力には目を見張るものがある。

蛍光灯は消費電力が白熱灯に比較して圧倒的に効率的であるため、すべての工業製品から水銀を排除するとの欧州のRoHs規制においても、蛍光灯に限ってはその含有が許されたという経緯がある。
蛍光灯=有害というステレオタイプではなく、公平な目で見れば、蛍光灯はCO2削減の観点からも、優れた環境製品であるといえる。

ただしこれは適正に回収処理がされれば、の話である。蛍光灯リサイクルを実施している自治体がこのごろは増加しているとはいえ、府内ではまだ1/3程度の普及率でしかない。また、実施している自治体も回収時の破損などの問題から、管理可能な回収拠点を多数設置できず、必ずしも回収率が高いとはいえないのではないか、といった課題を抱えている。

2時間近く、上記のような視点から、今回の社会実験の基本的な考え方を説明し、協力を呼びかけた。
担当者の方には熱心に耳を傾けていただいた。思えばアポをとったとはいえ、金を出せ、知恵を出せ、という話である。それでも真摯にご対応いただけたことは明記しておきたい。
最終的には参加できないという返事が後日メールで連絡された。残念であったが、実験開始に向けて次の章にすすむひとつの節目であった。

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家庭系危険・有害廃棄物の諸課題(7)

豊中市のIさんによれば、阪急線の高架下にできた、新しい環境教育施設「豊中市立リサイクル交流センター」で実験期間中の拠点回収ができるのではないかということだった。

実験協力自治体と回収拠点の一つが提案されたことによって、この実験実施に向けてはずみがついた。
次に検討を要するのは実験の仕組み、モニタリング項目などであった。

デポジットは通常購入時に課される。ただでさえ厳しい競争環境にある家電販売店が、少しでも価格が高くなるデポジットに参加意向を示してくれる見込みはきついものがあった。
1円でも高いと競争に負ける。府内全域あるいは関西広域などで、とりこぼしなく取り組めば課金が競争に影響を持ち込まないが、今回は豊中市域の限られた中で行う。このため社会実験に参加した店舗の売り上げが下がってしまう可能性があった。そもそもデポジットというのは、製品価格に上乗せされるために余分な購入(消費)を引き下げるという効果があり、それはいたし方のないものである。しかしこのために参加店舗が集まらないという手戻りをつくると、年度内の実験が困難になる。
そこで課金はあきらめ、回収奨励金方式を選定した。

しかしただ、回収奨励金方式をとったなら、モニタリング上次の問題が考えられた。地域外からの廃蛍光灯の持込である。回収率を地域内での消費に対するものとしてカウントするのに、他地域から奨励金目当てに持ち込まれれば測定が不能になる。また、奨励金の原資が尽きてしまうことも考えられる。さらに、公共施設などから無断でとりはずされたまだ廃棄段階になっていない蛍光灯が持ち込まれる危険性もあった。

そこで、やはり鉛バッテリーのように、新規購入と廃棄が対になる、「交換」型にすることが必要であろうというアイデアに落ち着いた。バッテリーの場合はレシートだが、今回は実験参加店舗で新規に蛍光灯を購入したときに「廃蛍光管引換え券」を配布することにした。後日この券と取り替えた廃蛍光灯を持参すれば、キャッシュバックされる。券がなければ引取りにキャッシュバックは生じない。地域外や盗難をしてまでもの持込はこれで防げるのではないか、と考えられた。

このことは、製品寿命からいっても利点があった。飲料容器などのデポジットでは、デポジットが返金されるのは消費後である。しかし鉛バッテリーは製品寿命が約2年。わたしたちが実験の対象品目に選んだ蛍光灯は定格点灯時間が6000時間、最近の製品では9000時間と長寿命化しており、これは一日16時間点灯して1年半以上もつのである。社会実験の会計面、投入資源量からいっても、それほどの長期間実験を行うことは困難であった。
しかし新規購入時に使用済み製品と「交換」をするという発想でいくと、製品寿命が長くてもデポジットの管理期間は短くて済む。モニタリングも発行券で管理できるので好都合であった。

券の発行と管理という交換のシステムは、デポジットでよく言われる、外部性の排除のしやすさも魅力だった。デポジットシステムを適切に利用しないことをフリーライダーというが、空き缶などで常に問題視されたのはデポジットの有無の識別性である。デポジットをしていないのにリファンドを受け取る行為があれば、これはフリーライダーであるが、この点では券を用いるというのは非常にわかりやすいシステムになろう。

百聞は一見にしかずとはよくいったもので、沼田さんの米国調査は、ローカルデポジットは無理という思い込みのあったわたしたちに、大きなヒントを与えてくれたのである。
この米国調査をはじめ、これまでの実験でお世話になったのは、地域計画建築研究所のK計画部長である。推進会議の少ない調査費用から、よくもこれだけの活動をともにしてくださったものである。

K部長は無口な人だが、わたしがいつも自由な発想で意見をまくしたてたあとに「意味がよくわかりません」と付け加えられるのがはじめはショックだった。そのうちだんだん自分の無茶苦茶、というのがわかってきた。そう、推進会議の調査費用は年間100万円しかなかった。そこで米国にいかせろだの、社会実験をしようよなど、いいたい放題していたのであるから。

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2006年06月07日

家庭系危険・有害廃棄物の諸課題(6)

前述の沼田さんによると、米国でのバッテリーデポジットは、新規バッテリー購入時にデポジットがレシートに記録される。州によって、店舗によって金額は違い、5ドルあるいは10ドルというところもある。購入者は古いバッテリーと取替え、この廃バッテリーをさきのレシートとともに購入店に持参すると、先にはらったデポジット金がリファンドされるという。
この交換は、新規購入後30日以内におこなわなくてはならず、それを超えるとデポジット金の返金はなくなる。このほか交換可能な条件として、損壊や激しい汚れがないことなども条件となる。

また、このような店頭回収のほかに、行政が設置した積み替え保管所に持ち込むことができる。しかし、ここではリファンドはない。デポジット期限の切れたものや店舗が引き取らない汚れたバッテリーなどが持ち込まれ、リサイクラーが回収している。

また、デポジットリファンドの運用スキームなどを事業者にまかせているコネティカット州と、行政が丸抱えしたロードアイランド州とを調査した結果、モニタリングを要しない店舗完結型の運用に比較してモニタリングに費用と事業者の協力をえなければないシステムはあまりに煩雑で、そのためにロードアイランドではこのデポジットリファンドシステムをやめてしまったということが確認できた。

事業者の自主的な取り組みを行政が汎用的に取り組み、運用は事業者にまかせる。
鉛市場に左右される場合も考えられるが、リサイクルの価値の高い製品ではこのような柔軟な取り組みがよい成果をあげるようである。

さて、平成17年度の調査は、廃蛍光管で何らかの形で経済的手法を取りいれた社会実験を行おうという方向性になり、それにはまず一般廃棄物の処理責任を法的に負う市町村の実験参加がどうしても必要だった。米国調査の結果、空き缶以外でもデポジットの事例があること、高い回収率を誇ること、流通や製造などもこのシステムに柔軟に対応できていることなどの情報提供により、これならできそうだ、という雰囲気が生まれてきた。

今年度はぜひ社会実験をしたいので、ご協力いただける市町村はないでしょうか。
これで手があがらなければ、この調査研究はもうすることがないのでは、と思いながらワーキングに投げかけた。
そこで、ひょいっと手をあげたのが、豊中市のIさんであった。

投稿者 kamimaki : 21:34 | トラックバック

2006年04月29日

家庭系危険・有害廃棄物の諸課題(5)

調査研究が進むにつれて、これまでの成果を踏まえて社会実験を、という声が、住民団体の方を中心に聞こえ始めた。デポジットは購入時点にいったん課金をするシステムである。その枠組みをどうつくるか、まず参加してくれる店舗があるのか、といった問題。
次に品目の問題。回収後の処理が結局分別回収を行わないと同等であれば環境保全上の意味がない。
しかし最大の課題はこの実験地となってくれる自治体の参加だった。
先にも書いたが、一般廃棄物というのは市町村がその回収処理に責任を負う法制度となっている。いくら実験をしたいとしても、その市町村がNOといえば不可能だ。

推進会議には府内の全市町村が参加している。危険・有害物による被害対策の主要な支払い者は市町村であり、この課題解決に向けた調査部会の研究事業に深い関心があっても、いざ自分で実験に手をあげるとなると、これがなかなか難しい。国内で飲料容器の回収にデポジットを適用する実験はあっても、いずれも恒久的な実施に結びついていないということも心理的影響としてはあったと思われる。
まずローカルデポジット自体が、難しいことである、という先入観が高い敷居となっていた。

調査部会では平成16年度から、ワーキングのメンバーに、神戸大学大学院経済学研究科の沼田大輔さんに入っていただいていた。彼はカナダの飲料容器をはじめ海外のデポジット制度に詳しい。そこでまず、海外で危険・有害物でデポジット回収をしている例はないのか聞いてみた。

沼田さんによると、アメリカでは鉛バッテリーでローカルデポジットが実施されているという。
論より証拠、ということで、この年度は米国調査を実施した。
具体的にはバッテリーカウンシルインターナショナルのコンサルタント、コネティカット州政府、ロードアイランド州政府を前記沼田さんに委託しインタビューしていただいた。

米国では鉛バッテリーの回収に州法で強制デポジットを課している州と自主的デポジットを実施している地域とがあった。あわせれば9割の州でなんらかのデポジットを実施している。
また、このシステムは新規購入時のデポジットの30日以内に不要となったバッテリーを持ち込むことでリファンドを実施しており、いわゆる「交換」のシステムが成立していることなどが参考になった。

製品廃棄物をデポジットリファンドで回収するとき、その製品の使用済み段階までリファンドを行わないとすれば、製品寿命が長いほどデポジット金の管理運用が必要になってくる。
デポジットリファンド制度のビジネス面での妙味は実際このような資金運用面の妙味でもある。
一方で、長い期間の運用果実の期待もある反面、適正な管理という意味でのコストも当然必要になる。
また、この米国での事例の顕著な特徴は、それが政策デポジットであったとしても、民間団体であるバッテリーカウンシルが積極的に政策提言したことによる、政策連携モデルであったことだ。
民間団体は民間団体としての妙味を合わせえながら、総合的には政策により廃棄段階のバッテリの回収ストリームを一元化し、廃棄物段階ではコントロールしにくい規模の経済を実現させたのである。

調査報告書の詳細については、下記URL中、
危険・有害廃棄物におけるデポジット制度導入による社会経済波及効果に関する調査報告書の第2章を参照のこと
http://www.epcc.pref.osaka.jp/warec/jigyou_tyousa.html

平成16年度の調査では、実際このように行われているという実態のみの把握となったが、米国での事例調査は国内でもまだ情報の薄い部分であり、大変貴重な調査結果となった。
奇しくも国内でも、自動車バッテリーの回収処理スキームの再構築が検討されていた時期にもあたり、関係コンサルからの問い合わせもあった。
結果的に国内では無料回収スキームの構築へと向かったが、今後回収率が向上しない場合の一方策としてデポジットリファンドシステムは有用である。

◆平成17年12月27日 自動車用バッテリーの回収・リサイクル推進のための方策について」報告書(案)に関する意見募集の結果について
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=6696

投稿者 kamimaki : 17:09

2006年04月26日

家庭系危険・有害廃棄物の諸課題(4)

家庭ごみの組成は、この半世紀で急変している。
1950年代であれば紙や木など焼却してもさしたる害のないものがほとんどであったが、工業化の進展に伴いプラスチック製品の増加、化学製品、電化製品など重金属を含むものの廃棄率が飛躍的に伸びた。これらの分別を行うことなく焼却や埋め立てを行うために環境対策を施行するとなると、設備投資や投入する中和剤が大量に必要になる。

わが国はこの「捨てるための技術」においては世界最高レベルといっていい。特に自治体の環境施設には海外からの視察が絶えない。このことが、技術的にリサイクルが可能になった製品廃棄物であっても経済性の面で廃棄に劣り、現実として資源回収がすすまないという問題を抱え込むことになっている。
製品廃棄物の分別回収は社会システムから経済性の面で蹴りだされているのである。

家庭系危険有害廃棄物に限らないことであるが、大阪府廃棄物減量化・リサイクルアクションプログラムでは、事業者の責務としてデポジットなどの経済的手法を活用する検討を行うとした。平成13年度からの調査では、このような経済的手法を家庭系危険・有害廃棄物に適用する検討を行うこととした。

経済的手法には、1)排出権取引 2)補助金 3)課徴金 4)デポジットがある。
平成15年度の調査では、この中で、デポジットが機能するためのシステムづくりに府民がどのような意向を持っているかをアンケートした。

ある製品を購入するさいに、預かり金を上乗せ(デポジット)して販売し、消費後の製品廃棄物を返却時にその預かり金が返却(リファンド)されるシステムがデポジット・リファンドシステムの概要である。
酒屋で瓶ビールを買って空き瓶を返すとお金が戻ってくるシステムといえばわかりやすいかもしれない。
この場合、ビールを購入時に実は瓶の保証金が商品代金に上乗せされているのである。

デポジットの効用は二つある。一つは商品代金が上乗せにより上昇していることから、余分な消費が買い控えられるという点、そして上乗せ金の回収のために、消費者による返却がより確実に行われるという点である。

火災や爆発事故の絶えないエアゾール缶、有害物質を多量に含む小型2次電池、水銀を含む蛍光管などをアンケートの項目に抽出し、デポジット額がいくらなら足を運んでまでも使用済み製品を返却するか、その返却場所として納得できる距離はどれほどかを聞いた。

その結果をまとめると、消費者に身近な小売店が参加したシステムづくりが有用であるという結論となった。

※ このくわしい調査報告書については下記URL中
  危険・有害ごみの処理におけるデポジット制度導入可能性調査報告書を参照
  http://www.epcc.pref.osaka.jp/warec/jigyou_tyousa.html


投稿者 kamimaki : 12:24

2006年04月25日

家庭系危険・有害廃棄物の諸課題(3)

危険・有害とされているごみの中には、市町村が排出を禁止しているものがある一方、一般ごみと同じように焼却されたり埋め立てられているものも少なくはない。
このため、どのような被害が起こっているのか、また、被害を防止するためにとられている手立てにかかる費用などはどれくらいか、を、地域計画建築研究所に委託し見積もった。
回収処理過程での火災・爆発事故による物損は年間9100万円、不法投棄された有害廃棄物の直接処理費として1億1200万円、焼却炉の環境対策、破砕施設の防爆・監視施設への費用は34億7000万円、以上府内の一般廃棄物おける危険・有害対策費用は36億7300万円という結果であった(平成14年度)。

※ このくわしい調査報告書については下記URL中
  危険・有害ごみによる市町村のごみ処理へ及ぼす影響等の把握調査報告書を参照
  http://www.epcc.pref.osaka.jp/warec/jigyou_tyousa.html
  

投稿者 kamimaki : 12:35 | コメント (1)

2006年01月20日

家庭系危険・有害廃棄物の諸課題(2)

家庭系危険・有害廃棄物問題で、実際一番困っているのは誰だろう。最初の疑問はそこにあった。まず、いろんな塗料の使いさしや、化学薬品は、運搬回収の困難性、適正処理の困難性から、多くの市町村が条例などによって家庭からの排出そのものを禁じている。不用になったり効果等に満足できない殺虫剤や農薬等を納戸の奥にしまいこんでいる等ということは思い当たるふしのある方、かなりいらっしゃるのではなかろうか。

この仕事をしていると消費者の方から引き取り手のない廃棄物をどう処理するかでよくご相談がある。市町村で引き受けてくれないのであればどこに持ち込めばいいのか。自動車バッテリーなどは下取りという商習慣の中で逆流通でその処理を引き受けている例もある。これは裏技である。というのは、廃棄物処理法というのは難儀な法律で、およそ家庭から出る廃棄物というものは市町村か、市町村が指定した者、市町村の委託を受けた者しか回収処理をしてはいけないしきたりなのだ。下取りはこれを認めるという国通知による運用であり、これとその他の法令で認められる以外は、商品としてそれを販売していた店舗や製造メーカーが、業としてそれらの処理をすることは、この法律の抵触という問題に関わってくる。

例えば防災意識が高まっている昨今、簡易消火器などは量販店や通販でも手軽に入手できるようになった。しかし、それらが使われないまま使用年限が過ぎ、不用になったとき、たちまち家庭での処理に困る。消火器類もまた市町村が排出禁止物としていることが多いからだ。「下取りをしていない店で買ったもので、新しく買う予定もなく、引き受け手がない」といわれると、「下取り」という裏技が使えない。

法にしばられるお役所仕事の悲しさ、販売店にご相談ください、といかにも無責任な紋切り型をいっても、消費者は本当に困ってしまうのだ。

では現在排出禁止になってる品目が絶対に処理が困難であるのかといえば、実際は産業廃棄物処理の専門業者であれば事実処理は可能である。家庭系危険有害廃棄物は処理困難物は産廃業者に市町村が委託すればよいことだ。しかし現在の焼却・埋立処分というシンプルな業務フローでのコスト以上の処理コストを担いきれるほど市町村の財政は甘くない。よって家庭からの排出頻度・量がそれほど大きくない家庭系危険有害廃棄物の問題は、消費者の手元に積み残しのまま、あいまいにされつづけている問題なのだ。

一方製造メーカーがすすんで廃棄物処理法上の許認可を受けてそれら排出禁止物となっている家庭系危険有害物の処理に乗り出す例も近年は増えてきた。しかし行政が自らの専業でありながら手をだそうとしないこの分野において、まだまだ自主的な取り組みが進んでいるとはいいがたいのである。

投稿者 kamimaki : 17:50 | コメント (1)

2005年12月31日

家庭系危険・有害廃棄物の諸課題(1)

現在の業務の中に、廃棄物減量化・リサイクル推進会議の事務局業務というのがある。
これは、住民団体・事業者団体・行政・学識経験者からなる協議会で、平成3年から活動しているものだ。
http://www.epcc.pref.osaka.jp/warec/index.html

その調査部会の研究事業で、わたしが着任前から取り組んでいたのが、家庭系危険・有害廃棄物のデポジット回収の検討であった。

家庭ごみの中には廃棄物処理される段階で危険性・有害性をもつものが少なくない。危険物にはスプレー缶やライターなど、収集作業中に爆発や引火を引き起こす可能性があるとされるものがあるし、多くの電化製品には環境中に放出されれば有害となる重金属が含まれ、液体洗剤や塗料・化学薬品の類は有害物質が飛散しやすい形状をしている。OECD諸国でも環境先進国では家庭ごみからこれら危険性・有害性のあるものが分別回収されるプログラムが義務付けられつつある。

日本においては、危険・有害ごみの分別は特定管理一般廃棄物というくくりで処理されているが、これはかなり特殊なごみであり通常一般家庭で排出される段階のものではない。たとえばダイオキシンを含む焼却灰のような類だ。

危険性・有害性のある廃棄物の一部は市町村の手に負えない適正処理困難物として排出者が購入先に引き取ってもらうような指導をしているものもある。例えば鉛を大量に含む自動車用バッテリーなどは一般的にそのように処理されているものの一つだろう。しかしそのような方法では住民が自ら引き取り先を探さなくてはならず、不法投棄につながったり、一般ごみに混入させて不適切に廃棄されたりすることがままあるのが問題だ。

家庭系危険・有害廃棄物を分別回収するプログラムを自らもつ市町村も近年増えてきたが、収集のコストや適正な排出指導のための労力も大きい。このため多くの市町村ではこのようなプログラムの導入に二の足を踏んでいるのが現状だ。危険であろうが有害であろうが、法的に適正であれば一般ごみと同様に焼却や埋め立てをしていれば市町村は大きな責任を問われない。このことも分別回収がすすまない理由の一つともなっている。

推進会議ではこのような家庭から出るやっかいなごみをコストを最小限にしながら効率よく回収できる方法の一つとしてデポジットによる回収を検討していたのだった。

それまで環境行政にはタッチしたことがないわたしにとってはデポジットってナニ?という状態からのスタートだった。また、正直、上記の何が課題なのかがわからなかった。ここでは自分が確認しながら納得してきたこと、今も納得がいかないこと、これから知りたいと思っていることを書き留めていこうと思う。

投稿者 kamimaki : 09:42