あまがさき宣言1999
1.行政の経営改革は市町村から明治以来、我が国の行政は、基本的に、国が一元的に方針決定と予算配分を行い、地方が執行・管理するという役割分担を行ってきました。その結果、国全体としては成長を遂げ、豊かになることができました。しかし、その反面、地方・中央ともに巨額の財政赤字を抱え、また、「お役所仕事」と揶揄されるような行政サービスの質・効率性の悪さも指摘されるようになっていきました。
こうした行政の現状を改革しようという動きが、住民に対して直に行政サービスを提供する市町村の現場から芽吹きつつあります。
地方行政の活動とは、「法令遵守」「予算消化」といった言葉で表されるように、長い間、与えられた環境を「管理」するといった発想に立つものでした。
しかし、今日では「管理」よりも創造的な活動が求められる「経営」の視点が重視されはじめています。それは、住民の「バリュー・フォー・マネー(税金の払い甲斐)」や「満足度」を意識して、税金を支払った見返りを目に見える成果として提供しようとした結果、生まれてきたものです。各地の市町村を中心に、「創造的な活動を通じて、最小のコストで最大の満足や価値を提供しよう」とする、いわば「行政経営」の発想が芽生えはじめてきているのです。
住民と直接的に接する場である市町村でこそ、柔軟な経営改革が実践できます。そして、その経験は、あらゆるレベルでの行政の経営改革にとって様々な示唆となるものです。市町村には「変化の担い手」としての役割が期待されているのです。
2.真の経営改革とは
予算と、人員と部局を削るばかりが改革ではありません。改革の結果として求められるのは、住民の満足度とバリュー・フォー・マネーが高まることです。
「支払いに対する見返り(バリュー)」が大きいほど満足度は高くなり、満足度が高ければ喜んでお金や労力を提供することになる。こういった環境づくりこそが経営改革の基本であり、それに不可欠なのは、サービスの質を競う競争原理です。
予算がなくとも知恵を使うことで経営改革は進められます。改革の手段として、時には、隣の自治体の効率的なサービスを買うことや、NPOやボランティアと手を組むことも考えられます。
経営は「顧客の反応」から多くのことを学びます。住民から健全な反応を得られるよう、情報共有を進めて、積極的にコミュニケーションを図る環境を作ることも重要となってきます。
プロの公務員が誇りを持って仕事ができる環境づくりも重要です。公務員が仕事に対して不安や不満を抱いているようでは、良質な住民サービスは期待できません。公務員によるひたむきな改善努力には、惜しまず賞賛を送るべきです。
3.いかに変革するか
行革の原点は、現場レベルの行動改革や、一人ひとりの自助努力であり、それがあってはじめて、民間経営の手法や行政評価が活きてきます。
改革手法は、絶対的なものが一つあるわけではなく、多種多様に存在します。民間企業に、海外に、そして国内の先行事例に広く範を求めていきましょう。その際に避けるべきは、手法の調査・研究に税金と時間を無為に使い、行政内部の内輪だけでの試行錯誤をすることです。外部にノウハウをもとめた上で、まず行動ありきです。経験から学び、考えることから、真に必要な手法も浮かび上がってきます。
実践の中で初めて改革のスキルも育ちます。最初から100点満点を目指さない、ということを、勇気を持って宣言しましょう。地道な努力を重ね、5年後、10年後を目標に、成果を出すべくチャレンジしていきましょう。
4.誰が、改革の担い手か
行政改革は、行革当局だけの仕事ではありません。経営者である首長、住民、議会、公務員の共同作業です。
行政サービスは、行政だけのノウハウと人手によって経営できるほど容易いものではありません。経営の改革には、顧客からの叱責やアドバイスが不可欠です。また、「満足度」や「バリュー・フォー・マネー」を高める経営には、民間企業の経験から学ぶことが多くあります。行政改革は、民間企業やNPO、会計士、大学、コンサルタント、シンクタンクなどの行政外部との「共創」によって初めて推進できるものなのです。
また、その進捗を、正当に評価し紹介できるマスコミの存在も、改革の担い手として不可欠な存在といえます。
5.いつまでに、何をやるべきか
私たちは、3年以内に、全国の市町村にこういった「行政経営」の考え方を浸透させたいと考えています。さらに、実態が大きく変わるまでには、おそらく10年はかかるでしょう。まずは、全国の市町村の間で、先行事例を積極的に紹介しあい、お互いが切磋琢磨できる環境づくりです。「行政経営フォーラム」は、そのきっかけとなることを目指して、これから2年間、活動を進めていく所存です。
1999年5月14日 兵庫県尼崎市にて採択
行政経営フォーラム
(編纂担当:玉村雅敏)