2000.10.27.(Fri)
   三重が切り拓く評価  〜市民と行政の取り組み

講演内容の要旨(1)
基調講演「自治体行政評価−総括と今後の展望」
米国ジョージタウン大学政策大学院教授 上山信一さん

 日本全体を会社にたとえると、行政はしょせん管理部門。経済の視点からみても、公共サービスがGDPの1割、公共事業が8%で、GDPの中に占める行政のウエイトは2割くらいでこの割合は、先進国の中では低いほう。しかし、行政のあり方が問題になるのは、行政の動きが世の中の動き方や気分を支配しているからだ。

 行政を変えないと日本は変わらず、その皮切りは自治体だ。行政の役割は5つある。1つは規制など民間企業への関与。2つ目が公共サービス。3つ目は公共事業。4つ目は所得再配分で、5つ目は国家の安全に関わるもの。それぞれの生産性をみると、1つ目は過剰関与で×。二つ目はサービスは良くなったがコストが高く△。3つ目は必要な部分もあるが無駄も多いので△。あとの2つは○か△。

 行革の目的は3つある。1つ目は財政破たんを避ける。2つ目は民間セクターへの行政の過剰な関与をやめてきちんとした競争環境を作ること。3つ目は税金を使ってやるサービスをより良く、安くやること。しかし世間では財政再建のための行革がとかく話題になる。大きな問題だが、世界の基本原則は、財政赤字の解消は3分の1は政府の努力で、3分の2は税金の増収。税収は民間活力にかかっていて規制緩和は極めて大事。2つ目の公共サービスに関しては、競争促進型をやるかどうか。公共事業もGDPの一割くらいで生産性が課題。

 この3つが行革の切り口だが、原点は問題整理。そこで行政評価になるが、結果が出て「はっとする」としても、現実が動くまでにはなかなかいかない。

 動かない背景は3つ。1つ目は金に関しては「財政錯覚」の問題がある。県民が税金の使われ方を知らないなど受益と負担のズレがある上、責任の所在がはっきりしない。金の循環の仕方が国全体という単位であまりにも大きい。現場で節約しても焼け石に水。あるべきは国税は国のために使い、地方税は地方のために使うことだが、いきなり変わるとは思えない。財政破たんするとキャンペーンしても、自治体は制度上破たんしえない。財政危機主導の改革はダメだと思う。

 2つ目は縦割り行政。ある施設が幾つかの省庁から補助金をもらい、基準が重なりおかしなことになる。すべての行政には最適規模があるが、これは分野によって違う。実は、国の中央省庁をどうするかよりも、地方分権を考えること、が大事。

 3つ目の問題は、政策と執行が混じっていること。政策を立てる側と執行側が同じなのは具合が悪い。すべての人がすべてのことに責任を持ち、誰もその人だけが悪いと思っていない状態が日本の行政システム。行政評価は日本の行政責任の所在をはっきりさせ、新しい秩序を埋め込む核だ。

 行政評価の根本哲学は「成果志向」「顧客志向」「競争原理」の3つ。「成果志向」は、実際に立てた目標を数字でちゃんと把握できること。「顧客志向」は、誰が客かを定義し、期待される成果を把握する。「競争原理」を入れると成果の公表とあいまって、できた/できない人・部門がはっきりする。さらに情報公開が大事。情報公開がないと行政では競争が起きない。


←目次へ →次へ