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16:万聖節の夜


馬場です。 子どもと一緒に生活していると、現地の風習に親しむ機会に恵まれるものだと実感しました。 そう、今日はハロウィンだったのです。

金曜日の朝、娘を学校に送る途中で信号待ちをしていると、向こうから白いドレスで決めた背の高い女性が大股で歩いてくるのが見えました。「あれっ?! あの人、男の人だよ!」と娘。「ええーっ!?」

 そうです、今日は学校でハロウィン・パレードのある日。万聖節本番を二日後に控えて、まちのオフィスも蜘蛛の巣だのカボチャの提灯だのを飾って「お化け屋敷」風の演出をしています。人間も魔女だの吸血鬼だのの扮装をするのがこのハロウィン。たぶん、彼(彼女?)は職場へ仮装して出かけていたのでしょう。ポートランドで初めて迎えるハロウィンはこうして始まりました。

学校では、先生方が趣向を凝らした扮装で出迎えてくれました。恰幅の良いオドーティ先生は、ヘンリー八世みたいなローブを着て貫禄たっぷり。実習生のヘザーさんは不思議の国の帽子屋さんです。生徒たちも思い思いの仮装をしています。今年は「スターウオーズ・エピソード1」と、なんと言っても「ポケモン」が人気でした。今日は学校に祖父母や知人をご招待して、パレード見ていただく日です。

講堂では劇とコーラスの公演がありました。司会の校長先生もスイスの牧童の格好をされています。そして、お待ちかね、パレードです。全校生徒が続々と学校の玄関から出てきます。おやおやピカチュウが、一匹、二匹・・。結局、六匹いました。リザードンも三・四匹いました。典型的かつ伝統に忠実なのは、女の子では魔女、男の子では死神系の扮装(黒ローブにドクロ面)。でも妖精やお姫様などの「可愛らしい」系もOKです。魔法使いの女王様というのはその両方兼用で「エレガント」系とでもいうのでしょうか。校庭のまわりをゾロゾロと行進して、お客様と近所の人たちにお披露目します。そのあと、この日は授業はなくて、お菓子をいただきながらビデオ鑑賞、「リラックスした」一日を過ごします。

もともとハロウィンはケルトの自然信仰に由来していて、10月31日というのは一年の終わりにあたり、この世とあの世の間の扉が開くのだそうです。その点、お盆に似ています。ただハロウィンには先祖の霊も帰ってくるけれど、同時に邪悪な精霊も解き放なたれて、地上をのし歩くのだそうです。中世には、悪霊に憑かれた(?)農民たちが領主のところに押し掛け「災いが怖ければもてなしを!(Trick or treat!)」とやっていたとか。収穫前の窮乏期に、領主からの施しをせしめる生活の知恵(?)だったのかもしれません。ハロウィンに扮装をするのは、悪霊・悪魔・魔女たちがウロウロしている恐ろしいこの夜に、同じ格好をして恐怖心を紛らわそうとしたものと考えられます。でも、現代ではそういうオドロオドロしい経緯はほとんど忘れられて、アメリカ人の好きなホラー映画の主人公たちが大活躍する季節になっています。 

ちょうど31日の午前2時から、夏時間が終わって冬時間となり、時計の針を一時間遅らせました。そうして季節が冬に向かう区切りのこの季節、アメリカ人たちはハロウィンでバカ騒ぎをするのです。

 昨夜のニュースでは、「明日はハロウィン。夕方運転するドライバーは、トリック・オア・トリーターの子どもたちに気をつけましょう。」とか「犬にはチョコレートを食べさせないようにしましょう。犬には毒です。」という注意を流していました。また、米国各地にある有名な「お化け屋敷」の紹介も。本当に、アメリカ人はハロウィンが大好きです。 そのわけは、今日娘と一緒に「トリック・オア・トリート」で歩いてみて、よーくわかりました。

 とっぷりと暮れた夕闇の中、家々の明かりが暖かく灯っています。カボチャに顔を彫り抜いて、中にロウソクを灯した「ジャック・オ・ランタン」は典型的なハロウィンの飾りですが、そういう飾りが家の玄関に飾ってあればOK、呼び鈴を鳴らし「トリック・オア・トリート!」と叫ぶと、お家の人がニコニコして出てきてお菓子をくれるのです。これまた思い思いの扮装をした子どもたちが、あちこちで呼び鈴をならしています。「トリック・オア・トリート!」「ハッピー・ハロウィン!」

 みんなニコニコ。子どもたちのバッグもお菓子ではちきれそう。何軒かに一軒は、お家の中からも魔女が出てきたりします。今夜は仮装して、ハロウィン・パーティで盛り上がるのでしょう。次々と子どもたちが家々を訪ねるさきで陽気な声が上がります。娘は、日本の浴衣を着ていきましたので、あちこちで「キュート!」と言ってもらいました。お菓子も山ほどもらって大満悦。「次、行こう。次、行こう!」と駆け回っていました。家に戻ってからホクホクと勘定したら、お菓子は全部で148個あったそうです。 こんなに楽しいことが毎年あったら、そりゃあ大好きになることでしょう。

 もっとも、治安のことはやはり要注意で、OKな地域とそうでないところがあるということですが・・。でもハロウィンは、本当に素敵な行事です。アメリカ人の人懐こい良い面が、とてもよく現れています。  

 

 万聖夜 今宵会う人 みな懐かしき

 


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