17:未来志向の監査
馬場です。「工藤、ホークス退団」のニュースには本当にビックリしました。ホークスファンクラブの公式サイトを覗いたらファンの怨嗟の声で満ち満ちていました。来年がマジで心配です。さて、授業で Performance Audit のことを習いました。大変面白かったのでご報告します。
今日の「財政管理」の授業のゲストスピーカーは、ポートランド市役所の監査人のブラックマー氏でした。監査人(Auditor)と、とりあえず訳しましたが、公選で選ばれ市役所全体の活動の監査をする、偉い人です。でも見たところ役人というよりは大学教授風のおじさんで、とても楽しそうに仕事のことを語ってくれました。 現在の監査においては、伝統的な「財政監査(Financial audit=正確性と合法性のチェックが中心)」に加えて、「業績監査(Performance audit)」が重要となっています。
業績監査とは、その事務事業の効果・成果について監査し、問題点を発見、改善策の提案まで行うという、一種のクオリティ・コントロールとも言えるプロセスです。連邦政府について、米国会計検査院(GAO)が行っていることでもあります。
政府監査基準(Government Auditing Standard)の定義によれば、業績監査とは「政府の機構・事業・活動・機能について、その実情を独立に評価し、公衆へのアカウンタビリティの向上と政策決定者の意志決定を助けるための情報提供を行う客観的組織的な検査活動」ということになります。・・・英文の堅い法律用語を忠実に翻訳すると、ホントわけわかんないですね。ブラックマーさんの話によれば、業績監査は以下のような手順で行われます。
1)効果測定 予算や事業実績などの数字の把握
2)実情の把握 問題点の発見
(例:図書館で昼休み時間中の貸し出しが混む)3)原因の追求 問題を起こしている原因を見つけだす。
(例:食事のために窓口の人数が少ないのに利用者はむしろ多い。)4)「基準」の設定 「あるべき水準」の設定
(例:昼休みといえど、他の時間と同じ待ち時間であるべき。)5)解決策の提案 担当部局と議論して、改善策を考え、提示。
(例:職員の勤務シフトの変更。)この過程をつうじて、担当部門や市幹部に、改善を行動に移させるさせるような「説得力のある」ストーリーを作れるかどうかがポイントであるとブラックマー監査人は力説していました。必ずしも各局から歓迎されるわけではないが、「問題点は、ほおっておいたら、いつか爆発するから。」と説得するのだそうです。「3つの封筒」のジョークがいつまでも通用する世の中じゃないよ、と言ってこういう「古典的」ジョークを教えてくれました。
★前任者からの引き継ぎで3つの封筒をもらった。「困ったことがあったら開けなさい」という。トラブルが起こり、第一の封筒を開くと「前任者のせいにしなさい。」
と書いてあったので、そのとおりにした。次に困ったことが起きたとき二番目の封筒を開くと「ちょっとだけやり方を変えてみなさい。」とあったのでそのとおりにした。またまた困ったことになったので、最後の封筒を開けたら「同じように三枚の封筒を作っておけ。(もうすぐ異動だよ)」
・・・「その場しのぎ」は日本の役人の専売特許ではないようです。 「財政管理」の先生のお一人は、州政府の監査室の会計士なのですが、「仕事は面白いですか?」と聞くと「もちろん!」と元気いっぱい。「監査」という仕事が面白くてたまらないみたいです。特に、業績監査の「解決策の提案」の段階では、担当部門とガンガン議論をして、相手から「こうした方がいい!」という反対提案があったりして、非常に白熱するそうです。担当課からの反対提案はもちろん大歓迎で、その提案が通ることも多々あるとか。なるほど、そういう仕事ならやり甲斐もあるだろうし、明るいですよね。過去の支出の適法性・正確性のチェックももちろんなおざりにはできませんが、米国ではこういう「未来志向の監査」が盛んになっていることに強い印象を受けました。
結構、こちらでは「監査」って花形のポストみたいです。会計士の社会的地位も高いし。