20:タダで買えるパソコン
チリン、チリン、と救世軍の人が鳴らす鈴の音が、近所のスーパー「セイフウエイ」の店頭に響いています。感謝祭が終わってから、まちはすっかりクリスマスモードに入りました。商店街はクリスマス・リース(樅の木の葉などを輪に編んだ飾りもの)やクリスマス・ツリーで飾られ、通りの木々は夜になると電飾で輝きます。我が家の窓から山の手のお屋敷街が望めるのですが、それぞれの邸宅が工夫をこらしたクリスマス・イルミネーションを飾り、美を競っています。我が家からはクリスマス・ツリー形の電飾が、ちょうど「大文字焼き」のように見え、最初に見つけたときは一家で感動しました。
日本人が正月を迎える準備のために買い物に励むように、アメリカ人も12月はクリスマスのための買い物に精を出します。一年でいちばんの買い物シーズン、まちはクリスマス・セール一色です。今日は金曜日、週末のセールの広告がどさっと新聞に入っていました。「お菓子の家」組立キットなるものが9.99ドルだそうです。生姜入り菓子パン(ジンジャーブレッド)でできた、食べられるもののようです。食べ物を遊びものにして良いのかしらん、貧乏性の私は思ってしまうのですが。(だっていかにも食べるとまずそう。)
米国で暮らすと、全体的に物価が安いという感じがします。医療費がバカ高いのは例外として、食べ物は一般的に非常に安いです。それこそマクドのハンバーガーが日によっては25セントだったりするわけで、ファストフードの店ではコーラとかは飲み放題が当たり前。とにかくカロリー当たりの単価がバカ安い国です。でも味はまずいし脂肪過多だし、米国人が肥満に悩むのもむべなるかな、です。日本食を食べるようにすれば、米国人の平均寿命は確実に10年は伸びると思うのですが。
家電製品も日本より安いです。「フライズ」という家電量販店(というより郊外にある倉庫のようなアウトレット店)の広告では、電子レンジ49ドル(5,000円くらい)、シャープのビデオデッキ99ドル(一万円くらい)、そしてパソコン(モニターとプリンタつき)がタダ!
少し「タダ」からくりを説明します。本来の価格が 510ドル(これもバカ安ではあります)、各メーカーからのリベート(買った後でメーカーに書類を送ると小切手が送られてくる)が 110ドル、そしてコンピュサーブからのリベートが 410ドルです。インターネット・プロバイダーとしてコンピュサーブと3年契約をしないといけません。その月々の料金が 21.95ドルというわけです(3年で 790ドル)。短期滞在の留学生としては、この御利益にはあずかれず、少し残念。
ただパソコンのメーカーは「激安」を売り物に業界に殴り込んできた eMachines という得体の知れないところなので、果たしてちゃんと動くのか私なんぞは少し心配です。カタログ・スペックはそこそこのようです。(ご参考までに:333 Cyrix Mll Processor,32MB SDRAM,2.0GB Hard Drive,32X CD-ROM Drive,4MB 3D Video,56K V.90 Fax/Modem,Microsoft Works,Windows98)
日本人は「物が安い」とついつい買い物に走りたくなるのですが、現地暮らしが長い妻の友人に言わせれば「100ドルを一万円と思っちゃダメよ。二万円くらいと思っててちょうどいいんだから!」ということです。確かにそれぐらいの購買力を感じます。普通のアメリカ人の金銭感覚もそんなもののようです。(そんなに高給取りな人ばかりじゃないし。米国人消費者は至って価格に敏感です。)
やはり、世界中のメーカーがこの国のマーケットをめぐって大競争を繰り広げているのですから、価格は安くなるのでしょう。その代わり、量産品はたいていの分野で寡占化が進んでしまい、独禁法に触れない2,3社程度になってしまうようですが・・。